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交渉

「しかし、あなたがただって、町内会などというものを組織して、嫌々ながらみんなで公園の掃除などしてるじゃあないですか?相互扶助。同じようなものですよ」


   は、事前に調査したことを交渉の切り札として、一枚だした。できるなら、双方が納得して結論をだしたい。そして、こちらもきちんと調査しているのだと、相手に知らせることで、歩み寄りを誘う。手間をかけるのは  の美学だ。結論は同じであっても。会場のどよめきに、切り札の効果を確信した。

 国連の総会ホールは、どよめいた。<CHONAIKAI>とはなんだ?イヤホンを通じて母国語に自動通訳されているのだが、時に意味がわからない言葉が混じる。日本代表は、他国の代表とは違う意味で、混乱した。町内会?

 存在は以前から認知されていた。未開で野蛮だからと、無視されていた。いまだに恥ずかしげもなく排泄行為を続けている生き物たちだ。しかし、清掃中にオルゴールを拾ったと、ガラクタ蒐集癖のある政治家の手に渡ってから、状況が動き出した。実物の獣くささを愛した政治家は、交流を望むのであればと、組合の一員にしてやればいいじゃないか、と言い出したのだ。生物愛護団体からのクレームもあったが、調査団からの肯定(好意)的な調査結果を受けて、正式に  が派遣されることとなった。調査員の資料にあった、資源に温泉街のパンフレットがあり、  は温泉マークにノスタルジーを感じた。

 当初、交渉の相手は鯨だった。オルゴールでは、知性を感じさせられたが、交渉時に彼らは白痴を装い、無言を貫いた。そこで、人類にコンタクトをとったところ、快く交渉の場を設けてくれた。


「この地に訪れる組合員を受けいれていただくことと、区内のデブリの掃除です。もちろん、清掃員が排泄をするのは、理屈に合わないので、ちょっと肉体改造していただくことになりますが」


 混乱を極めた。国境線を消しゴムで消してみたり、マネキンにすね毛を生やさせたり、電子マネーを文字化けさせたり、価値観の崩壊は、成熟した社会を築き上げてしまっていた人類には酷だった。


 人類は滅んだ。

 生き残ったのは、清掃員として改造された人類ではない何かだった。

 人類を滅ぼしたのは、昔、恐竜と呼ばれていた何かで、

 それが恐竜が滅亡した理由と同じだったことを知るモノはいない。



 そして、鯨は変わらず愛の歌を歌っている。

オットセイ主人曰く:段落に隙間を作って物語を飛躍させてみた。小説世界では、人類を滅亡させることがいとも容易いから、楽チンである。

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