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神々の黄昏  作者: 天魔の担い手
水の国編
13/36

回想~教会に居た日々~ その1

オレがこの教会と言われる施設に入って1年が経った。

ここでは主に人体実験や任務などを行っていた。

能力や魔力の強化、または能力を付与したり。

だがそのほかは普通だった。

寝る時間も11時程度で10時からは自由時間。

起きるのも6時でみんなしっかり休めている。

飯も普通に与えられていた。

施設の割には普通の日常が送られていた。

そんなある日のこと・・・


オレはいつも通りの強化訓練を終え、椅子に座ってゆっくりしていた。

そこに1人の少年が寄ってきた。


「どうだった、今日の訓練は?」


彼の名前はライドウ。

年齢はオレと同じの7歳。

この教会で唯一、未だオレに話しかけてくる変わり者だ。


「・・・別に、いつも通りだ」

「マジで!?オレは結構きつかったけどな~」


訓練の内容はみんな一緒だ。

なので人によって得意不得意が出る。

ちなみに今日は重力6倍空間での筋トレだった。


「・・・あんなもの、適当にやっておけばいい」

「そうは言うけどさ、力抜いたら死ぬぜ?」

「じゃあせめて死なないように努力するんだな」


オレはそう言って立ち上がり、部屋に戻ることにした。


「どこ行くんだよ?」

「部屋に戻るんだよ」

「今日、新人が入るのに?」


その言葉にオレは進めていた歩みを止めた。


「新人?」

「ああ、お前以来の新人だって」


オレは1年前にここに来た。

それからは1人もここには来ていない。


「そうか・・・」


それでも興味がなかったので部屋に戻ることにした。


「フェルナ!!」


ライドウがオレを呼んだが気にせず、部屋に戻っていった。


フェルナが部屋に戻っていく姿を見ていると、ライドウの周りに他の、教会の子供たちが集まってきた。


「フェルナまだ怒ってるのかな?」

「怒ってないと思うよ。

 それならオレとも喋らないはずだし」

「そうかな・・・」


別にみんながフェルナを避けているわけではない。

彼らだって同じ教会の子供であるフェルナと喋りたい。

でも過去の事件がそれを許さなかった。

教会の子供が全滅しかけた、あの事件が。


「・・・」


と重い空気がたちこめる中、1人の司祭がこちらにやってきた。

その横にはこれまた7歳ほどの少女がいた。

司祭は彼らの前に立ち、少女のことを紹介した。


「この子はイラ。

 これから君たちと共に生活する仲間だ。

 みんな、仲良くするように」


それだけ言うと司祭は来た道を戻っていった。

そこに残されたイラの周りにみんなは集まった。


「あの~、これから宜しくお願いします」

「そうかたくなるなって」


敬語でしゃべるイラにみんなは少し笑った。

そこにイラは質問してきた。


「教会にいるのはここにいる人で全員?」

「いや、もう一人いるんだが・・・」

「?」


言葉を濁らせたオレ達にイラは少し不思議に思った。

ライドウがどう言おうか悩んでいると、その当人がやってきた。

だがその姿は先ほどと違った。

先程まではラフな格好だったのに対し、今は全体を黒の戦闘服で身を包み、腰には帯剣していた。


「おいフェルナ、どこ行くんだよ?」

「任務だ」


フェルナはそう言って出口のほうに歩を進めようとしたが、イラの姿を視認すると


「お前が新人か?」


とイラに尋ねた。

いきなり尋ねられ少し驚いたイラは無意識に頷いていた。


「そうか、まあ死なない程度に頑張れよ」


そう言い残したフェルナは出口に向かって歩き出した。


「フェルナ!!」


ライドウはフェルナを追いかけ出口に向かったがどこからか現れた司祭に止められた。


「あなたは任務を受けておりませんので、外には出れません」

「くそっ!」


フェルナはそのまま歩き、出口に着いた。

そして振り返ることもなく、外に出ていった。


オレはセンチェル王国南部に広がるカリエット樹海、通称魔獣の森に向かっていた。

今回の任務は魔獣退治。

いつもどおりの任務だ。


「・・・」


だが少しだけいつもと違った。

理由は司祭がさっき教会で言ったことだった。

その司祭はこう言った。


「君は近いうちに絶望するだろう

・・・覚悟しておけよ」


その司祭はその人の未来を感覚で感じることができる能力を持っていた。

別にそいつの言葉を信じていないわけではない。

だがオレは、これ以上何に絶望するのだろう?

そんなことを考えていると、魔獣の森の入口にいつの間にか着いていた。


「後で考えるとするか・・・」


まずは与えられた任務を遂行しよう。

そう思いフェルナは魔獣の森に入った。


しばらく進むと木がない開けた場所に出た。

そこには今回のターゲット、魔獣が5体いた。

魔獣たちはフェルナを確認し、警戒態勢に入ったようだ。


「そんなことしても無駄なのに」


フェルナは腰にある剣を鞘から抜き、一瞬で距離を詰めた。

いきなり目の前に現れたフェルナに魔獣たちは反応できず、魔力により刀身を伸ばした剣で斬り裂かれた。

血が飛び散り、魔獣たちはその場に崩れた。

これで任務は終わりだ。

フェルナは教会に帰ろうとした。

だが、


「待て、そこの少年」


いきなり低い声で誰かに呼ばれた。

声のする方に向くと、そこには先ほどの魔獣よりはるかに大きい魔獣がいた。

これにはフェルナも少し驚いた。


「まさかあんたに出会うとはな、魔獣の王」

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