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神々の黄昏  作者: 天魔の担い手
水の国編
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一件落着

聖属性最強の攻撃魔法・ミストルティンの槍。

一発で国を吹っ飛ばす威力を持つ魔法が、水の国上空に展開されている。

それを防ぐため、フェルナは高く飛び上がった。


「紅月、止めれると思うか?」

「さあね。天盾イージスを完全に展開しないと止められないかもよ?」

「完全展開か・・・」


完全展開。それは、天盾の能力を最大限に引き出すこと。

だがそれにはフェルナの体に多大な不可がかかる。

紅月は口には出したがあまりやって欲しくは無かった。

だが、フェルナは


「紅月、天盾の完全展開をする」

「・・・!」

「こうでもしないと守れそうにないからな」


そう言ったフェルナは天盾を完全展開するための魔方陣を描き始めた。

大きな魔法陣に小さな魔法陣四つ。

それが天盾の本来の魔法陣だった。

フェルナは数秒でそれを描き上げ、発動した。


「天盾・完全展開!」


そう叫んだ瞬間、水の国とミストルティンの槍の魔法陣の間に大きな盾が現れた。

直後、ミストルティンの槍は発動した。

ミストルティンを天盾はしっかり防いでいた。


「くっ・・・!」


しかしその間フェルナの体は激痛に苛まれていた。

それでも彼は必死に槍を止めていた。

その時だった。

天盾がまばゆい光を放ち、槍を吸収した。


「な、なんだこれは?」


フェルナは一体何が起きたのかわからなかった。

ただ、槍からみんなを守れたということは分かり、ひと安心した。

その瞬間、異変が起きた。


「あれ?」


体が浮遊感に襲われたのだ。

理由は・・・。


「飛行魔法が解かれてる!?いや、魔力が切れたのか!」


下にいたアルファが教えてくれた。

そう言えば、そのへんのこと全く考えてなかったな、とフェルナは今更ながら反省した。


「ていうかそんなこと言ってる暇がない!!」


フェルナは自然落下していく中、どうするかを考えた。

普通に落ちてしまえば大怪我は間違いないだろう。

それで出した結論が・・・


「そーーれ!!」


地面を殴りつけることだった。

フェルナは落ちていく力を攻撃力に換算し、地面を殴ったのだ。

そのせいでフェルナから半径50メートル程に大きなクレーターができた。

まあ、フェルナの手も無事ではなかったが。


「大丈夫、フェルナ?」

「ああ、大丈夫だ。

 それより、みんなは無事か?」

「ええ、全員大丈夫よ」


全員の無事が確認でき、ホッとした。

すると後ろから誰かが声をかけてきた。


「お疲れ様」


しかし、振り向いても誰もいなかった。

みんなは不思議に思っていたが、フェルナは違った。


「趣味が悪いぜ、セイレーン」

「ふふっ、あなたには流石にバレるか」


と、地面に魔法陣が現れ、美しい女性が出てきた。


「久しぶりね」

「だな、セイレーン」

「セ、セイレーン!!」


アルファが大声をあげて驚いていた。


「セイレーンって水の精霊王のですよね?」

「そうよ」


精霊王というのはその名の通り、精霊を統べる者を指す。

精霊王を統べる精霊王もいるのだが、それはおいておこう。


「それにしても、なんでワイバーンが復活したんだ?」

「わからないわ。

 ただ、ワイバーンが目覚めた時、こんなことを言っていたわ

 『水の国に今こそ復讐を!』って」

「復讐って、あいつにオレたちは何もしてないぞ」

「ええ。だから可能性として誰かに騙された、とか」

「なくもないな。しかしいったい誰が・・・」


と考え込んでいると後ろからベータが遠慮がちに声をかけてきた。


「フェルナ様、少し言いにくいんですが・・・」

「ああ、ごめん。すっかり放ったらかしにして。

 セイレーン、悪いが補給をさせてくれないか?

 あと、できれば泊まるところもあるといいんだが」

「それくらいは用意するわ。

 じゃあみなさんついてきて」



セイレーンはオレ達を水の国へと案内した。

旅をしていた時に水の国をフェルナは寄ったのだが、その時と大して変わっていなかった。


「あんまり変わっていないな」

「変わらないのもいいことよ?」

「わかってるよ」


セイレーンは「王宮に泊まっていいわよ」と言ってくれたので、

オレたちは遠慮なく泊めてもらうことにした。

みんなが疲れでドサッと倒れたあと、セイレーンはオレを呼び出した。


「どうしたんだ?」

「ねえ、本当に私たちの王になってくれないの?」


私たちが指すのはおそらくセイレーンを含む精霊王のことだろう。

その王というのは・・・


聖霊王(せいれいおう)ならならねえぞ」

「やっぱりか・・・」


セイレーンは本気でがっかりしているようだ。


「話はそれだけか?」

「いや、もうひとつあるの」


そこでセイレーンは少し間をあけた。

その間は10秒程度だった。


「水の国の北西部に封魔殿(ふうまでん)が現れた」

「!!」

「これが意味することは分かるわよね?」

「ああ、アイツがここに?」

「おそらく。

 そして今回を逃すともう助けられないかもしれない」

「そうだな」


そこでフェルナは自身の魔力を高めた。


「じゃあ、早速行くか」

「そうね、早いほうがいいでしょう」


そして二人は一瞬でさっきまでいた場所から姿を消した。

彼らは向かったのだ。

フェルナが『あの場所』を出て初めて信じた人間を助けに封魔殿へと。

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