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神々の黄昏  作者: 天魔の担い手
水の国編
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フェルナVSレイラ 後編

「出て来なさい『庭園の番人クリスタル・ガーディアン』」


レイラはそうつぶやくと地面から3mほどの大きさの人型結晶が出てきた。

おそらくはこの空間内でのみ動けるのだろう。


「くっ、厄介だな」


フェルナはそう言って舌打ちした。

そう思った理由はこの空間内でのみ動けるという制限を持った庭園の番人のことだ。

制限持ちの魔法などはその制限内なら圧倒的なパワーを誇る。


「と言っても、厄介なだけだがな」


フェルナはとりあえず体に刺さっていた結晶を抜き、そのへんに捨てた。

傷口からは血がかなりの量が流れていたが、これでいい(・・・・・)


「はっきし言って私の勝ちだと思うよ?

 私には龍脈の恩恵があるし、フェルナも傷だらけだもの」


レイラは当たり前の事実のように言ってきた。

それに対してフェルナは


「勝負ってのは最後まで分からない、って言うだろ?」


そう言って一気に走りだした。


「気刃・豪炎!!」


走りながら左手に気刃を顕現させ、右手の紅月を握り直した。

それを見たレイラは慌てることなく、


「番人よ、庭園を荒らすものを蹴散らしなさい」


と命令を出した。

番人は命令に従い、フェルナを捉えようとした。

だが、


「おせえよ、ノロマ!!」


フェルナは捉えようとした手をすり抜け、番人の背後をとった。

そして


「村雨流剣術五之型---」


番人の背中を斬り刻みながら上に登っていった。

一番上まで到達し、


「---五月雨(さみだれ)


紅月と気刃を収めた。

すると、番人の体はガラスの割れた音とともにその巨体が崩れていった。

それを見たレイラは信じられないものを見る目で見ていた。


「嘘・・・」

「だから言っただろ!!」


フェルナは着地し、右手で魔法陣を描いた。


「勝負は最後まで分からないってな!!」


魔法陣の色は黄色。

そう、先ほど防がれた雷の魔法だ。

レイラはそれを見て少し落ち着きを取り戻した。


「さっき防いだのを忘れたの?

 何回やっても無駄よ!!」

「そうだな普通にやっても無駄だな」


そう、フェルナにはもう無駄な魔力がない。

だから、これで決めるために雷の魔法を使うのだ。


「いくぞ!!」


その声で魔法陣からおびただしい程の雷の束が出てきた。

雷の上級魔法『雷蛇(らいじゃ)』。

それぞれの雷の束は蛇のように不規則な動きでレイラに迫っていった。

だが


「いくら指向性のある魔法だからって、雷には変わりないわ!!」


レイラはもう一度避雷結晶を出し、雷蛇を防ごうとした。

だが、レイラは気づいた。

フェルナの左手に水色の魔法陣があるのを。


「まさか・・・!!」

「そう、そのまさかだよ」


レイラはすべてを理解し、上を見上げた。

そこには予想違わず、水色の大きな魔法陣があった。

そこから降ってきたのは・・・

ポツ!

ただの雨だ。

だが、


「雷を放電させるには、ちょうどいいだろ?」


そう、この雨は少し魔力濃度が高い。

というのも、この魔法は半分フェルナの血によってできている。

呼び水。

フェルナは大概に出た自分の血を呼び水とすることによって通常の半分の魔力でこの魔法を形成した。

そして魔力濃度は高いものほど、魔力をよく通す。

それも、かなり優先的に。


「くっ・・・!」


レイラは慌てて結晶の盾を作り、雨に触れる前に雷蛇を相殺しようと思った。

だが、フェルナが放ったのは雷蛇ではなかった。


「式変換・雷蛇→雷獄(らいごく)!!」


雷の蛇は盾に当たる前にその体を鎖に変え、レイラの周りに牢獄のようなものを形成した。

そして、


「うわあああああ!!!!!」


雷の鎖は放電し、それは雨を伝い、レイラを襲った。

避雷結晶は健在だったが、この雨の方が優先権が上なので意味を成していなかった。


「うっ・・・」


やがて放電は収まり、レイラはその場に力尽きた。


「はあ・・・はあ・・・」


威力は抑えたし、命に別条はないだろう。

すぐに医務室に連れて行くか、と思った時だった。

視界がかすみ、頭もボーとしてきた。

体もだるく、なんというか


「眠い・・・」


おそらくは傷からの出血と魔力の使いすぎによるものだろう。

だが今のフェルナにそんなことを考える余裕はなかった。


「・・・ちょっと寝てからにしよう」


そう言ってフェルナはその場に倒れた。

モニターで見ていたセイレーンは急いで部下とともに2人を医務室に運んだのだった。

こうしてフェルナとレイラの戦いは終わった。

まあ2人が目覚めたあとに勝敗決めで何故か揉めたのだった。

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