30.王室騎士団入団試験
ローランドが孤児院へ訪れた日から時は経ち…
王室騎士団の入団試験の日が訪れた…
「ジョナスいよいよこの日が訪れたわね…。」
朝から孤児院訪れていたシャーロットが緊張気味な表情を浮かべてジョナスへ言った。
「何でロッティが緊張してるんだよ…。」
ジョナスはフッと笑いながらシャーロットへ言った。
「そりぁするわよ…。だって泣いても笑っても本番は一度だけよ?とにかく落ち着いて今まで練習してきた成果を存分見せてきてね。」
シャーロットは緊張した面持ちで言うもすぐに笑みを浮べてジョナスへ言った。
「何だよそれ…。まぁ…任せとけよ!絶対に合格してみせるから!」
ジョナスはクスっと笑いながら言うと自信満々の笑みを浮べて言った。
「そこまで自信満々に言われるともう合格したも同然に思えてしまうわね。」
ミーシャが自信満々のジョナスを見てクスクス笑いながら言った。
「まぁ…そう思っててれたらいいさ。」
ジョナスはそんなミーシャにフッと口角を上げながら言った。
「ジョナスったら。」
ミーシャはそんなジョナスを見て更にクスクス笑いながら言った。
「兄さん…頑張ってね。僕たちは付き添えないけどここから応援してるから…。合格したら皆でお祝いしようね。」
フーパーが笑顔でジョナスへ言った。
「あぁ…。ありがとな…フーパー。」
ジョナスはそんなフーパーに優しく微笑みながら言った。
「じゃあ…そろそろ行ってくるよ。」
ジョナスが皆へ言った。
「えぇ。気をつけて…。頑張ってね!」
シャーロットは笑顔でジョナスへ言った。
「頑張ってきてね!」
ミーシャも笑顔で言った。
「気をつけて…。」
フーパーも笑顔で言った。
「「ジョナス頑張ってね!!」」
下の子たちも笑顔で言った。
「あぁ。ありがとう…行ってくるよ!」
ジョナスは笑顔で皆へ言うと軽く手を振りながら孤児院を出て王宮へと向かったのだった。
そんなジョナスに皆は手を振って見送ったのだった…
(ジョナス…頑張ってね。あなたならきっと合格するわ…。)
シャーロットはジョナスの後ろ姿を見てそんな事を思っていた。
そして、ジョナスを見送り中へと入ろうとした時だった…
シャーロットは突然何かを思い出した様にハッとなった。
(ちょっと…待って…。王室騎士団という事は騎士団入団試験の合格者達に陛下と殿下からの挨拶があるんじゃないの?ジョナスが合格したら挨拶の場に殿下も来ることになるわ…。まずいわ…。ジョナスは殿下をアミルお兄様の友達だと思っているから実はローさんが殿下だと知ったらかなり驚くはずだわ…。あぁ〜私とした事が…何故もう少し前にこんな大事な事気づかなかったんだろう…。何だかジョナスには事前に伝えれなくて悪いことしたわね…。殿下を見てもあまり動揺しないといいんだけど…。)
シャーロットはジョナスが行ってしまった後に大事な事に気づき頭を抱えながら考えていた。
(でも…何はともあれ今はジョナスが合格するのを願うのが先ね…。)
シャーロットは空を見上げてそんな事を考えていた。
※
孤児院から歩いて王宮へと向かっていたジョナスはようやく王宮へとたどり着いた。
(やっぱり…王宮までの道のりは思ったよりも長かったな。)
ジョナスは王宮に着くなりそんな事を考えていた。
そしてジョナスは王宮入口にいた騎士団の騎士に入団試験受付場まで案内してもらった。
(俺も騎士団に入隊できたらあんな風にここで働く様になるんだよな…。)
ジョナスは案内してくれたら騎士を見ながら考えていた。
そして…
受付場にはぞくぞくと試験を受ける者たちが集まってきた。
この日に試験を受けるのはジョナスを含めて五十人程だった。
そのうち平民はジョナスを含めると三人だった。
試験をうける者たちは試験会場となる王宮の敷地内にある王室騎士団専用の練習場へと移動し整列した。
そこへ王室騎士団の騎士団長がやってきたて試験を受ける者たちの前へと立った。
「私は王室騎士団の団長を努めているロナ・コーデルだ!今日こうして集まった者たちよ…我々と共に王室を…国を守る騎士の仲間入りが出来る様全力で試験に取り組む様頑張ってくれ!それではこれより王室騎士団入団試験を開始する!」
ロナが集まった試験を受ける者たちへ挨拶をしたのち試験開始開始を言い渡したのだった。
(あれは…あの方は…あの時俺を助けてくれてた騎士だ。そうか…今は騎士団長になっていたんだな。必ずこの試験に合格して団長の元で働きたいな…。それに…俺をここまで応援してくれたロッティ達の為にも必ず合格してやる…。)
ジョシュアがロナを見てパァっと目を輝かせながら拳をギュッと握りしめながら考えていたのだった。
その後…
騎士入団試験が始まった。
カリブ王国の王室騎士団試験は全部で五項目あり一項目ごとに項目基準があり基準を満たせなかった者はその場で不合格が言い渡される形式だった。
王室騎士団の入団試験だけあって一項目めから苦戦を強いられ不合格者が出ていた。
「団長…今回の入団希望者は予想外にレベルが低い様ですね…。」
試験の様子を見ていた副団長のラスカルがロナへと耳打ちした。
「うむ…。思ったよりも骨のある者が少ない様だな。貴族の令息だからといって必ずしも剣の才能がある訳でもないがそれにしてもだな…。」
ロナはため息混じりに言った。
「しかし…あの者は一番骨がある様に見えますね。」
ラスカルがジョナスを小さく指差しながらロナへ言った。
「あぁ。確か…彼は平民で孤児院にいる孤児の様だがとてもいい筋をしているな…。」
ロナはジョナスの動きを見ながら言った。
(そういえばグランバード家のアミル様が平民だがとても筋のいい者がいると仰っていたが…彼の事だろうな。)
ロナはジョナスを見ながらそんな事を考えていたのだった。
その後も試験は続き残すは最後の五項目めだけだった。
この時点での合格者は五十人いたうちのたったの十名だけだった。
もちろんジョナスはその十名の中に入っていた。
(ほぅ…。やはりここまで合格してきたのだな…。)
ロナはジョナスをチラッと見ながら思っていた。
そして最後の五項目め試験が始まった。
最後の項目だけあってそれまでとは比べものにならない程難題だったがジョナスはどうにかやり遂げたのだった。
(よし!全ての項目を合格したぞ。はぁ…良かった。努力した甲斐があった。早く孤児院に帰って皆に合格を伝えてやりたいな…。ロッティ…合格したと聞いたら喜んでくれるだろうな…。)
ジョナスは心の中で合格した事の喜びを噛み締め頭にシャーロットの顔を思い浮かべながら自然と優しい表情になり考えていた。
そして…
半日以上かけての入団試験が終わった。
最終項目を合格したのはジョナスを含めてたったの五人だった。
「団長…今回は過去最低ともいえるほどの合格人数ですね…。過去に十名以下の合格人数だったことがあったでしょうか…。」
ラスカルが軽く頭を抱えながらロナへ耳打ちした。
「まぁ…そう落ち込むな。一人も合格者がいないよりはいいだろう…。」
ロナは頭を抱えるラスカルを見てやれやれといった表情で言った。
その後…
合格者五名が集められた。
「試験お疲れであった。そして合格おめでとう。君たちは今日から王室騎士団の団員となる。入団後は色々と辛く大変な事も沢山あるだろう…。しかし…この合格を無駄にする事なくこの国の為に誠心誠意を尽くして王室騎士団として恥をかく事のない様に努めてくれ!」
ロナは集まった五人へ伝えた。
「「はい!」」
五人は背筋を正して大きな声で返事をしたのだった。
その様子を見てロナはフッと笑みを浮べたのだった。
「この者は副団長のラスカル・ガッシュだ。君たちは二日後から騎士団専用の宿舎に入居してもらう。これから宿舎を含め騎士団についてを話しつつ君たちを案内させる。しっかりラスカルの話を聞くように。そして…これから王太子殿下が来られて挨拶をされる。皆、無礼なく挨拶をする様に。そして二日後に国王陛下に謁見しその後正式な入団式が行われる事となっている。今日から二日後までは入団に向けての準備期間であるからこの二日の間では荷物をしっかりまとめておくように!」
ロナが隣にいたラスカルを五人に紹介した。
そして今後の事について伝えた。
「「はい!!」」
五人が応えた。
「コーデル団長。」
ロナの話が終わったの同時にローランドとアミルがその場に来てロナに声をかけた。
「王太子殿下!」
ロナがローランドを見て言った。
「試験は終わったのか?」
ローランドがロナへ言った。
「はい!終了致しました!試験の合格者は五名でございます。今後の事についての話も今終わったところです。」
ロナがローランドへ報告した。
「そうか…。ご苦労だった。」
ローランドがロナへ言った。
「はい!」
ロナが応えた。
そして…
ローランドとアミルは合格者五名の元へとやってきた。
五人のうちジョナスだけが一人一瞬驚いた表情をした。
だが…すぐに冷静な表情になった。
「私はこの国の王太子であるローランド・オン・カリブだ。皆…合格おめでとう。これからは国の為に王室騎士団の一員としてしっかり励んでくれ。」
ローランドは五人へ言った。
「「はい!!」」
五人は大きく返事をした。
ジョナスは冷静にローランドを見た。
(やっぱり…ローさんは殿下だったんだな…。ロッティの反応がおかしかったのも納得がいくな…。)
ジョナスはローランドをチラッと見ながらそんな事を思っていた。
ローランドの横にいたアミルはどこかバツが悪そうな表情をしていた。
(あぁ…殿下は何故急に試験の合格者へ挨拶をするなどと言い出したんだ?この様な事今までなかったというのに…。お陰でジョナスに殿下の正体がバレてしまったじゃないか…。いや…遅かれ早かれバレるのは分かっていたが前もって私からジョナスに話しておこうと思っていたのに…。)
アミルはバツが悪そうな表情で内心はため息をつきつつそんな事を考えていた。
そして…
ローランドからの話も終わり五人はラスカルに宮殿内の騎士団が関わる場所すべてを案内され説明を受けたのだった。
二時間程で案内と説明が終わり解散となった。
解散後ジョナスは足早に孤児院へと向かった。
※
孤児院ではまだかまだかと皆がソワソワしながらジョナスの帰りを待っていた。
(ジョナスまだかしら…。もうそろそろ終わって帰ってきてもいい頃なのに…。)
シャーロットはジョナスの帰りが遅いので心配しながらそんな事を考えていた。
その時だった。
ガチャ!
「ただいま…。」
ジョナスが帰ってきた。
「ジョナス!」
シャーロットは思わず声を大きくしてジョナスの名前を言った。
周りにいた孤児院の皆も帰ってきたジョナスをじっと見ていた。
「ハハハハ…何だよ!みんな揃って…。合格したよ…。」
ジョナスは皆の様子を見て思わずおかしくなり笑いながら言うと少し間を開けて笑顔で合格を伝えた。
「「やったーー!!!」」
ジョナスの言葉を聞いた瞬間下の子供達が大声で喜び言った。
「ジョナスおめでとう。」
ミーシャは喜びの笑みを浮べてジョナスへ言った。
「兄さん…本当におめでとう。」
フーパーが嬉しそうにジョナスへ言った。
「ジョナス…本当に…本当におめでとう。今までの努力が実ったのね。」
シャーロットは泣き笑いを浮かべてジョナスへ言った。
「ハハ…泣くか笑うかどっちかにしろよ。」
ジョナスは胸にジーンとしたものを感じながら笑いを溢しながらシャーロットへ言った。
「皆…ありがとう。」
そしてジョナスは孤児院の皆へ笑顔でお礼を言った。
ジョナスの言葉を聞いて皆は満面の笑みを浮かべたのだった。
「ジョナス…合格したという事は数日後に騎士団専用の宿舎に入るんでしょう?」
シャーロットがジョナスへ尋ねた。
「……あぁ。二日後に正式な入団式で宿舎にも入居するみたいだ。」
ジョナスはどこか寂しそうな表情で応えた。
ジョナスの言葉を聞き孤児院の皆も寂しそうな表情を浮かべた。
「そう…。それならば明日はジョナスの合格祝をしましょう!」
シャーロットは一瞬寂しそうな表情をするもすぐに笑顔で言った。
「そうですね。盛大にお祝いしないといけないですね。」
ミーシャも笑顔でシャーロットへ言った。
「そうしよう!」
フーパーも笑顔で言った。
「そうと決まれば明日は盛大にお祝いしましょう!」
シャーロットが笑顔で言った。
「皆…ありがとな。」
ジョナスも笑顔で言った。
「私とミーシャさんで腕を振るうから楽しみにしててよね!」
シャーロットが笑顔でジョナスへ言った。
「ハハハハ…あぁ。期待してるよ!」
ジョナスも笑顔で言った。
それから…
シャーロットは帰る支度をした後にジョナスに話したいことがあったのでジョナスの部屋へ行ったがジョナスは部屋にいなかった。
どこに行ったのだろうのと探していると外で一人座っていたジョナスが目に入った。
シャーロットは外へ出てジョナスのところへ向かった。
「ジョナス?そんな所で何をしているの?」
シャーロットはジョナスの元までやってきて声をかけた。
「ん?あぁ…ロッティか…。いや…一人でボーっとしてただけだよ。」
ジョナスは振り向きながらシャーロットを見て応えた。
シャーロットはどこか寂しそうな表情なジョナスを見てジョナスの隣へと座った。
「試験に無事合格したのにどこか浮かない顔なのは…孤児院を離れるのが寂しくなったの?」
シャーロットはジョナスの表情を見て何かを察する様に言った。
「……ハハ…ロッティは何でもお見通しなんだな…。」
ジョナスは苦笑いを浮べて言った。
「そうだな…。いざ、ここを出て別の場所で暮らすっていうのは案外寂しく感じるものなんだなって思ったんだよ…。両親が死んでからフーパーとここへやって来たのはいいけど酷い生活が何年も続いてたっていうのにロッティがここへ来てからすべてが変わったお陰で憎しみさえ覚えてたこの場所がいつの間にか俺にとっては最高の家になってたんだと思ってな。」
ジョナスは空を見上げながら自分の気持ちを言った。
シャーロットは黙ってジョナスの話を聞いていた。
「少し前までは想像もできないくらいミーシャさん含めて皆毎日楽しそうに笑い合ってる。自分が騎士になりたいなんて孤児の俺には夢のまた夢だと思ってたのにこうして騎士団に入団出来ることになった…。夢の一歩が踏み出せるっていうのにいざここを離れると思うと急に寂しくなったんだよ…。」
ジョナスは更に話を続けた。
「別に一生帰ってこれない訳でもないのにな…。」
ジョナスはフッと寂しそうな笑みを浮べて言った。
「正直…孤児院からジョナスが居なくなってしまうのは寂しいわ…。いつもぶっきら棒で口は悪いけど根は優しい頼れるお兄ちゃん的存在だしね。私も言い争える相手が居なくなるからつまらたいわ。」
シャーロットも寂しげな表情を浮べて言うもすぐに笑顔になりジョナスを励ます様に言った。
「ハハ…言い争えるって何だよ。」
ジョナスはシャーロットの言葉を聞き思わず笑みをこぼして言った。
「でもね…ジョナスがこうして夢を叶える為の一歩を踏み出すことが出来た事は本当に嬉しく思ってるわ…。」
シャーロットは笑顔でジョナスへ言った。
「……。あぁ…ありがとな。こうして騎士団の一員になれる事はシャーロットやアミル様…それにロー様のお陰だよ。」
ジョナスは少し何か考える様に間を明けてからフッと笑みを溢しながら言った。
シャーロットはジョナスの口からローランドの名前が出るとどこか気ずそうな表情をした。
(そういえば…ジョナス…王宮で殿下を見かけたりしたのかしら…。)
シャーロットはハッとした表情でそんな事を考えていた。
「その…ジョナス…。ローさんの事なんだけどね…実はローさんは…。」
シャーロットはジョナスが王宮でローランドと鉢合わせる前にローランドの正体を言おうとした時…
「……王太子殿下だろ……?」
ジョナスはシャーロットの言葉を遮る様に言った。
「えっ!!ジョ…ジョナス…。もしかして今日殿下を見たの?!」
シャーロットはジョナスの予想外の言葉を聞きとても驚いた表情で言った。
「あぁ…。試験の合格者達への挨拶へ殿下が来たんだよ。」
ジョナスは頷きながら応えた。
(殿下って毎年騎士団の試験合格者への挨拶なんてしてたかしら…。)
シャーロットはジョナスの言葉を聞き不思議そうな表情んな事を考えていた。
「そうだったのね…。驚いたでしょ…?ジョナスを見送った後に殿下の事を話すのを忘れたって気づいたの…。まさか今日殿下と会うだなんて思いもしなかったから帰ってきたら話せばいいと思ってたんだけど…。黙っていてごめんね…。」
シャーロットは苦笑いしながらジョナスへ言った。
「……。実は…何となくローさんが殿下じゃないかと思ってたんだよ。」
ジョナスが少し間をあけて呟いた。
「え…?そうな…の?」
シャーロットはジョナスの言葉に驚き言った。
「あぁ…。前に殿下が急に孤児院へ来た日があっただろ?あの日に何となくそうなんじゃないかと思ったんだよ…。公爵家の人間であるアミル様が殿下の前ではかしこまっていたし…ロッティは何だか礼儀正しくしているのにどこかよそよそしいというか気まずそうな表情をしてたからな…。公爵家以上の身分といったら皇族以外ないからな…。だからもしかしたらローさんは王太子殿下では?と思ってたんだよ…。」
ジョナスは自分がローランドに感じた事をシャーロットへ説明した。
「そうだったのね…。私ったら殿下に対してそんなに分かりやすく気まずい表情してたのね…。」
シャーロットは苦笑いを浮べて言った。
「…まぁな…。そういえば殿下は俺が殿下を見てあまり驚いてない事に少し驚いてたみたいだったよ。アミル様はまずいって顔してたしな。」
ジョナスはフッと笑みを浮かべながら言った。
「殿下はともかく…ハハ…アミルお兄様は焦ったでしょうね…。きっとお兄様もジョナスが試験に合格したら話そうと思ってたでしょうしね。」
シャーロットは苦笑いを浮べて言った。
「アミル様にはロッティから俺が話した事を伝えておいてくれよ。」
ジョナスがシャーロットへ言った。
「えぇ。分かったわ。」
シャーロットは頷きながら言った。
「……。ロッティは殿下と顔を合わせて辛くはないのか…?」
ジョナスが何かを考える様な間をあけてシャーロットへ言った。
「う〜ん…辛いか辛くないかと言ったら辛い…のかもしれないけど…。大丈夫よ。」
シャーロットは少し悩みつつも少し間をあけると笑顔で応えた。
(殿下のここ最近の行動が余計に辛い…とは言えないものね…。)
シャーロットは笑顔で応えつつも内心ではそんな事を思っていた。
「……そうか…。ならいいんだよ。」
ジョナスは少し間をあけてグッと拳を握りつつ笑みを浮べて言った。
(ロッティは嘘つきだな…。本当はきっと辛いくせに…。この前は殿下のせいで泣いてたくせに…。)
ジョナスはシャーロットに言いつつそんな事を考えていた。
「そんな事より…明日のお祝いはごちそうを沢山作るわね!当分は私の手料理を味わえんないんだしもうこれ以上いらないってくらい美味しいものを作るわね!楽しみにしてて!」
シャーロットは気を取り直すかの様に笑顔でジョナスへ言った。
「ハハハ…。どんだけ作るつもりだよ。でも…まぁ楽しみにしてるよ!」
ジョナスは笑顔で言った。
その後もシャーロットとジョナスは騎士団入団試験の事や騎士団長が自分を昔助けてくれた騎士だった事などを楽しそうに話したのだった。
そして…
翌日はシャーロットとミーシャが腕をふるったジョナスの合格祝の料理を沢山作って皆でお祝いをした。
市場の人達もジョナスの合格を聞きつけてお祝いを言いに来てくれた。
そして…
その日は皆でジョナスとの時間を惜しみなく楽しく過ごしたのだった…
そして…
ジョナスが騎士団に入団する当日…
ジョナスは支度をして荷物を持ち王宮へ向かうところだった。
「ジョナス…体には気をつけてね。無理はしたらだめよ?」
シャーロットがジョナスへ言った。
「あぁ。」
ジョナスは頷きながら応えた。
「ジョナス…大変な事も多いと思うけど頑張ってね。」
ミーシャがジョナスへ言った。
「あぁ。ありがとう。」
ジョナスがミーシャへ言った。
「兄さん…頑張ってね!」
フーパーは笑顔でジョナスへ言った。
「あぁ。ありがとな。」
ジョナスはフーパーへ言った。
「「ジョナス!頑張ってね!強い騎士になってね!」」
下の子たちが笑顔でジョナスへ言った。
「あぁ。もちろんだよ!」
ジョナスは笑顔で言った。
「じゃぁ…行ってらっしゃい!」
シャーロットは笑顔でジョナスへ言った。
「あぁ…。行ってくるよ!」
ジョナスは頷きながら言った。
そして…ジョナスは孤児院の皆に笑顔で見送られたのだった。
(ジョナス…頑張ってね!)
シャーロットはジョナスの後ろ姿を見て心の中でそう言ったのだった。
※
王宮では王室騎士団の入団式が行われた。
ジョナスは晴れて王室騎士団の一員となったのだった。
入団式が行われた後に入団した団員の国王への謁見が行われた。
一通りキーランドからの話が終わりその場を団長と団員達が後にしようとしたその時だった…
「コーデル団長…ジョナスというのはどの団員だ?」
キーランドがロナへと尋ねた。
「ジョナスですか…?こちらの者がジョナスですが…。ジョナスが何かしてしまったでしょうか…?」
ロナはキーランドの言葉を聞き驚きと戸惑いの表情でジョナス肩に手を置いて言った。
「いやいや…そうではない。その者に少し聞きたい事があってな…。少し彼を借りてもいいかな?」
キーランドは驚いてるロナに優しく言った。
「そういうことでしたか…。畏まりました。私は先に他の者を訓練場まで連れて行っていますので。」
ロナは少しホッとした表情でキーランドへ言った。
「あぁ。では…話が終わったら彼にも訓練場へ向かわせるとしよう。」
キーランドがロナへ言った。
「かしこまりました。」
ロナが言った。
そしてロナはジョナス以外の隊員を連れてその場を後にした。
残されたジョナスは緊張した表情をしていた。
(一体俺に何を聞きたいんだ…。)
ジョナスは緊張しつつそんな事を考えていた。
「ジョナスといったな…。改めて王室騎士団への入団おめでとう。これからは国の為にしっかりと働いてくれ…。」
キーランドは優しくジョナスへ言った。
「はい!ありがとうございます。王室騎士団の恥にならない様に誠心誠意努めさせて頂きます!」
ジョナスはキーランドの目をしっかりと見て真剣に応えた。
「よい心かげだ…。なぁ?ローランド…。」
キーランドはジョナスの言葉を聞き頷きながら言うとローランドに話をふった。
「はい。とてもよい心がけです。」
ローランドは頷きながら応えた。
「さて…ジョナス。君を呼び止めたのは孤児院での…グランバード公爵令嬢シャーロットの話を少し聞かせてほしくてな…。実際に孤児院でシャーロットと接してる君の話を聞いてみたくてな…。シャーロットは君たち孤児院の子供達にとってどんな存在だ?」
キーランドがジョナスへと尋ねた。
「……。シャーロット様は私達の孤児院の子供達の命の恩人であり私達に光を与えてくれた方です…。今こうしてここに立っているのもシャーロット様のお陰といっても過言ではありません。シャーロット様のお陰で孤児院という場所が地獄から天国に変わりました。最初は貴族のご令嬢だからとこちらが偏見を持っていましたがそんな偏見を吹き飛ばす程私達に寄り添ってくださいました。」
ジョナスはとても優しく愛おしそうな表情を浮かべてキーランドへ説明した。
「そうか…。君たち孤児院の子供達にとってはシャーロットはそういう存在なのだな…。」
キーランドはジョナスの話を聞きにこりと笑みを浮べて頷きながら言った。
(シャーロット…君は本当によくやっているんだな…。こうして孤児院で接している者にここまで言わせるとは…。本当にシャーロット…君は私の想像を常に越える程の事をしているのだな。)
キーランドはジョナスに言いながらもそんな事を考えていた。
「はい!ですので…この様な事を言うのはおこがましいかもしれませんが…国の為に騎士団の一員として誠心誠意を尽くすのはもっともですが…全力で応援してくれたシャーロット様に恥ない様に…シャーロット様に何かあった際は必ず力になりたいとも思っています!」
ジョナスは少し迷った表情をするもグッと拳を握りしめチラッとローランドを見てからキーランドへ堂々と言った。
(ほぉ…この者はシャーロットの事を…。)
キーランドはジョナスの表情を見て言葉を聞きそんな事を考えていた。
「ハハハハ…。その様な目標があるのは良いことだ。孤児院の者である君に話を聞けて良かった…。時間を取らせてしまって悪かった。皆が待っているから訓練場へ行くといい。」
キーランドは優しくジョナスへ言った。
「いえ…とんでもないです。私も…陛下へシャーロット様のお話をお伝え出来て良かったです。ありがとうございました。それでは…失礼致します!」
ジョナスはキーランドへ言った。
「あぁ。」
キーランドが応えた。
そしてジョナスはその場を後にして訓練場へ向かった。
ジョナスがその場からいなくなったのでその場にはローランドとキーランド二人になった。
「ローランド…彼…ジョナスは恐らくシャーロットへ想いを寄せているのだろう…。シャーロットの話をする時の彼の顔は間違いなく想い人を思う表情だったぞ?まぁ…身分の事などを理解している者だろうからその気持ちを出すことはしないだろうが…ローランドの事は意識している様だったな…。それにローランドが王太子だと知ったのにも関わらず堂々としているようだしな…。」
キーランドはローランドの方を見て言った。
「………。わかっています…!」
ローランドはキーランドの言葉に一気に表情を怖ばせて言った。
「私は…これで失礼します…。」
ローランドはムスっとしたままキーランドに言うとその場を後にしたのだった。
「やれやれ…痛いところを突かれた…という事かな。あの様子だとシャーロットとの関係には進展はない様だな…。」
キーランドは苦笑いを浮べながら呟いたのだった。
(まったく…父上ときたら。わざとあの様に煽る様な事を言ってくるとは…。ジョナスのシャーロットに対する気持ちなど私だって父上に言われなくともわかっている!ジョナスとシャーロットが仲が良いことも目の当たりにしてる…。)
ローランドは執務室に向かいながら悔しそうに表情を歪ませてそんな事を考えていた。
(前回シャーロットと会った時に自分の愚かな行動でシャーロットを傷つけてしまった…。ジョナスならきっとシャーロットを傷つける事はしないだろうな…。自分でもわかっている…。これは仲が良い二人を見ての嫉妬だと…。)
ローランドは更に表情を歪めながら考えていた。
(これ以上シャーロットを傷つけたくはない…。しかし…今更どの様にしてシャーロットへ気持ちを伝えればいいのだろう…。)
ローランドは頭を混乱させながら考えていた。
(考えても仕方ないな…。とにかくシャーロットに私の正直な気持ちを話して伝えていくしかないな…。とにかく行動をしていかなければならないな。)
ローランドはグッと拳を握りながら決意した様な表情で考えていたのだった……
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