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推しが鬼ヶ島に攫われたので、美少女三人と鬼ヶ島を壊滅させてきました   〜歪曲 桃太郎〜

作者: はひなひは
掲載日:2026/03/13

前作を大幅に改稿し、タイトルも一新して再投稿しました!ぜひ最後まで駆け抜けてください!

 ※この物語はフィクションです。

 ただ、鬼ヶ島はちゃんと壊滅させて来ましたよ!



 バンッ!その日は珍しく、まだ朝十時なのに私の楽園(自室)の扉が勢いよく開かれた。


「た、大変じゃあ!もも子ぉ!」


 おじいちゃんが来る時は、決まって“彼関連“だ。


 私は一瞬で頭を覚醒させて、飛び起きた。


「“金銀財宝“君に何かあったの!?おじいちゃん!!」


「そ、そうじゃ!キンキンキラキラ君がの!」

「キンギンザイホウ君だよ、おじいちゃん」



「攫われたそうじゃ!!」



「……え?」


 私は、財宝君を推す事だけを楽しみにして生きている。財宝君を推せない世界なんて考えられない。

 

 目の前が真っ暗になり、そのまま意識を失った……、かと思ったが、踏みとどまった。


(意識を飛ばしてる場合ではないよ!私!!)


「おじいちゃん、取り敢えず、詳しく教えて……」

 



 

 リビングへ移動すると、おばあちゃんが朝食を作ってくれていた。


「おはよ。おばあちゃん」


「おはよう。なんぞ大変な事になったみたいね〜、キンキン君」

「キンギン君だよ、おばあちゃん」



 テレビで流れてる速報とおじいちゃんの話によると、


「”鬼が島組”……、そんなヤバい組織に……」


 ”鬼ヶ島組”は”鬼族”の末裔で構成された武装集団。大陸国家も手を出せないようなゴリゴリのブラック組織だ。


「財宝君がブラック労働させられて、過労死しちゃう……」


(鬼が島組は、大陸最高のアイドルの財宝君と独占契約しただけなんて言ってるけど、絶対に使い潰すつもりだ)


 報道ベースでも同じ様な事例が、数多くあったのだ。


(今の日和った政府や国家警察に、彼を救えるとは思えない……)


 おばあちゃんが作ってくれた朝ご飯を食べ終えた時、私は決意した。



「おじいちゃん、おばあちゃん、私……、財宝君を助けに行くよ」



 二人は驚き、私を見る。


 おじいちゃんは涙を目に溜めて、

「……もも子が、やっと外に出る気になってくれたよ、ばあさん」

 

 おばあちゃんも涙を目に溜めて、

「……本当に偉いよ、もも子。よく家から外に出る決意をしたね」

 

「…………ん?そっち?」


 思い返せば……、孤児院から引き取られてからずっと、家の中から出てなかったかもしれない。少なくとも記憶の中には……無い。


 別にトラウマとかで出なかった訳ではなく、単純に家での生活が快適過ぎて、出る必要が無かっただけだったんだけど……。


(まぁ二人も喜んでるし、良しとしよっかな)



 ★★★ ★★★ ★★★

 

 私は自室に戻り、どうやって助けようか考える。


「”能力”は使うにしても……、やっぱり一人じゃ難しいよね……」


 二人にも秘密にしていたが、私は生まれつき“三つの能力“を持っていた。


 この世界で稀に生まれてくる”能力持ち”。私はそんなレアキャラだったのだ。


「まずは志を共に出来る仲間を探さなくっちゃ」


 パソコンの前に座り、”財宝君を助けたい”と強く想いながら能力を発動する。



『きび団子をあげる』


 

 パソコンの画面に三つのメールアドレスが浮かび上がり、更にYESとNOの選択肢も出てきた。


 同時に、おばあちゃんから貰って大切にしていた秘蔵の財宝君グッズが三つ、部屋の方々から集まって淡い光に包まれながら浮かんでいた。


(ええ~~!?あれと、それと、これもかぁ……。でも……、財宝君を助けるため!!)


 私は涙を飲んで……、


「……ダメ……、手が震える……」


 画面を押そうとして震える手を、もう片方の手で抑えて、“YES“をクリックする。

 

 瞬間――秘蔵のグッズが消え、メールが送信された。


(……さようなら、私の宝物たち……)


「おばあちゃん……もらっだ……だいじな、もの……っ」


 メールの返信が来るまで、私は一人ずっと泣き腫らしていた。



 ★★★ ★★★ ★★★


 『きび団子をあげる』で送ったメールにも反応があり、何度かやり取りをした。


 私と仲間三人は、日時を調整して鬼ヶ島近くのカフェで落ち合う事となった。



 そして、決戦の日――


「もも子がせっかく外出するんだ。ばあさんと服や靴を買って来たぞ」


 可愛い白いワンピースに白いスニーカーをもらった。動きやすいように、レギンスも履いていく。


「もも子、髪を編んであげるよ」

 おばあちゃんが私の黒髪を、後ろで可愛く編み込んでくれる。


「おばあちゃんからはこれよ。可愛いもも子にぴったり」


 私の瞳の色であり、推し色であるピンクの髪留めも付けてくれる。


 二人は可愛い可愛いと、私の事をとても褒めてくれた。


「ありがとう、二人とも。もも子は必ずやり遂げて帰ってくるね!」


「ああ、期待して待っちょるよ。変な男が声かけて来ても相手しちゃならんぞ!」


「気をつけて行って来なさい。御夕飯はもも子の好きな手巻き寿司にするわよ」


「行ってきます!!」


(何か二人はちょっとそこまで的な雰囲気だったけど、まあ心配かけるより良いか。おばあちゃんの手巻き寿司楽しみだなぁ)


 こうして、もも子は鬼ヶ島へ旅立ったのでした。



 ★★★ ★★★ ★★★


 集合場所のカフェに着くと、三人の美少女がナンパされていた……。


「だからっ!僕たちは忙しいの!あっち行ってよ!」

 

 明るい茶髪ショートで茶色の瞳の可愛い子が、男共に怒っている。


「怒った顔も可愛いねぇ~。いいから遊ぼうよ~」


「ハァ、ダメね話が通じないわこいつら。無視してもも子ちゃん待ちましょ」


 金髪セミロングをサイドテールにしたギャルっぽい印象の可愛い子が言う。


「そんな事言わないでよ~。君も超可愛いけど、俺的にはこっちの茶髪の子の方が育ちが良くて好きだけどさ~」


 イケメンっぽいけど鼻の下を伸ばしていて、台無しな感じの男が言った。


「ハアッ!?死なすわよっ!?」


「あわわわわ。どうしましょうぉ~」


 深緑髪ロングを両側で纏めたローツインの可愛いメガネッ子が慌てている。


 そんなメガネっ子が私と目が合った。


「「あ……」」


(仮にも私は今回の討伐のリーダー。私がなんとかしなきゃよね)



 私はズンズンとナンパグループへ近づいていく。私を見て全員が驚いた顔をしていた。

 

 相手は高身長なイケメン集団なので、下から覗き込む感じになってしまった。


 私は一生懸命に”目で訴える”――


(私達は忙しいのです。察して退いて下さい。引きニートの私が、まともに対応出来る訳がないでしょ!?)


 結果、上目遣いでジーっと見てくる絶世美少女にたじろいだイケメン達は、赤面して逃げて行った……。


(おじいちゃん。私、勝ちました……)



「……ふ~。悪は去りました」


「えーと?もも子ちゃん?」


「はい。もも子です。いぬ子ちゃん、さる子ちゃん、きじ子ちゃんで間違いないよね?」


「うん!助けてくれてありがとね!僕もう少しで、ぶっ飛ばすとこだったよ~」


 良い笑顔で言う、茶髪巨乳のいぬ子ちゃん。(めっちゃ揺れてる……)


「アタシも吹き飛ばすとこだったわ!よろしくね、ももちー」


 胸の事を言われて切れていた、さる子ちゃん。(私は好きだよ!そのサイズ感!)


「もっと早く助けて下さいよ~」


 私がちょっと観察していた事に気付いた、きじ子ちゃん。(それは言わない約束だよ~)


「みんな可愛いから絡まれちゃったんだね~」


 三人ともめっちゃ美少女だったので正直な感想を言ってみる。


「「「いやいやいや、もも子ちゃんに可愛いって言われても……」」」


 なんか息ピッタリ~。


「なんにせよ、今日はよろしくね!」



 私たちは、さっそく作戦会議を開始しました。


「みんなの”能力”も強力だね。私は最後に”あの能力”を使う予定だから、だいぶ無茶出来るよと、言っておくよ」


「そだね、ももちの”それ”があれば、いろいろと出来そうだわ」


「……僕も覚悟はあるつもり。”それ”があるなら”能力”も全開で使えるね」


「わたしも、心を闇落ちさせます……」


 みんなの覚悟は受け取った。


「私たちの目的は一つだね」


 ”金銀財宝”君を救う事。……たとえ、どんな手段を使ったとしても!!



「じゃ、アタシが作戦を纏めていくよ。いろいろと意見を言って」


 さる子ちゃんがノートPCを取りだし、みんなの”能力”を踏まえて結構強引な作戦を、テキパキと立案し具体化していく。

(この娘、ただのギャルじゃなかった……)


 失礼なもも子であった。



 こうして私達の救出作戦は決まった。いざ、鬼が島へ!!



★★★ ★★★ ★★★


 鬼が島までは定期便が出ているので、それに乗船する。


 そう、鬼が島は誰でも行ける観光スポットであった。何気に海鮮丼が美味しいと有名だ。しかし、島の中心部は”鬼ヶ島組”の私有地になっており、入れないのだ。


 私達は森の中の『私有地につき立ち入り禁止』看板の前に立っていた。

 遠くに”鬼が島城”が見える。財宝君はきっとあの中だ……。


「そこら中に、監視カメラもあるみたい」

 

 木々でよく確認出来ないが、沢山あるようだ。さる子ちゃんのノートPCすごいな、ん?さる子ちゃん”が”すごいのか?


「まず、わたしが確認します。みんな、リンクしますね」


『わたしが視てきます』


 きじ子ちゃんの能力が発動した。


 脳内にマップイメージが直接流れ込んでくる。


(まるで上空から見渡したようにクリア……。判りやすいように鬼さんは赤く光ってる)


「……すごいわねきじちー。今ルートを決めるわ、ちょっと待ってちょーだい」


 さる子ちゃんがイメージ情報から安全なルートを探りつつ、監視カメラのハッキングまでしている。


(さる子ちゃんもすごい……)


「っ!何者かがこっちに向かってくるよ!」


 いぬ子ちゃんが警戒を促す。マップ上でもこちらに向かう赤点が見えた。私たちは、すぐ近くの木に隠れる。


 暫くすると、三名の黒服を着た黒鬼が来て、キョロキョロと周りを見た。


「”鬼の直感”が働いた気がしたんだが……、気のせいか?」


「昨日飲み過ぎてバグってんじゃねーか?」


「お前は小心者だもんな~」


「ちっ!」


 他二人にバカにされ、三人はまた巡回に戻って行った。


(……”鬼の直感”、面倒な能力ですね)


「……さっきの能力込みでルートを再設定する。ハッキングは完了っと!もうカメラは気にしなくてダイジョブよ」


 それでも直ぐに最短ルートを設定、私達は静かに”鬼が島城”へ近づいて行った。



★★★ ★★★ ★★★


『鬼が島城』の直ぐそばの木々に隠れて最終確認をする。


「まず、アタシの能力で堀を越える」


「次に、僕の能力で橋を落とす」


「そしたらみんなで突入だね」


「わたしは周辺監視と、後から戻ってくる黒服達の対処ですね……」


 みんなで見つめ合い、心を一つにする。 


 小声で、「「「「財宝君を救うぞ!おー!」」」」



「みんなアタシに捕まって」


 それぞれが、さる子ちゃんに掴まる。


「おいお前ら、なぜそこを掴む?」


 さる子ちゃんは顔を赤くして抗議する。


「いぬはなんで頭の上に手を置くんだよ!」

「……ちょうど良い高さだったから?」

「ちっ!」


「きじちーはなぜに腰に抱きつく?」

「……怖いから?」

「ハァ~」


「そして、ももちー。……なぜに胸を揉む?」

「可愛くって、つい?」

「ちいっ!!」


 後で覚えてろと言いつつ、そのまま能力を発動する。


『アタシは把握した』


 ーー瞬間。景色が切り替わり、城の門前を守る黒服達の間に、私達は出現する。



 驚く黒服達が声を出す間もなく、私達は動き出す。


『想いを力に』 『切り裂く』


 私といぬ子ちゃんが同時に能力を発動する。


 人を超越した動きで私は二人の黒服の意識を一瞬で刈り取る。


 いぬ子ちゃんも、橋をたぶんすごく大きな不可視の爪で切り裂いて落とした。


「行くよ!みんな!」



★★★ ★★★ ★★★


≪きじ子視点≫

 さる子さんに高台へ転移させてもらい、わたしはマップを最大限まで拡げて待っていた。


「……誰も、ここを通しません!!」


 わたしのもう一つの能力を発動する。


『ツッツキます』


 わたしの手にスナイパーライフルが現れる。そして、メガネの効き目側が望遠レンズになる。わたしは伏せて、ライフルを構え準備をした。


「……狙い撃ちます」


 橋が落ちた音を聞きつけて、城を目指す赤点が多数。


 

 黒服達は異変を察知して城へ向かって走っていた。


「何事だ!?」

「わかりません!」

「とにかく!城にもどっ」 ドサッ

 一人の黒服が倒れる。


「どうした!?」

「っ!頭が打ち抜かれてます!」

「なに!?総員!気をつけろ!そげっ」 ドサッ


「っ!!」

 周りの仲間が一人、また一人と倒れていく……。


「”鬼の直感”が告げている……次はおれ?」 ドサッ



「わたしの攻撃は無音で穿つだけ……。直感だろうと、避けられませんよ」


 周辺から集まってくる黒服は、次々と倒れていった。



★★★ ★★★ ★★★


≪さる子視点≫

 アタシの『アタシは把握した』は空間能力だ。


 アタシは壊れた橋の欠片を触った。


(座標確認、飛べ!)


 アタシの触っていた欠片が、門の中心に出現した。


 バキバキバキ!と甲高い音がして門が壊れる。


 物も任意の座標に転移させることが出来るのだ。


「何事だああ!!」「敵襲かああ!!」「どこの組だああ!!」


 怒号を上げて黒服達がこっちに向かって来る。


 アタシは切り裂かれた橋のこっち側に触れ、飛ばす。……黒服達の頭の上に。


 ドドドオオオ!!!!


 轟音が響きわたる。ものすごい砂煙だが、最初の敵は圧し潰せたようだ。


「アタシあんま派手なの好きじゃないんだよね~」


 呟きを聞いて、ももちーが驚いた顔でこっちを見てきた。



★★★ ★★★ ★★★


≪いぬ子視点≫

 すごい砂埃だ、鼻が利く僕には辛い。さるのやつ、分かっててやったのか!?


「僕がまず行くよ!!」


 鬼とは違うが、僕も直感は鋭い。砂埃の中に突っ込み、残存している敵を『切り裂く』で切り裂いていく。城の中はさっきのでボロボロだけど、上に昇る階段は正面にあった。


「一気に行こう!」


 奥の方や上の階からも、沢山の黒服が出てくる。

 奥の方から出て来た鬼の中に、僕の直感がヤバいと知らせる相手がいたけど……。


「ここはアタシが死守するわ!アンタ達は行きなさい!」


(さるの癖に生意気な!……でも、感謝するよ!)


「もも子ちゃん!行こう!」

「うん!」


 二人で上の階へ黒服を蹂躙しながら昇る、昇る。天守閣を目指して上がり、大きな広間に出た。


「やっと来たな……、侵入者」


 明らかに他の鬼と、格が違う気がする。


「もも子ちゃん、ここは僕が何とかするよ。行って!」


「うん。任せたよ、いぬ子ちゃん!」


 その鬼は、すんなりともも子ちゃんを行かせる。


「……止めなくて、良かったの?」


「お前を〇してから追いかけるさ」


「僕は負けない!」


 僕は大幹部”青鬼”との戦闘に入った。



★★★ ★★★ ★★★


(みんなが繋いでくれた財宝君への道と時間を、無駄にはしないよ)

 

 私はそんな事を考えながら最上階に辿り着いた。そこには大きなデスクに座る、ガチムチマッチョの大男、”赤鬼”が居た。


「てめえか、俺の島で好き勝手してんのはよ?」


 ものすごい威圧感だ……、『想いを力に』を発動していなかったら、謝って帰っていただろう……。そのくらい怖いオーラを出している。


「……”金銀財宝”君は、どこ?」


「ん?あの男のファンかよ。こんな所まで来て、バカじゃねーのか?」


「財宝君が……私の全てなんだ。私たちには、彼が必要なのよ!!」


 私は赤鬼を睨みつける。


「いいねぇ、いい眼になった。美人に睨まれるのは、ご褒美ってしってるかぁ?」


「……私達の”想い”を、バカにしないで!!」


 私は赤鬼に突っ込んで行った。



★★★ ★★★ ★★★


≪きじ子視点≫

(……ちょっと不味いですね)


 狙撃で確実に黒服を減らしている……が、


「数が多い……」


 どこから出てくるんだろうと思う位に、多数の黒服が迫ってくる。初めは対処が間に合ったけど……、このままだと数で圧倒されてしまう。


 だんだんと黒服達が接近してきており、視認できる所までちらほらと迫って来ていた。


「あそこだ!撃て撃て~~!!」


(まずい、見つかった……)


 まだ距離があるので、時々敵の弾丸が近くに当たるだけだが……。


「…………」


 マシンガンが正確に当たる位置まで来たら、詰みだ。数の暴力でわたしはハチの巣になるでしょう。どんどんと被弾位置がわたしに近づいて来ている……。


 わたしは高台の陰に隠れ、マップを最大広域にして確認する。


(これ以上の増援は……ない?)


 マップの外縁には赤点が見えなくなった。もう、身体を隠してないといけないくらいの弾幕が来ていた。いつまでこの高台がもってくれるのか。


「……最終奥義の使い時ですかね」


 能力に意識を集中する。


(これを使ったら、わたしはもう今日は能力が使えなくなってしまいますが……)


「やります!」


 

 二つの能力の合わせ技『わたしが視ているものをツッツきます』


 

 マップに表示されている赤点を全てロックオン。


 ーー能力を放つ。



 次の瞬間、さっきまでの音は消えて静寂が戻った。


 城の外のマップの赤点はゼロ。


「あとは任せました……」

 

 みんなの事を信じて、わたしは意識を手放したーー



★★★ ★★★ ★★★


≪さる子視点≫

 ワラワラと出てくる黒服の攻撃を転移で避けつつ、散らばった物等を転移させて倒していく。

(くぅ~、アタシでも演算が大変になってきた~)

 転移には超高度の演算が必要だった。逆に能力で底上げされた演算能力があるから転移が使えるとも言えた。


「散開しろー!!大きいの落とされるぞ!」


(ちっ!余計なことを!)


 黒服達は散開して、広範囲にお互いの距離を取りつつ銃で遠距離攻撃をしてくるのだ。

 

 アタシは思わず柱に隠れる。足が止まれば弾幕が激しく迫ってくる。


(ああっ!もうっ!これは使いたくなかったのに!)


 アタシはカバンに入れてあった大量のコインを掴む。


 次の瞬間、大量のコインが消えた。 そして、銃撃も止まる。


 バタバタバタバタ…………。


 黒服達は、胸元を押さえる様な姿勢で、苦悶の表情をして倒れていた。


 「…………ちっ」


(この技、後味が悪いって分かってたけど。気分は最悪ね……)


 チュインッ! 佇んでいたアタシの頬を、銃弾が掠っていく。


 「っ!!」

 慌てて柱に隠れ、確認する。


「ちっ!外してしまったぞい」


 全体的に丸い大柄な男が立っていた。戦闘部隊長の”黄鬼”だ。


(まだ、幹部が残ってたんだね。アイツにはアタシのコイン転移が効かなかった?)


「我の能力は『拒絶』。貴様の転移攻撃は効かんぞ?」


(……能力、教えてくれるんだぁ。じゃあ試しに)


 室内限界の高さから割れた壁片を投下してみるが……。


 ガキンッ! 「っ!あぶな!」 コンッ 


(防がれたけど……、攻略法が見えたかも)


「無駄だと言っておろうに!」


(おそらく……、黄鬼の能力は自分にとって危険な攻撃に対してのみの自動反応。さっき投下と一緒に軽く投げた小石は当たったもんね)


「……降参よ」

 アタシは両手を挙げて壁から姿を現す。意図的に少し衣服を崩しておく。


「良い判断だ……ほぉ」

(想像通りだけど……、嫌な目で見てくるわね)


「……そうだな、お前には、なんでこんな事をしたのか。……じっくり聞かなくてはなぁ」

 黄鬼は醜悪な顔をしたままアタシに近づいて来て、”肩に触れた”。


「お前を〇しに来ただけよ」


 ーー瞬間、二人が見ていた景色が変わる。


「っ!!!!」


 アタシ達は”鬼が島城”の遥か上空に居た。そして、もう一度転移し更に上空へ。


「バカめっ!!我は!!こんな高度から落ちたとて無傷じゃあああ!!」


 黄鬼は勝ち誇って言っており、バカなのか……、まだアタシに触れている。


「……知ってるわよ」

「……え?」



 今度は黄鬼だけを飛ばす。


 やっと座標確認ができた宇宙空間へ――


「さよなら」


 その後、黄鬼を見たものは居ない。いつまで宇宙空間を”拒絶”できるのか……。



 アタシも限界だった。眩暈はするし鼻血も出てきた。そんな状態で地上に向けて落下中だ。


「最後よおおお!踏ん張れアタシ~~~!!」


 転移!!


 なんとか、さっきまで居た部屋に転移出来た……。


「……ダメ、目が回る……、気持ち悪い……あんた達頼むわ、よ……」


 アタシはそのまま意識を失ったーー



★★★ ★★★ ★★★


≪いぬ子視点≫

 青鬼は高身長で痩せていて、着物を着崩しており、簡単に折れてしまいそうな見た目をしていた。

 

 そんな見た目だが、静かに刀を構えると……。


(……隙が、無い)


 静かな殺気が、僕を捉えている。


「貴様も斬撃を使うんだろう?」


「観てたんだ、下の様子を……」


(ネタがバレたって、やる事は一緒!!)


 僕は踏み込み爪を振るう。


 青鬼も踏み込み刀を一閃。


 ――空間が裂ける。


 不可視の斬撃同士が噛み合う。壁が抉れ、天井が崩れる。


 ギィンッ!! 刀と爪が交錯。互いの肩、脇腹、腿に赤い線が走る。


 二人を中心に不可視の斬撃が、激しい余波を辺りに散らしていく。


「良いぞ、良い、どこまで私について来れるかなぁ!!」


 青鬼の刃が更に速く激しく、確実に急所へ寄ってくる。


(押されて……、たまるかああああ!!)


 僕は両手で斬撃を繰り出し始めながら前進する。

 全力で踏み込む。


 ――瞬間、切り裂いた。


 青鬼の太腿を半分断つ。 体勢が崩れる。 良し、勝てる。

 そう思った瞬間、


 ――パンッ


 腹に衝撃。 遅れて熱。


(……え?)


 青鬼は片手に小型銃。


「勝てば良い。私は鬼だからな……」


(身体に力が入らない……)


 膝が落ちる。 視界が揺れる。


 青鬼が近づいてきた。刀を振り上げる。


(……まだ)


 負けられない。 もも子ちゃんが、上で戦ってる。 きじ子も、さる子も。



 奴を睨み、口を大きく開き……


(奥の手『噛み付く』)


 ――閉じた。

 


 不可視の顎が青鬼の上半身を噛み砕く。


 ――ガチンッ!!


 鋭い切断音。



 青鬼の肉や骨を噛み砕く感覚が……、自分の顎でやったみたいに、返ってくる。


「……っ……!!」


 吐瀉。 胃が反転する。 視界が滲む。


 青鬼の上半身は無くなっていた。


 残った下半身から血が吹き出し、崩れ落ちる。


(だから……使いたくなかった)


 能力によるフィードバック――


 爪や手は痛くなるだけ、噛み砕く行為。


 人を“喰らう”感覚。


「……みんな、ごめん」


 身体が冷たくなってくる感覚……、誰にか分からない謝罪が漏れる。


 血と鉄の匂いの中、いぬ子はその場に崩れ落ちた。



★★★ ★★★ ★★★


 私の『想いを力に』は、推しである財宝君を想う気持ちが力になる能力。


(も、もちろん彼を推す気持ちはいつでも100%だけど!)


 実際、現在の私は70%ぐらいの出力しか出ていない。


「これでもっ!人を超越した出力が出てるんだけどっ!!」


 全力で殴っているが、赤鬼のマッスルガードは崩せていなかった。


「お前の力はこの程度かあああ!!」


 ドガアァァン!!!!


 赤鬼の一撃で床にクレーターが出来る。


 すごく強力な一撃。まともには受けられない。


(このままじゃ、ジリ貧だよ……)


「オラオラオラ!!」


 致命の一撃を、まるで豪雨の如く打ち込んでくる。


「にょおおおおお!!」


 避けるのに必死で、変な声が出てしまった。


(こんな声出したのは、おばあちゃんにサプライズで財宝君グッズもらった時以来だよ!恥ずかしい)


 赤鬼の猛攻で、部屋はズタボロになった。


「お前のせいで、俺の部屋がボロボロじゃねーか!馬鹿野郎が!」


(自分でやったくせに、なんて理不尽!……なんて声に出して言うメンタル無いけどね)


「……言うじゃねーか。小娘がよぉ」


 言えてたー。私は自分にビックリした。


 赤鬼の全身が怒りで紅く染まり始め、身体中から湯気が立ち始める。


 筋肉もビキビキとすごい音で膨張する。


「俺の本気を見せてやるぜ……」


 赤鬼はその場で腰を落とし、正拳突きの姿勢になる。


 ――瞬間、今までで一番自身の警鐘が響く。


(これ、たぶんヤバい!)


「……セイッ!!」 拳を突き出す。


 ドガーーーン!!!!


 私が立っていた後ろの壁が、一面吹き飛んだ。

 

(……あっぶな!!)

 何とか避けたけど、冷や汗ものだった。


「……避けたか。次は今の力をこの拳に集約させて、直接お前に叩き込んでやる」


 赤鬼の拳から恐ろしい程の圧力を感じた。


(……どうしよう)


「トドメだあああああああ!!」



 赤鬼最恐の一撃が迫る……その時!!


「すいませーん。うるさくて作曲出来ないんすけどー」

 

 天守閣から、彼が、『金銀財宝』君が現れた。


 

 瞬間――時間が無限とも思えるくらに引き延ばされる――

 

 

 そのお姿はキラキラと輝いて見える――


 「……ああっ……神はいた……」


 

 彼を生で見た瞬間、私の『想いを力に』は


 限界を超えた――



「よそ見とは良い度胸だ!!死ねやああ!!」

「うるさい」


 私が軽く叩き込むと、音の壁を超えて赤鬼だったものを吹き飛ばした。


 空から深紅の雨が降ってきて、私の白いワンピースは紅く染まってしまった……。




「財宝君!だ、だ、だい、じょう、ぶ、ですか?」


 彼の元へ行き、無事を確認しようとするが、


「ひっ!」 パタリ。


 全身血塗れの美少女が笑顔で近づいた結果、彼は失神してしまった。


「財宝くーーーーん!!」



★★★ ★★★ ★★★


 みんなもギリギリだったみたいで、財宝君を担いで降りて来た私はビックリした。特にいぬ子ちゃんは生死の境に居そうでヤバい。


「急がなきゃ!」


 私はみんなを何とか担いで、死屍累々の城内、城外、森の中を駆け抜けていく。


 騒然としていた観光地で悲鳴を上げられたり、警官に呼び止められるが全て無視して駆け抜ける。


 やがて誰も居ない路地裏まで来た私は……。


 

 三つ目、最後の能力を使う――



『これは、フィクションです』



 指を弾くと眩い光が音と共に拡がっていく――


 そして、世界改変が拡がっていった。



 まず、私のワンピースは真っ白に。


 みんなの傷は癒え、いぬ子ちゃんの顔色も戻った。



 私を追いかけていた警官隊は、何を追いかけていたのか忘れた。



 鬼ヶ島で死亡した黒服達、青鬼、赤鬼は何故自分達が倒れていたか分からないと、困惑した。



 しかし、財宝君はここに居て、鬼ヶ島で壊れた城は壊れたままだった。



 意味も分からないまま、多大な損失を受けた『鬼ヶ島組』は、これから衰退していく。


 

 そして私達は、無事に鬼退治をして、金銀財宝を持ち帰り、楽園(自室)で幸せに暮らしましたとさ。





(違った違った!)



 仲間(友達)が出来た私達は、“前より“幸せに暮らしましたとさ。 ちゃんちゃん♩


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