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神々の黄昏  作者: 天魔の担い手
水の国編
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フェルナVSレイラ 中編

「量より質の攻撃、お前ならどうする?」


フェルナは其の手に雷の槍を構え、そういった。

だが、私はもう1つ、驚くことがあった。

それは


「擬似神魔を物質化している・・・!!」


そう、フェルナはインドラの槍を物質化していたのだ。


ここで少し物質化について触れておこう。

魔力というのは本来質量を持たない。

なので魔法を使って、魔力に質量と性質を持たせる。

これによって世界に干渉することが出来るのだ。

だが、魔法というのはずっと同じ形を保つことが出来ない。

それを半永久的に保てるようにするのが物質化だ。

通常よりも多くの魔力を使い、魔力を練魔というものに変換する。

それを使って魔法を使うことで物質化することが出来る。

通常は気刃や擬似神具を使用するときに物質化する。

だがこれにも例外はある。

擬似神魔と神魔だ。

この2つは特殊で物質化する事ができない。

詳しい理由は分からないが、一説としては魔法構成のプロセスが異なるからとされている。

だが今フェルナはそれを可能としている。


(まあ、フェルナだもんね)


レイラは心の中でそう理解した。

昔からフェルナは不可能を可能にしてきたのだ。


「さて、そろそろ再開するか」


その声でレイラは思考の海から現実に戻った。

フェルナは投擲の構えをして


「手加減できないからどうにかしろよ!!」


なんと無責任な。

でもあれが直撃するのはかなりまずい。

・・・まあ、直撃したらの話だが。


「擬似神魔・インドラの槍、発動!」


そう言ってフェルナは物質化したインドラの槍を投げた。

投げられた槍はまっすぐにレイラに向かっていき、


「避雷結晶、発動」


インドラの槍は霧散した。

否、正確にはレイラの周りに現れた細長い結晶に吸収された。


「へぇ、避雷針か。

 しかも、インドラの槍を吸収できるほどの」


フェルナは感心と悔しさの入り混じった声でそういった。

それにかなりまずいこととなった。

これでフェルナは得意とする雷の魔法も封じられたのだ。


「こんなので驚いてたらこのあともたないよ」


そう言ってレイラは魔法陣を描き始めた。


「真結魔法は魔法陣がいらないんじゃないのか?」


からかうようにフェルナが聞くと


「そうね、普通はいらないわ」


でも、と言葉を区切り、こう続けた。


「真結召喚魔法にはいるのよね~」

「!?」


驚くフェルナをよそにレイラは魔法を完成させた。

すると次にあたりに漂っていた結晶が魔法陣に吸い込まれていった。

魔法陣は一気に輝きを増し、そして


「召喚・凍薔薇姫(いばらひめ)


魔法陣から出てきたのは結晶でできた女性だった。

背に結晶でできた翼、手にも結晶でできた剣を持っていた。


「私の真結魔法の集大成よ。

 私と同じく真結魔法を使えるから注意してね」


そう言った瞬間から凍薔薇姫は翼を大きく広げ、フェルナに斬りかかっけてきた。


「これはチートだろ・・・」


と愚痴をこぼしつつもフェルナは斬りかかって来た剣を紅月で受け止めた。

だが、凍薔薇姫は受け止められるのを想定していたのか、剣を持っていた逆の手に結晶の塊を作り出した。

それをフェルナの体をにぶつけようといたが、


「残念でした」


塊はフェルナの体を貫いたように見えた。

だがよく見ると貫かれた部分が燃えていた。

それを見たレイラは昔同じ現象を見たのを思い出した。

レイラは急いで凍薔薇姫を戻そうとしたが、


「遅いぜ!」


その言葉と同時に塊に貫かれていフェルナの体から魔法陣が浮き上がった。

そして、先程までフェルナだと思っていたのはフェルナの魔力体だった。

とすると本体はどこに?

だがその疑問はすぐ解けた。

先ほど爆弾結晶を撃ったところにフェルナが現れたからだ。

おそらくは幻影魔法でも使っていたのだろう。

と考えながらも凍薔薇姫を戻そうとしていたが、案の定無理だった。

なのでレイラはある魔法を使うために時間稼ぎを始めた。


「凍薔薇姫は炎が効かないわよ?」


と、答えがわかりきっていることを聞いた。

だからフェルナも


「知ってて聞いてるだろ?」


と返してきた。

その手には複雑に絡んだ魔法陣が浮かんでいた。


「まあどうなるかわからんが」


と言って手の魔法陣を魔力体の魔法陣に軽く投げた。


「いくら炎が効かないといっても、それは物理法則上の話だからな。

 この炎を耐えられるとは限らないよな?」


フェルナはニヤリとしながらそう言った。

その間にも2つの魔法陣は距離を縮め、そして

ガチャッ!!

と、鍵を開けた時のような音を立てて融合した。

それを確認したフェルナは最後の呪文を唱え始めた。

と同時にレイラも呪文を詠唱し始めた。


「地獄の蒼炎よ、現世(うつしよ)を灰に還し給へ」

「この地は我が領土、万物よ、我が命に従い敵を討て」


フェルナの詠唱によって魔法陣からは蒼炎が溢れだした。

--炎の魔法『混沌の炎(カオスフレイム)

自然界や魔法の摂理を無視した、すべてを燃やす魔法。

凍薔薇姫はその例に漏れることなく、その結晶の体をもやした。

その瞬間、フェルナの下にも魔法陣が浮かび上がった。

ザクッ!!


「ぐっ・・・!!」


魔法陣から結晶がハリのように突き出てきた。

否、魔法陣と思っていたのは魔法陣ではなく・・・


「空間魔法・・・!!」


魔法陣ではなく、青く光る龍脈だった。

それが示すことは


「真結魔法の空間魔法『クリスタルガーデン』

 さあ、最終ラウンドを始めようじゃないの」


レイラは手を広げてそう宣言した。

そのとき、フェルナはこう思った

--もう手加減はできない、と。

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