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8.シャーロットVS少年

「こら!何て事を言うの?!こちらに来てきちんと挨拶しなさい!」


ミーシャが二階からシャーロットに対して敵意をむき出しにして言葉を言い放った少年へと言った。


「何で…わざわざ貴族の令嬢なんかに挨拶する必要があるんだ?ミーシャさんだって今まで俺たちが貴族の奴らのせいでどんな目に遭ってきたか忘れたわけじゃないだろ?!貴族なんて金の事ばかり考えて目下の人間を蔑む事を何とも思わない奴ばかりだ!」


少年は怒るミーシャへも表情を歪ませながら怒りを込めた様に吐き捨てながら言った。


「オマーン公爵は酷い貴族だった事は間違いないわ。でも、この方…シャーロット様はあなたが思っている様な貴族の方じゃないわ。孤児院や私達の事を本当に心から考えて下さってるのよ。」


ミーシャは少年の貴族に対する憎しみが分からない訳ではないだけにシャーロットの事をきちんと説明した。


「どうせ口だけだろ!!」


シャーロットはシャーロットを睨みつけながら言葉を吐き捨てた。


(この少年が孤児院の中で一番年上の様ね…。それにしてもえらく威勢のいい事ね…。オマーン公爵へ…というより貴族への恨みは言葉では言い表わせない程みたいね。それも仕方ない事だけどね。でも…日本でさくらとして施設で働いていた時にも彼と同じような子を何人も見てきたのよね…。)


シャーロットは自分を睨みつける少年を見ながらそんな事を考えていた。


「あの…シャーロットさん申し訳ありません…。あの子が失礼な事を言ってしまい…。」


シャーロットは堪らず少年の代わりにシャーロットへと謝罪した。


「いえ…。大丈夫ですよ。気にしてませんから。オマーン公爵の今までしてきた事を考えるとあの様な事を言われるのは仕方ないですから。それより…二人を紹介してくれませんか?」


シャーロットは申し訳なさそうに謝るシャーロットに対して笑みを浮かべながら優しく言った。


「あっ…はい。あの二人は左に居るのが弟のフーパー十七歳で、右の方の子がフーパーの兄で十八歳…この孤児院の最年長のジョナスです。」


ミーシャはシャーロットに言われて慌てて少年二人を紹介した。


「ジョナスとフーパーね…。ジョナス、フーパー、私は今日からこの孤児院の責任者として働く事になったシャーロットといいます。私の事はロッティと呼んでくれたらいいわ。どうぞよろしく。」


シャーロットは二人の名前を呟くと二人の方へと歩いていき二人へと自己紹介をした。


「勝手に人の名前を呼ぶんじゃねぇよ!それにあんたが責任者なんて認めないって言っただろうが!」


ジョナスは自己紹介をしたシャーロットに物凄い勢いで言い放った。


「では…認めて貰える様に努力するわね。」


シャーロットはジョナスの勢いなんてまったく気にする事なく笑顔で応えた。


(このくらいの年頃は少し遅めの反抗期がくるのよね…。懐かしいわ。さくらの人生の時もこういう遅めの反抗期の子が沢山いたものよね。ジョナスには悪いけどこの程度痛くも痒くもないのよね。)


シャーロットはジョナスに話しながらそんな事を思っていた。


「なっ…あんた!」


そんなシャーロットにジョナスは腸が煮え繰り返そうな様子で言った。


「あっ…あなたは…。」


シャーロットは横にいた弟のフーパーをふと見て言った。


「あっ…はい。僕は先日オマーン公爵の奴隷売買の商品として連れて行かれそうになった子供です。その節は助けて頂きありがとうございました。」


フーパーはジョナスとは正反対と言っていい程どこか物腰の柔らかい雰囲気と喋り方でシャーロットへとお礼を言った。


「やっぱり…。そうだったのね…。本当に連れて行かれなくて良かったわ。」


シャーロットはそんなフーパーに笑みを浮かべながら言った。


「おい!フーパー!こんな奴に礼なんて言う事はない!どうせお前を助けたのだって何か裏があるに決まってるだろ!」


ジョナスがつかさず勢いよく言い放った。


「兄さん…。それでも助けて貰ったのは事実だよ?助けて貰ったんだからお礼を言うのは当たり前だよ?」


フーパーは慣れた様に淡々とジョナスへと言った。


(あらら…兄弟でもここまで違うとはね…。)


シャーロットはジョナスとフーパーのやり取りを見ながらそんな事を思っていた。


パンパンッ!!


「はい!とりあえずこんな風にしててもキリがないから早速孤児院を最高のものにする為に行動を開始しましょう!」


シャーロットは手を叩くとジョナスの事は軽く流してミーシャと子供達へと言った。


「「はーーーーい!」」


子供達はシャーロットに言われると笑顔で返事をした。


「はい。」


ミーシャも応えた。


「ジョナスとフーパーも手伝ってちょうだいね。」


シャーロットがジョナスとフーパーの方を向いて言った。


「チッ!誰があんたの言う事なんか聞くよ!」


ジョナスは舌打ちしながら言葉を吐き捨てた。


「僕は手伝います。」


フーパーがシャーロットへと言った。


「ありがとう。フーパー。では…ジョナスはそこで休んでて。一番年上だけどそこでそうしてればいいわ!一番年上だけど!」


シャーロットはフーパーにお礼を言うとジョナスをチラリと見て言葉を強調しながら言うとニヤリと口角を上げた。


「何だそのいい方…!!」


ジョナスはシャーロットの言い方にイライラしながら言いかけた。


パンパンッ!!


「はい!皆!一番年上なのにジョナス抜きで頑張りましょう!」


シャーロットはジョナスの言葉を遮る様に手を叩き他の子供達へと笑顔で言った。


「「はーーい!一番年上のジョナス抜きで頑張ります!」」


他の子供達もシャーロットの言い方が面白かった様でシャーロットと同じ様に言いながら笑顔で応えた。


「お前ら!うっせー!!チッ!どいつもこいつも!!」


ジョナスはイライラしながら子供達に向かって言葉を吐き捨てて舌打ちしながら二階へと上がっていた。


(ふふ…ジョナスって貴族嫌いってだけで根は案外いい子なのかもね。)


シャーロットは怒って二階に上がって行くジョナスを見ながらそんな事を思っていた。


「あの…すいません。兄さんが酷い事を言ってしまって…。弟の僕が代わりに謝ります。」


フーパーがシャーロットへと声をかけてジョナスの代わりに謝罪した。


「いいのよ。まったく気にしてないから。今まで受けてきた事を考えると貴族を嫌って恨むのは仕方ない事だからね…。それにオマーン公爵はオマーン公爵、私は私だから。私は全力でこの孤児院を幸せで満ち溢れた孤児院にしたいだけだから。」


シャーロットはフーパーに対して笑顔を浮かべながら言った。


「……。何だか…今まで見てきた貴族の人たちは違いますね…。ロッティさんは…。」


フーパーは貴族の令嬢らしからぬそシャーロットに少し戸惑いながらも少し驚いた表情を浮かべながら言った。


「そう?あっ、ロッティさんじゃなくてロッティね!それに…敬語も使わなくていいわ!これから一緒に過ごして行くんだから気軽に楽しんでいきましょう!」


シャーロットはフーパーへ笑顔で言った。


「……。うん!ロッティ!」


フーパーは一瞬戸惑ったがすぐに笑顔になった。


シャーロットはそんなフーパーに笑顔を返したのだった。


そこからシャーロット達は…


・孤児院の内観の作りをきちんと把握した上でミーシャや子供達の意見を聞きながら簡単な図面を作った。


・それから孤児院の裏手にある荒れ果てた地の土を確認して畑に出来そうだと分かったので畑で何を育てるか。


・掃除や食事、その他の事をそれぞれの年齢に合わせて出来る事を覚えて当番を作ること。


・文字の読み書きが出来る様になる事。


など…


皆で沢山話し合って決め事を決めていったのだった。


この日に早速作業に取り掛かったのは孤児院内の清掃作業だった。

自分達が住む場所の掃除は自分たち達でする事で孤児院がより大切に思えるからというシャーロットの考えからの事だった。


各自振り当てれた場所の掃除から始めた。


シャーロットは二階の三部屋の掃除をする事にした。

シャーロットはさくらの人生で鍛えてきた掃除技でてきぱきと手際よく掃除をしていったのだった。


最後の一部屋にはジョナスがいた。


「ジョナスここに居たの?ちょっとこの部屋を掃除したいから場所を移動してくれる?」


シャーロットは部屋にジョナスがいた事に気づくとジョナスへと声をかけた。


「うっせぇ!俺に話しかけんな!くそ女!」


ジョナスはキッとシャーロットを睨みつけながら言葉を吐き捨てた。


「口悪っ!!」


シャーロットはギョっとした表情を浮かべながら思わず突っ込んだ。


「まぁいいわ。もー勝手に掃除始めるわね。」


シャーロットはジョナスの言った事なんて気にする事なく言いながら掃除を始めた。


そんなまったく堪えていないシャーロットを見てジョナスは苛ついていた。

しかし…急にニヤリと悪い笑みを溢した。


シャーロットがジョナスがいる場所付近の掃除を始めようとジョナスの方へと歩いていきたその時だった!!


「きゃっ!」


シャーロットが思わず声を上げた。


と、同時にドンっとシャーロットが転けて床に倒れたのだった。


「あっ、わりぃな…足を伸ばそうと思ったらあんたが居たんだ。」


ジョナスはニヤニヤとしながらざまぁという様な表情を浮かべながらシャーロットへと言った。


そして、ジョナスは床に倒れたままのシャーロットの事など無視して部屋を出ようと扉へと向かった。


が、その時だった。


「うわっ!」


ジョナスが思わず声を上げた。


と、同時にジョナスが床へと転んだ。


「あらっ、ごめんね…ほうきが長すぎたから持ち替えようと思ったんだけど…。」


シャーロットはニヤニヤとしながらジョナスへと言った。


「てめぇ!ふざけんな!」


ジョナスは立ち上がってシャーロットへと怒鳴り言った。


「ふざけてないけど?やられてやり返しただけよ?おあいこでしょ?」


シャーロットはニヤリと笑いながらジョナスへと言った。


「くっ…」


ジョナスはそんなシャーロットに悔しそうな表情を浮かべて声をもらした。


「チッ!」


ジョナスはシャーロットへ睨みつけながら舌打ちすると扉を蹴って部屋から出ていった。


(ふふ…。あの程度で私が怯む訳ないのにね。それにしても私がやり返したらとても悔しそうにしてたわね。ふふ…。こういう事も施設で働く楽しみでもあるし追々の思い出になるのよね…。)


シャーロットは出ていったジョナスを見ながらそんな事を思っていた。


ここから…

令嬢・シャーロットVS少年・ジョナスの妙な闘いが始まったのだった……

寒い日が続きますね…


ご覧頂きありがとうございます★



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ブックマーク&評価の方ありがとうございます★

とても励みになってます★

最後までお付き頂けると幸いです★

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