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神々の黄昏  作者: 天魔の担い手
邂逅編
1/36

邂逅

 「貴様などくずでしかない。ここから出て行け!」


そう言われて早10年。捨てられたとき、少年は捨てた人へ復讐を誓ったのであった。

ある商業都市の市場、あの少年はそこにいた。

名前はフェルナ。顔も知らぬ親がつけた名前だ。

彼は今、新たな旅に出る用意をしていた。

捨てられた日から彼は10年間、1人で旅をしてきた。

その間に炊事などのことを覚えたが、孤独ということも覚えた。

もう捨てられるのは嫌だ。

なら捨てられないようにするにはどうすればいい?

答えは簡単だ。

誰とも触れ合わなければいい。

触れ合わなければ捨てられることも無い。

だがこの後、フェルナの考えは変わることとなる。


出発を明日へと控えた夜、彼は宿にいた。

この都市には一ヶ月くらいいたのですこし名残惜しい。

明日に控え、寝る前に部屋を見渡した。

7年前に、旅を始めた頃に手に入れた剣。

身体能力を上げるなど不思議な能力を持っている。

が、あまり使ったことがないので真偽は判らない。

剣と食料があるのを確認し、寝ようとした瞬間・・・


「太陽の業火に焼き尽くされろ!プロミネンス」


とかいう言葉が聞こえてきたので、慌てて剣を取り、大きく飛躍し天井を突き破って外に出た。

すると自分の居た部屋が焼き尽くされてしまった。

「どういうことだ?」

と思っていると前方に大鎌を持った人が現れてフェルナに攻撃してきた。

フェルナは攻撃を剣で受け流しながら首に手刀をいれた。

すると謎の男は気絶して落ちていった。

フェルナも地上に降り立った。

すると周りから武器を持った人達がフェルナを包囲した。そして、


「フェルナ!!おとなしく我等に捕まれ」


と言って来た。


「知らねえ奴等に捕まる理由がどこにある?理由を教えろ」

「姫様がお前に会いたいそうだ」

「却下、つか姫なんて知らねえし」


とフェルナは答え、それから


「邪魔するなら容赦はしないぞ」


と言い放って、走った。


剣を振り、謎の人達を倒していき、最後の一人を倒そうと思った瞬間、


「雷に砕かれろ!!サンダ―ブラスト」


と頭上から聞こえてきたので、すぐさまそこからどくと雷が落ち、地面を燃やしていた。


「あ、危ねー。誰だ?こんなことするのは」


と聞くと上から美少女が下りてきた。


「久しぶりね、フェルナ。ずっと会いたかったわ」


とか言ってきたので

「誰だ?俺はお前なんか知らねえぞ」

と言ってしまった。

するとその美少女は悲しい顔をして


「ひどいわフェルナ。私を忘れるなんて」

「いや、その前に本当に知らねんだよ」


美少女はいつの間にか流していた涙をぬぐい、そして


「私の名前はミミ、ミミ・センチェル」

と名前を明かした。それで思い出したのかフェルナが、


「センチェルってセンチェル王国の・・・」


と言って、


「あの馬鹿みたいな戦争のど真ん中にいた少女か?」


と聞いてみた。するとミミは、


「そうよ。あなたが助けた少女よ」


8年前・・・

フェルナはある砂漠を歩いていた。

この砂漠はそこまで暑くはない。

ずっと当ても無く歩いていると、目の前に国が見えてきた。

センチェル王国、国土も広く豊かな国であることで知られている。

その国にフェルナは立ち寄った。

賑やかで人も活気にあふれていたが、


「逆にここまで来ると不気味だな・・・」


とフェルナは思った。

まぁどうでもいいかと思い、近くの宿屋へ行こうとしたとき


ドカーーーーーン


と爆発音がした。

その方向をみると王宮が燃えていた。

急いでいってみると王宮は見る影も無くなっていた。

近くでは他国と戦っている王国軍がいた。


「王はもう死んでそうだな・・。じゃあさっさとこの国を出るか・・・」


ふと王宮の方を見ると、少女が立っていた。

それも燃え盛る火の中に・・・。

そこに王宮の塔が落ちてきそうになった。


「はやくそこをどけ!」


と叫んでも少女は答えない。

仕方なくフェルナは腰にある剣を抜き、走った。

それも信じられないスピードで・・・。

一気に少女のところまで行き、少女を抱きかかえた。

そしてそのまま高く跳躍し、もといた場所へ戻った


「大丈夫か?」


と聞くと少女は


「大丈夫、助けてくれてありがとう。」


と言い、


「私はミミ、あなたは?」


と聞いてきた。

けれどフェルナはすぐには答えられなかった。

自分に名前を名乗る資格など無いと思っていたからだ。

だが、


「フェルナだ」


となぜか名前を言って、センチェル王国を去った・・・。



「って、5年も前のことをよく覚えていたな」


と感心していると、ミミは


「当然よ、あなたは私の恩人なのだから」


と言ってきた。


「それに、私の唯一の・・・」

とそこでまた爆発音が起きた。

すると上から誰かが下りてきた。


「報告します。古代兵士アンティークソルジャーが暴れている模様です」

「なに!また最悪のタイミングで・・・」


と何かよく分からないので


「おい何なんだよ?その何とかってのは」


と聞いてみた。


「古代兵士はその名の通り、古代の機械兵士です」


と報告をした人が答えてくれた。

さらに、


「魔法が効かないという最悪の鎧を身に着けているわ」

とミミが捕捉してくれた。


「じゃあ剣は効くんだな?」

「ええ、効くわよ。けど・・・」


とそこまでしか伝わらなかった。

フェルナはもうあの化け物のところへ行ってしまっていた。


「いいのですか、ミミ様?古代兵士を一体無駄にして」


と側近が聞いてきた。


「ええ、いいのです。彼の今の実力を知るためです。憎しみに満ち溢れた彼の力を・・・」


 フェルナは古代兵士の前まできた。


「へぇー意外とでかいな・・・」


と一言いうと古代兵士に一太刀いれた。するとギィィンという金属音が響いた。


「うわっ硬いなこれは・・・」


感心していると古代兵士が攻撃をしてきた。

それを難なくとめた。

そして、


「反撃だ!悪魔の剣(デーモンソード)!!」


と古代兵士に攻撃した。すると


ズカーーーーーーーン


と綺麗に粉砕した。跡形もなく・・・


「一丁あがり。さて戻るか」


フェルナはミミ達がいるところへ戻っていった。



「一応倒してきたが・・・」


と一度言葉を切り、そして


「なぜ俺を試した?なぜ試す必要があった?」


と聞いた。

するとミミは


「あなたがどれだけの力を持っているか、私たちの指令官になりうるか、それを知るためよ」


と答えた。それにフェルナは何も言わなかった。


「まぁそれは置いといて、古代兵士をどうやって動かしているんだ?」

「遠隔操作よ。今の最新技術によって機械の頭脳を操ることができるわ」

「じゃあ中には誰も乗っていないのか?」

「ええ、だから細かい操作はできないの」


するとフェルナは少し黙り込み、そして


「中へ入ってもいいか?」


と言った。

ミミたちは驚き、

「私たちでさえ開くのが無理なのにあなたにできると、そう言うの?」

「ああ、俺にはできる、必ずな」


 一行は、古代兵士の収納してある倉庫へ着いた。そこには数十体の古代兵士がそびえていた。


「よくこんなに集めたな。」

「私たちの本拠地にたくさん埋まっているのよ」


そこでフェルナは少し驚いた。


「そこは、ラズーナという土地か?」

「ええ、そうよ。でもなんで知っているの?」

「それは知らなくていいことだ」


と言って一体の古代兵士に近付いた。


「今から開くからちょっと離れていろ」


といい、何かの呪文を詠みだした。


「我は古の秩序を守り語り継ぐ者。今、我と契約を交わし、我を信じ、我に従え。ユーロス・バイト」


すると、古代兵士が動き、


「汝と契約を交わそう。フェルナ・センチェル」


と応え、後ろのハッチが開き、ロープが落ちてきた。そ

れに捕まり、上ろうとしたそのとき、ミミの側近、ベータが


「センチェルって、ミミ様と同じ名字!!」


と叫んだ。

それにフェルナは面倒くさそうに


「おなじ名字なだけのことで、ミミとは何の関わりもない」


といって、古代兵士に乗った。中は機械で溢れていた。


「あれと大差は無いか、ならば・・・」


フェルナは、小声でしかしそれでいてよく響く声で


「契約者フェルナが命じる、我が命に応え起動せよ」


といった。

すると全ての機械が起動した。


「契約者よ、そなたの命に応えよう。」


その後、コックピットが出てきた。

それにフェルナは座り、動かした。すると古代兵士は動いた。

力強く、しかし繊細に動いた。


「この古代兵士は俺と契約しちまったから、他のと契約してくれ」


と下にいるミミたちに言った。

不思議とミミたちからは何も言ってこなかった。


「皆、乗らねえのか?」


と聞いてみた。

答えはすぐ返ってきた。


「神虫が大群で襲ってきているんだ。」

「マジか?」


神虫とは昔、神に仕えていた最強の虫。

その強さは古代兵士に勝らず劣らずといった感じだ。

それが大群となると・・・


「街が大変になるぞ」

「そうだ。だから街に入る前に撃退しなければならないんだ。」

「だが、こいつらだけじゃ無理だ」

「そこであなたに手伝って欲しいの」


とミミが話しに割り込んできた。


「別に頼まれなくても手伝うが、どうやって?」

「あなたの持っている魔剣紅月の力で」

「それが俺の剣の銘か?」

「そう、血を好む最悪の古代武器(アンティークファクト)。その真の姿は誰も知らない」

「原型じゃないのかこれは」

「ええ、それは〔伝説の剣〕身体能力を上げる剣で」

「あとは悪魔の剣だろ?」

「そうよ、よく知っているわね」

「古文書に書いてあったからな。

 ついでに、神虫撃退の剣は火炎の剣(インフェルノソード)、すべてを燃やし、灰にする業火の剣」


と説明したところで大きい衝撃がきた。


「もうすぐそこまで来ているようね。フェルナ、お願いね」

「任せておけ、但し最低限の援護は頼む」

「当たり前じゃない」


ミミがそう答えるとフェルナはフッと笑い、倉庫を飛び出した。


フェルナたちが居る街のはるか上空にある人物が居た。


「さて、どれだけ強くなったか、お手並み拝見といこうか」



フェルナは神虫の真ん中に入り込み、紅月でなぎ払った。

するとその周りの1~2匹は死んだが、それ以外は傷1つ付かなかった。


「さすがに普通の状態では無理か、ならば・・・」


と、紅月を天に掲げた。すると紅月は炎を纏い、刀身も紅くなった。


「これが火炎の剣か。では1発目、そ~れ」


と、神虫に向かって火炎の剣を振った。

すると、斬撃は炎を纏い、神虫を襲った。

神虫は爆発した。

しかし、これもまた1~2匹くらいしか死ななかった。

これを見て、さすがのフェルナも驚きを隠せなかった。ここから神虫の逆襲が始まった。


街の中で用意をしていたミミはそわそわして落ち着きがなかった。

そこに1人の部下が報告に来た。


「ミミ様、古代兵士の用意が完了しました。あとはミミ様の号令1つで動けます」


ミミは、その報告を聞き終わるとすぐに


「全員、出撃!目標は街の外周部にいる神虫!!」


と号令をかけた。

古代兵士は全部出撃した。

ミミも自分の古代武器を持って向かった。

愛する者のいる、地獄のような最悪の戦場へと。


神虫は自分の頭上に炎の弾をつくり、それをフェルナへと放った。

それをフェルナは2~3発は避けたが、残りは避けきれず、直撃してしまった。


「くそっ、これはかなりやばいな」


すると次は上から何か触手みたいなのが降ってきて、フェルナを捕まえて、拘束した。

それがまるで的のように神虫たちはまた炎弾をつくってフェルナに放った。

フェルナは為す術なく炎弾をもろに喰らい、倒れてしまった。


ミミはフェルナが倒れたところを見て、涙を流していた。

今はそんな場合じゃないと分かっていながらも泣かずにはいられなかった。

しかし、すぐに悲しみは怒りへと変わった。


「絶対に、絶対に許さない。消えてしまえ!!」


ミミはそう叫ぶと魔力を開放し、渾身の『プロミネンス』を数発、神虫に放った。

しかし、くらうはずもなく、神虫たちを怒らしただけだった。


フェルナは考えていた。このまま死ぬか、それとも生きるか。


(もう死んでもいいか。俺の存在意義なんて無いに等しいからな)


そう考え、永遠の眠りにつこうとしたとき、どこからか声がした。


「そうかしら。少なくとも私はそうは思わないわ」

「誰だ?」

「私はあなたが忘れた存在。名を・・・」


そこでフェルナは何か思い出した。この、魔剣『紅月』を見つけたときのことを・・・

それは、7年前のこと・・・。

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