9.シャーロットVS少年②
翌日から、ミーシャとフーパーにお尻を叩かれて孤児院の修復作業を手伝う事になったジョナスはどうにかシャーロットを孤児院から追い出したいと思っていた。
そこから本格的なシャーロットVSジョナスの妙な闘いが始まったのだった………
シャーロットは王宮からの助成金をどの様に使用するかを既に考案済みで考案書は父であるボブに預けていた。
その為、修復作業に取り掛かる段取りもしっかりと計画済だった。
子供達やミーシャの部屋、その他の部屋の机や椅子…ベッドなどは材料をシャーロットが自ら発注しておいたのでそれが届き次第皆で作ろうと考えていた。その他に必要な生地やすぐに必要な生活用品を購入する為に王都にある市場まで皆で出かけたのだった。
ジョナスとフーパー以外の子供達は賑わっている市場に来るのは初めての様で目を輝かせながら色々と見て回ったのだった。
「さぁ、皆自分がすぐに使わないといけない物をここで揃えましょうね!一先ず…すぐに必要な物は数枚の下着に洋服…それに靴…歯ブラシにタオル…食事をする為の自分用のお皿とコップにスプーンやフォーク…ね。布団やシーツなんかは大きい物だから最後に選びましょうね。大きい子達は小さい子達が選ぶのをお手伝いしてあげてね。私とミーシャさんもいるから何かあればすぐに何でも聞いてね。」
シャーロットが子供達へと伝えた。
「「はぁ〜い!!」」
子供達は笑顔で応えた。
「ジョナスとフーパーも自分の物を選んだら下の子たちの様子をちゃんと見てあげてね。よろしくね!」
シャーロットがジョナスとフーパーへとお願いした。
「分かったよ。任せておいて!」
フーパーは頷きながら応えた。
ジョナスは当たり前の様に無視をしたのだった。
「シャーロットさん…本当にすいません…。ジョナスのあの様な態度を…。」
ミーシャがジョナスの態度を見てシャーロットへと謝罪した。
「いいですよ。気にしないで下さい。私もまったく気にしてないので。むしろ、ミーシャさんとフーパーのお陰でジョナスが嫌々でもついてきてくれたので助かりました。布団など大きい物を運ぶには男手が必要なので。」
シャーロットは笑顔でミーシャへと言った。
(ジョナス程度の反抗期なんてまだ可愛らしいものだもんね。)
シャーロットは内心はそんな事を思っていた。
その後は、子供達は楽しそうに色んなお店を見ながら自分の物を選んでいた。
そんな子供達の姿を見てシャーロットは微笑んでいた。
(良かった…。子供達の笑顔が戻ってくれて…。やっぱり子供達は笑顔でなきゃね。ジョナス達を含めて皆月齢よりも細くて小さいからこれから沢山栄養のある物を食べさせてあげなきゃね。)
シャーロットは子供達を微笑ましく見ながらそんな事を思っていた。
ドンッ!!
「あっっ…!」
その時、シャーロットが転げそうになったので思わず声を漏らした。
「あっ、わりぃな。つい肩が当たったんだよ。」
ジョナスがニヤリと笑みを浮かべながらシャーロットへと言いながら店の物を見ていた。
ジョナスがわざと強めにシャーロットへとぶつかってきてシャーロットを転げさそうとしたのだった。
(そっちが…そういう態度ならとことん付き合ってやろうじゃないの…。)
ジョナスに対してシャーロットはニヤリと笑みを浮かべながら思った。
ドンッ!
「うわっ…」
ジョナスが転げそうになり声を出した。
「あらっ…ごめんね…私とってもお尻が大きいから当たってしまったの…。」
シャーロットはわざとジョナスにお尻からぶつかるとジョナスを見てニヤリと笑みを浮かべながら言った。
「お前っ…。」
ジョナスはそんなシャーロットに怒りを露わにした表情で言った。
その後、布団を購入してジョナスとフーパーとシャーロットが持ち帰っている時も……
ジョナスがわざとシャーロットの足を踏みつけたり…
わざとぶつかりバランスを崩させたり…
わざと相手の前を歩き布団を高く持って相手の前が見えなくなる様にしたりした…
その都度、シャーロットも負けじとジョナスがしてきた事をそのままやり返しながら孤児院まで帰ったのだった。
そんな二人の姿をミーシャとフーパーはハラハラしながら見ていたが下の子供達は二人の姿を見てクスクスと笑っていたのだった。
孤児院へ帰ってきてから荷物を整理した後も…
シャーロットがお風呂場の清掃をしている時にジョナスがわざとシャーロットが清掃に使用しているバケツをひっくり返す様に仕向けたり、シャーロットが購入してきた物をそれぞれ使う場所へと振り置きしている時にジョナスがシャーロットの洋服に虫を乗せて驚かせたりしていた。
それでもシャーロットが孤児院を出ていくどころかまったく動じないのでジョナスはそんなシャーロットに苛ついていた。
「チッ!なんであいつ出ていかないんだよ。」
ジョナスは苛つきながら一人呟いていた。
「兄さん…。もうロッティにそんな事するのやめたら?」
そんなジョナスにフーパーが声をかけてきた。
「フーパー。お前…あいつをそんな風に呼んでどういう神経してるんだ?あいつは貴族の令嬢だぞ?貴族なんて皆同じだ…。貴族なんて…。フーパーだって俺たちが今まで貴族の奴らにどんな辛い思いをさせられてきたかわかるだろ?それなのにあんな奴と一緒になって…。」
ジョナスは怒りを露わにして苛つきながらフーパーへと言い放った。
「……。確かに…ここの子供達もミーシャさんも僕達も貴族の人たちには辛い思いをさせられてきたよ?もちろんオマーン公爵だけじゃないけれど…。でも…兄さんももう気づいてるよね?ロッティが今まで見てきた貴族の人たちとは違って。」
フーパーは少し悲しそうな表情を浮かべながらもジョナスへと言った。
「はぁ?あいつが他の貴族とは違うだって?笑わせんな!結局今はいい顔をしていても腹ん中では何を企んでるかわかんないだろうが!貴族の口車になんか乗せられてんじゃねーよ!」
ジョナスはフーパーの言葉を聞き更に勢いよく険しい表情で言い放った。
そして、ジョナスはフーパーに言い放つと自分の部屋へと行ったのだった。
「兄さん…。」
フーパーはそんなジョナスを見ながら切なそうな表情で呟いた。
それからお昼になったのでシャーロットが持参した食事を皆で食べたい。
ジョナスは下には下りて来ずだったのでフーパーがジョナスへ食事を運んでくれたのだった。
お腹いっぱい食事をした後は、皆で孤児院の裏手に広がる土地を畑にする為に耕す作業を始めたのだった。
シャーロットは前世でさくらとして人生を歩んだ際に得た知識がある為畑を作る作業の段取りも解りやすく子供達やミーシャへと伝えた。
力のあるジョナスとフーパーは土を耕す作業。
シャーロットが土を耕す手本を見せて説明した。
最初なので土地の四分の一程度を耕したのだ。
その後、シャーロットはミーシャと子供達に土に種を撒く撒き方と土に苗を植える植え方を教えようとしていた。
「まずは…苗の植え方から教えるから皆よく見ててね。」
シャーロットが苗の束から一苗を取って手に持つと笑顔で子供達とミーシャへと言った。
「まず束の中からこの程度の苗を取って…こうして…これくらいの間隔を空けて土にこうして苗を植えていくの…。苗がこの程度見えるくらいまで植えたらいいわ。どう?分かったからしら?」
シャーロットは実際に土に苗を植える姿を見せながら説明した。
そして、子供達やミーシャへと尋ねた。
「「分かったー!」」
子供達は初めて見る光景にワクワクしながら応えた。
「私も分かりました。」
ミーシャも頷きながら応えた。
「良かった…。じゃぁ早速皆で植えてみましょう!」
シャーロットは少しホッとした様に笑顔で皆へと言った。
(懐かしいわね…。前世でさくらとして施設で働いていた時もよくこうして子供達へと教えたのよね…。)
シャーロットは前世を懐かしく思いながら考えていた。
「「はぁ〜い!!」」
子供達は元気よく応えた。
「それにしても…シャーロットさんは本当に色々な事をご存知なのですね…。貴族の方でも畑仕事をされたりするんですね…。」
ミーシャは驚きと感心のこもった表情でシャーロットへと言った。
「ははは…興味があったから自分なりに色々な調べた事があったからね。」
シャーロットは苦笑いを浮かべながら応えた。
(まさか…前世の記憶があるなんて言えないもんね…。それに普通の貴族は畑仕事なんてしないものね…。)
シャーロットはミーシャに言われて内心苦笑いをしながら思っていた。
「そうなんですね…。」
ミーシャは頷きながら感心した表情を浮かべながら言った。
「えぇ。ん?あら…?ここに苗と一緒に置いておいた種を知らない?」
シャーロットは苗の横に置いていた種がない事に気づいてミーシャへと尋ねた。
「え?種ですか?いえ…分かりません…。」
ミーシャは応えた。
「おかしいわね…。確かにここへ一緒に置いておいたはずなのに…。」
シャーロットは首を傾げながら呟いた。
「ねぇ?ジョナス、フーパー…ここに置いてあった種を知らない?」
シャーロットは土を耕す作業をしていたジョナスとフーパーへと尋ねた。
「種?ん〜僕は見てないけど…。兄さん知ってる?」
フーパーは首を振りながら応えるとジョナスに尋ねた。
「……。さっき…食卓の上に置いてあったのを見かけたよ。」
ジョナスがボソリと応えた。
「本当に?ロッティ、兄さんが種は食卓の上に置いてあったのを見たみたいだよ!」
フーパーはシャーロットの方を向きシャーロットへと種の場所を伝えた。
「本当?ありがとう。私ったら苗だけ持ってきて種は机に置いたままだったのね。」
シャーロットはフーパーの言葉を聞いてジョナスとフーパーにお礼を言うと自分が忘れていた事を話しながら孤児院の中の食卓へと向かって行った。
そんなシャーロットをジョナスがニヤリと笑みを浮かべながら見ていた。
ガチャ!
シャーロットは孤児院の裏口の扉を開けて中へと入ろうと足を踏み出した時だった。
ツルンッ!!
とシャーロットは足を滑らせたのだった。
と同時に…
ドーーン!!
シャーロットは足を滑らせたのと同時に思い切り転げて頭と左手首を思い切り床に打ち付けたのだった。
「今の音なに?」
ミーシャが音を聞いて言った。
ミーシャが聞いた音はシャーロットが転げた拍子に体を床に打ち付けた音が外まで聞こえたのだった。
「ミーシャさん!孤児院の中からだ!さっきロッティが中に種を取りに行ったんだ!」
フーパーも音が聞こえたらしくすぐにミーシャへと伝えた。
「シャーロットさんが?!」
ミーシャはフーパーの言葉に驚きながら言った。
そして、ミーシャとフーパーが急いで裏口へと向かった。
ミーシャが裏口の扉を開けるとそこにはシャーロットが倒れていた。
「きゃーーー!シャーロットさん!シャーロットさん!大丈夫ですか?!」
ミーシャが倒れているシャーロットを見て悲鳴を上げて驚くとすぐにシャーロットの体を起こしてシャーロットへ問いかけた。
「あぁ…ミーシャさん…。私は…大丈夫…で……。」
シャーロットは薄っすらと目を開けるとミーシャへと必死で笑みを作りながら応えた。
しかし…そこでシャーロットの意識は途切れたのだった。
「ロッティ!ロッティしっかりして!ロッティ!」
「シャーロットさん!目を開けて下さい!」
フーパーとミーシャは意識を失ったシャーロットを見て必死でシャーロットへと声をかけた。
だが…
シャーロットは意識を失ったままだったのだ。
そんなシャーロットの様子を見て畑にいた子供達も走ってシャーロットの元へと駆けつけた。
だが…
ジョナスだけは顔を真っ青にしてその場から動けず倒れたシャーロットを見つめていたのだった…。
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普通の幸せを願う伯爵令嬢は、追放後記憶喪失になりました!!
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