2.病弱王子現る
あの自称魔王のオッサンが現れたと思われる日から一日たった。
今のところ、あのオッサンが現れる感じはないが《PC窓口ご登録完了のお知らせ》のメールは寝て起きても俺のPCにきっちり残っていた。
てか、PC窓口って何?
俺、全く解ってないんだけど……。
相談とか書いてたから相談窓口的なことなのか?
にしても、そんなの誰が来るんだよ。
「あの、すいません」
やっぱり、俺のが頭おかしいのか?
「あのぉ」
誰かに呼ばれてる気が……
「すいません」
肩に重みが……
恐る恐るふりかえると……
「すいません、僕の代わりに王子になってはくれませんか?」
と訳のわからない事を言う爽やかな美少年が……
って
「どっから入ってきた!?」
「あそこから」
爽やかな美少年が指差す方を見てみれば俺のPC。
またかよ!!
てか、ホントに来たんだけど!?
「で、あ、あなたは?」
「僕は王子。理由があって貴方に僕の代わりに王子になってもらうため、ここまでやって来ました」
「……」
あの、そんな爽やかな笑顔で言われても無理だから。
お前も自称魔王のオッサンと同じで特殊設定なのな。
てか、PCから出てきてる時点で特殊設定なんだけど!?
それを半分受け入れモードな自分も怖いよね!!
「実は僕ゴホッ……婚約者のゴホッゲホッ……姫がいゲホッ……い、いるんですが、僕ゴホッゲホッゴホッ……今のとこゲホッ」
「一旦落ち着け!!聞き取れねーよ!!」
なんなのこいつ?
最初の方そんな咳してなかったじゃねーか。
ここに来ての病弱はかなげ王子キャラでいこうってか?
「すいません。僕、病気持ちでゲホッゴホッゴホッ……」
え?マジで病弱キャラ?
「そこで、姫を悲しませない為にも僕の代わりに王子となり姫を幸せにしてはくれませんか?」
「……」
何か凄えいい奴なんだろうな……。
けど、俺の答えは
「こ「ゲッホゲホッ……あ、何か言いました?」
「……」
なんなのこいつ!?
わざとか!?
わざとなのか!?
「僕の寿命は後一ヶ月なんゲホッゲホッ……」
えぇぇぇええええええ!!??
そんな深刻だったの!?
昨日の自称魔王のオッサンより深刻だろ!
絶対こっちのが深刻だろ!
「だから、僕の代わりに王子にゲッホゲホッゴホッ……」
「だ、大丈夫か?」
「ありがとう、大丈夫だ」
「そ、そう?」
って、全然大丈夫そうじゃないんだけど?
明らかに顔が青くなってってるよね?
目の前で死んだりしないよね!?
「王子になってくれる気になったか?」
いや、マジでいい奴なんだろうけど……。
でも、俺の答えは
「こ「また、後日返事を聞きにきますので今日はゲホッゲホッ……しつれゲホッゴホッゴホッしまゴホッゲホッ……」
病弱王子は咳と共に俺のPCの画面へと消えてった……。
って、後日って何!?
また、こいつも自称魔王のオッサンと同じでまた来る感じなの!?
俺の発言無視!?
結局、あいつの咳とかで全部かき消されたけど……。
マジかよ……。
てか、なんで魔王後継者か王子後継者みたいになってんだよ!
どっちもやりたくねーよ!
てか、これやっぱり現実なの?
……よ、よし。
ほっぺたつねるぞ……
おもいっきりだぞ……
……いってぇぇえええええ!!!
マジかよ!!
これ現実なの!?
え?
何PC窓口って異世界とつながってる的な?
おかしくね?
てか、これ嫌でも受け入れないといけない感じ?
「嫌だ!こんな現実は嫌だ!」
そんな事を叫んでもPC窓口は閉鎖しないのであった。
続く……




