最終話.公爵令嬢シャーロットは、3度目の人生を生き抜くことができました
最終話です✎
シャーロットとローランドはポート王国へ到着した。
「わぁ〜〜!変わらず賑わいのある街並みですね。」
馬車から降りたシャーロットが街並みを見て笑顔で言った。
「そうだな…。以前来たときよりも賑わいが増えている様だ。」
ローランドは頷きながら言った。
「……その髪飾り着けてきてくれたのだな…。」
ローランドはちらりとシャーロットをの髪を見て言った。
「はい…。前回ポート王国へ訪れた際にローランド様が贈って下さったものですから…。私にとってはローランド様から初めての贈り物だったので。」
シャーロットは少し照れたように微笑みながら言った。
(あの時は…髪飾りを貰って嬉しいという気持ちよりは複雑な気持ちのほうが多かったのよね…。前世ではローランド様の意志で贈り物の一つもしてもらったことなかったから…。この髪飾りも贈ってもらってから着けるのは今日が初めてだしな…。これまでは
着けていいのか…とか…着ける資格なんてない…とか…着ける自信がない…って思ってたけど今日は心から着けたいって思えたのよね…。)
シャーロットはそんな事を考えていた。
「着けてくれてありがとう…。とてもよく似合っているよ。」
ローランドはシャーロットの頬を優しく触りながら微笑み言った。
「ありがとうございます…。」
シャーロットは照れ笑いを浮かべて言った。
それから二人は街を歩きながら色々な店を見て回った。
「今回も…沢山買ってしまいました…。」
シャーロットが苦笑い浮かべて言った。
「そのようだな…。護衛の者達が大変そうに荷物を馬車まで運んでいたな。」
ローランドはクスっと笑いながら言った。
「はい…。前回もそうでしたがポート王国には私達の国にないものが沢山あるのでつい色々目移りしてしまって…。」
シャーロットが苦笑いを浮かべて言った。
「いいのではないか?せっかく訪れたのだから買わなくて後悔するよりはいいだろう?」
ローランドが言った。
「そうですね…。ふふ…。ローランド様にそう言われるとまだ買いたい物があっても迷わず買えそうです。」
シャーロットはクスクス笑いながら言った。
「そうか?」
ローランドもクスクス笑いながら言った。
「はい。あっ…あれは…。」
シャーロットが微笑みながら言うとあるものが目に入り言った。
シャーロットの、目に入ったのは前回のポート王国訪問時にシャーロットがローランドに贈った幸せが訪れるという人形だった。
「私がローランド様にお渡しした人形ですね。」
シャーロットが人形を指差し言った。
(改めて見ると見た目はちょっと…あれね…。)
シャーロットは苦笑いを浮かべて考えていた。
「…あの人形を貰ったお陰で私に幸せが訪れたのかもしれないな…。」
ローランドが人形を見てふっと笑みを浮かべて言った。
「え…?あの人形がですか?」
シャーロットは驚いた表情で言った。
「あぁ。シャーロットにあの人形を貰ってから実はずっと執務室の机の上に置いていたのだ。何故だが目に入る場所に置いておこうと思ってな…。今はアミルに鼻で笑われたので引き出しにしまってあるがな…。ポート王国から帰ってからというもののあの人形を見るたびにシャーロットの事を考える様になったんだ…。そして…気づけばいつの間にかシャーロットに恋心を抱いていたんだ…。」
ローランドは優しい笑みを浮かべて言った。
「ローランド様…。」
シャーロットはローランドの言葉を聞いて胸がキューッとなりながら呟いた。
「そして…今こうしてシャーロットが隣にいてとても幸せな時間を過ごせている…。本当にこの人形は幸せが訪れる人形だと私が証明できるな…。」
ローランドは幸せそうな笑みを浮かべて言った。
「では……人形を贈った人間にも幸せが訪れると…付け加えなければなりませんね。」
シャーロットはニコリと微笑みながら言った。
「そうだな。」
ローランドはクスクス笑いながら言った。
その後…シャーロットとローランドは街の屋台などの食べ物を色々買って二人で半分づつにして食事を楽しんだ。
そして…ある程度街を歩き満喫すると宿泊先へと向かった。
「わぁ〜〜!!」
シャーロットは宿泊先に到着して案内された部屋を見て言った。
「凄く素敵な部屋ですね!あっ…ローランド様見て下さい。バルコニーから海が見えますよ。」
シャーロットは部屋を見渡しながら目を輝かせて言うとバルコニーから海が見える事に気づきローランドへ嬉しいそうに言った。
「あぁ…。バルコニーに出てみるといい。」
ローランドは嬉しそうなシャーロットを見てふっと笑みを浮かべて言った。
「はい!」
シャーロットはそう言うとバルコニーへと出た。
「うわ…綺麗…。」
シャーロットはバルコニーから見える景色を見て呟いた。
そこへ…
ローランドがやって来て後ろからシャーロットをそっと抱きしめた。
「きゃっ…。」
急な事に驚いたシャーロットがおもわず声を出した。
「どうだ…?気に入ったか?」
ローランドがシャーロットを抱きしめたまま言った。
「…はい…。とても…。」
シャーロットは照れながらもローランドの手にそっと自分の手を触れながら言った。
「そうか…。それならば良かった。」
ローランドはホッとした表情で微笑みながら言った。
「こんなに…素敵なお部屋を見つけてくださりありがとうございました。」
シャーロットは嬉しそうな表情でローランドへ言った。
「あぁ。」
ローランドが言った。
「せっかくなので夕食の時間まで海辺を歩きませんか?」
シャーロットがローランドへ言った。
「そうだな…。いい考えだ。」
ローランドは頷きながら言った。
そして…二人は宿が用意してくれた動きやすく汚れても大丈夫な服に着替えて海辺へと向かった。
二人は海辺を着くと海風を感じながら手を繋いで歩いた。
「こうして護衛がすぐ側にいない状態で二人で過ごすのは久しぶりですね。」
シャーロットが言った。
「あぁ。婚約が発表されてからはこれまで以上に護衛の警備が強化されたからどこへ行くのもすぐ側に護衛達がいたからな…。」
ローランドは困った表情で言った。
「今日は護衛の方達いつもより数も少ない上に私達との距離もいつもより離れているのはローランド様がそうする様に言われたのですか?」
シャーロットがクスっと笑みを浮かべて言った。
「もちろんだ。この旅行だけは邪魔されたくなかったからな。」
ローランドはニヤリとしながら言った。
「フフ…。アミルお兄様は嘆いたことでしょうね。」
シャーロットがクスクス笑いながら言った。
「嘆いていたが最終的には折れてくれたさ。」
ローランドはふっと微笑みながら言った。
「…ありがとうございます。今日の為に色々と動いてくださって…。今日の旅行を楽しみで眠れない程に楽しみにしていたのでとても嬉しいです。」
シャーロットは微笑みながらローランドへ言った。
「礼など必要ない…。私もこの日をどれだけ楽しみにしていたか…。その為なら多少の無理もすると決めていたからな。」
ローランドはふっと笑みを浮かべて言った。
「帰ったらまた忙しい日々が待っているでしょうけど…今この時は楽しみましょうね。」
シャーロットが笑顔で言った。
「あぁ。」
ローランドは微笑みながら言った。
そして…二人は砂浜に座り海を眺めていた。
「少し足を水に浸けてきますね。」
シャーロットが言った。
「ん?あぁ。」
ローランドは頷きながら言った。
そしてシャーロットは海の浅瀬へ靴を脱いで裸足になり足を水へと浸けた。
(あぁ…少しひんやりもするけど気持ちいいわね…。)
シャーロットはそんな事を考えていた。
(今…こうしてここに立っているのも夢ではないのかと思ってしまうくらい穏やかで幸せな時間だわ…。)
シャーロットは海風を感じながら考えていた。
(もうすぐ…本当にローランド様と結婚するのね…。本当に今でも信じられないと思う時もあるけど…今世では前世の様なことにはならない…。それだけは言い切れるわ…。)
シャーロットはそんな事を考えていた。
そして…シャーロットがローランドの元へ戻ろうと振り向いた瞬間バランスを崩した。
「きゃっ……。」
シャーロットが声を出したと思ったらバランスを崩したままその場に尻もちをついてしまった。
「シャーロット!」
ローランドはシャーロットの声を聞き尻もちをついたのを見ると慌ててシャーロットの元へと向かった。
「シャーロット大丈夫か?!」
ローランドは血相を変えてシャーロットへ言った。
「いたたた…はい…。大丈夫です。バランスを崩してしまっただけなので…。」
シャーロットは差し出されたローランドの手を掴み立ち上がりながら言った。
「ふぅ…。大丈夫なら良かった…。」
ローランドはホッとした表情で言った。
「ふふふ……。」
するとシャーロットが急に笑い出した。
「ど…どうしたんだ?」
ローランドは急に笑い出したシャーロットを見て慌てて言った。
「ふふふ………いえ…。何だか可笑しくなってしまって…。ローランド様と過ごす時間からこうして尻もちをついてびしょ濡れになるなも悪くないしそんなことすらもいい思い出になりそうだなと思うとローランド様と過ごす時間は無敵なのだなと思って…。」
シャーロットがクスクス笑いながら言った。
そんなシャーロットをローランドがガバッと抱きしめた。
「ローランド様!ローランド様まで濡れてしまいます。」
抱きしめられたシャーロットが慌てて言った。
「そんなの構わないさ…。」
ローランドはシャーロットを抱きしめながら言った。
(本当に…どうしてシャーロットはこうも嬉しくなる様な事を言うのだ…。)
ローランドはシャーロットが愛おしくてたまらなくなり考えていた。
「ローランド様…。ローランド様との時間は本当に楽しくて幸せです…。これから先もずっとこうして楽しく幸せな日々を築けていけたらと心から思います…。」
シャーロットは優しい笑みを浮かべてローランドを抱きしめ返して言った。
「私も同じこと思っているよ…。」
ローランドは更にぎゅっと抱きしめながら言った。
「いつか…私達に子供が生まれたら今度は子供を連れてこの海へ旅行に来ましょう。二人の思い出が家族が増えて更に幸せな思い出が増えると想像するだけで楽しみが増します。」
シャーロットが言った。
「あぁ。そうしよう。私達に子供が生まれたら絶対にこの場へ旅行へ来よう。」
ローランドは頷きながら言った。
そして…二人は体を離すといつの間にか夕日が差し込んでいた海辺で幸せそうに微笑みながらキスをしたのだった。
その後…二人は濡れた服を着替えて夕食をとった。
夕食は部屋のバルコニーで海の音を聴きながら堪能した。
そして…夕食も済ませお風呂も済ませた二人はバルコニーで心地よい風を感じながら二人でバルコニーのソファーに腰掛け夜空に広がる星を眺めていた。
(今日一日あっという間だったわ…。明日には帰らないといけないのが残念ね…。でも…今日一日だけでもローランド様との思い出を沢山作れたから帰っても頑張って多忙な日を乗り越えれそうだわ…。)
シャーロットは星を眺めてそんなの事を考えていた。
(明日には帰らなければならないのか…。楽しい時間というのは何故こうもすぐに過ぎてしまうのだろうか…。このままこうしてシャーロットと二人で過ごせたらどれほどいいか…。まぁ…数ヵ月後には結婚式を控えているからシャーロットと毎日一緒に過ごせると思うと頑張れそうだな…。今日は…シャーロットと初めて一緒に過ごす夜だ…。いや…前回ポート王国に訪れた際も共に夜を過ごしたといえば過ごしたが私は意識がなかったからな…。だが…今回は意識があるのだから朝までシャーロットを抱きしめたまま眠ってやるぞ…。)
ローランドは星を眺めながらそんな事を考えていた。
そんなローランドの横顔をシャーロットが見つめていた。
そして…
「ローランド様…愛しています…。」
シャーロットがローランドへ言った。
「え…?」
ローランドは思わず言った。
「愛しています…。今も…これからもずっと…。」
シャーロットはローランドを愛おしそうに見つめながら言った。
「何だか…今…伝えたいと思ったのです…。」
シャーロットが笑みを浮かべて言った。
(何だか…ローランド様を見ていたら今…自分の気持ちを声に出して伝えたいって思ったの…。前世では…愛してるという言葉を何度もローランド様へ言った。でも…あの時の愛してると今の愛してるでは重みがまったく違う…。今は本当に軽々言ってはいけない言葉の様な気がしていたけれど…今…この瞬間…口が勝手に動くほど自然に言ったの…。)
シャーロットはそんな事を考えていた。
すると…シャーロットの言葉を聞いたローランドはシャーロットへキスをした。
「私も…愛してる…今も…この先もずっとシャーロットだけを愛してる…。」
シャーロットから唇を離すとローランドが言った。
そして…二人はもう一度キスをした。
そして…この日の夜…
愛を口にした二人は更に愛を確かめるかの様に初めて体を重ねたのだった………
※
四ヵ月後…
二日後に結婚式を控えていたシャーロットとローランドは時間の合間をぬって二人である場所へと出かけていた。
「ジョナス…ようやくここへ来れたわ…。」
シャーロットがジョナスのお墓へ花束を添えながら言った。
シャーロットとローランドはジョナスの墓がある墓地へと訪れていたのだった…
「ジョナス…なかなか来れなくてごめんね…。でも…ようやくジョナスに胸を張って顔向けできる様になったわ…。待たせてごめんね…。」
シャーロットは優しく微笑みながら言った。
「ジョナス…私…明後日…ローランド様と結婚して王太子妃になるわ…。ジョナスとした約束がようやく果たせる日が来たの…。」
シャーロットが言った。
「ジョナス…シャーロットは今日まで王妃教育も孤児院の仕事もその他の事も…弱音を吐くことなくやりこなしてきたのだ…。」
ローランドが墓に向かって言った。
「ジョナスの見込み通り…シャーロットは必ず立派な王太子妃…王妃になるだろう。」
ローランドは穏やかな表情で言った。
「ジョナスが天国で心配しない様に今よりももっと良い国に出来る様に全力を尽くすわね。」
シャーロットが言った。
(もう…二度とオマーン元公爵の様な人が出ない様に…子供達の未来を支えれる様に…この国の全国民が平和に暮らしていける様に頑張るわね。ジョナスの死を絶対無駄にはしない世の中にするから…。)
シャーロットはそんな事を考えていた。
「あ…それともう本人たちから報告されてるかもしれないけれど…フーパーとミレイさんが半年後に結婚するんですって。あの二人もいよいよ本当の家族になるのよ。結婚後も変わらず孤児院の管理者として二人で力になってくれると言われてとても心強いのよ。」
シャーロットは嬉しそうに言った。
「あ…それとね…これは聞いたらジョナスは驚くかもしれいけれど…ミーシャさんに素敵な相手ができたのよ。街の市場で働いてる青果店の方みたい。私が婚約してからミーシャさんが買い物に行くことが増えたからそれがきっかけで仲が深まった様なの…。ミーシャさんにも春が来たのよ。」
シャーロットはクスクスと微笑みながら言った。
「孤児院の子供達は相変わらず元気よ。つい最近…孤児院へ新しい子が入居したのだけどその子はまだ一歳になったばかりの子だから他の子供達は皆で世話の取り合いをしながら世話をしてくれているのよ。皆…その子が可愛くて仕方ないみたいよ。」
シャーロットは更にクスクス笑いながら言った。
「騎士団の方々も皆さん元気にしているわ。皆さんお墓参りによく足を運んで下さってるみたいね。」
シャーロットが微笑みながら言った。
「シャーロットが王太子妃になったあかつきには王太子妃の専属騎士としてジョナスの同期の者を推薦しようと思っているんだ。ジョナスが亡くなってから…その者はジョナスの意志を引き継ぎたいと日々鍛錬していたのを我々二人は見てきたこともあってな…。きっと彼ならシャーロットをきちんと護衛してくれるだろう。」
ローランドが言った。
「それと…ジョナスにもう一つ私達から報告があるのよ…。」
シャーロットが言った。
「実はね…私達これから親になるの…。7ヶ月後には子供が産まれるのよ…。それも…どうやら双子がね…。」
シャーロットが優しく微笑みながら言った。
(そう…。私達も驚いたわ…。ポート王国の旅行から一ヶ月経った頃に王妃教育を受けている最中に急に倒れてしまって王宮内はもちろんグランバード公爵家も大慌てだったわ…。ローランド様は一週間の公務で王宮を空けていたからすぐに現地にいるローランド様に私が倒れた事が伝えられたみたいでローランド様はすぐに公務を終えて帰るときかなくアミルお兄様が必死で帰るのを止めたと後で聞いたのよね…。)
シャーロットが思い出す様に考えていた。
(ローランド様が公務から帰ってきた時も私は体調が優れなくてベットで横になっていたけれど…あの時のローランド様の表情の変わりようはきっとこの先も忘れることができないわね…。)
シャーロットはクスっと微笑みながら考えていた。
(私があまり食事を摂れなくて一週間で少し痩せてしまったのを見たローランド様は泣きそうな顔をしていたわね…。私が病気だと…死んでしまうのではないかと思った様だけど…実は妊娠していると聞いた瞬間は泣きながら笑って喜んでくれたのよね…。あんなにあの一瞬で表情がコロコロ変わるなんて…。)
シャーロットは更にクスクス微笑みながら考えていた。
(まさか…あのポート王国の旅行の日の夜に授かったとはね…。いつか子供が生まれたらポート王国の海に旅行にって話をしていたけれどまさかこんなに早く実現できそうなんて…。でも…妊娠したことは祝福されたけど婚前に娘に手を出して…とお父様はご立腹だったわね…。アミルお兄様とエイルお兄様も声には出さなかったけど表情を見る限りご立腹だったわね。)
シャーロットはクスクス微笑みながら考えていた。
「一気に二人の宝物が増えると思うと産まれてくるのが凄く楽しみなの。」
シャーロットは嬉しそうに言った。
「産まれたらここにも我が子達を連れてくるとしよう…。」
ローランドが微笑みながら言った。
「はい。ここへ連れてきてジョナスは私達の大切な人と紹介しましょう。」
シャーロットが微笑みながら言った。
「あぁ。」
ローランドが頷きながら言った。
「ジョナス…これからも私…頑張るから天国から見守っていてね…。」
シャーロットが微笑みながら言った。
その時…サァ〜と風が吹いた。
《あぁ…。心配するな…。俺はいつもロッティを見守っているから…。安心しな…。》
風が吹くのと共にシャーロットの耳にジョナスの声が聞こえた。
(うん…。ありがとうジョナス…。)
シャーロットは目に薄っすら涙を浮かべながら空を見上げて心の中で言ったのだった……
※
そして…
シャーロットとローランドの結婚式当日が訪れた……
この日はシャーロットの十七歳の誕生日でもあった。
二人の結婚式は王族が代々結婚式を挙げる大聖堂で行われた。
「二人は…生涯互いを愛しぬく事を誓いますか?」
大聖堂の聖者がシャーロットとローランドへ言った。
「誓います…。」
ローランドが真剣な表情で言った。
「誓います。」
シャーロットも真剣な表情で言った。
「それでは…これより二人を夫婦として認めます。誓いのキスを…。」
聖者が盛大に言った。
シャーロットとローランドは向き合った。
そしてローランドがシャーロットのベールをめくり上げた。
(前世の結婚式では…こうしてローランド様が私を見てくれることもなかった…たた…形式的に過ぎていった結婚式…。そして…十七歳の誕生日の日に家族も私も処刑された…。)
シャーロットは自分を優しく見つめるローランドを見てそんな事を考えていた。
(今は…あの前世の悪夢を忘れようと思わない…。前世があったからこそ今があると…今は思ってる…。それに…今はもうあの悪夢を見ることもなくなった。それに…今世では…お父様もお母様もお兄様たちも笑顔で生きている…。私も生きて笑顔で十七歳の誕生日を迎える事ができている…。私は…この先もローランド様と生きていくのよ…。)
シャーロットはそんな事を考えていた。
「ローランド様…愛しています…。」
「私もだよ…。」
シャーロットは嬉し涙を浮かべてローランドに言うとローランドは優しく微笑みながらシャーロットへ言った。
そして…二人は誓いのキスをしたのだった……
シャーロットとローランドの結婚を国の国民達は盛大に祝福したのだった。
「王太子殿下万歳!!」
「王太子妃殿下万歳!!」
結婚式終了後のパレードでは国民が笑顔で手を上げて盛り上がっていた。
この日…国民たちは数ヵ月後には二人の子供が誕生する事も伝えられより盛大に二人を祝福したのだった。
この日…カリブ王国にシャーロット王太子妃が誕生したのだった。
※
それから七ヶ月後…
シャーロットの部屋の前では…ローランド、キーランド、ボブ、アミル、エイルがそわそわして緊張の空気が張り詰めていた。
ルチアとエマは出産を経験しているので冷静に構えていた。
「まだ…生まれないのだろうか…。もう陣痛が来てシャーロットが部屋に籠もって十時間以上経っているというのに…。」
ローランドはその場をウロウロしながら心配気な表情で言った。
「そうだな…。ローランドが生まれた時より遥かに時間がかかっているな…。」
キーランドも心配気な表情で言った。
「二人とも…心配しなくても大丈夫ですよ…。出産というものは出産に個人差もありますしシャーロットは初産…それも双子を出産するのですから時間がかかるのも不思議ではありませんから…。きっと子供達は無事に産まれてきますよ。」
ルチアが二人を落ち着かせる様に言った。
「ですが…母上…。」
ローランドが心配そうに言った。
その時…
「あぁーー!んんゔゔんー!」
部屋の中からシャーロットの鈍い声が聞こえた。
「シャーロット!」
シャーロットの声を聞いたローランドは何事かと思いシャーロットの名前を呼び思わず部屋に入ろうとしていた。
その時…
「オギャーーーオギャーーー!」
部屋の中から赤ちゃんの泣き声が聞こえた。
「あ…生まれた…。」
ローランドは泣き声を聞きその場に立ち尽くし呟いた。
「あぁーーゔぁぁーー!」
するとまたシャーロットの鈍い声が聞こえた。
「オギャーーー!オギャーーー!」
シャーロットの鈍い声が聞こえてすぐにもう一度赤ちゃんの泣き声が聞こえた。
「もう一人も生まれたようだな…。」
キーランドが安堵した表情で呟いた。
ガチャ…
ローランドが部屋の前に立ち尽くしていると部屋の扉が開いた。
「おめでとうございます…。元気な王子様と王女様がお生まれになりました。」
中から産婆が出てきて笑顔でその場にいたローランド達へ伝えた。
「シャーロットは…?」
ローランドは心配気な表情で産婆へ言った。
「王太子妃様にお会いできますよ。」
産婆はにこりと微笑み言った。
「そうか!」
ローランドは安堵した表情で言うと部屋の中へと入りシャーロットの元へ駆け寄った。
「シャーロット…。」
ローランドがシャーロットに近づき言った。
「ローランド様…見てください…。私達の息子と娘です…。」
シャーロットは疲れていたが微笑みながらローランドへ言った。
「あぁ…。本当だな…。私達の子だ…。シャーロット…ご苦労だった…。この子達を無事に産んでくれてありがとう…。」
ローランドは我が子を少し震えた手で触りながら目に薄っすら涙を浮かべて微笑みながら言った。
「これからは…きっと賑やかになりますね。」
シャーロットは微笑みながら言った。
「あぁ…。」
ローランドはフッと笑みを浮かべて言った。
こうして…カリブ王国に新たに双子の王子と王女が誕生したのだった。
王子と王女の誕生日に国民達は喜び祝福したのだった。
シャーロットは…翌年に王子…更に翌年に王子…更に翌年には王女をと…
シャーロットとローランドの間には五人の子供達が誕生したのだった。
五人の子供達は幼い頃よりシャーロットについて孤児院へ訪れていたからか孤児院の子供達や王都の街の平民の子供達とも隔たりなく交流していた。
シャーロットは子供を出産してから他国の慈善活動にも力を入れる様になっていた。
他国には飢えや病気で命を落とす子供も少なくない事を知ったシャーロットはそういった子供達の元へと自ら足を運んだりもしていたのだった。
シャーロットはいつの間にか他国からも評判のいい王太子妃になっていたのだった…
※
最後の王女が生まれてから二年後…
シャーロット達は家族でポート王国へ訪れていた。
シャーロットが毎年出産していた事や慈善活動にローランドの公務に多忙な日々が何年も続いていたのでなかなか家族で旅行に出かける事ができずにいたがようやく時間を作ることができたのだった。
シャーロットとローランドと子供達はあの海辺へ来ていた。
シャーロットとローランドは砂浜に座り…子供達はシャーロット達のすぐそばの砂浜で遊んでいた。
「ようやく…あの時の約束が実現できましたね。」
シャーロットは遊ぶ子供達を見てローランドへ言った。
「あぁ。子供が出来たの早かったがまさか…ここに子供達を連れてくるのにここまで長い時間がかかるとは思わなかったな…。」
ローランドはフッと笑みを浮かべて言った。
「本当に…。でも…こうして皆でここに来る事が出来て本当に良かったです。」
シャーロットは微笑みながら言った。
「シャーロット…今…幸せか?」
ローランドが微笑みながらシャーロットへ尋ねた。
「はい…。もちろんです。幸せ過ぎて夢ではないかと思うほどです…。」
シャーロットは満面の笑みで言った。
「そうか…。私も…驚く程に幸せだ…。」
ローランドは幸せそうに微笑みながら言った。
「きっと…これからも幸せな事は変わらないと言い切れます…。」
シャーロットは微笑みながら言った。
「同感だな…。」
ローランドは微笑みながら言った。
「そして…これからもずっと変わらず愛してる…。」
ローランドはシャーロットの頬を優しく触りながら言った。
「はい…。私もこれから先もずっと変わらず愛しています…。」
シャーロットはローランドの手にそっと触れながら言った。
そして…二人はそっとキスをした。
そして…その後ローランドは子供達の元へと行くと子供たちと遊び始めたのだった。
(今のこの目の前の私の大切な人たちを見ると…こんな状況は前世からは想像できないわね…。でも…最近よく思うことがある…。きっともう一度シャーロットとして生まれ変わらったのは神様が私に本気で生きようと思うために与えてくれた最後のチャンスだったのだと…。)
シャーロットはローランドと子供達を見ながら考えていた。
(今…目の前に見える光景を見ることが出来るチャンスを与えてくれた事に感謝して生きていこう…。大切な人達のために…。)
シャーロットは一人小さく頷きながら考えていた。
そして…
「母上も一緒に砂の城を作りましょう。」
王子の一人が座っているシャーロットへ手招きしながら声をかけた。
「えぇ。」
シャーロットは優しく微笑みながら応えるとローランドと子供達の元へと向かったのだった…
こうして…
公爵令嬢シャーロットは3度目の人生を生きぬくことができ末永く幸せに暮らしたのだった………
《完》
最終話までお付き合い頂きありがとうございました☆
番外編など書く機会がありましたら書かせて頂こうと思っいています✎
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