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39.恋敵と愛の形

シャーロットが事件について言及してから二週間が経った……


シャーロットの言及によってキーランド、ローランドのもと環境大臣であるボブ、王太子側近のアミル…そして王室騎士団長、副団長と共に再度事件解決への策を練り直し捜索した結果…

シャーロットの見解通り"ケシの実"が食品として大量に輸入されていた事が判明した。


ケシの実を輸入ルートを調べたが輸入リストは上手く偽造されたもので犯人に繋がる手がかりにはならにかった。


しかし……

捜索していくとある怪しげな店が捜索上にあがった。

見た目はただの雑貨屋の様な店だが出入りしている者たちが怪しいと巡回していた騎士団の騎士の報告で判ったのだった。



犯人のしっぽを掴むために騎士団の騎士たちがその店を相手にバレない様に監視を始めたのだった。


そして引き続き事件解決の為の作戦が練られていたのだった。



そんな中…

シャーロットはローランドに呼ばれ王宮へと訪れていた。


ローランドと二人きりで会うのは自分の気持ちをローランドに伝えてから初めてだった。


シャーロットはローランドの執務室へと通された。


「シャーロット…よく来てくれた。」


ローランドが嬉しそうに笑みを浮かべてシャーロットへ言った。


「はい…。殿下…おはようございます。」


シャーロットは優しい笑みを浮かべて言った。


「あぁ。それで…呼びつけておいてすまないがソファーに座って少しだけ待っていてくれるか?この書類は先に目を通しておかないといけないものなのでな…。」


ローランドは困った表情で書類を指さしながらシャーロットへ言った。


「はい。分かりました。」


シャーロットは頷きながら言った。


そしてシャーロットはソファーへと座った。


(私の気持ちを殿下に伝えてから二人で会うのは今日が初めてだから何だか緊張するといか…照れくさいとうか…くすぐったい気持ちになるわ…。でも…殿下に会えて嬉しいわ…。)


シャーロットはローランドをチラッと見ると少しだけソワソワしながらそんな事を考えていた。


(それにしても…変わらず殿下は忙しそうだわ…。やはり例の事件のことよね。私が麻薬の話をしてから新しく作戦を立て直したとお父様が教えてくれたけれど…犯人が捕まるまでは気を抜けないものね…。)


シャーロットは心配そうな表情でローランドを見て考えていた。


(それにしても…一体誰が何の目的でケシの実を使って麻薬なんて作ってるかしら。麻薬を作るなんて知識がなければ無理だから…きっと主犯格がいるはず…。しかも…それを人に大量に投与して…。麻薬は人を駄目にするものよ。どんな理由でも人を利用して酷い目にあわせてるなんて許せないわ。一刻も早く犯人が捕まるといいのだけど…。前世ではこんな事件なんて起こらなかったからまったく状況も犯人にも見当がつかないわ…。)


シャーロットは悩みながら考えていた。


(私にも何か事件解決に手伝える事があるといいのだけれど…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「ロット…シャーロット!」


ローランドがシャーロットに声をかけた。


「え?」


シャーロットはハッとなり言った。


「どうしたんだ…?えらく何かを考えている様子だったが…。」


ローランドは心配げな表情で言った。


「あっ…いえ…。大したことではありませんので…。それより…書類へは目を通されたのですか?」


シャーロットは慌てて言った。


「ん?あぁ。終わったよ。待たせたな。」


ローランドは頷きながら言うとシャーロットの元へとやってきてシャーロットの横へと座った。


ドキッ…


シャーロットはローランドが自分の横に座ったので思わずドキッとした。


そしてお互い変に緊張しているのか少し沈黙が続いた…


「シャーロット…。」


「殿下…。」


沈黙を貫き二人同時に言った。


「あ…で…殿下からどうぞ。」


シャーロットが慌てて言った。


「いや…シャーロットから…。」


ローランドも慌てて言った。


「いえ…本当に殿下からどうぞ…。」


シャーロットが更に言った。


「そうか…?では…私から言うとしよう…。」


ローランドは少し考えてから言った。


「はい。」


シャーロットが頷きながら言った。


「シャーロット…会いたかった…。」


ローランドは少し照れ気味に…でもとても嬉しそうな笑みを浮かべてシャーロットへ言った。


シャーロットはローランドの言葉に驚いた。


「コホン…それでシャーロットは何と言おうとしたのだ?」


ローランドは照れを隠すかの様に言った。


「実は…私も殿下と同じことを言おうと思っていたのです…。」


シャーロットは少し恥ずかしそうに言った。


「え?」


ローランドは驚いた表情で言った。


「殿下…私も会いたかったです…。」


シャーロットははにかみながらも満面の笑みでローランドへ言った。


そんなシャーロットを見てローランドはシャーロットを引き寄せ抱き締めた。


「君も…同じ様に私に会いたいと思ってくれていたのだな…。」


ローランドは嬉しそうな表情でシャーロットを抱きしめたまま言った。


「はい…。」


シャーロットは微笑みながら抱きしめ返してローランドへ言った。


「だが…私に会いたい素振りなど見せもしなかったではないか?手紙のやり取りにもその様な事書いていなかっただろう?」


ローランドはふと気になりシャーロットから体を離して言った。


「殿下がお忙しいのは知っていますのでその様な事を言って困らせたり殿下の休息の時間を邪魔したしたくありませんでしたので…。」


シャーロットは少し困った表情で言った。


(それに…お互いの気持ちを確かめあったけれど…どうしても前世の記憶があるから会いたくても素直に会いたいなんて言えなかったのよね…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「その様な事を気にしていたのか?まったく…今後はその様な事は気にせず会いたい時は会いに来たらいい。手紙に会いたいと書いててくれれば私が会いに行ってもいいんだぞ?」


ローランドは少し拗ねた様に言った。


「……はい。分かりました。次からは会いたい時には会いたいと我慢せずに言いますね。」


シャーロットは満面の笑みでローランドへ言った。


「あぁ。そうしてくれ…。まったく…婚約解消が決まるまでは毎日の様に様なく王宮へ訪れていたというのに…。あの図々しさはどこへいったんだ?!」


ローランドは微笑みながら言ったかと思えば意地悪そうにシャーロットへ言った。


(確かに…もう一度シャーロットとして生まれ変わる前は自分でも今思うと酷かったわね…。自分の事しか考えてなかったもの…。確かにあの行動は私が悪かっけども…でも…今言うことではないと思うけど…。)


シャーロットはローランドの言葉を聞いて少し不機嫌そうな表情で考えていた。


そして…ローランドからプイっと顔をそらしてそっぽを向いた。


「も…もしかして…怒ったのか…?!その…冗談だ…冗談…。」


ローランドはシャーロットの態度を見て慌てて言った。


「………。」


しかしシャーロットは黙ったままだった。


そんなシャーロットにローランドはたじたじだった。


そして…


フワッ……


ローランドはそっぽを向いているシャーロットの後ろからシャーロットを優しく抱きしめた。


「シャーロット…すまない…。頼むから怒らないでくれ…。ただ…前の様に図々しいくらい私に会いに来てほしいと思い言ったのだ。今のシャーロットには図々しさのかけらもないからな…。不思議なもので…自分の気持ちに気づくとあの時は図々しさが今では恋しく思うほどだ…。」


ローランドはシャーロットを後ろから抱きしめたまま言った。


「………怒ってませんので安心して下さい…。」


シャーロットは自分を抱きしめるローランドの手をそっと握り言った。


「本当か?良かった…。」


ローランドはホッとした表情で言った。


「……シャーロット…本当に怒っていないなら…私を名前で呼んでくれないか?」


ローランドがシャーロットへ言った。


「え?」


シャーロットは思わず言った。


「その…お互いの気持ちを確かめあったのだから…シャーロットが私を名前で呼んでも問題ないだろう?」


ローランドが言った。


(私が…殿下を名前で呼んでもいいの…?前世ではミレイ様以外には絶対に呼ばせなかった名前を…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「本当に…私が殿下の名前をお呼びしても…よろしいのですか…?」


シャーロットは少し震えた声でローランドへ言った。


「あぁ。もちろんだ。シャーロットだけに名前を呼んで欲しいのだ。」


ローランドは笑みを浮かべて言った。


(前世では…聞きたくても聞けなかった言葉…そして呼びたくても呼べなかった名前…。)


シャーロットは胸がグッとなるのを感じながら考えていた。


そして…シャーロットはそっとローランドから体を離してローランドの方を向いた。


そして……


「ローランド様…。」


シャーロットはどこか泣きそうな満面の笑みを浮かべてローランドへ言った。


「あぁ…。シャーロット…。」


ローランドは少し照れくさそうに嬉しそうに笑いながら言った。


(好きな相手に名前を呼ばれるのがこんなに嬉しいとは思いもしなかったな…。)


ローランドはそんな事を考えていた。


そして…ローランドは幸せそうに微笑むシャーロットにチュッと軽くキスをした。


ローランドにキスをされて驚いたシャーロットはすぐに頬を赤くした。

ローランドはそんなシャーロットがたまらなく愛おしいと思っていたのだった。


「……シャーロット…今日は君に話しておかなければならない話があるんだ。」


ローランドは急に言いづらそうにシャーロットへ言った。


「話…ですか?」


シャーロットは不思議そうに言った。


「あぁ…。実は五日後に街にある怪しいとされている場所へ突入することになり…私が突入の指揮をとることになった。なので…五日後に騎士団の騎士を数人引き連れて突入することにったのだ…。」


ローランドがシャーロットへ説明した。


「え?ローランド様が…指揮を…?怪しいとされているということは事件の犯人がいるかもしれないということ…ですよね…?」


シャーロットは戸惑いながら言った。


「あぁ…。今朝の騎士団長の報告によるとその場所で麻薬が作られている可能性が高い事に加えてここ数日…恐らく主犯格と思われる人物もその場所に出入りしているようなのだ。この機会を逃せば事件解決は難しくなるだろうと判断した為に突入を決定したのだ。」


ローランドが説明した。


「麻薬が…作られているのに加えて主犯格も出入りしているとなると…とても危険ではないですか…?」


シャーロットは下を向いて声を小さく震わせながら言った。


(そんな危険な場所に言って…ローランド様に万が一のことがあったら私は……。)


シャーロットはグッと拳を握りながら考えていた。


「……シャーロット…心配するな…。私は絶対に犯人達を捕まえ行方不明の者たちを助けて戻ってくる。それに君も知っているだろう?私が騎士団長に負けない程の剣の腕前を持っている事を…。それに…国民達がこれまでに街で起こった事のない様な事件の事で不安がっているのをいつまでも指を加えて犯人を野放しにさせておくわけにもいかないからな…。早く事件を解決して国民達を安心させなければならない…。それに…私はシャーロットの元へ無事に帰ってきて私達の婚約の話を皆にしなければならないだろう…?だから…そんな顔をするな…。」


ローランドはシャーロットを見てシャーロットを安心させる様に優しくシャーロットの顔を上げて言った。


「……分かりました…。」


シャーロットは泣きそうなのを必死に堪え頷きながら言った。


そんなシャーロットを見てローランドは優しくシャーロットを抱きしめたのだった……


(絶対に無事に帰ってくると約束ですよ…。)


シャーロットはローランドを抱きし返しながら考えていたのだった……




翌日…

シャーロットが孤児院へ向かうと孤児院の玄関でジョナスとばったり会った。


「あれ?ジョナス?今日は休みなの?」


シャーロットはジョナスから休みだと聞いていなかったので不思議そうに言った。


「……あぁ。急遽休みが前倒しになったんだよ。」


ジョナスが言った。


「??そうなのね…。」


シャーロットは不思議そうに言った。


そして二人は孤児院の中へと入った。


「ジョナス…朝は食べてきたの?」


シャーロットがジョナスへ尋ねた。


「そう。」


シャーロットが言った。


「あら…ジョナスおかえりなさい。今日休みなの?」


「兄さんおかえり…休みは四日後って言ってなかった?」


孤児院の中にいたミーシャとフーパーも不思議そうにジョナスへ言った。


「……前倒しで急遽休みになったんだよ。それより…三人に話があるんだ。」


ジョナスが少し言いづらそうにシャーロット達へ言った。


シャーロットたちは??という表情を浮かべた。


そして四人はフーパーの部屋へと向かった。


四人は部屋に入るとそれぞれ椅子とベッドに座った。


「それで…話って何なの?」


シャーロットがジョナスへ尋ねた。


「……今…街を騒がせてる事件の解決の為に四日後…王太子殿下と騎士団の騎士達で犯人が出入りしていると思われる場所へ突入することになったんだ。それで…俺も騎士団の騎士として同行する事になった。」


ジョナスが少し言いにくそうにシャーロット達へ言った。


「ジョナスも…同行ですって?!」


「兄さん…それって危ない任務なんじゃないの?!」


ジョナスの話を聞きシャーロットとフーパーがジョナスへ言った。


(ローランド様とアミルお兄様だけではなくジョナスまで同行なんて…。)


シャーロットは表情を歪ませながら考えていた。


「……。心配するな。殿下が指揮をとってくださるし騎士団の仕事は常に危険が付き物だ。それに俺たちが育ってきた場所の人達が事件の事で不安がってるんだ。ならその不安を少しでも早く取ってやるのが俺たち騎士団の騎士の仕事でもあるんだからな。俺はこの街で育ってきたからあまり知られていない場所や通り道を知っているから同行することになったんだ。まだ入りたての騎士の俺が頼ってもらえるなんてむしろありがたい事だしな。」


ジョナスは心配そうな表情のシャーロットたちを見てやれやれといった表情で言った。


「ものすごく危険な事があるわけではないんだよね?」


フーパーが真剣な表情でジョナスへ言った。


「あぁ。心配するな。殿下もいるし団長や副団長も一緒なんだぞ?だから安心さ。」


ジョナスはフッと笑みを浮かべてジョナス言った。


「……そっか…。分かったよ。でも…本当に気をつけてよ?兄さん。」


ジョナスは心配しながらジョナスへ言った。


「あぁ。」


ジョナスは頷きながら言った。


「ミーシャさんは変わらず夜間の戸締まりを厳重にしておいてくれよな。」


ジョナスがミーシャへ言った。


「えぇ。わかったわ。ジョナス…本当に気をつけてね。」


ミーシャが心配そうに言った。


「あぁ。」


ジョナスは頷きながら言った。


「まっ…話っていうのはそれだけだから。よし!これで話は終わりだ。ロッティ来たばっかりでごめんけどお腹空いたから何か作ってくんないか?」


ジョナスがスパッと話を切るように言った。


「えぇ。わかったわ。待っててすぐつくるわ。」


シャーロットはどこか複雑な笑みを浮かべてジョナスへ言った。


「あぁ。」


ジョナスは言った。



そして…その後ジョナスはシャーロットの作った食事を食べて裏庭で剣の稽古をしていた。


そこへシャーロットがやってきた。


「ジョナス…飲み物持ってきたから少し休憩してちょうだい。」


シャーロットがジョナスへ言った。


「ん?あぁ。」


ジョナスはそう言うとシャーロットがいる場所まで向かいその場へ座った。


「……ジョナス…本当にあなたも行かないといけないの?」


シャーロットは心配そうな表情でジョナスへ言った。


「もう決まったことだからな。もぅ…そんなに心配するなよ。殿下が指揮をとってくれるんだぞ?殿下が一緒なら心強いってロッティなら知ってるだろう?」


ジョナスはやれやれといった表情で言った。


「それは…知ってるけど…。でも…まだ騎士団に入団したばかりなのに急に危険な事件に同行なんて…。」


シャーロットは心配そうな表情のまま言った。


「……本当に大丈夫だよ。そんなに俺を信用できないか?」


ジョナスがシャーロットへ言った。


「そういう訳ではないけど…ただ…私は心配なのよ…。」


シャーロットは心配そうにジョナスへ言った。


「…心配してくれるのはありがたいけどもう少し俺を信じろよ!なぁ?それに俺は未来の王妃になるロッティの専属騎士になる予定の男だぞ?こんな事件一つでどうにかなる様なら専属騎士なんて務まらねぇんだからこんな事でへこたれるかよ。」


ジョナスはニヤリとと笑みを浮かべて言った。


「……もぅ…ジョナスには敵わないわ。そんな風に言われたらこれ以上言えないじゃない。」


シャーロットは困った笑みを浮かべて言った。


「ハハハハ!だろ?」


ジョナスは笑いながら言った。


そんなジョナスを見てシャーロットも思わず笑みを溢したのだった。


「……それで…あれから殿下とは話せたのか?」


ジョナスは考える様な表情でシャーロットへ尋ねた。


「えぇ。ジョナスの助言を聞いてからロー…殿下とは話せたわ。そして、きちんと自分の思っていること…そして…気持ちも伝える事ができたわ。」


シャーロットは優しい表情を浮かべてジョナスへ言った。


(ジョナスの前ではローランド様と呼ばない方がいいかしら。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「……そうか。良かったな。これで…ロッティは殿下ともう一度婚約して…そして結婚して王太子妃か…。」


ジョナスは切ない笑みを浮かべて言った。


(そうか…。ロッティは殿下に自分の気持ちを伝えたのか…。もう…本当にロッティは殿下のものになるんだな…。)


ジョナスは少し胸がチクリと痛むのを感じながら考えていた。


「結婚なんて…。まだ婚約の件もきちんと陛下やお父様に話もしていないのに…。気が早いわよ。」


シャーロットは照れた様に慌てて言った。


「ハハハハ…照れる事ないだろうよ。………ロッティは…今幸せか?」


ジョナスが笑って言ったあとに真剣な表情になりシャーロットへ尋ねた。


「………えぇ。とても幸せよ!」


シャーロットは満面の笑みを浮かべて言った。


「…そうか…それなら良かったよ。」


ジョナスはにこりと微笑みながら言った。


(ロッティ…本当に幸せなんだな…。俺はロッティが幸せならそれでいいさ…。)


ジョナスは切ない表情を浮かべて考えていたのだった………




それからあっという間にローランド達が犯人が現れると思われる場所への突入する日が訪れた。


夜になり街へ出発する前にローランドが再度各自の配置について確認していた。


「事前に決めた通り…コーデル団長は騎士四人を連れて目星をつけておいた4箇所の場所へ行方不明者を隠していないか確認し行方不明者を見つけ次第保護してくれ。」


ローランドはロナへと言った。


「承知いたしました。」


ロナは頷きながら言った。


「副団長は騎士三人を連れて犯人や事件に関わった者たちが逃げない様に店の周りを固めておいてくれ。」


ローランドがラスカルへ言った。


「承知いたしました。」


ラスカルが頷きながら言った。


「アミルは騎士二人を連れて私がいる場所の反対側を見張っておいてくれ。」


ローランドがアミルへ言った。


「承知いたしました。」


アミルが頷きながら言った。


「そして…ジョナス君は私に同行し店付近のあまり知られていない路地と場所への案内をしてくれ。」


ローランドがジョナスへ言った。


「承知いたしました。」


ジョナスが頷きながら言った。


「よし…今夜でこの事件にけりをつけるぞ。」


ローランドは真剣な表情で言った。


「「はい!」」


皆が一斉に言ったのだった。


そして…ローランド達は街へと向かった。



同じ頃…孤児院にはシャーロットがいた。

シャーロットはローランド達の事を思うと少しでも彼らの近くにいたいのとどこか不安に思うフーパーとミーシャの事も気がかりでこの日は夜も孤児院へ滞在していたのだった。


(ローランド様…アミルお兄様…ジョナス…他の皆さんもどうか無事で戻ってきます様に…。犯人が無事捕まり…行方不明の方たちが見つかります様に…。)


シャーロットは窓の外を眺めながそんな事を考えていたのだった…




そして…ローランド達は街へ到着すると各自持ち場へ着いた。


ジョナスはローランドを怪しい店付近の誰にも気づかれない様な場所へと案内した。


「あそこが例の店だな…。あちらから我々がいる場所は死角になり見えないだろうがこちらからはあちらの様子が伺えるな。よくこんな場所を知っていったな。」


ローランドは案内された場所で目的の店を見ながら言った。


「はい。この場所は私が幼い頃によく逃げ込んでいた秘密の場所ですので。」


ジョナスが応えた。


「そうか…。一先ずここで相手の動きを伺いながら見張ろう。」


ローランドが言った。


「はい。」


ジョナスは頷きながら言った。


「……今日アミルと共にシャーロットが私の元へ来た。今日の事がやはり心配だった様で改めて気をつけてと言いに来てくれたのだ。…その時に…ジョナスの事も心配していたぞ…。」


ローランドが複雑そうにジョナスへ言った。


そう…

この日の午前中にシャーロットはローランドに会いに王宮へ足を運んでいた。

突入する前にやはり心配でローランドの顔を見に来ていたのだった。

シャーロットはローランドの事はもちろんアミルの事…ジョナスの事も心配していたのだった。


「そうですか…。ロッ…シャーロット様が……。」


ジョナスはフッと笑みを浮かべて言った。


「………こんな時にする話でもないのだが……。今からは王太子と騎士ではなく一人の男と男としての話だ…。だから一人男同士として正直に応えてくれ…。ジョナスは…シャーロットの事を異性として……好きなのだよな?」


ローランドは迷いながら言いづらそうにジョナスへ言った。


「………。はい。俺はロッティの事を異性として好きです。」


ジョナスは真っ直ぐローランドを見て言った。


(迷いなど一切ないという顔だな…。)


ローランドはジョナスの表情を見て思っていた。


「やはり…そうだったか。」


ローランドは何とも言えない表情で言った。


「はい。」


ジョナスが言った。


「今でも…好きという気持ちは変わらないのだろう?」


ローランドが戸惑いつつ言った。


「はい。今も…これからもロッティを想う気持ちは変わりません。」


ジョナスは迷いない表情で言った。


(相手がたとえ殿下でも俺がロッティを好きだという気持ちは負けないし消せないからな。)


ジョナスはそんな事を考えていた。


「…シャーロットは私の事を好きだと言ってくれたのだぞ?私もシャーロットの事が好きで…つまり私たちはお互い想い合ってるのだぞ?」


ローランドはジョナスの言葉に思わずムッとなりむきになり言った。


「……はい。知っていますよ。」


ジョナスはそんなローランドに対しても冷静に言った。


(そんな事…言われなくてもわかってんだよ。)


ジョナスは少し胸が痛むのを感じながら考えていた。


「それでもシャーロットをこれからも好きだと言うのか?シャーロットが私と婚約し結婚してもか?!」


ローランドが更に言った。


「はい。」


ジョナスは頷きながら言った。


「お前……。」


ローランドはムスッして言った。


「…一人の男として言いますけど…ロッティの事を先に好きになったのは間違いなく俺です。殿下はロッティの事が嫌いなのではなかったのですか?それなのに何故手のひらを返す様にシャーロットを?!そんな手のひらを返した様にロッティの事を好きになった殿下にとやかく言われる筋合いはないと思いますけど?」


ジョナスはツーンとした表情で言った。


「な…なんだと?!」


ローランドは思わず声をあげて言った。


「殿下…声が大きいです。静かにしたください。」


ジョナスが慌てて言った。


「あ…すまない…。つい…。」


ローランドハッとなり言った。


(私は…何をしているのだ…。監視に集中せねばならないというのにシャーロットの事になると…。)


ローランドはため息混じりに考えていた。


「………殿下はロッティの背中を押したのが俺だと知らないのですね。」


ジョナスは少し呆れた表情で言った。


「??どういう意味だ?」


ローランドは冷静になり不思議そうに言った。


「ロッティが…殿下との婚約の事…殿下への気持ちを悩んでた時に俺がロッティの背中を押したんですよ。ロッティが殿下に自分の思ってること…自分の気持ちも伝えてないのにうじうじしてたのでそんなもの本人に伝えないと何も前に進めないぞ?とね…。」


ジョナスはローランドを見てフッと笑みを浮かべて言った。


「何?!ジョナスもシャーロットの事を好きなのだろ?何故…その恋敵である私への気持ちを伝えろなどシャーロットへ言ったのだ?!」


ローランドはジョナスの言葉を聞いて意味がわからないという表情を浮かべて言った。


「……それは…ロッティの事が好きで大切だからですよ。だから…ロッティには自分の気持ちに嘘をつかず素直になり好きな相手に気持ちを伝えて幸せになって欲しいと思ったからですよ。」


ジョナスは少し切ない笑みを浮かべて言った。


(……あぁ…。きっと私はジョナスには敵わないと直感で感じたからジョナスにシャーロットを取られてしまうのではないかと不安になったのだな…。私と歳が同じだとは思えない程…いや…王太子である私が直感で感じる程ジョナスは本当にシャーロットの事を大切に思っているのだな…。)


ローランドはジョナスの言葉を聞き悔しさを感じつつ考えていた。


「そうか…。ジョナスはそれでいいのか?シャーロットには自分の気持ちはこの先伝えないつもりか?」


ローランドは複雑そうな表情で言った。


「そうですね……。伝えるつもりはありません。ロッティは貴族の令嬢で俺は騎士団に入団したとはいえ出身は平民で孤児です。それだけでも恐れ多くて言えないですし…何よりも俺の気持ちを伝えてロッティを困らせたくないし今の関係が崩れるのが嫌なので。」


ジョナスが言った。


(これが…本当に相手の事を思うと言うのだろうな…。今の私では目の前のシャーロットとの事で精一杯でジョナスほど考えることができなかっただろう…。)


ローランドはそんな事を考えていた。


「今後…シャーロットが私の横にいるのを見るのは辛くはないの…か…?」


ローランドは気まずそうに言った。


「……辛くない…といえば嘘になるかもしれませんが…ロッティが幸せに笑っていてくれるならそれで十分なので。これが…俺のシャーロットに対する愛の形ですから。ロッティにはこれからもずっと笑って幸せに過ごして欲しいと思ってますから。」


ジョナスは満面の笑みを浮かべて言った。


「ジョナス…。」


ローランドはそんなジョナスの思いを聞き胸が締め付けられる様な気持ちになりつつ言った。


「なので…殿下は…ロッティを絶対に幸せにしてくださいね。前の様にロッティを蔑ろにしたり泣かせたりしたら…俺は許さないしロッティを殿下から奪いますからね。」


ジョナスが真剣な表情でローランドへ言った。


「分かっている。心配しなくとも生涯私がシャーロットを幸せにしてみせるさ。だからジョナスが奪う時などこないさ。」


ローランドは勝ち誇った様な表情でジョナスへ言った。


「…殿下って…意外と嫉妬深くて独占欲強いですよね?孤児院へ素性を隠して来ていた時から俺に敵意を向けてましたもんね?」


ジョナスがニヤリとしながら言った。


「お前…あぁそうだ!私も自分自身で驚く程に嫉妬深くて独占欲が強い様だ。まぁ…シャーロットに限ってだがな。」


ローランドはムスッとして言うも諦めた様な表情で言った。


「ハハハハ…。ロッティを好きな人は俺以外にも街にも沢山いますしこれから殿下は大変ですね。弟の恋人もロッティの事が好きで孤児院でもロッティにくっついてますしね。」


ジョナスは思わずに笑いながらローランドをからかう様に言った。


「笑うな。はぁ…シャーロットどこまで人を惹き付けるつもりなのだ…。」


ローランドはため息混じりに頭を抱えながら言った。


「まぁ…いいじゃないですか。これでロッティが王太子妃となっても国の国民達から歓迎されますよ。」


ジョナスは頭を抱えるローランドを見て笑いを堪える様に言った。


「まぁ…それはそうだが…。」


ローランドは頭を抱えたまま言った。


「あっ…そうだ。言い忘れてましたが俺…ロッティが王太子妃になったあかつきには王太子妃専属の騎士になる予定なのでよろしくお願いしますね?」


ジョナスがニヤリと笑みを浮かべて言った。


「なんだと?!王太子妃の専属騎士?!」


ローランドはジョナスの言葉を聞き驚き言った。


「はい。もうロッティとも話をしてますので。」


ジョナスはにこりと微笑みながら言った。


「わ…私は聞いていないし…その様な事を勝手に決めるなど許さないぞ!」


ローランドが慌てて言った。


「ロッティの決めた事を反対するつもりですか?」


ジョナスはフッと笑みを浮かべて言った。


「ぐっ……。ジョナス…お前…王太子の私に向かってその様な態度を…。」


ローランドはムスッとして言った。


「え?殿下が一人の男として話をと言いましたよね?」


ジョナスはさらにニヤリとして言った。


「おまっ…。はぁ……。まったく油断できない奴だな…。」


ローランドはため息混じりに言った。


「ハハハハ…。」


ジョナスはそんなローランドを見て思わずに笑った。


(ロッティ…きっと殿下はお前を幸せに大切にしてくれるよ…。だから…お前は何も心配することはないぞ。そして俺はそんなロッティをずっと近くで守ってやるよ。)


ジョナスはローランドと話をしながらそんな事を考えていたのだった。


その時だった…


監視していた店に誰かが訪ねてきたのが見えた。


「殿下…。」


ジョナスが一気に表情を険しくしてローランドへ言った。


「あぁ…。」


ローランドが頷きながら言った。


「恐らく…犯人もすぐに現れるだろう。」


ローランドが目を細めながら言った。


ジョナスはローランドの言葉に頷いた。


「店へ近づこう…。」


ローランドが言うとジョナスが頷いた。


そして二人はその場を離れて店へと近づいて行った。


店へ近づく際に反対側にいたアミル達にローランドは目で合図を送っていた。


(犯人と思われる人物が店に入った瞬間に店へ攻め込む。)


ローランドはアミルへ目で訴えた。


そんなローランドにアミルは頷いた。


そして、ローランドとジョナス…アミルと騎士たちは店の両脇から少しづつ店へと近づいた。


その時だった…


暗闇の中から正気を失って凶変した男性三人がローランドとジョナスへ襲いかかってきた。


「殿下!!」


ジョナスがローランドへ言った。


「私は大丈夫だ。この者たちをとにかく抑えつけろ。」


ローランドがジョナスへ言った。


「はい!」


ジョナスは頷きながら言った。


そして…二人は凶変して正気を保てない者たちを剣を使わず取り押さえた。


取り押さえた者たちは焦点が合っていないどころか口から大量にヨダレを垂れ流し顔は痩せこけているのに凶暴だった。


「一体…この者たちは何をされたのだ…。」


ローランドは捕らえた者たちを見て表情を歪めながら言った。


「もう…自分の意思などわからない程に精神が崩壊している様です…。きっと…もう自分の意思を取り戻すのは難しいかと…。」


ジョナスは表情を歪めて悔しそうに言った。


「クソっ…。」


ローランドは表情を歪めて言った。


(絶対にこんな事をしている犯人を許さない…。)


ローランドは表情を歪めて考えていた。


その時…

捕らえた一人が急に暴れだしジョナスへ襲いかかった。


「ジョナス!」


ローランドが咄嗟に言った。


「大丈夫です!」


ジョナスはそう言うと襲いかかってきた男の首へ手を回した。


「すまない…。」


ジョナスはそう言うと表情を歪めつつ男の首を締め付け男を気絶させたのだった。


「ジョナス大丈夫か?!」


ローランドがすぐさまジョナスの元へとかけよろうと言った。


その時…


「殿下!!後ろです!」


ジョナスが暗闇の中から誰かローランドの後ろから近づいているのが見えて叫んだ。


ローランドはジョナスの言葉を聞き後ろを振り返った。


その瞬間…暗闇から出てきた人影がローランドに向かって短剣を向けて襲いかかったのだった…


「殿下ーーーー!!」


ジョナスが叫んだ。




パリーーン…!


「あぁ…やってしまったわ…。痛っ………。」


孤児院でグラスを落として割ってしまったシャーロットが割れたグラスの破片を拾おうとした時に破片で指を切ってしまった。


「シャーロット様!大丈夫ですか?!」


ミーシャがシャーロットの声を聞き慌ててシャーロットの元へかけつけ言った。


「はい。大丈夫です。少し指を切ってしまっただけですので…。」


シャーロットがミーシャへ言った。


「大変…!すぐに救急箱を持ってきますね。」


ミーシャが慌てて言った。


「ありがとうございます。」


シャーロットが言った。


そしてミーシャが急いで救急箱を取りに言ったのだった。


(ローランド様たちはまだ戻ってこないのかしら…。王宮から連絡がないからまだ王宮へは戻ってないのよね…。何事も起こらないといいのだけど…。)


シャーロットはミーシャが救急箱を取りに行っている間に窓の外をみながら心配そうに考えていたのだった…………


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