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psycho〜親愛なる君へ〜  作者: 山居中次
26/45

リビング

「今日は、一段と遅いじゃない」


 家に帰ると、開口一番にユッコがそう言った。帰りが遅くなった事に対して、ユッコに起こってる様子は無く、「部活?」と続けざまにいつも通り、学校での出来事を聞きたがった。


 テーブルの上に、ホットプレートが出ていて、ちょうど、焼肉が、ひと段落ついた様子で、程よく汚れている。その側で、まだ、焼かれていない生肉と、野菜が出番を待っていた。その様子から、彼の来訪に俺は気がつく。


「ちょっと寄り道」


「女の子とデートだよな」


 リビングで、テレビを見ていた岡田さんが、機嫌よくそう茶化した。


 岡田淳二さんは、親父とユッコの学生時代からの親友で、俺が子供の頃から、よく遊びに来ていた、気のいいオッサンだ。だから、俺は、物心付いたばかりの頃、彼を親戚のオジサンだと勘違いしていた。岡田さんは親父が死んだ今でも、こうして、親父の月命日になると、家に遊びに来てくれる。


「当たらずとも、遠からずってとこかな」


 俺がそう言うと、ユッコが嬉しそうに食いついた。


「えっ、なになに、本当にデート?誰と?みのりん?サイコちゃん?」


「サイコとTOM書店側のガロに寄った」


「サイコちゃんかー。私はみのりんが好きだったけど、ミステリアスなサイコちゃんに惹かれたかー」


 ユッコがそう言って、勝ってに俺の青春物語を頭の中で、創作して喜ぶと、岡田さんも、「なになに?」と首を突っ込んで来た。


「みのりんと、サイコちゃん。タダシの彼女候補。天真爛漫な、みのりんと、ミステリアスで、影のあるサイコちゃんの間で、迷ってたんだよね」


 ユッコがニヤニヤしながら、そう岡田さんに説明する。


「おっ、一丁前にモテるなお前。まあ、お前の親父も、若い時ジャニーズみたいで、かっこよかったんだぜ」


 そう言って、岡田さんは嬉しそうに、俺に、絡みつくと、「まあ、あれだな、影のある女の子って色っぽいよな」と耳元で囁いた。


 岡田さんの囁きに、俺もはにかむ。


 ホットプレートを挟んで、俺と岡田さんは向かい合って座った。


「まあ、食え食え、若いんだから、たらふく食え」


 そう言って、岡田さんは肉を焼いてくれた。俺は、それを言われるがままに箸でついばんだ。


「可愛いのか?その彼女」


 肉を焼きながら、岡田さんは、俺に質問をする。


「一重のチビっすよ。それに、彼女とかじゃ無いですし」


 一重と言うより、奥二重だが、それを言うと、サイコの顔を間近で見た事がバレてしまうので、一重と言う事にした。


「チビってどのぐらいだよ?」


「150あるか、ないかですかね?」


 サイコの体型を思い出して言ってみた。俺と、頭1つと半分、彼女は背が低く、身体もどこかきゃしゃだ。


「可愛いじゃん。チッコくて」


「サイコちゃんて一重美人なんだ」


 ユッコが話しに加わる。


「ユッコ知らないの?さっきから、妙に詳しそうに話すから、てっきり会った事があるのかと思ったよ」


「うん、いつも、タダシから話しだけ聴いて覚えたんだ。だから、まだ、会った事無い」


 岡田さんが、呆れた顔になって、「なんだそれ」とぼやいた。


「じゃあ、なんで美人って解るんだよ。美人って言ったら、普通、パッチリ二重じゃん」


 岡田さんがぼやきついでにそう言う。


「あら、一重でも、綺麗な娘いっぱいいるじゃない。それに、一重の娘って笑うと目がひときわ細くなるから、笑顔がすごく可愛い娘が多いよ」


 ユッコのそんな返答に彼は「ああ、解る解る」と頷いた。


「ギャップだよな。眼付きがキツくて、一見近寄り難い感じの娘がさ、何気なく笑うとメチャンコ可愛いんだよな」


「そうそう。ほら、弓道部だった宮崎さん。あの娘もそうだった。眼が、キリッとしててさ、試合の時なんか、殺気立ってて、怖いんだけど、普段笑うとすっごく可愛いかった」


「宮崎優子か。懐かしいな。義之ヨッシーも、宮崎優子の事好きだったんだぜ」


「えっ、初耳」


「でも、一発で振られたけどな」


「あははは」


「でも、本命は、やっぱりユッコだった。なんか、あの時、「振られてスッキリした」って言ってたから。その後ユッコと付き合って、このバカが」


 そう言って、岡田さんが、仏壇の親父を指さす。


 ユッコが「ヤダ」と言って赤くなった。


 ユッコて岡田さんは、そうやってサイコの話から、いつの間にか派生した、2人の(親父も入れた3人)青春の思い出話に花を咲かせて、あれやこれやと盛り上がり始めた。


 2人が一通り、思い出を語り尽くした所で、俺はあの事をユッコに報告した。


「ユッコ、夏祭りの時なんだけどさ、みのりんとサイコがら家に来たがってるんだけど、いいかな?」


「えっ、みのりんとサイコちゃんが来るの?」


 そう言って、ユッコは、眼を輝かせると、「やっと逢えるんだ」と言った。


「あと、小林君も」


「そう、じゃあ、来たら何が食べたいか、聞いて来て、母さん張り切るから」


 そう言って、ユッコは嬉しそうにガッツポーズをした。


「みのりん、ってどんな娘だよ?」


 興味あり気にそう聞く岡田さんに「サイコと真逆かな」と前置きをして、彼にみのりんの性格や、出会ってから、俺が目撃した彼女の行動(明〇ブルガリアヨーグルト事件や、コバの机を隣のクラスから強奪、コバ、本人を強制連行して来た事など)を語って見せると、岡田さんは腹を抱えて「馬鹿だーでも、みのりん最高」と言いながら、笑い転げた。


「でしょう。みのりん、いい娘なのよ」


 みのりん押しである事をユッコがそうアピールする。


「確かに迷うよな。そこまで、キャラ違うと」


 岡田さんも、ユッコと同じように、物語を楽しんでいた。

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