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『愛してる』の比じゃない

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

人間不信が使う『信頼してる』。

これが迂闊にでもポロッと出たら、『愛してる』よりも重い言葉なんですよ。

付き合い初めて早数年、最初は余りに具体的な話をしてくれなかった彼女も今ではそれなりに自分の事を話してくれる様になった。

好きなもの、好きな場所、予定が空いているか聞いた時には予定表のスクショが送られてきた。『個人情報じゃない?』と聞いたら、『君のことは信頼してるから』とだけ返ってきた。

今日も予定が合った時に、彼女と共に純喫茶へと出掛けた。彼女は何時もと変わらず、多くは語らないままに此方を静かに冷し珈琲を頼んでちみちみやっている。

「この間のあれ、予定表見せて貰ったから、また会いたい。来週とか」

嫌がられるだろうか? この間も会ったのに、また会いたくないとか。けれども彼女はじっと此方を見て、薄い唇を開いた。

「別に良いけど。明日も空いてるしね」

そう言いながらストローで氷を突いている。何となくアンニュイで、興味のなさそうな反応に僅かに焦りを感じていると、また彼女の方から口を開く。

「君の事は信頼してるから」

ただ、それだけ。本当にそれだけ。


別に心が砕ける様な事があった訳ではない。でも人間の生々しい話を見聞きするうちに、現実を見る度に、本当の意味で信頼する事は不可能なのだと気付かされる。

陰口叩かれるのも、嘲笑れるのも、そんなの悲観する事じゃない。そんなのただの事実である。でも彼だけは、長い付き合いを得て、信用しても良いのではないかと思えてきた。

心の機敏が顔に出やすい。特に、目。よく揺れる。感受性が豊かなのだ。そして何より倫理観が真っ当で、自分の為でなく、誰かの為に怒れる様な人だった。

「君は最近『信頼』という言葉をよく使うね」

「『好き』とか、『愛してる』の方が良かった?」

本当に純粋だと思った。私が特段、人間不信ではなく、普通の人間だと思っているのならば、その言葉の方が意味を持つだろう。が、私は結構な人間不信である。長い付き合いであっても、本質的な部分は余り触らせないし、幾ら仲が良くても秘密にしているところは五万とある。

そんな私が使う『信頼してる』という事がどれ程の重い意味を持つか、彼は考えた事があるのだろうか?

「そうじゃなくて、あんまり……使うイメージ無かったから」

私は静かに溜息を着く。それから言葉を纏める為に、少し考え込んだ。

「……普通の人が使う『好き』だの『愛してる』よりも、人間不信が使う『信頼してる』の方が意味が重いの。前者は移ろうけど、後者は移ろわないから」

何時か本当の意味で、この言葉を理解して欲しい。言っとくけども少女漫画の王子様が吐く『愛してる』の比じゃないから。

あんまり人を信用出来ないお人が、『信頼してる』って言葉を言ったら、『愛してる』の比じゃないんですよ。

どの言葉よりも重たい意味を持ちます。


少女漫画とかって、主人公が危なくなったら駆けつけて来るんです。

それぐらいの事をしてあげる。

ずっと君の味方でいてあげる。

こいう意味を持ちます。


だから口説き文句としては、最上級だと思うんです。

『愛してる』の比じゃないんです。


追伸

銅マグのアイスコーヒーを見るとテンションが上がります。

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