7.行動開始
シャーロットは王宮へ訪れた翌日から早速行動を開始した。
まずは孤児院へ行きミーシャは孤児院の子供達にオマーン公爵の悪事を王宮にて伝えオマーン公爵が処分される事…
そして、孤児院の責任者がオマーン公爵から自分に変わる事を伝えることから始めたのだった。
孤児院へと着いたシャーロットは早速ミーシャや子供達に事の流れを説明した。
「と…いう訳で本日付けでこの孤児院の責任者は私が努めさせて頂くことになりましたので皆さんよろしくお願いします。」
シャーロットは笑顔でミーシャと子供達へと説明した。
「昨日はお礼を言う時間もなかったので伝える事が出来ませんでしたが…オマーン公爵の件本当にありがとうございました。本当に感謝してもしきれません…。私にはどうする事も出来ず何人かの子供達を助ける事すら出来ませんでしたから…。」
ミーシャが心の底から安堵した様な表情を浮かべながらシャーロットへも深く頭を下げてお礼を言った。
「ミーシャさん頭を上げて下さい。私はすべき事をしただけなので…。それに私一人ではこんなに早くオマーン公爵の悪事を明らかにする事は出来ませんでしたしね…。ミーシャさんが勇気を持って協力してくれましたし家族にも力を貸してもらったので…。」
シャーロットはミーシャが深く頭を下げるのを見て慌てて言った。
そして、ふっと…笑みを浮かべながらミーシャへと言った。
(本当に…私がただただ助けたかったからだしね。日本でさくらとしての人生を歩んでなければ…前世のシャーロットならば見向きもしなかった事だろうけど…。もしも見向きもしなかったら今も子供達やミーシャさんが犠牲になっていたのよね…。それを考えるともう一度シャーロットとして生まれ変わりこうしていち早く孤児院を救う事が出来て良かったわ…。)
シャーロットはミーシャに話しながらそんな事を考えていた。
「それと…オマーン公爵に奴隷売買として売られてしまった子供達ですけどオマーン公爵と取引きしていた男達から子供達の行き先を聞き出してくれる様お願いしましたので。違法取引きなので子供達の居場所が分かり次第保護してもらえるかと思いますから。」
シャーロットは何もできなかったと自分を責めていたミーシャを安心させる様に笑みを浮かべながら言った。
。
「本当ですか?あの子達は保護して頂けるのですか?ありがとうございます…本当にありがとうございます…。」
ミーシャはシャーロットの言葉に涙を浮かべながらシャーロットへとお礼を言った。
「いいえ…。良かったですね。」
シャーロットは笑顔で応えた。
「はい。……あっ…あの…そういえばシャーロットさ…シャーロット様はグランバート公爵家のご令嬢だったのですね。そうとは知らずに私は…。」
ミーシャはシャーロットに返事をするとハッと思い出した様に急にかしこまった態度でシャーロットへと言った。
「あっ…はい…そうなんです…。でも私が令嬢だという事は気にしないで欲しいのです。責任者といっても形的なものですし…。私は…ここにいるミーシャさんと子供達と一緒にこの孤児院を一からやり直し楽しく幸せに過ごせる孤児院を作っていきたいのです。」
シャーロットは少し気まずそうな表情で応えたがすぐに真剣な表情でミーシャへと言った。
「気にしないでとは…その…なかなか難しい事です。我々の様な身分の低い者が貴族のご令嬢と話をする事自体恐れ多いといいますか…。」
ミーシャは少し気まずそうシャーロットへと言った。
(う〜ん…身分の差なんて関係ないのにって思うけれどそうもいかないか…。)
シャーロットはミーシャの態度をみてそんな事を思っていた。
「それに…。」
ミーシャは何か言おうとして止めた。
「それに…なんですか?」
シャーロットがミーシャへ尋ねた。
「……。少し前にオマーン公爵が誰かと話をしているのを聞いたのですがシャーロット様は王太子殿下とご婚約されたとか…。王太子妃になられる方なら尚更恐れ多いです…。」
ミーシャは言いにくそうに言った。
(オマーン公爵ったら人の話をペラペラと…。)
シャーロットはミーシャの話を聞き不愉快にそんな事を思っていた。
「そうですね…。婚約はしました。ですが…。昨日婚約の解消をお願いしてきました。」
シャーロットはケロッとした表情でミーシャへ言った。
「え…?婚約…解消ですか?」
ミーシャはシャーロットの話に思わず目が点状態で言った。
「はい。この孤児院の責任者になりたいので殿下との婚約の解消を陛下にお願いしたのです。」
シャーロットは驚くミーシャへ淡々と説明した。
「孤児院の責任者になりたいからと解消を…。」
ミーシャはシャーロットの話を聞くほどに頭が混乱しながら言った。
「そうです。なので王太子妃にはなりません。だけれど貴族の令嬢だというのは変えることが出来ません…。でも…身分は関係なくこの孤児院を…子供達を…幸せにするという同じ気持ちを持つもの同士力を合わせませんか?」
シャーロットは真剣に自分の思いをミーシャへと伝えた。
「力を合わせる……。………。分かりました…。私も今まで何も出来なかった分これからは一つでも多くの事を子供達にしてあげたいしさせてあげたいと思っているので。」
ミーシャはシャーロットの真剣な思いを聞き少しの間悩み黙っていたが口を開きミーシャはシャーロットの提案に同意したのだった。
「ありがとうございます。ミーシャさん。これからこの孤児院を協力して最高の孤児院に生まれ変わらせましょう!私の事はシャーロットでもロッティでも好きに呼んで下さいね。」
シャーロットは嬉しさのあまり満面の笑みでミーシャへ伝えた。
「さすがにそんな風には呼べません。」
ミーシャはすぐにシャーロット苦笑いを浮かべて言った。
「そうですか?では…シャーロットさんはどうですか?私もミーシャさんと呼んでますし。」
シャーロットは笑顔でミーシャへと言った。
「それ…でしたら…。」
ミーシャは悩みながら応えた。
「決まりですね。では…改めて今日から孤児院で勤める者同士お願いしますね。」
シャーロットは笑顔でミーシャに手を差し出しながら言った。
「はい。よろしくお願いします。」
ミーシャもようやく笑顔で応えるとシャーロットの手を取り握手をしたのだった。
「では、早速…。ミーシャさん子供達を紹介して貰ってもいいですか?」
シャーロットがミーシャへお願いした。
「はい。分かりました。」
ミーシャが応えると子供達を年齢順に並ばせた。
「では…年齢が低い順に紹介しますね。まずこの子は一番年下の五歳の男の子のサボです。次に八歳の女の子マーヤ、九歳の男の子トム、同じく九歳の女の子サナ、十一歳の男の子シーマです。あと他にここには今いないんですけど十七歳と十八歳の男の子がいます。」
ミーシャはシャーロットへ子供達の紹介をした。
「ミーシャさん、紹介ありがとうございます。」
シャーロットは笑顔でミーシャへおお礼を言った。
「皆さん、こんにちは。初めまして…ではないのだけど私の事覚えてるかしら?」
シャーロットはにこにこと笑みを溢しながら子供達へと挨拶をして尋ねた。
「パンをくれたお姉ちゃんだよね…?」
一番年下のサボが応えた。
「ええ…そうよ。その通り。覚えてくれていたのね。ありがとうサボ。」
シャーロットは嬉しそうに笑いながらサボへと言った。
そんなシャーロットにサボもにこにこと笑っていた。
(前にサボを見た時は食べ物を口にしていないからか力ない感じだったけど今日のサボは表情がはっきりしているわね。良かったわ…。あれからミーシャさんが子供達にきちんと食事を摂らせてくれたのね。)
シャーロットはサボの表情を見ながらそんな事を思っていた。
「名前は…シャーロットさんだよね?」
九歳のサナが呟いた。
「ええ。そうよ。名前まで覚えてくれていて嬉ししいわ。」
シャーロットは笑顔で言った。
「皆…今日からこのシャーロットさんがこの孤児院の責任者となられたのよ。」
ミーシャが子供達へと説明した。
「もう…オマーン公爵は…二度とここへは来ない?」
八歳のマーヤがとても怯えた表情を浮かべてシャーロットへと尋ねた。
他の子供達もオマーン公爵の名前が出ると表情が強張り怯えていた。
(とても怯えているわね…。当然よね…。オマーン公爵にはきっと想像以上に酷い扱いを受けたんだろうしね…。)
シャーロットは子供達の表情を見て心が痛むのを感じながらそんな事を思っていた。
「えぇ…。もうオマーン公爵はここへは二度と来ないわよ…。オマーン公爵あなた達を苦しめた罪で偉い人がとーっても叱ってくれるからね…。もう辛くて悲しい思いをしなくてもいいのよ。」
シャーロットは子供達を安心させる様にとても優しい笑みを浮かべながら言った。
「良かった…。」
マーヤはシャーロットの言葉を聞き表情を見てとても安心した様に呟いた。
他の子供達もホッとした表情を浮かべていた。
「今日からは私とミーシャさんとあなた達でこの孤児院を最高の孤児院に生まれ変わらせましょう。皆その為にも力を貸してくれる?」
シャーロットは子供達の様子を伺う様に子供達へと尋ねた。
子供達はシャーロットの言葉を聞いてお互いの顔を見合わせた。
そして…
「「「うん!!」」」
子供達はお互いの顔を見合わせ少し間を開けてから全員揃って返事をしたのだった。
「ふふ…。ありがとう。とても心強いわ。今日から私の事はロッティと呼んでね。今日からよろしくね。シーマ、サナ、トム、マーヤ、サボ!!」
シャーロットは満面の笑みで子供達へと言った。
「「ロッティ、よろしくお願いします!!」」
子供達も笑みを浮かべてシャーロットへと言った。
ミーシャはそんなシャーロットと子供達の姿を微笑ましい眼差しで見ていたのだった。
その時……
「俺はあんたを認めないぜ!!」
二階から少年が二人下りてきたと思ったら一人の少年がシャーロットに敵意むき出しの表情を浮かべながらシャーロットへ吐き捨てる様に言ったのだった。
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2022.2.2
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