象徴詩『真昼輪コルヌコピア野営』
裏返した夕暮れに失速する人殺し
コルヌコピアへの野営
死咳を溜めた貝殻の螺旋
中の奥まで同心円の土砦
金泥沈む色の貼り紙
耳を澄まし合わせる波の紫
選民された弱々しいフェイ
刻んだ腕と脚は銀の羽毛
口腔と足跡を埋め尽くす征服象徴
被る籠入りネフィリムの皮
割れたジキタリス壜
生っ白い底を這うエキノ香
十三櫓を摘む指の描く儀典
樹木化石と黒エナメルの法典
サマイト織りで仕切った多次元
サフラン色の醜い子供が一個ずつ
イェラヒア・フェア・コネクトーム
背後に取り憑いた精神戦争
表皮暴力ヘルンフート効果
脈打つ血の通わぬ鍛冶の打つ
遠大な剣を振るうことに力を貸す
利子は永世眷族契約
襞飾りの異郷を
立体視させる天使目
這い出て旅立つ夏の小屋
佯狂溢れる奇異の小屋
酷暑の真昼輪を出る光
蛇口から膏泡が零れて
桎梏辺縁と偏倚見本の活動体
ブツブツ呟く肋膜の蕾が萎れ咲き
捲れた夜明けに狂奔するイェラヒア
コルヌコピアでの野営