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貴方の側に置いてください  作者: 茶納福
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起床と僕


「ッ……ッ」


耳元に断続的に音が入ってくる

こしょこしょと耳をくすぐる様な感じる音色だ。


「んッ」


徐々に鼓動が早くなっていく

耳から送られてくる快感が心臓をノックし遂には声が漏れ始める。


我慢が出来なくなってきた僕は身じろぎながら耳元を手で払う

すると


「あッ」


払った指にぷにっと柔らかな感触がする

更に僕の声とは別の濡れる様な声と熱い吐息が指を包む

そしてかかる吐息とは別の水気を含んだ何かが指に絡む。


「んッ……ちゅッむ」


甘い声が勢いを増し指を包む熱も一層濃く増していく


〈……これって〉


僕は薄く眼を開き潤んでいく左手の方を向く

そこには


「はッむ……」


僕の指を愛しそうに舐め口に含んでいるイグニカの艶姿があった。


「ッツ……」

「あッふぁ……?」


こちらに気付いたのかイグニカと眼が合う

しかし未だに僕の指を離す様子はなく上目遣いで潤んだ瞳を向けてくる。


「いッイグニカ……」

「ッはむ」

「イグニカ……さん?」

「んむゥ……?」

「あッ!!」


いい加減このおかしな状況に終止符をうつ為イグニカの口から指を離しそのまま身体を起こす

快感に耐えられなかったと言うのもあるが


「ぁ……」


自分の唇に触れながら僕の方を物欲しそうに見てくるイグニカの視線から眼を逸らす。


「……潮」


濡れた声で僕の名を呼び

イグニカがベッドを軋ませながらこちらに迫る

そしてシャツの襟首と右腕を掴まれ引き倒される。


「ぁ……」

「ん……」


僕の声とイグニカの声が重なり距離が一気に詰まる

鼻と鼻がくっつく位の近さでイグニカの吐息と僕の吐息が混ざり合う。


「イグ、ニ」

「潮……ッん」


僕の名前を呟いたイグニカが眼を瞑り顔を近付けてくる

進行方向には僕の唇があり目的もそれだと確信できた。


「ぁ、えと……」


状況が未だ飲み込めず焦る僕は

兎に角イグニカの行動を止めようと手を動かす

しかしその手は実際には動いておらず

迫るイグニカの艶々した唇の体温が感じられるまでに接近し


「ぁ」

「むッ」


そして僕と彼女の唇が……


「……へ?」


陽の光が窓から差し込む

雀の鳴き声が聴こえる優しい陽気に包まれている。


光がヴェールの様に部屋を彩る

光がカーテンに反射してるからと言ってしまえばそれまでだが

部屋の中で見れる幻想的な風景が未だに僕を夢と現実の狭間で浮わつかせる。


「ゆ、め……?」


唇を触り頬をつねり現実かを確認する

痛みが神経を撫でると今が現実でさっきまでが夢だと教えてきた。


しかし余りにもリアルすぎた夢に未だ興奮冷めやらぬ僕は

取り敢えず落ち着く為に昨日からの記憶を思い出して整理し始める事にした。



昨日イグニカと龍さんとの喧嘩を止めようとし

騒いだ僕らは警備員さんに怒られ何とか収まった。


その後龍さんにお前の彼女さんは美人だけど危ない人だとか気を付けろよとか

何かあったら相談乗るぜ等凄く心配された

僕も正直あそこまで怒るとは思わなかった。


昨日は結局バイトを休む事になった

僕が怪我をしていたこともあって龍さんが連絡してくれたのだ。


そして龍さんが帰った後にイグニカから説教を食らったのだ

ぶっちゃけようとは言ったのは僕だがあそこまで怒らなくてもと正直思った

その後昨日の疑問点や今後の生活方針を話し合って疲れて寝たはずだ。


今更の話だけど記憶改竄が行われたのに記憶が残っていると言う異常は

イグニカと初めて出会った時に行った相互パルスの副次効果の結果なのではと言う結果に至った。


だからなのか実はイグニカの考えている事が

たまにだが聴こえるようになった、たまにである…


それと今後はバイトを減らして食生活を改めましょうと言うことになり

なら生活費はどうするのかと言う話はイグニカに助けてもらうことにした

その為にイグニカもバイトをしたいのだと言う。


お金を稼ぐと言う事だけではなく

「私も学びたい」と言うことだった

嬉しいことではあるが正直少し心配だった。


〈後話をしたのは……確か……〉


「……んッ」


隣で声がし布団がもぞっと動く

そこから少し寝癖で跳ねた綺麗な黒髪が見える

小さな呟きと吐息を吐きながらイグニカが布団から身体を起こす。


「お……おはようございます……潮」

「ぉおはよう……イグニカ」


髪を直しながら恥ずかしそうにこっちを見るイグニカと

先程見た光景を思い出し恥ずかしさを誤魔化そうと焦る僕らが朝の挨拶を交わす。



〈そう……確か最後に話をしたのは〉


「たまにで良いので……一緒に寝たいです」


イグニカの要望にどう答えるかで壮絶な話し合いをしたのだ

結局僕が折れて結果は見ての通りだ。


「……はァ……ッ」


不意にイグニカが小さな欠伸をした

眼を細め口を開き少し身体を震わせる

その仕草を直視できなかった僕は眼を逸らす


その時イグニカが身を震わせたことで身体にかかっていた毛布がずれ

毛布の隙間から陽光に照らされる湖面の様に輝くイグニカの裸体が見えた。


なぜ服を着ていないのかと思い周囲を見ると

ベッドの縁にイグニカが就寝前に来ていた寝間着があった、それも上下で


普段からだとイメージができないがどうやらイグニカには就寝時の脱ぎ癖があるようだ。


「……はふッ」


欠伸をし終え恥ずかしそうにこちらを見るイグニカの姿に

先程見た光景が又も重なり僕の男の部分が刺激される。


今更だが眼の前の現実を見るに先程のは淫夢であることは確実である

だが

こんな状況下で見ない方がおかしいのでは無いだろうかと異を唱えたい。



その後

僕の心を読んだのか慌てて身を整えようと右往左往するイグニカの可愛い姿を見れたので

正直最初はドキドキしたがイグニカの要望を受け入れて

良かったなと思うスケベ心を出している自分がいた。


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