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第17話 -出発-

20161217 改訂しました。

 翌朝、眠たい目をこすりながら荷物を背負い、集合場所の広場へと行くと、サーシャとクリシュナが仲良く話をしている。

 その側には、流星号とローテンベルグ家の紋が入った屋根付きの白い馬車、見送りに来たグレンが立っていた。

「おはようございます、グレン様、サーシャ、クリシュナさん。こら、流星、くすぐったいだろ」

 黒馬は、嬉しそうにリオンの顔を舐め回す。

 先日、蜂に刺された脚も問題なさそうだった。

「おはよう、リオン、よろしく頼むよ。流星号は本当に君が大好きなようだ。安心して任せられるよ」

「リオン、おはよう!」

「リ、リオンさん、おはようございます」

 サーシャとほぼ同時に挨拶を返したクリシュナを見ると、少し恥ずかしそうに目を逸らしたが、昨日とは違い元気そうな様子に彼も安堵を覚えた。

「グレン様、隊商の準備はどうですか?」

「さきほど責任者のヒューへ確認をしたら、あと少しで出発だと言っていたよ」

「わかりました。ミゼル様はもう馬車にお乗りですか?」

「ああ、陰になるところがいいと言ってね」

 少し困った様にグレンは答える。

「確かに、今日も暑くなりそうですね」

「そうだね。あまりに暑いと移動だけでも大変になる。隊商が一緒なので、あまり早足にはならないから大丈夫とは思うが、サーシャも、リオンも、クリシュナさんも気をつけて行っておいで」

「はい!!!」

 三人分の大きな返事にグレンは嬉しそう頷いた。


 その後、クリシュナが配置場所へと戻り、サーシャが馬車へ乗り込むのと入れ替わりで隊商から一人の男がやって来た。

 身長はリオンより少し高くすらっとした体型で、黒い髪にはターバンを巻き、切れ長の目は黒く鋭い。

 上質な布で織られ動きやすそうな白い服とズボンを着用しており、どことなく気品を醸し出している。

 彼はそれを隠すためか無理に着崩して上着の前をはだけたりしていたが、それはそれで似合っている。

 商人と言うよりは、富裕層の女性を相手にする客商売の方が似合っていそうな色男振りである。

「グレン様、そろそろ出発します。準備はよろしいですか?」

「ええ、大丈夫です。ああそうだ、ヒューには紹介がまだでしたね。彼が今回サーシャの護衛をお願いしたリオンです。リオン、こちらが、隊商の責任者のヒューです。どちらもサーシャをよろしく頼みます」

 ヒューは優男の見た目と違い、ローテンベルグだけでなく王都や他国でも商館を持つやり手で、グレンがセダンで注力する物資運搬の同志でもあった。


「よろしくな、リオン。俺が隊の責任者のヒューだ。グレン様には昔から何かとお世話になっている」

「初めまして、リオンです。こちらこそよろしくお願いします」

 二人の長身の男は穏やかに握手を交わした。

「リオン、ローテンベルグで困ったことがあったら、妻の家の者か、ヒューか、いずれにも相談をしてくれればいい。そう言うわけでヒュー、何かあったらお願いできますか?」

「グレン様のお頼みでは嫌と言えませんよ。リオン、何時でも相談してくれ。俺達商人は、人との繋がりをとても大切にする。その人との関係が利を生むと考えれば何かと便宜を図るし、そうでなければそれなりの対応にはなるがな。あまり気にせず頼ってくれ」

「おいおい、その様な厳しい言い方ではリオンが萎縮しているではないか。リオン、この者は口が悪いが、本当は気さくな情の厚い男だから安心して相談するといい。ヒューも頼みましたよ」

 リオンはヒューの飾らない言い方に少し面喰らったものの、嘘はなく信じられる印象を受けた。

「はい、グレン様、ご厚意ありがとうございます。何かありましたら、ヒューさんにご相談をしたいと思います。ヒューさん、よろしくお願いします」

「任せておけ。そろそろ出発するぞ!」

 ヒューも口では突き放す言い方をしているものの、このグレンが大事な一人娘のサーシャを任せている時点で既にリオンを高く評価していた。

 もちろん、リオンが知る由もないことである。


 ヒューの掛け声で隊商が動き始める。

 商会の者が八名と馬車が五台、クリシュナら護衛の者が三名の小規模なものである。

 リオンやサーシャ達の馬車は、隊列の最後尾から二台目に入るように指示があった。

 ローテンベルグまでは街道も整備されており、初夏を迎えたこの時期は天候も心配ない。

 何事もなければ、早馬なら二日、普通の馬車なら五日ほどの旅になる。

いつも拙作をお読み頂きましてありがとうございます。

やっと動きが出せたと少し安心し、しかしかなり苦しみながら作っております(笑)

本当にありがとうございます。

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