再び揃った3人
このごろサブタイトルが全く思いつかないです・・・
「・・・で、大丈夫なのか?」
医務室にやってきたフェルナは入るなりセイレーンにそう尋ねた。
レイラを医務室に運んだセイレーンはすぐさま伝令をフェルナに遣わせた。
もう深夜だというのにフェルナはすぐにやってきた。
「命に別条はないわ。
ただ単に気を失っているだけだと思う」
「そうか・・・」
ほっ、とフェルナは安堵した。
おそらくフェルナはこの結晶でレイラの体に何らかの影響があると思っていたのだろう。
だが、先ほど調べた所ではなんの影響もなかった。
本当に時間を凍結させるだけのものだったらしい。
「・・・レイラ、全く変わってないわね」
と、セイレーンは言った。
--時間凍結魔法
数年前、レイラが自分に使用した魔法だ。
水の国や他の国で禁忌魔法に指定されてもいる。
だが彼女は使った。
あの日、世界をこの混沌から救うために。
「・・・時間を凍結していたから暇ということはなかったでしょうけどね」
「まあな。
でも、失われた時間は取り戻せない」
「そうね・・・」
「だからオレは失った時間の分、。レイラを楽しませるよ。
こいつが願った、綺麗な世界でな」
そう言ったフェルナの瞳にはあの日と同じ決意が宿ていた。
(フェルナ、聞いていいかな)
(・・・なんだよ)
(私が次もしも目覚めることがあったら、その時この世界は
・・・綺麗な世界になってるかな?)
(・・・当たり前だろ。
今がそうでないなら、オレがこの世界を綺麗な世界にしてやるよ)
(そっか、なら安心ね)
と、昔のことを回想していると、
「う、ん~~~~」
と、レイラが起きた。
2人は突然のことに驚き、その場で硬直した。
レイラは部屋中を見回し、2人を見つけると
「あれ、フェルナとセイレーン?
随分と老けたね?」
と、いきなりそんな失礼な言葉を言った。
が、硬直している二人にはまるで聞こえていなかった。
だが、すぐに硬直はとけ、我に戻った二人は次のような行動に出た。
まずセイレーンは
「レイラ!!」
「うわっ!」
とおもいっきり抱きつき、フェルナはというと
「ふふ・・・」
と、笑いそしてこう言ったのだ。
「おかえり、レイラ」
と。
そのあと3人は情報交換をした。
セイレーンとフェルナはレイラが封印されていた数年のこの世界の話。
レイラは封印されている間の話。
(セイレーンとフェルナの話は今後回想編などで出てくるのでここでは割愛)
レイラはどうやら時間凍結されている間も思考することはできたらしい。
ただ、時間感覚は全くなかったらしい。
「じゃあ、封じられている間何してたんだ?」
と興味本位で聞いてみた。
すると彼女はふふっと悪戯っぽく笑い、
「何してたと思う?」
と逆に問いかけてきた。
こいつは昔からそうだ。
オレがなにか聞くと絶対にはぐらかして、オレの反応を楽しんでいた。
今もそうだ。
オレがちょっと困った顔をするのを見て楽しんでいるようだった。
「フェルナは変わらないね」
「そういうお前もだろ」
「まあね」
と、彼女はベッドから起きて。自分で立った。
「さっきの答えだけど、私は魔法の研究をしてたの」
「魔法の?」
「うん。
まあ、頭のなかだけだからある程度までしかできなかったけどね」
そう言ったレイラを見てオレとセイレーンは顔を見合わせた。
普通、頭のなかだけでは魔法を研究することなど不可能に近い。
その理由は多くあるが、大きな理由としては現在の研究方法にある。
現在の研究方法は、一度魔法を魔力を使わず展開し、専用の魔法で魔法を分解して構造をいいるというものだ。
だが、レイラは体を動かすことはもちろん、魔法を発動することさえ出来なかったのだ。
その中でどうやって?
と、オレたちの心のなかを察したのか、その方法を教えてくれた。
「方法は現在の研究方法と一緒だよ、数年前と一緒ならね。
違うのは、研究する場所なんだ」
「場所?」
「うん。
普通はこういう普通の空間内に魔法を展開するでしょ?
でも私は頭のなかに仮想空間を作ってそこに展開したの。
まあ、連続でするのには向かないけどね」
仮想空間。
空間魔法の基礎中の基礎とも言われる魔法だ。
しかしそれは普通の空間内でする場合は、だ。
いろんな魔法に精通しているフェルナでもこんな話は聞いたことはなかった。
脳内に仮想空間を作るなんていうことは。
だが、心の何処かでこいつにはできるだろうなと思っていた。
なぜなら、
「さすが、『時空の守り人』は健在だったか」
というと、レイラは顔を赤くして照れながら
「それは言わないでよ。
しかもそれ、数年前のあだ名だよ」
と言った。
レイラはこの世界でもトップクラスの空間魔法の使い手で、『時空の守り人』という称号で呼ばれていた。
「それはいいけど、一体何の研究をしていたの?」
と、セイレーンが本題に戻した。
レイラはよくぞ聞いてくれたというふうに胸を張って言った。
「聞いて驚きなさいな。
私が研究していたのは・・・」
と一度言葉を切って、こう続けた。
「新しい魔法、その名も『真結魔法』よ」