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15.魔王の息子

俺がPC窓口に終止符を打つために悩みだし早3日。

誰も訪ねてくる事もなく、普通な日々が過ぎていった。

もしかして、ゲームみたいにクエストクリアして無くても終ったとか思ったが違ったらしい。

この窓口はサブクエストじゃなかったらしい。


今現在、俺の目の前には真っ黒な衣装を身にまとったイケメンがいる。


「どちら様でしょうか?」


「ぼ、お、おれは魔王の息子です。」


「そうでしたか。」


ほー。

これが魔王の息子か。

……凄いおとなしそうなんですけど!?

てか、魔王の息子なのにすっげぇ爽やかイケメンなんだけど!?

あの厳つい魔王と美人な魔女の子ですか!?

確実に顔面がお母さん要素しか感じられないのに、怪しい雰囲気ないから、ただの人の良さそうなお兄さんだよ!?


「あの今日は、大変恐縮なのですがご相談がありまして。」


「あ、はい。」


しかも、丁寧!

あの悪魔くらい丁寧!!

本当にあの両親から産まれてきたのか?


「ぼ、ぼく……じゃなくて、おれの想い人の話を聞いて欲しいんです。」


ん?

一人称どっちなの?

ぼくなの?おれなの?

たぶん、普段ぼくだよなー。

まあ、何でもいいけど。

てか、想い人って悪魔情報だと盗撮までしてるっていうやつだよな?

んで、同性……。

爽やかイケメンの想い人(同性)……。

何か気になるな、凄い興味本位だけど。


「ぼ、ぼ、お、おれ!」


「いや、そんなに迷うならぼくでしゃべれよ!」


「でも、ぼくだと魔王の息子っぽくないから直しなさいって。」


「誰が言ってんだよ。」


「お父様が……。」


あー……。

あのオッサンが時期魔王がこれだから焦って他に探し始めたと……。

まあ、見た目の雰囲気といい魔王っぽくは無いもんな。

でも


「ここなら注意される事もないし、ぼくでいーんじゃないの?」


「あ、ありがとう!」


うっわ。

魔王の息子とは思えないくらい、純粋なキラキラお目目してるよ。


「で、ぼくの想い人なんだけど……。」


「うん。」


「お父様には悪いなって思ってるんだけど、勇者の仲間の人なんだ。」


はい、悪魔さん正解。

魔王、ざんねーん。


「好きになっちゃダメって思ってたんだけど、見た目がどストライクすぎて!」


「……。」


え?そんなにいい男なの?

いきなり声量あがったんだけど。

俺、すっげぇびっくりした。


「もう、見た目からどストライクなんですよね!彼の職業は武闘家で、その鍛え上げられた体!袖から覗く上腕二頭筋なんか素晴らしいんです!そして、この間ちらっと見てしまったのですが綺麗に割れた腹筋!!もう、鼻血ものでした!」


「……。」


もう、俺、絶句なんだけど……。

てか、かっこいいってガチムチ系なの?

魔王の息子はガチムチ系が好みなの?


「でも、見た目だけじゃ無いんですよ!!中身も凄く良い方で……。無口な方の様なのですが、仲間の方をさり気なくホローされてるんですよ。他にも動物とじゃれあってる姿は可愛らしくて!あー、思い出しただけでも鼻血出そうです……。」


え?凄い語られるんですけど?

てか、この人相談に来たんですよね?


「あ、すみません。彼の素晴らしさを知って欲しくてほんの一部なんですけど、お話させてもらいました。」


これで一部!?

怖いんですけど!?

あ、でも盗撮するくらいだからそうか……。


「ここからが相談なんですけど、お父様を悲しませずに彼の事を思い続けるには、どうしたらいいですか?」


うわぁぁぁああああ!!

すげぇ難題きたよ!?

あのオッサンを悲しませずに、目の前のイケメンに幸せを与える……。

いや、無理あるだろ!!

……ん?思い続ける?


「え?付き合いたいとかいう相談じゃないの?」


「そんな!彼には、ぼくなんかより素晴らしいパートナーと出逢えるはずです!だから、ぼくは陰から彼の事を見ているだけでいいのです。遅かれ早かれ、ぼくは第五十代目魔王になるだろうし。もし、ぼくと彼が敵対する事になりたおされようものなら、本望です!!」


いや、もう敵対関係なんですけど?

てか、オッサン心配してたけど、こいつちゃんと継ぐ気あるじゃん。

何で俺の所に後継ぎ頼みに来たんだよ……。

てか、思い続けるだけでいいなら


「今のままで何の問題もないじゃねーかよ。」


「え?」


「だって、今もこっそり見て盗撮してるだけだろ?」


「そうですね……って、何で写真の事知ってるんですか!?」


あ、しまった……。


「あ、いやー、そのー……あは、あはは、あははは……」


「まさか!お父様にもバレてるんじゃ!?」


「っ!?ち、違う!なんかお世話役みたいな悪魔から聞いたんだよ!!」


ごめん、悪魔!許せ!

これでこいつがオッサンに聞いてみて知らんで良かったことまで知って、余計可哀想になるのも見てられんねーんだよ!


「あ、あいつか……。ならいいか。」


いいのかよ!


「まあ、そこまで知っていて今の答えなら、ぼくは変わらなくていいってことですか?」


「うん。ただし、魔王にだけはバラすな。んで、相手の武闘家にも気づかれるな。まじで、こっそりやれ。じゃないと、色々とややこしくなる。」


「わかりました!ありがとうございます!早速、バレないように彼の事を眺めてきます!さよなら!」


礼と別に聞きたくもなかった予定を言って帰っていった。

もちろん、PC画面へと。


はぁ……。

ただの爽やかイケメンかと思ったら中身がとんでもなかったな。

まあでも、父親思いの良い奴だな……。

ちゃんと未来の事も考えてるし。

それで、恋愛にチャレンジできないのもかわいそ……

って、早速流されてる!!

馬鹿!本当に俺の馬鹿!!

この件は、解決したんだから思い出すな。

軽く魔王の後継ぎ問題も解決してるしな!


てか、あいつ眺めるって直で行ってないよな?

魔王とかって水晶球的なので見てるイメージあるし。

草むらに隠れて盗撮とか見つかる可能性高い、古典的なやつやってないよな?

……何か怖くなってきたんだけど!?


妙な不安にかられ、この夜はなかなか寝付けないのであった。



続く……


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