4.小さい来客者
ここまでで、三人も来客者がいた。
それもぶっ飛んだ設定のやつばっかり。
……よし、次に誰か来ようもんなら追い返してやろう。
そうだな、金属バットとかでも持ってれば……
あの自称魔王のオッサンには通用しないかも……。
どうしたものか……。
「ねぇ、ここ高くて怖いよ」
「文句言うなよ」
「あ、これ食べれるかな?」
「あっちにも食べれるものあるか見てくるぅ」
「あ、僕も行くよ」
……何か聞こえるんだけど?
でも、凄い静かなんだよな。
PCから誰か出てきた様子もな……
こんなフィギア俺持ってたっけ?
「にしても、よく出来たフィギアだな」
「た、食べないで!!」
「しゃ、しゃべった!?」
な、何なんだ!?
ふぃ、フィギアじゃないのか?
あ、電池が入っててしゃべるとか?
「ちょっとぉ、こっそり持って帰るっていってなかったぁ?」
っ!?
と、飛んでる!?
何か可愛らしい女の子みたいな人形に羽生えたみたいなのが飛んでる……。
もしかして
「お前らこっから出てきた?」
頼む一言『違う』と言ってくれ。
「そーだよぉ?」
あ、夢落ちにはしてくれないんだな。
また、PCから出てきたか……。
にしても
「ちっちゃいな……」
「ちっちゃい言うな!!」
「「そうだそうだ!」」
「実際、小人なんだからちっちゃいでいいじゃない」
小人だと!?
ってことは
「飛んでるのは妖精?」
「そうよぉ」
あー、なんて事だ。
どんどんファンタジーな世界に巻き込まれている。
というより
「お前ら相談とかは無いわけ?」
「ない。食べ物をくれ。」
あ、そうですか。
相談じゃなくてたかりに来たと。
「小人と妖精って何食べるの?」
「今日はコレが欲しいの」
と、小人が目の前にある俺のポテチを指さしている。
「袋ごと持ってっていいよ。」
「わーい」
「優しい人で良かったね!」
「んじゃ、皆で出口まで運ぶわよ!」
何か微笑ましい。
小人と妖精が協力しあって、ポテチの袋をPCまで運んでいる。
今まで来た奴らに比べれば何て微笑ましい。
お菓子あげれば帰るんだもの。
「お兄さん、ありがとう!大事に食べるね!」
「おう。」
「ばいばーい」
「美味しかったら、また来るね!」
皆、好き好きに言ってPC画面へと消えてった。
騒がしかったがお菓子あげるだけでいいなら楽なもんだ……って、おい!
しっかりしろ俺!!
何、受け入れかけてるんだ!
おかしいからな!小人と妖精って何だ!?
ファンタジーすぎるだろ!?
受け入るな俺、もうあの画面から何も出てくるな。
そう願い俺のPCのモニターにはガムテープが貼られた。
続く……




