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神々の黄昏  作者: 天魔の担い手
邂逅編
4/36

新たなる旅の始まり

彼は夢を見ていた。

幼い頃に妹と一緒に話していたことを


「お兄ちゃん」

「なにかな?」

「お兄ちゃんは私のこと好き?」

「もちろん、世界中の誰よりも好きだよ」

「本当?」

「本当さ」

「じゃあね、私のそばにずっといてくれる?」

「それが望みなら」

「約束だからね」


そう言った彼女は笑っていた。

何の陰りもない、純粋な笑顔を・・・。


目を覚ますと、そこは見慣れない天井だった。


「目を覚まされましたか」


声がする方を見ると、一人の青年が椅子に座っていた。


「お前は確か・・・」

「アルファといいます」

「そういえば、そうだったな・・・痛っ」


フェルナは自分の体を見てかなり怪我をしていることに気がついた。


「まだ動かないでください、傷が完全に治っていないので」

「そういえばここはどこなんだ?」

「ここは陸上移動要塞『雷狼(らいろう)』の中です」

「『雷狼』?まあそれはおいておこう。

 それより、これはどこへ向かっているんだ?」

「センチェル王国です」

「・・・!」

「いろいろとお父様に聞きたいこともあるのでしょう?

 もう復興していると思うので、会えると思いますよ」

「そうだな・・・」


オレはもうそのことはどうでもよかった。

それより今は聞きたいのは・・・


「ミミはどうした?」

「ミミ様は今、寝ています。

 フェルナ様を3日看病されていたので・・・」

「待て、一体オレは何日寝てたんだ?」

「5日です」


フェルナはかなり驚いた。

まさかそこまで傷を負っていたとは・・・。


「大丈夫ですよ、もうじき起きると思うんで」

「そうか・・・。

 お前もしっかり寝ろよ?お前も3日は寝てないんじゃないか?」

「バレました?」

「目だけはいいからな」


と、少しだけ2人の間に沈黙が流れた。

先に口を開いたのはアルファだった。


「フェルナ様、一つだけ聞いてもよろしいですか?」

「どうしたんだ?」

「・・・あなたは何の目を宿しているんですか?」

「知りたいか?」

「はい」


フェルナは少し間を開けて


「真実の()だ」

「真実の瞳?」

「そう、この世のあらゆる嘘を見破る目だ」

「でもそれって・・・」

「そうだ、この目は・・・」


と再び間を開けて驚くべき真実を言った。



「この世を創ったと言われる、建世の神の目だ」



「やっぱり・・・」

「紅月が言うにはイージスも建世の魔法らしい」

「その通りよ」


そこでアルファはある疑問を口にする。


「なぜ、神の魔法が使えるんですか?」


フェルナは悩んだ顔をしながら答えた。


「わからない、オレも気づいた時にはできたからな」

「そうですか」


気づいた時に神の魔法が使えるようになったというのもかなり驚きだが。


「にしても、今探査の魔法を使ったが、みんな疲れてるな」

「まあ、さっき魔獣と戦いましたから」

「魔獣と!?大丈夫だったのか?」

「ええ、魔獣といっても雑魚でしたし」

「そうか・・・、じゃあ治療してくれたお礼に、オレがみんなの疲れを癒そう」

「え?」


そう言ってフェルナは詠唱を始めた。


「汝、森に棲み万物に癒しを与える聖獣よ

 今、我が名のもとに顕現せよ」


詠唱が終わると、周りが明るく光り、フェルナの肩に小さな猫が座っていた。


「その猫は?」

「こいつは風の召喚獣の風舞(ふうま)の猫だ」

「はあ・・・」

「じゃあはじめるぞ」


フェルナは立ち上がり、風舞の猫に魔力を送った。

そして・・・


「ミーシャ、癒しの鐘(ヒーリングベル)

「ニャ~オ」


風舞の猫あらためミーシャは鐘のような鳴き声を出した。

すると・・・


「あれ、体から疲れが抜けていく・・・」

「どうだ?癒しの鐘はその名の通り、体を癒すからな」


説明し終わると、ミーシャはなくのをやめた。


「ミーシャ、今日もお疲れ。ご褒美だぞ」


と言って取り出したのは、葉っぱだった。

それをミーシャはパクパク食べ、そして消えた。


「今の葉っぱは?」

「ああ、魔力を浴びて育ったお茶の葉っぱだ。

 結構いい値段するんだぜ」

「そうですか」


アルファが関心しているとこの部屋唯一のドアからミミが入ってきた。


「フェルナ、起きたの?」

「ああ、おかげさまで」

「よかった・・・」


アルファはなんとなく居づらくなったので


「え~、オレはちょっとした雑用を片付けてきます」


と言って部屋を出て行った。


「あ・・・」


フェルナは今、ミミと二人きりになったことに気がついた。

ミミはそんなことお構いなしに質問してきた。


「フェルナ、もう大丈夫なの?」

「まあ、ケガのほうはな」

「ココロのほうは?」

「それは・・・」


まだフェルナは忘れられなかった。

あの忌々しい過去を・・・。

ミミはそんな痛々しいフェルナをみて


「おわっ」


フェルナに抱きついた。

守りたくなった。

昔とは違う、守られるんではなく、守れるようになりたいと思った。


「ミミ?」

「もう一人で抱え込まないで。

 私もフェルナの苦しみを背負うから・・・」

「ミミ・・・」


フェルナはミミを抱き返した。

「オレも、ミミを守るぜ。

 お兄ちゃんとしていいところも見せないとなダメだしな」


そう言って、フェルナは笑った。

それにつられミミも笑った。


「期待しているよ?」

「期待しといてくれ」


こうしてフェルナとミミ、二人は再び出会い、共に仲間との旅が始まった。

しかし、これはまだ序章だ。

このあとに待ち構える困難を彼らはまだ知らなかった・・・。


これで第一章は完結です。

第二章からはフェルナたちがセンチェル王国に着くまでの物語です。

これからもみなさん読んでくださいね

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