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38.心に素直に…そして嵐の前の静けさ…

創立記念式典からあっという間に一ヶ月が過ぎた…


この一ヶ月間…


ローランドは急な仕事が増えた事もありバタついた日々を過ごしていた。


シャーロットは変わらず孤児院での仕事に奮闘していた。

初めてミレイが孤児院へ訪れて以来頻繁に孤児院を訪れてくる様になったミレイはシャーロットから料理を習ったりもしていた。

フーパーとの将来を考えての事のようだった。

ミレイは料理が大の苦手でこれまで何度も挑戦したがいつも失敗してばかりな様だった。

シャーロットはそんなミレイにとても分かりやすく丁寧に料理を教えていた。

シャーロットは前世から想像出来ないミレイとの関係に初めは戸惑ったが一ヶ月経った今では良い関係を築けていた。


シャーロットとローランドはお互いにそんな日々を過ごしていた。


しかし…

この一ヶ月の間で王都の町では何やら物騒な事件が増えていたのだった。


その事件とは…

"この一ヶ月の間で人間なのに人間ではない人物が夜になると町に現れ人を襲い連れ去る"

という内容だった。


シャーロットはこんな事件は前世では起こらなかったはずだ…と前世の事を思い出しながら考えていた。


しかしながら物騒な事件に変わりはないので町の人や孤児院の皆には十分に気をつける様に言い夜は絶対に出歩かない事!と勧告しておいたのだった。


ミレイも夕方になるまでには帰らせる様にしていた。


そんな日々を過ごす中…

一ヶ月ぶりにシャーロットとローランドが会うことになった。


どうやらローランドの都合がようやくついた様だった。


ローランドの希望で二人が出かける先は以前二人で行った湖へ行くことに決まったのだった。




シャーロットとローランドが出かける日がやってきた…


シャーロットはローランドに作って欲しいとお願いされていたサンドイッチとチョコチップクッキーとレモネードを朝から作っていた。


(嬉しいわ…。殿下が私の作るものを気に入ってくれたなんて…。)


シャーロットは料理を作りながら嬉しそうな表情を浮かべてそんな事を考えていた。


そして…

ローランドがシャーロットを迎えに来たので二人で馬車に乗り湖へと向かった。


「…シャーロット…そのお願いがあるのだが聞いてくれるだろうか?」


ローランドがシャーロットへ言いづらそうに言った。


「??はい…どうされました?」


シャーロットは不思議そうに言った。


「その…だな…。せっかく二人で出かけているのに申し訳ないが…湖に到着するまで少しだけ仮眠をとっても構わないだろうか…?」


ローランドは申し訳なさそうに言った。


「え?そんな…殿下はお疲れのようですしその様な事気になさらなくても大丈ですので早く仮眠をとってください。」


シャーロットは慌てて言った。


「そうか…。すまないな。助かるよ。」


ローランドはホッとした表情で言った。


「お願いというのは仮眠のことだったのですか?」


シャーロットが言った。


「いや…その…仮眠を取る際に…シャーロットが嫌でなければ…その…シャーロットの肩を借りて肩に寄りかかって寝てもいいだろうか…?」


ローランドは言いづらそうに言った。


「え…?」


シャーロットはローランドの予想外の言葉に驚き言った。


「あ…いや…い…今のは忘れてくれ。」


ローランドはシャーロットの驚く表情を見て戸惑い慌てて言った。


(やはり…私に肩を貸すなど嫌なのだろうか…。)


ローランドはしゅんとした表情で考えていた。


「あの…はい。分かりました。どうぞ…私の肩で良ければお使い下さい…。」


シャーロットは少し照れ気味に言った。


(殿下が突然予想外の事を言うから驚いたけれど嫌ではないわ…。むしろ…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「い…いいのか?!」


ローランドは顔をバッと上げシャーロットを見て言った。


「はい…。」


シャーロットは小さく頷きながら言った。


「……無理にとは言わないぞ?本当は嫌なら…そう言ってくてもいいのだぞ?」


ローランドは少し俯き気味に応えるシャーロットを見て切なそうな表情で言った。


「あ…嫌とかではないのです…。ただ…その少し恥ずかしいな…と思っただけなので…。」


シャーロットは頬を赤くしながら慌てて言った。


「そ…そうか…。」


ローランドはシャーロットの反応を見てふっと優しい笑みを浮かべて言った。


「では…お言葉に甘えて…お願いするよ。」


ローランドは優しく言うとシャーロットの横へと移動して座りシャーロットの肩へそっと頭を下ろしもたれかかった。


ドキッ…

ドキドキドキ…


シャーロットの心臓の音がうるさかった…

しかし…それはシャーロットだけではなくローランドも同じだった。


(何だか…き…緊張するわ…。殿下が私の肩にもたれかかってるなんて…。)


シャーロットは自分の心臓の音を感じながら考えていた。


(自分でお願いしておきながら…いざ…肩を借りてこの様に密着するのは…緊張してしまうな…。婚約破棄すまでの私からは考えられない行動だな…。あの頃はシャーロットの名前を聞くのすらも嫌気がさした程だというのに…。今ではシャーロットとのこの距離がとても心地よく安心できて…落ち着いて…幸せな気持ちになるな……。)


ローランドはそんな事を考えながらそっと目を閉じた。


ローランドはあっという間に眠りについたのだった。


(……殿下…よほどお疲れなのね…。目の下にも薄っすらとクマができているようだし…。)


シャーロットはローランドの寝息が聞こえローランドが寝入ったことを確認してローランドの顔をそっと見ながら考えていた。


(それにしても…こんな状況…前世の私達では想像も出来なかった事ね。殿下は私を心の底から嫌っていたしね…。まさか…今世でこんな状況になってるなんてね。)


シャーロットは苦笑いを浮かべて考えていた。


(……でも…こうしていると殿下のぬくもりが体に伝わってきて温かくて落ち着くわ。それに…とても幸せな気持ちになるわ。)


シャーロットはふっと笑みを浮かべて考えていた。


(一ヶ月前の状況でジョナスと話をしてからずっと考えてた…。私はどう行動すべきかと…。沢山考えて悩んだ末に出た答えを今日は殿下に話すって決めたのよね…。自分の心に素直になると。前世での失敗を繰り返す訳にはいかないけれどこのまま自分の気持ちに嘘をつくのもよくないと思ったから…。)


シャーロットは複雑そうな表情で考えていたのだった。


そして…

ローランドが仮眠を取っている間に馬車が湖へと到着した。


「殿下…。殿下…湖に到着しました。」


シャーロットは優しくローランドに声をかけた。


「んん…。着いたのか?」


ローランドは薄っすらと目を開けて言った。


「はい。よく眠れましたか?」


シャーロットがローランドへ優しく言った。


「……あぁ…。お陰様でよく眠れた…。」


ローランドは少し照れた様に言った。


「それならば良かったです。」


シャーロットは微笑みながら言った。


そして二人は馬車から降りて湖へと向かった。


湖へ着くと前回同様に木の下に敷物を敷いて座った。

そして…シャーロットは敷物の上に料理を並べた。

二人で料理を食べた。

ローランドが満足そうに食べている姿を見てシャーロットは嬉しくて幸せな気持ちになっていた。


そして…

食事を済ませくつろぎながらクッキーを食べていた。


「やはり…この場所は静かで落ち着くな。」


ローランドはクッキーを一口口にして風を感じながら言った。


「そうですね…。本当にこの場所はとっておきの場所です。」


シャーロットも風を感じながら言った。


「シャーロットはこの一ヶ月特に変わりなかったか?」


ローランドが言った。


「はい…。特に変わりなく過ごしていました。」


シャーロットが応えた。


(悩んだり考えたりは沢山したけどね…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「そうか…。それならば良かった。」


ローランドはホッとした表情で言った。


「殿下の方は…とても多忙な様ですね。あまり休む暇もないのではないですか?」


シャーロットは心配そうに言った。


「そうだな…。やる事が大幅に増えた事で多忙な日々が続いているが王太子として私がやらなければならない仕事だからな。」


ローランドが言った。


「ですが…休息をとるのも仕事のうちですよ?体を壊されては何も出来なくなってしまいますので…。」


シャーロットは更に心配そうに言った。


「あぁ…。心配ありがとう。」


ローランドはふっと笑みを浮かべて言った。


「……王都の町で起きている事件が原因ですよね…?」


シャーロットは聞きづらそうに言った。


「………。」


ローランドは黙り込み複雑そうな表情を浮かべた。


「あ…申し訳ありません…。その様な事を簡単に口にする訳にはいきませんもんね…。」


シャーロットはローランドの表情を見て慌てて言った。


(いくら…何でも立ち入りすぎだったわよね…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「………いや…。構わない…。私はシャーロットを信じているから私から聞く話を軽々しくの口外したりはしないだろう?」


ローランドが言った。


「はい…。それはもちろんです。」


シャーロットは頷きながら言った。


「……。君の言うとおりここ一ヶ月の間で急に多発した事件の事で多忙をきわめている…。この一ヶ月で同じ様な事件がすでに10件近く起こっている…。幸い今のところ襲われた者に死者は出てはいないが今後も出ないとは限らないからな…。それに…襲われた者達は皆口を揃えて相手は人間なのに人間ではなかったと答えている上に行方不明者も未だ発見されていない…。王室騎士団の騎士たちを町に配備しているが犯人を捕まえる事はおろか行方不明者の救出すらできずにいるのだ…。」


ローランドは苦渋の表情でシャーロットへ説明した。


「王室としても国民の事を思うとこれ以上の被害は食い止めたいところだ。だが…驚くほどに手がかりが掴めないでいるのだ…。人間なのに人間ではたいという不可解な犯人を相手にしてどう捕まえたらいいのかを日々考え会議を行っているがなかなか上手くいかなくてな…。」


ローランドは更に苦渋の表情で続かた。


「はぁ…どう手を尽くせばいいのか八方塞がりでな…。」


ローランドはため息混じりに言った。


(王室がここまで動いてるというのに犯人は捕まるどころか…行方不明者も見つからず…手がかりもほとんどないとなると殿下が頭を悩ますのも当たり前だわ…。お父様やアミルお兄様…司書をしているエイルお兄様までここ一ヶ月は多忙をきわめているくらいだから相当深刻な事件のようね…。)


シャーロットはローランドの話を聞いてそんな事を考えていた。


「あぁ…それよりも手紙に今日会った際に話があると言っていたが話とは事件の事だったのか?」


ローランドはハッと思い出した様にシャーロットへ言った。


「あ…それは…。」


シャーロットはすっかり忘れていたという表情で言った。


「……事件の事ではありません…。その殿下との…婚約の件についてのお話です…。」


シャーロットはもじもじしながら上手くローランドの顔を見れずに言った。


「こ…婚約の話だと?!」


ローランドは思わず声をあげて言った。


シャーロットは頷いた。


「そ…それで…その婚約についての話というのは…何なのだ…?」


ローランドは急に不安そうな表情で言った。


(シャーロットは…やはり…私との婚約を断るのだろうか…。)


ローランドは不安になりながらそんな事を考えていた。


「……殿下との婚約のお話…お受けしようと思います…。」


シャーロットは意を決してローランドの目を見て言った。


「…っ?!私と…もう一度婚約してくれるのか…?」


ローランドは信じられないという表情で言った。


「はい…。ですが…婚約に伴い殿下にご相談があります…。」


シャーロットは小さく頷きながら応えるとローランドへ言った。


「相談とは何だ?私が力になれる事であれば力になるが…。」


ローランドは慌てて言った。


「……殿下と婚約をするということは…その後結婚して王太子妃になるということです…。婚約中は王太子妃教育を受けなければなりませんし王太子妃になれば王太子妃としての役割を全うしなければなりません…。しかし…私は今孤児院の責任者を任されています。孤児院の責任者になる事を願っていましたので責任者の仕事をしている事に全力を注いでいます。しかし…私が殿下と婚約するということは孤児院の責任者の仕事を出来なくなるということです…。ですが…私は殿下と婚約したからといって孤児院の仕事を投げ出したくないのです…。私は殿下と婚約したとしても孤児院の仕事に携わりたいのです…。どうか…王太子妃となっても孤児院の仕事に携わる事をお許し願いたいのです…。もちろんそのことで王太子妃教育や王太子妃としての役割を疎かにするつもりはまったくありません…。」


シャーロットは一生懸命自分の思いをローランドへ伝えた。


「そうか…。シャーロットは本当に孤児院や孤児院の子供達が大切なのだな。………分かった。孤児院の件については私の方で父上に話をしてみよう。父上もシャーロットがどれほど孤児院の仕事を頑張っているかを知っているからきっとシャーロットの思いを理解してもらえるだろう…。」


ローランドは優しい表情でシャーロットへ言った。


「殿下…ありがとうございます…。」


シャーロットはローランドの言葉に嬉しくなり泣きそうになるのを堪えて言った。


(思い切って…殿下に相談してみて良かった…。殿下が私の思いを親身に聞いてれて良かった…。ジョナスのいった通り殿下に相談してみて良かったわ…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「あぁ…。だが…その事が理由で私ともう一度婚約する事に戸惑っていたのか…?」


ローランドがシャーロットへ言った。


「はい…。それも理由の一つです…。」


シャーロットは頷きながら言った。


「そうか…。…ん?一つ…?ということはまだ理由があるのか?もしや…想い人……でもいるのか…?」


ローランドはふとシャーロットの言葉の一部が気になり言うと一気に不安げな表情で言った。


(シャーロット…今日は殿下に対して自分の心に素直になると決めたでしょ?)


シャーロットはローランドの言葉を聞き心の中で自分自身に言い聞かせていた。


「はい……。」


シャーロットは小さく頷きながら言った。


(そんな……まさか…本当にシャーロットに想い人がいたとは…。では…何故私との婚約の話を受けると言ったんだ?……シャーロットの想い人はシャーロットが私と婚約することを許したというのか?そんなに理解がありシャーロットの事を考えているある男なのか?!……まさか……!)


ローランドは一気に天国から地獄に落とされた様な表情で考えていた。


「まさか…その想い人とは…ジョナス…なのか?!」


ローランドは頭の中に浮かんだ人物の名を入れてシャーロットへ尋ねた。


(ジョナスも…どう見てもシャーロットに想いを寄せている…。それにジョナスとはとても仲がよい…それはお互い想い合ってたからなのか…?!)


ローランドは混乱気味に考えていた。


「え?ジョナス…ですか?!ち…違います!ジョナスの事は大切ですがそれは…孤児院の子供であり私の心が許せる友達だからです。」


シャーロットはローランドが突拍子もない事を言うので驚き慌てて言った。


(どうしてジョナスになるの?!)


シャーロットは混乱気味に考えていた。


「え…?ジョナスではないのか…?では…一体誰だと言うのだ?!」


ローランドはシャーロットの言葉を聞き呆気に取られた表情で言った。


「………殿下です…。」


シャーロットは恥しそうにローランドを見ながら言った。


「何だと?」


ローランドが言った。


「ですから…私の想い人は…ローランド王太子殿下です…。」


シャーロットは頬を赤くしながら恥しそうに言った。


(とうとう…言ってしまった…。今世では


「は…?私…だと…?」


ローランドはシャーロットの言葉に半分放心状態で言った。


シャーロットは照れた様に小さく頷いた。


(シャーロットの…想い人が…私だと…?シャーロットが私の事を今でも…好きでいてくれていたのか…?)


ローランドは信じられないという様に放心状態でそんな事を考えていた。


「しかし…シャーロットは…私の事をもう…好きではないといった態度だったではないか…。」


ローランドは未だに信じられないとう表情で言った。


「それは…確かに…殿下との婚約破棄を申し出たからは殿下への好きという気持ちには自分の中ではきっぱりとなくなったと思っていました。まぁ…これまでの私の殿下への態度を考えると殿下は不信感しかなかったでしょうけど…。」


シャーロットは苦笑いを浮かべて言った。


「確かに…婚約破棄をするまでのシャーロットの行動を考えると婚約破棄を申し出たのも何か裏があるのではと最初は考えていたが…。時間が経ちシャーロットと過ごす時間が増えるにつれてシャーロットは本当に私に対する恋愛感情など一切なくなったと思えるほどだった…。」


ローランドが言った。


(それは…私が前世の記憶を持ったまま二回目のシャーロットとしての人生を生きてるんだから…。それに…殿下にはミレイ様という愛する人がいるのを知っていたし家族が処刑されない為にも私が生き抜くためにも二度と殿下に想いなど寄せないと誓っていたから…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「…殿下には…いつか愛する相手が現れるだろうと思ってましたし…殿下にご迷惑をかけない為にも殿下への想いは一切断ち切る事がすべての事において最善だと思ったのです。それに私は孤児院で働くという事を決めてましたので…。そう思えば自分でも驚く程に殿下への想いを断ち切る事が出来ました。」


シャーロットはローランドへ言った。


シャーロットの言葉を聞いたローランドは苦渋の表情を浮かべていた。


(やはり…シャーロットは簡単に私への想いを断ち切れる程だったのだな…。)


ローランドは切ない表情を浮かべて考えていた。


「ですが…殿下と過ごすうちに断ち切ったと思っていた殿下への想いは断ち切ったのではなく心の奥にしまっていただけだと気づいたのです…。私はいつの間にか心の奥にしまっていた殿下への想いを隠せなくなっていたのです…。」


シャーロットは苦笑いを浮かべて言った。


「私は…結局…自分の気持ちに逆らっていただけでずっと殿下の事を好きだったのです…。」


シャーロットは困り笑顔を浮かべながらローランドへ言った。


すると…

ローランドはそんなシャーロットの表情を見て言葉を聞いて何ともいえない気持ちになりシャーロットを抱きしめた。


「で…殿下?!」


シャーロットは突然のローランドの行動に驚き言った。


「すまない…。シャーロットが私を想ってくれていると思うと抱きしめずにはいられなかったのだ…。」


ローランドは照れ気味に言った。


シャーロットは戸惑っていたがローランドの言葉を聞き頬を赤らめるもとても幸せな気持ちになり思わず抱きしめ返したのだった…。


(前世では…どんなに望んでも殿下が私を見てくれる事は一度たりともなかった…。今世ではそれをわかっていたしミレイ様と恋に落ちることを知っていたから前世の時の様には殿下に対しては何も望まないと思ってた…。でも…こうして…殿下も私を…私も殿下を…とお互いに相思相愛になると…嬉しくて幸せでたまらないのね…。)


シャーロットはローランドと抱きしめ合いながら考えていた。


そして…シャーロットの目から涙が溢れ落ちた…。


「グズっ…。」


シャーロットが思わずに鼻をすすった。


「ど…どうしたんだ?!何故…泣いている?!」


ローランドがシャーロットが泣いているのに気づきバッと体を離しシャーロットを見て慌てて言った。


「あ…これは……嬉し涙です…。」


シャーロットは涙を流しながら嬉しそうに…そして幸せそうに微笑みながら言った。


そんなシャーロットを見てローランドはドキッとしたと同時にシャーロットも自分と同じ気持ちだという事がとても嬉しく幸せなだと思った。


そして…ローランドはそっとシャーロットの唇に触れた。


シャーロットは??という表情を浮かべていた。


そんな表情のシャーロットですら愛おしくてたまらないローランドはシャーロットの顔に近づきそっとシャーロットの唇にキスをしたのだった…


(え…?殿下の唇が…。)


シャーロットはローランドにキスをされて驚き目を見開きながら考えていた。


しかし…シャーロットはローランドのキスに応える様にそっと目を閉じた…


この日…シャーロットとローランドは初めてお互いの気持ちが通じ合ったのだった……



その後…帰りの馬車の中でシャーロットとローランドは抱き合い…キスをした事が急に恥ずかしくなったのかお互い頬を赤らめていた。


「その…今更だが…急に…その…キスをしてしまい…すまない…。」


ローランドはもごもごしながらシャーロットへ言った。


「あ…い…いえ…。」


シャーロットは恥ずかしそうに言った。


「その…こんな事を言うのもおかしいかもしれませんが…キスをしてもらい…嬉しくて…とても幸せな気持ちになりました…。」


シャーロットはくしゃっとした笑顔を浮かべて言った。


(本当に…本当に…今…凄く幸せな気持ちだわ…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「……私も…君と同じ気持ちだ…。」


ローランドは照れながら言った。


「今後も…その思わずというか…耐えられず…キスしてしまう事があるかもしれないが…。」


ローランドはボソボソと言った。


「ふふ…はい…。」


シャーロットはそんなローランドを見て思わず笑みを溢しながら言った。


「この事件が落ち着いたら一緒に父上と母上に婚約についての話をしに行こう。孤児院の仕事の継続についてはそれまでに私から父上に話をしておくから心配するな。」


ローランドが言った。


「はい。分かりました。ありがとうございます。」


シャーロットが言った。


「君の家族へも話をしに行かなければならないな。」


ローランドが言った。


「そうですね。」


シャーロットが言った。


「事件がいつ解決するのかは分からないが全力を尽くして解決策を見つけるからしばらく頻繁に会えないが事件が解決してしばらくしたら沢山二人で出かけよう。」


ローランドは笑顔で言った。


「はい。」


シャーロットはうれしそうに微笑みながら言った。


「少しでも早く事件が解決するといいですね…。」


シャーロットが言った。


「あぁ…。そうだな…。」


ローランドが言った。


こうして…久しぶりの二人でのお出かけでシャーロットとローランドは晴れて両想いになったのだった………




翌日…

シャーロットはいつもの様に孤児院へと訪れていた。


そしていつもの様に食事の支度をしている時だった。


(そういえば…一ヶ月前に…孤児院近くでぶつかった人はあれからどうなったのかしら…。焦点も合ってなかったし私の声もまったく耳に入ってなかった様だし…ふらふらして足取りもおぼつかないようだったしとにかく何となく様子がおかしかったものね…。)


シャーロットはふと一ヶ月前に道端でぶつかってきた男性の事を思い出して考えていた。


(目の焦点が合ってない…人の声が耳に入ってない…足がおぼついていて様子もおかしい…………。………?!まさか…。)


シャーロットは一人考えているとある考えが頭に思い浮かんだ。


(大変…私の考えている事が合ってるとしたら大変だわ…。たとえ違ったとしてもこれは…陛下や殿下…お父様たちにも伝える必要がありそうね…。)


シャーロットは表情を険しくしながら考えていた。


そして…

一先ず食事の用意だけして後の事はミーシャにお願いしてシャーロットは急いで王宮へと向かった。


この日…

タイミングよく王宮にはキーランド、ローランド、ボブ、アミル、エイルがいた。


シャーロットは王宮へ着くなりすぐに急ぎの様だと皆に伝え集まってもらった。


「シャーロット…一体急いで王宮へ来て何用だ?何かあったのか?」


ローランドが急に王宮へシャーロットが訪れた事に驚き言った。


「それが…今回王都の町で起きている不可解な事件の犯人の特徴が分かったかもしれないのです…。」


シャーロットは真剣な表情でローランドへ言った。


「何?!犯人の特徴だと?!」


「それはまことか?!」


シャーロットの言葉を聞きキーランドとローランドが慌てて言った。


「どういう事なのだ?」


ボブもシャーロットへ尋ねた。


「これは…あくまで私の推測なのですが…今回の事件の犯人…つまり人間なのに人間でない者は…麻薬の中毒者ではないでしょうか…?」


シャーロットは言いづらそうに皆へ言った。


「何?麻薬中毒者だと?」


キーランドは眉をひそめて言った。


「シャーロット…麻薬はこの国では禁止されいる。他国からの輸入の際も麻薬などが含まれていないか念入りに調べているというのどうやってこの国に麻薬が運べるのだ?」


ボブがシャーロットを問い詰めた。


「お父様の言うとおり…この国では麻薬の使用は禁止されています。もちろん輸入などに対しても厳しいですが…その麻薬が麻薬になる前の未加工で輸入されたならどうでしょう?」


シャーロットは真剣な表情で言った。


「それは…一体どういう意味だ?」


キーランドが言った。


「はい…。それは…食材として輸入されているある物であれば誰も麻薬だとは思わないので簡単に輸入することができるのだとした?」


シャーロットが言った。


「ケシの実…という実があります。ケシの実は普通に料理の食材として使われているものですが…知識のある人間ならばケシの実の汁を絞り出た分泌物を使い麻薬を作り出す事が可能です。」


シャーロットは真剣な表情で皆へ説明した。


「食材から麻薬を作るだと?!」


キーランドは驚き言った。


「はい…。少し前に本で読んだのですがケシの実には麻薬を作るためのエキスが入っていてそれを使うと麻薬が作れると…。それに…麻薬を注射器を使い何度も打つと中毒症状が出てくるのです。中毒の特徴としては目の焦点が合っていない…理性が保てない…周りの音も耳に入らず歩き方もふらついてくるのです…。恐らく中毒の末期症状ですと理性を失った状態になるでしょう…。そうなれば見た目は人間ですが中身は理性を失っている怪物となんら変わりはありません…。」


シャーロットが苦渋の表情を浮かべて説明した。


「実際に…私は昼過ぎでしたが王都の町でその様な特徴がすべて当てはまる方にぶつかりました。ぶつかった際に謝ったのですが…どうやら私の声などまったく聞こえていないという感じでした。」


シャーロットがさらに説明した。


「その者は麻薬が禁止されているこの国であきらかに様子がおかしかったのです…事件に関与している犯人達の一人だと思われます…。」


シャーロットが言った。


「まさか…麻薬を禁止している国でおかしな真似をする奴がいるとはな…。」


キーランドは怒りをあらわにした様に言った。


「シャーロットはその者と遭遇して大丈夫だったのか?!」


シャーロットの話を聞きローランドが心配そうな表情で言った。


「はい…。様子が変だったのですぐにその場を離れたのです。」


シャーロットが言った。


「そうか…そうならば良かった…。」


ローランドはホッとした表情で言った。


「しかし…麻薬なんてシャーロットはその様な知識いつ覚えたんだい?」


ボブが不思議そうにシャーロットへ尋ねた。


「あ…それは…そのいつかは忘れましたが麻薬について記載されていた本があったのでそれを読んだお陰です。」


シャーロットはそんな事を考えていた。


(本当は…二度目の人生の記憶のお陰なんだけど…。二度目の人生で私が働いていた施設の子供の一人が麻薬に手をそめた事があったからなのよね…。その時の子の中毒症状にあのぶつかった男性はよく似ていたのよね…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「そう…だったのか…。」


ボブは不思議そうに言った。


「はい。」


シャーロットが応えた。


(まさか…自分が前世の記憶があるから分かるなんて口が裂けても言えないものね。)


シャーロットはそんな事を考えていた。


「シャーロットの話を聞く限り本当に…犯人は麻薬中毒者なのかもしれないな…。シャーロット君のお陰で犯人の手がかりが掴めそうだ。」


キーランドが言った。


「いえ…そうだと決まった訳ではありませんので…ご参考までに…。」


シャーロットが言った。


「あぁ…。」


キーランドが言った。


シャーロットの説明を目の前で聞いていたローランド、ボブ、アミル、エイルはキーランドに対して冷静に自分の考えを話すシャーロットを見て驚いた表情を浮かべていたけど。


(シャーロット…君は本当に驚く程の知識を兼ね揃えているのだな…。我々では辿りつけなかった考えだ…。)


ローランドは関心してそんな事を考えていた。


(うちの娘は…天才なのかもしれない…。)


ボブはそんな事を考えていた。


(シャーロットが本から知識を得て活用する日が来るとは…。)


エイルはそんな事を考えていた。


(本当に…いつからその様に聡明になったのだ…。)


アミルはそんな事を考えていた。


こうして王室は…

シャーロットの出した意見も参考にして再度策を立てることにしたのだった…


この時…この事件であの様な事が起きるなど誰も想像などしていなかったのだった……


ご覧頂きありがとうございます★


※Twitterに小説の作中に出てくる料理を再現料理風に写真をアップしています。

TwitterはプロフィールからURLへ飛べますのでよろしければご覧下さい。


本日はこちらの小説の作中料理の再現料理写真をアップしています★


他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


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悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生したので大好きなハンドメイドをしながら暮らす事にしました!(※不定期更新)


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