真結魔法
「真結魔法?」
「うん」
2人共初めて聞く魔法だった。
おそらく世界中のだれも知らない、本当に新しい魔法なんだろう。
「どんな魔法かというとね、
ひとことで言うと氷の魔法の派生系なの」
「氷の派生?」
「うん
真結魔法は氷の魔法の弱点である炎の魔法を無効化できるの」
レイラは簡単そうに言っているが、実はかなり難しい。
魔法というものは、相反するもの『相反体』があって初めて成り立つ。
だが、レイラの言うことを聞く限り、相反物がないようにみえる。
と、フェルナの心中を察したのか、レイらが補足説明を付け足してきた。
「相反物はちゃんとあるよ。
真結魔法の相反体は炎じゃなくて、同じ真結魔法なの」
「同じ魔法が相反体だって?」
「別に珍しい話じゃないでしょ?
まあ、相反物を変えるのはとても難しかったけどね」
ちなみに擬似神魔と神魔も相反物が同一魔法である。
とまあ、こういった説明がこのあと2時間も続いたのだが、ともかくものすごく長かった。
なのでこれまでの話を軽く要約してみると
・真結魔法は魔法陣をかかなくてもよい
・魔力消費量が他の魔法に比べて段違いで少ない
・色々な魔法との相性がとても良い
と、こんな感じになる。
セイレーンは説明を聞き終えると、驚いた顔でこういった。
「聞いてる限りじゃ、無敵の魔法ね」
「でしょ?」
と、レイラは得意げな顔で胸を張って言った。
だが、フェルナは違ったようだ。
彼は得意げにしているレイラに向かってこう言った。
「無敵?どこがだよ?」
「えっ?」
これにはレイラはともかく、セイレーンも驚いた。
今2人はこう思っているはずだ、今の説明のどこに弱点を見出すような要素があったのかと。
「まずレイラ、魔法の大原則を覚えているか?」
「当然よ。
世界への干渉と事象の書き換えでしょ?」
レイラは何を当然のことをと思いながら答えた。
正確には、世界への干渉をしてから自称を書き換えるのだが、この際はいいだろう。
フェルナはそれを聞き、話を続けた。
「そうだ。
じゃあ、大原則の世界への干渉力は何の大小で決まると思う?」
「・・・どういうこと?」
レイラにはフェルナが言っている意味がわからなかった。
世界への干渉力の大小は何の大小か、だって?
それじゃあまるで・・・
そこまで考えてレイラは閃いた。
「・・・魔力の大小!!」
「そうだ」
フェルナはフッと笑い、こう続けた。
「真結魔法の長所である魔力をあまり必要としないというのは、
逆に言えば、世界への干渉力が低いという短所でもあるのさ」
これはレイラもセイレーンも初めて聞くことだった。
まさか、魔力が干渉力に依存しているとは・・・
フェルナは驚く二人を見て、こう補足した。
「まあ、これはまだ確証はあまりとれていないんだが、まず間違いないと思う」
「そうなんだ・・・」
レイラは少しがっかりしているようだった。
が、そう見えたのはほんの一瞬だった。
彼女はなにか思いついたのか、フェルナにこう聞いた。
「ねえ、干渉力ってさ、魔法の優先発動に関わるんだよね?」
「ああ、そうだが・・・それがどうかしたのか?」
フェルナがそう問うと、レイラは自信満々の顔でこう言ったのだった。
「私と勝負して!!
ただし、私は真結魔法をメインにしか使わない。
もし、私が勝てたら、真結魔法は最強ってことでいいでしょ?」
「よく理屈は分からないが」
と言ってフェルナは少し魔力を高め、こういった。
「いいぜ受けてやるよ、その勝負!
あとで後悔しても知らねえけどな!!」