6.勇者とは思えないが勇者登場
この間、ガムテープを貼ったら魔王が引っかかるという恐ろしい出来事が起こったので、自分のPCを犠牲にしてまで罠をはる事をあきらめ始めている。
そして俺は、魔王が来てから5日程経ち、現実離れした騒がしい窓口の事は頭の片隅へと消えていきネトゲにアニメと励んでいた。
やはりお決まりは、お決まりで忘れた頃にやってくる。
「相談に来ました!よろしくお願いします!」
「……。」
ネトゲをやっていたら、顔がいい青年が元気よく現れた。
しかも、PC画面から出てこようとするので普段ならありえない速度と力で画面の中へと、頭を鷲掴みにして押し込む。
「ちょ、い、痛い!痛い痛い痛い!」
「うるせぇええええ!黙って帰りやがれ!!」
何こいつ。
めっちゃ力強いんだけど!?
それとも俺が引きこもり何かしてるから、俺が弱すぎるのか?
いや、男としてここは負けれん。
何故なら、もうすぐラスボス前だからセーブしようとしていたのに出来てない状況。
こいつのせいで、データとんでたらどうしてくれるんだ!?
「マジで帰れ!!俺はラスボス戦やるんだー!!」
「俺も負けれん!帰らん、入れろ!!なんなら、俺がラスボスなんて倒してやる!」
「お前みたいな顔だけが取り柄みたいな奴に簡単に倒されてたまるか!!」
「大丈夫だ!俺は勇者だ!!」
「え?」
「んじゃ、おじゃましまーす!」
「あーーーー!!!」
しまった……。
この野郎、勇者とか言うからびっくりしちまったじゃねーか。
しかも、さらっと入られた……。
もう、なんなの……。
ファンタジーな奴らしかここには来ないの?
いや、誰もこなくていいんだけど来てしまったものは仕方がない。
しゃーなし、聞いてやろう。
なんて心が広いんだろ、俺。
「おい、顔だけが取り柄」
「ん?それはオレのことを言ってるのか?」
「当たり前だろ。お前みたいな顔だけが取り柄みたいな奴は、滅びればいいと思うと俺は常々思う。」
「何故、オレは初対面でこんなに言われないといけないんだ?」
「あ、悪い。つい心の声が。」
「……ま、まあいい。オレは勇者だ。器の大きいオレだから許してやる。」
「……。」
何か上からなのが凄い腹立つ。
勇者って、もっとこう
『皆、平等に愛してるよ』
的な雰囲気じゃないの?
それともヤサグレてるの?不良系か?
こいつホントに勇者なのか、めっちゃ疑わしい。
「で、オレの相談なのだが是非、オレのパーティーに入って欲しい。今、オレの他に魔法使いと武闘家を生業としている仲間がいる。検討してみてはくれないか?」
「断る」
「何故だ!こんなにも有能なパーティーメンバーがいるというのに!しかも、俺はなetc」
あー、何かペラペラ語りだした。
そんな事は、聞いてない。
お前の生い立ちなんて俺はこれっぽっちも興味がない。
お前の生い立ちより、お前の後ろにあるPC画面が真っ暗でデータが飛んだのかお前が出てきた事によって一時的に暗いのか……
データぶっ飛んでたらマジで泣くぞ!
幼児にも負けず劣らずな勢いで泣くぞ!
「聞いてるのか?」
「聞いてねーよ。てか、やんねーよ。」
「なんだと!?こんなにも俺が頼んでいるのに!!」
「……。」
うぜぇぇぇえええええ!!
何こいつ!?本当に勇者か!?
俺、結構色んなRPG系のゲームとかファンタジー系アニメとか見たけど、こんな勇者見たことねぇ!!
現実はこんなもんだっていうのか?
おい、確りしろ俺。
何故、この上記を現実だと思い込んでるんだ。
きっとこれは、夢だ。
そうだ、ゲームのセーブをしようとしていた所までが現実でそこから先は夢だ。
よし、今なら勇者でもなんでも素手で倒せる気がする。
「おい。」
「お!やっと俺の話を聞く気になったか!!」
「一発殴らせろ。そして、お帰り願おうか。」
「おい、なにを」
「問答無用じゃーーー!!!」
「何か戦闘能力数値上がってないか!?」
「知るかーー!!さっさと帰りやがれーー!!」
「き、今日のところは失礼するがちゃんと考えておいてくれよ!?」
「うるせぇええええ!!」
何とか勇者を強制送還させ、冷静にあたりを見渡すと腕がもげたフィギュアと画面が真っ暗なままなPC だけがあった……。
あいつ、次きたらボッコボコのギッタギタのメッキメキにしばき倒す。
と、俺はどこぞやの餓鬼大将の様になろうと決意した。
続く……




