とある場所での出来事1
「クズがここまでするとは予想外だったな」
「そうですね
まさか霊獣まで倒すとは」
ここは、センチェル王国南西部にある施設。
8年前に崩壊した国も今はほぼ元通りになっていた。
そこで法衣を着た男と一人の少女が話していた。
「でもまだ私たちの敵ではありませんね」
「いや・・・」
法衣の男は少女の言葉を否定した。
いつもならこんなことはないのに。
「なぜですか、教主様?」
「それは、アイツが『建世の神』かもしれんからだ」
「な・・・そんなはずは」
「現にアイツは異常な力を使っている。
天盾とかをな」
「それだけではアイツが建世だという証明にはならないはず!!」
「そうだが可能性は大いにある」
「なら私がアイツを倒してきます」
「何!?」
「私がアイツを倒せたら、アイツが建世じゃない証拠になりますよね?」
「まあ、それはそうだが」
「では行ってきます」
「ちょっ、待て!」
少女は教主と呼ばれる男の制止を無視して施設を飛び出した。
「はぁ~アイツはいつもいつも」
教主はため息をつきながらもその口元は笑っていた。
「だが、これはあいつにとってもいい勉強になるだろう」
教主は本棚から日記のようなものを出した。
そこにはある人の経歴が載っていた。
「2567人を殺害、参加した作戦はほぼすべてを勝利へと導いている、か」
その人は『神』に逆らったためにこの施設を追い出された。
「少し勿体ないことをしたか?」
だが、あのまま置いてたとしてもいつかこの施設を滅ぼされるだけだ。
今はあの時の判断が正しかったことを願おう。
教主は本棚に戻し、椅子に腰掛けた。
「フェルナ・センチェル、お前を必ず殺す」
そう心に再度誓った教主であった。
これは、フェルナたちが封魔殿へ向かったすぐの出来事であった。