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第7話 村人B、封鋼刃ミュリアを鍛え直す

 「そういや、クラウス。おまえミュリアは知ってるだろ?」


 クラウスが目を見開く。


「まさか、“封鋼刃ミュリア”か? お前が三代前の勇者に作った、あの……?」


 ロウはうなずく。


「今じゃ見る影もないがな。……だけど」


 彼は静かに、鍛冶台にそれを置く。


「直せる。いや、鍛え直してやるさ。そして……俺はな、クラウス。そろそろ“あれ”を回収しに行くつもりだ。」


 その言葉に、クラウスが表情を引き締める。


「……本気か?」


「ああ。やっぱり“神滅装”を、このままにしておくわけにはいかない。そして封印場所を思い出したんだよ。」


「本当か?」


「あぁ。間違いない。"あの場所だ"」


**********


 鍛冶場に、再び火が入った。


 ロウの動きは一分の無駄もない。溶けた金属、走る魔力、刻まれる精密な魔紋。すべてが過去の神技を思わせる所作だった。


 夜が明ける頃、火床の炎が一際大きくうねる。


 そして——。


「できた。」


 ロウが手渡した剣は、以前のミュリアとはまったく違っていた。


 透き通るような蒼銀の刃に、封印術式を象るルーンが細やかに浮かび上がる。柄には新たな刻印。魔力が自然と集まり、持つ者に馴染むように反応する。


「これが……」


「封鋼刃ミュリア・リビルド。お前専用に最適化してある。」


 エリナがそっと握ると、刃が微かに共鳴した。


「……ありがとうございます、ロウさん。」


「礼は、こいつで誰かを守ってからにしな。」


 クラウスが口笛を吹く。


「やっぱりお前の鍛冶は異常だな。勇者の時代が一人歩きしてた理由、今さら納得したよ。」


 ロウは鍛冶道具を片付けながら、ふと口を開いた。


「それじゃあ、クラウス。行くぞ、"あの場所"へ」


「ロウ……やっぱり行くんだな?」


 ロウの眼差しは真っ直ぐだった。その雰囲気が伝播した。

 そして——。


「私も行きます。」


 エリナがミュリア・リビルドを携え、はっきりと言った。


**********


こうして三人の旅路が始まる。


目指すは、かつてロウが最も恐れた“自身の最高傑作”が眠る場所——《終焉ノ坩堝{エンド・クルーシブル}》へ。

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