表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幼馴染シリーズ

君は僕のラストダンジョン

作者: 無花果

目に留めていただいて、ありがとうございます。短いお話ですが、ホンワカとして頂けたらと思ってます。

「私、結婚するの…」


目の前に座った僕の彼女は、ミルクティーに口をつけながら言った。

まるで、世間話や天気か何かの話をするように…


誰と?

いつ?

僕とじゃないよね?

だって、一度もそんな話したことがない。


いつもの悪戯トリック

違う。

伏せられた長い睫毛が、ゆっくりと開き、僕を見る。

真っ直ぐな眼差しが、それは事実だと言っていた。


喉がヒリヒリして、情けない事に一言も言葉が出てこなかった。

君は僕の予想を超える地下迷路ダンジョンだ。


僕たちは小学校の頃から隣同士に住んでいて、当たり前のようにずっと一緒に居た。

隣と言っても彼女の家は僕の家の何十倍の大きな家だったけど…

町の名家とただのサラリーマンの家庭。


家柄を気にして、ずっと隣に居られるように、仲の良い幼ななじみを演じてきた。

大学を卒業して、少し有名な会社に運良く就職できた。


初恋という名のダンジョンに20年囚われてきた。

君に彼氏ができたと聞いた時、苦しくて、自暴自棄になって、毎週のように飲み歩いていた。

心配して迎えにきてくれた君の小さな可愛い唇から、僕のことが好きと聞いた時は天にも登るような気持ちだった。

その日は無我夢中で、幸せすぎて、殆ど覚えていない。君と迎えた朝がどんなに幸せだったか。


面倒見が良い幼ななじみから、彼氏になったつもりでいた。そう思っていたのは、僕だけだった。


「……」


彼女はまっすぐ僕を見ていた。

僕は震える手を隠すのに必死で、下ばかりを向いていた。


彼女がいない未来なんて考えられない。

でも、僕には彼女を幸せにするだけの力も財力もない。


行かないで。

結婚なんてしないで。

そう言えたら、どんなに良かったか…

でも、これで良かったんだ。

君が幸せになるのなら、君の幸せを願おう。


「ゆう君、今までありがとう」


静かに席を立ち、彼女は片隅に置いてあった会計伝票を手に取ろうとしたが、そっと僕は掌を重ねそれを遮った。

最後ぐらいカッコつけさせてほしい。


これで最後だ。

もう君に触れられない。


………そんなの嫌だ。


「結婚しないで。君が好きなんだ」


重ねた掌に、僕の目から涙が滴り落ちた。


「……結婚しないなんて無理よ」


彼女は悲しそうに笑って、もう一方の手で優しく僕の頰をつねった。


「ずっと一緒に居たいから、ゆう君と結婚しないなんて無理」


このような稚拙な文章を読んでいただきありがとうございました。

1,000文字…難しかったです。

次回もう少し頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ