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8.小人に癒やされる

職業、村長のじじぃからの十時間程度の拘束から、やっとの事で解放された俺。


あのじじぃ、マジで何しに来たんだよ。

ここって相談窓口的なのじゃなかったの?

さっきのじじぃ、自分の昔話と村自慢をしゃべるだけしゃべったら帰ったんだけど……。


ここは老人会じゃねぇええええ!

楽しくお茶しましょって場所じゃねぇんだよ!

てか、誰もPCから現れなくていいんだよ!


そうだ、すっかり忘れかけていたが何受け入れ体制万全になってんだよ俺。

本来ならPCから見ず知らずのファンタジーな奴らが出てくること自体ありえないじゃないか。

ここ最近は、ぶっ飛んだ奴が多かったせいか普通な事を考える前に勢いで喋ってたしな。

じじぃに関しては、後半ちょっと寝てた気がする。

まあ、お茶は美味しかったけど。


今回、唯一の救いとしては村長が


「今日は楽しいお茶会じゃったわ。また、お茶をご馳走してやろう。ほっほっほっ」


と言い去っていった後のPCが正常に起動したままだった事。


マジでデータ飛んでなくてよかった。

ゲームも後半だったし、セーブできてなかったし。

前回の勇者(バカ)の時は何がいけなかったんだ?

本人が帰るって言ってないのに、無理矢理帰還させたからか?

いや、そもそも奴が俺の目の前にさえ現れなければ何事も無かったんだよ。

そうだ、そういう事にしよう。


と、俺は責任転嫁をしたところで、じじぃの去り際の台詞に問題があることに気がついた。


「今日は楽しいお茶会じゃったわ。また、お茶をご馳走してやろう。ほっほっほっ」


ん?また?

……おい、それはこのじじぃがまたPCから来るって事か?

否、そんな事はあってはならない。

また何時間も興味のない話を聞かされると思うと辛い。

お茶は期待してるけど。

じじぃの事だから今回話した内容は無きものにされてて、同じ話を聞かされるってパターンも考えられる。

お茶は期待してるけど。

……お茶だけ、そっと置いて帰ってくれないだろうか。

お茶は期待してるから。


そして、また魔王の時のようにならない罠はないか考えていると複数から足をつつかれた。


「な、なんだ!?」


「「「お菓子ちょーだい」」」


「……。」


俺の目の前に小人が現れた。

お目目うるうるさせながら、お菓子をねだっている。

俺、どうする?


「この間のお菓子美味しかった!」


「また、欲しい!」


「甘いのも欲しい!」


「……よし、持ってきてやるから待ってろ。」


「「「わーーーい!」」」


俺は小人のうるうるお目目に負けた。

頭のなかでコマンドが現れ


▶素直にお菓子をあげる

 知らないふりをする

 お菓子をあげない


という選択肢ができあがったが、矢印は一歩たりとも動く事はなく『素直にお菓子をあげる』という結論にいたった。


だって、あんなうるうるお目目で見つめられたらあげちゃうでしょ!!

しかも、それが3つもいるんだよ!?

あげるしかないでしょ!


と小人にやられっぱなしの俺が小人の目の前に差し出したお菓子は


「コンソメのポテチと角砂糖でいいか?」


「これ前のと違うの?」


「これどっちか甘いやつ?」


「ぼく美味しかったら何でもいい!」


こいつら天使ですか!?

今まで、このPCから来た人物でこんなにも癒される会話はあっただろうか?

可愛い。

小さくて可愛いってのもあるけど、しゃべってる会話がもの凄く可愛い。

マジ天使。


「前のは塩味でまた違う味だぞ。んで、こっちの白い四角いのが角砂糖っていって甘いやつ。」


「美味しいといいね!」


「甘いのもくれた!」


「お兄ちゃんありがとう!」


可愛い。

こんな子供が将来欲しい。

いや、こんな子だったら嬉しい。

むしろ自分の子供は別に要らないから甥っ子にこんな子が欲しい。

結婚願望なんてないからな。

だから兄貴よ、是非とも可愛い甥っ子に会わせてくれ。

まあ、兄貴はまだ結婚はおろか彼女すら居ないけど。


「お兄ちゃん、またお菓子くれる?」


「おう。」


「前のしおあじ?もまたちょーだいね!」


「用意しといてやるよ。」


「んじゃ、またねー!!」


「おう!」


そういうと、小人達は俺があげたポテチのコンソメ味と角砂糖を一生懸命運びながらPC画面へとお帰りになった。


何かあのじじぃや勇者(バカ)の後とだけあって癒やされたなぁ……。


って、おい!

癒されてる場合じゃねぇええええ!

言ったそばから受け入れてるじゃねーか!

やっぱり、このPCから出てきたら何かしらかかる罠を考えないとな……。

ヤバいもん。

でも、魔王とだいぶ前に来た王子と姫とさっきの小人とついでに妖精はなぁ……

あと、じじぃは年齢的に危ないから止めとかないとなぁ……

って、これじゃあ対勇者(バカ)用じゃねーか。


俺、意外とお人好しとかなのか?


と、自己分析が始まり罠の事は、頭の片隅へと消えていったのだった。


続く……


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