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第5話 村人B、勇者との再会に火花が散る

「――おい、ここに“ロウ・スミス”って鍛冶屋いないか?」


 山奥の村、その鍛冶工房に不釣り合いな鋭い声が響いた。


 戸を乱暴に開けて入ってきたのは、赤いロングコートを羽織った男。腰には鞘ごとでも脅威となる重厚な大剣、顔にはやけに気合いの入ったサングラス。


 ロウは火の調整をしながら顔も上げずに呟いた。


「……その場違いなオーラ、クラウスしかいないな」


「よう、やっぱりお前か。“伝説の鍛冶師様”」


 男――クラウスはにやりと笑い、ロウの目の前までズカズカと歩いてきた。


 元・勇者。

 かつて世界を救った英雄のひとり。だが、ロウの作った装備の前に自信も武器も打ち砕かれた哀しき過去を持つ男である。


「勇者やってたお前が、どうしてこんな山奥まで?」


「いやもう、勇者引退してからこっちは楽しくやってるさ。……が、それどころじゃねぇって話を聞いてな」


 クラウスが懐から取り出したのは、一枚の古びた紙。中央には、禍々しい漆黒の剣が描かれていた。


「“魔王の剣”だ。封印が緩んでる。お前の作った《神滅装{カラミティギア}》がないと抑えきれねぇかもしれん」


「……随分と懐かしい名前を出すな」


 神滅装――ロウが過去に作り上げた“世界終焉用の装備群”。それを知っている者は限られている。


 エリナが恐る恐る口を挟む。


「あの、すみません……この人って、本当に勇者だったんですか?」


「ん? ああ、俺の名はクラウス・ヴァルト。元・選定勇者、今・お節介屋。よろしくな、ちびっこ剣士」


「ち、ちびっこ!?」


「お前、弟子にしたのか? 目は確かなんだな」


「放っておけ。お前だって最初は“ただの村の猟師”だったろ」


「う……それはそうだが……!」


 二人の会話はどこか漫才めいていて、だがその空気にはどこか信頼と、深い歴史の重みがあった。


 やがてロウが真顔になる。


「クラウス。お前がここに来たってことは、“世界”がまた動き始めたってことだろ」


「……ああ。勇者の剣が沈黙した。王国は新たな選定を急いでる。だけどな、ロウ――今の世界には、“本物の武器”を扱える奴がいないんだ」


 クラウスの言葉に、ロウはふっと目を細める。


「なら、作るしかねぇな。“使える奴”も、“使うための武器”も」


「……やっぱお前がいないと始まらねぇよ、世界は」


 ロウ・スミス、伝説の鍛冶師。

 クラウス・ヴァルト、元勇者。


 かつて交わった二人の道が、再び交差しようとしていた。

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