まわりはみんなテンプレ主人公みたいなのに僕だけ平凡で歩み続ける
もうこれ以上ネタは無いんだからねっ!?
ここはテンプレ主人公達が集まる村。
過剰戦力とオーバーテクノロジーの村。
そんなテンプレ主人公みたいな人に囲まれて日常を過ごす平凡な僕。
……ここはそんな村だった。
そう、もう過去形なんだ。
村の雑貨屋に不老不死の薬が普通に置いてあっても。
どんなチートな回復魔法があっても。
作品としての寿命があるんだ。
完結した人達はいい。
ほとんどの人達が止まったまま永遠の時を過ごしている。
情熱やネタが尽きて。
やる気や時間が無くなって。
「やあボン、久しぶりだな。」
「TSさん…久しぶりですね。」
ああ、何故。
あんなに楽しかったのに。一緒に笑ったのに。
情熱もやる気も時間もあったはずなのに。
からかわれて、騒動に巻き込まれて、凡人の僕でも主人公の一人じゃないかと思わせてくれたこの人が。
「今度は四巻の発売ですか」
「おいおい、そんな冷たいこと言うなよ。
久々なのに寂しいじゃないか。」
少しいじわるだったその笑顔が作り物みたいで。
気だるげに立っていたその姿がポスターのようで。
共に歩いてた場所に広くて深い溝が出来たようで。
あんなに毎日が楽しかったのに、今では撒き餌を巻かれているようで。
「また三日ほどしたらしばらくお休みですか?」
「…嫌なことを言うなよ。わっちがいなくて夜が寂しかったんかえ?」
「いや、久々過ぎてキャラがブレブレだよTSさん!
今シリアスなんですけど!?」
「しょうがないじゃろ、この作者にシリアスとかメタ禁止とか出来るわけないからのう。」
くっそ、今度はのじゃロリのつもりかよ!
どうせ面白いとか思った作品がことごとく書籍化して更新しなくなっちゃった事に拗ねてるだけの話なのに!
こんなにメタネタ多くなったら神様とかルビ振っちゃうタイプの自己主張が激しい痛い人だってバレちゃうじゃないか!
「ボン、諸行無常だよ。
1000話を超える人も段々卒業して、今残ってるのは劣化コピーしたようなテンプレ主人公ばかりじゃないか。」
「いや!ちょ!そんな叩かれる発言やめて!?
と言うかそれがテンプレ主人公ってやつじゃないの!?」
「どうせ情景描写もまともに出来な「わーわー!もういい!黙れ!」」
動く人が少なくなり、ひっそりと静かに苔むしていくこの村で。
まるで包み込むように囲む山の緑は少し寂しそうで。
そのすべてを柔らかく照らす太陽は空と共にとてもとても高くて。
その空より高く響いていく僕らの笑い声はとても楽しげで。
これくらい描写しとけばいいかなとか思う作者は腹黒で。
僕は明日も歩き続け「え!?何だって!?」
「「キレイに終わらせろ難聴系!」」
思わず全力でぶん殴る僕とTSさん。
「な~んだ~って~………」
こうして締まらない物語はゆるゆると続いていくんだろう。
昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいたって始まりが多分最古のテンプレだと思う。