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創世の龍が愛した神父と導かれし者の物語  作者: ナギノセン
移ろいの日々 ローテンベルグ編
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第87話 -ゲール到着-

20170827 見直しました。

 旅は太陽がある間はひたすら馬を走らせ、時折小休止を入れるだけであった。

 夜も簡素な携帯食料で食事を済ませると見張り番を決め、早々に就寝をして体力回復に努めたので、冒険者達の野営のように酒が入って騒ぐと言うこともなかった。

 西回りの街道を選んだことで村近くの野営が可能になり、魔物や夜盗の襲撃の可能性が格段に減ったことで安全な旅になったはとても有難かった。

 普段は軽口の応酬をする彼らが、食事と小休止の時以外はほとんど無駄なおしゃべりをしなかったことにも、リオンは意外な感に包まれた。

 これが軍隊と冒険者や商人との違いで、冒険者達の方が賑やかで旅を楽しんでいるのかもしれないとリオンは思ったのだが、単なる勘違いであることは後ほど判明する。

 平穏に歩みを進めていた彼らに、この旅程で最大の難所となるモルドビ山を越えていた四日目の昼前に事件が起きた。


 モルドビ山は低い山ではあったが、緩慢な上り下りを頻繁に繰り返すため決して楽な道ではない。

 そのため山の前後には小さいながらも隊商を目当てにした宿や店の集落ができており、リオンらも昨日はその近辺に野営を張った。

 翌朝、早々に食事を済ませると、時折馬から下りて歩くなどしてようやく峠に差し掛かった辺りで、サンドとコンラードが二人揃って腹痛や下痢を訴えたのだ。

 二人は携帯食料を食べてからすぐに気分が悪くなっていたが、モルドビ山を今日中に越えるために出発を遅らせるわけにはいかず、我慢をしていたのであった。

 しかし昼前にはとうとう我慢が出来なくなってしまった。

 これを聞いたヴォルトは、それこそ烈火の如く怒った。

 病人でなければ二人とも間違いなく張り倒されていただろう。

 リオンは怒れる大男を何とか宥めると、二人に腹痛と下痢を和らげる薬草を飲ませ、暫く様子を見ることにした。

 少し日が傾き始めてヴォルトが悩みながらもこのまま山中で野営をすることを考え始めた頃、サンドとコンラードが少しだが回復したと言い張り、制止するヴォルトを無視して馬に乗り歩を進めた。

 彼らは幾度となくこの道筋を往来しており、今までにモルドビ山中で野営が必要になったことがなかったので相応の準備をほとんどしていなかった。

 そのため二人が無理をして今日中に山を下りようとしていることが分かってはいたがどうすることもできず、ヴォルトも苛立ちながら馬を進めたのだった。

 また休んでいる最中に、リオンが彼らの携帯食料を確認すると大部分にカビが生えていて、カビの無い物を数えると後一日分程しかなかったことも下山を急がせた原因であった。

 同じものを食べてヴォルトだけが無事だったのは、携帯食料に問題がなかったのか、彼の胃袋が頑強だったのか、多分後者だろうと皆が思った。

 サンドとコンラードが無理をしたお陰で無事に山を越え、ゲールには予定されていた七日より二日も短い五日で到着することができた。


 ゲールは、セダンより小さな町にもかかわらず入口となる門は立派な木組みで衛兵の屯所もあることをリオンは不思議に思った。

「ヴォルト、ここはそう大きくない町だと思うのだけど、結構しっかりした造りをしているのはどうしてなのかな?」

「あー、必要だからだろうな」

 ヴォルトが答えられなかったことに苦笑いをしていると、コンラードがさりげなくフォローを入れた。

「それは、この町がマルナーダ港へ続く二つの街道の分岐点になっているからだよ」

「そうなんだ、ありがとうコンラード。ヴォルトもありがとう」

「どういたしまして」

「――ふんっ」

 何時の間にかヴォルトに頼ってしまい、知らない間に彼を困らせている。

 反省しなくてはとリオンは思った。


 リオンらは馬を進めると町の入口に居た衛兵に身分を明かし、屯所の場所を聞いて、その小さな建物に入った。

 建物の中では、二名の衛兵が机を挟んで話をしている最中だった。

「お話し中失礼します。ローテンベルグ衛兵隊のサンドです。人定依頼を受け参りました。こちらは同じくヴォルトとコンラード。そしてこちらが人定をする衛兵見習いのリオンです」

 サンドは、コーネルから交付された指令書を屯所内にいた二人のうち上役と思われる方へ手渡した。

 指令書を受け取った衛兵が、ヴォルトとコンラードを確認すると、彼らはリオンが騎乗許可証と思っていた物を揃って胸の前に掲げて見せたので、慌ててリオンも許可証を取り出した。

 どうやら衛兵の身分証も兼ねていたことをリオンは初めて知った。


「ゲール駐在衛兵分団長のエリクだ。任務ご苦労。指令書の予定より二日も早い到着だが、問題はないのだな?」

 エリクは、身の丈こそ高くはないが横幅は衛兵らしい筋肉の固まりのような体格をした誠実そうな中年の男で、軍務であれば予定より早くても遅くても懲罰対象になるので心配をしてくれてのことだった。

いつも拙作をお読み頂きましてありがとうございます。

断捨離を頑張ると状況説明に苦労しました。

お陰でこんなに時間が掛かってしましまいた。

力量不足を痛感します(苦笑)

本日もよろしくお願いいたします。

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