再開
起きた現実は白い天井に変わらなかった
しかし、確実に過去の世界を内面化する事実を容赦なく叩きつけるのであった
夜、ベッドの上を見る空は白い。
俺はどうなったのだろう?若いおふくろ、弟と姉貴、とっくに死んだはずの親父とじいちゃんとばあちゃん。
本当なら泣くほどに懐かしさを感じるのに、それを忘れさせる現実。このもどかしさと訳のわからぬ現実の確認にスマホを探すも、あるのは家電。誰かに連絡を取ろうにも、番号を知らない。
頭は直ぐにショートを起こし、寝て、起きた日にはまた大人の自身に戻ると思い、単純に寝ることにした。
1993年6月8日、起きたその身は小さいままだった。けっ、現実に戻れないのか。あれほど逃げたかったキツイ現実を懐かしむ程度に気持ちが揺らいでる自身に嫌悪感を覚えながら、床暖房の温もりを感じながら、ごみ捨ての道を進む。
6年2組、そうだ、俺の学び舎はここだった。今では所在のしれない奴ら、死んだ奴、自らの夢を叶えた奴ら、未来を知るからこそ、奴らの姿に得もしれぬ、説明できぬ感情を内包するのであった。
他愛ない話、本当に他愛ない話。男子がああだ、女子がああだ、次の瞬間には忘れてしまうような他愛ない話。自らの宝として大切にすべきだった話、大人となった俺がどこかに置いていった話。今、こうしてまた再確認出来た「現実」を噛み締めた。
担任は俺が新卒後の初めての担任だ。キツイ性格は思い出のままだ。
授業もそこそこに隣のクラスに行く事にした。先日、肉を喰らいながら語り合った友の事だ。果たして奴は今のやつか、あるいは肉を喰らった奴か。
語る。マンションの話をしながらも、肉の話をしたら、食いついてきた。酒をトコトン飲んだこと、ミスジの肉で昔の話をしたこと。
ユウだった。過去にいる俺が2020年の記憶を共有出来る友に会えたことに、さらなる現実のカオスを感じさせた。
そう、共に飲んだ友達も過去に行ってると確信した事実。
果たしてこれは幻か現実か