表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

プロローグ 「火を継ぐ者」

――遥か昔。


世界は、未だ混沌に満ちていた。

神と魔が刃を交え、地は裂け、空は燃え、命は灰になった。


その争いを終わらせたのは、一振りの剣だった。


「熾火{しび}よ。すべてを喰らえ――」


真紅の炎とともに打たれたそれは、神の加護すら貫き、魔の呪いすら焼き尽くした。

やがてその剣は、世界の均衡を保つ“鍵”として封印され――

そして、鍛えた者の名もまた、歴史の彼方へと消えていった。


人は言う。

伝説は、語られた時点で終わりだと。


けれど、それは本当だろうか?


もしもその“伝説”の継承者が、今も生きていたとしたら。

何食わぬ顔で、山奥の村でのんびり暮らしていたとしたら――


**********


「んー……今日の火は、ご機嫌ななめか?」


木の枝を足でくくり、炉にくべながら、男がぼやく。

がらんとした鍛冶場に、薪のはぜる音だけが響いていた。


煤けた前掛け。火に焼けた腕。年季の入った炉と、整然と並べられた工具の数々。

それらすべてを扱い、黙々と金属を鍛える青年――


彼の名は、ロウ・スミス。


年齢不詳、職業・鍛冶屋。

この辺りの村では「村人B」なんて妙なあだ名で呼ばれている、ごく平凡(に見える)青年だ。


今日も彼は、ひたすらに鉄を打つ。


理由? 特にない。

暇だから。炎が好きだから。何より――


「この程度、火遊びみたいなもんだしな」


鍛冶場に、カン、と乾いた音が響く。


火花の中で、金属が赤く光った。

それは、かつて神話に記された剣にさえ、匹敵する輝きだった。


だが彼は、その価値など意に介さない。

まるで“日課のように”、最強を作ってしまう。


知られていないだけで、

彼こそが世界でただ一人、**《創鋼の熾火{フォージフレイム}》**の継承者――


“最強を、作る者”だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ