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29.行動と戸惑い

シャーロットが王宮を訪れた翌日…


ローランドはキーランドとルチアに話をする為に時間を作ってもらい国王の執務室へ訪れていた。


「ローランド…ルチアまで呼び出して何事なのだ?!」


キーランドがローランドへと困った表情を浮かべて尋ねた。


「……。本日は父上と母上にお願いがありお二人に時間を作って頂きました。」


ローランドは少し悩んだあとにキーランドとルチアへ言った。


「お願いだと…?一体何なのだ?!我々を呼び出してまでの願いとは…。」


キーランドがローランドへ言った。


「…はい…。私がお二人へお願いしまい事は…シャーロットとの婚約関係をもう一度結んで頂きたいのです…。」


ローランドは意を決して二人へ言った。


「何だと?!シャーロットとの婚約関係をだと?!」


キーランドは驚き言った。


ルチアもキーランドの横で驚いた表情を浮かべていた。


「はい…。すでにシャーロットとの婚約関係を解消した後にこの様な申し出をするののは国の事にも関わってるくる事だとは重々承知しています…。しかし…私は…王太子妃にはシャーロット以外に考えられないのです。」


ローランドは少し困った表情で言うもすぐに真剣に気持ちは既に固まっているという表情でキーランドへはっきりと言った。


「……確かに…今のシャーロットは王太子妃として申し分ないと言えるだろう…。しかし…当の本人であるシャーロットがローランドの申し出をどう考えるか…。」


キーランドは顎を触りながらローランドをちらりと見て言った。


(まさか…ローランドの方からシャーロットとの婚約関係を結んで欲しいと言ってくるとはな。自分の中で何か決心した事でもあったのだろうな。)


キーランドはローランドに話しながらそんな事を考えていた。


「それは…正直…今のシャーロットへもう一度私と婚約をして欲しいと言っても恐らく断ることでしょう…。しかし…私の隣にはこの先ずっとシャーロットがいてほしいと決めた以上…シャーロットが首を縦にふってくれるまでは自分の気持ちをシャーロットに伝わる様に伝えていきたいと思っています。なので…シャーロットが首を縦にふってくれた際にはもう一度シャーロットとの婚約関係を結ぶ許可を頂きたいのです。」


ローランドは少し切ない表情を浮かべるも真っ直ぐにキーランドを見て真剣な表情で言った。


(ローランドの奴…ここまで意思がかたまっているとはな…。)


キーランドは真っ直ぐに自分を見てはっきりと言うローランドを見てそんな事を考えていた。


「………。そなたの考えはよく分かった。しかし…王太子であるローランドの婚約はそなたが申す様に国全体に関わる事項だ…。そこでだ…。期限を決めようと思うのだがよいか?」


キーランドは考え込んだ後にローランドへ提案した。


「期限ですか…?」


ローランドは少し戸惑った様な表情でキーランドへ言った。


「あぁ…。そうだ。シャーロットはもうすぐ十六歳の誕生日を迎える。そこでだ…。シャーロットが十七歳の誕生日を迎える日…つまりローランドが二十歳を迎える年を期限としようと思う。王太子であるローランドが二十歳を迎える年になっても王太子妃を迎え入れないとなると王族として皆に顔向けできないからな。もしも…期限までにシャーロットを王太子妃として迎え入れれない場合は他の令嬢を王太子妃として迎えることも了承してもらうこととなる。それが私からの条件だが何か異論はあるか?」


キーランドはローランドへ自分の考えを伝えた。


(シャーロットが十七歳になるまでか…。すでに私への気持ちがなくなってしまっているシャーロットが一年と少しの期間で王太子妃として私の元へと嫁ぐ事を決心してくれるか…。もしも…期限までにシャーロットが首を縦に振ってくれなければ…シャーロット以外の者と婚約か…。……シャーロット以外の者と婚約など今の私には考えられない…。今は不安を抱くよりシャーロットに私の思いを真剣に伝えるのが先だな…。)


ローランドはキーランドの条件を聞き険しい表情を浮かべながら考えていた。


「……分かりました。父上の出された条件で構いません。」


ローランドは悩んだ末に決心した表情でキーランドへ言った。


「そうか…。分かった。では…私の出した条件が実現したあかつきにはローランドとシャーロットの婚約を許可するとしよう。」


キーランドは真剣なローランドを見て少し表情を柔らかくして言った。


「ルチアも…それでよいか?」


キーランドは横にいたルチアに尋ねた。


「えぇ。私も…それで構わないわ。」


ルチアは頷きながら応えた。


「そうか…。」


キーランドがルチアへ言った。


「ありがとうございます。父上…母上…。」


ローランドは二人へ頭を下げてお礼を言った。


そして話が終わりローランドは部屋を出ていったのだった。


ローランドが部屋を出ていった後…


「まさか…昨日の今日でローランドが行動に出てくるとはな…。」


部屋に残ったキーランドがルチアへ言った。


「そうね…。少し驚いたわ。でも…ローランドは本気みたいね。よほどシャーロットを想っているのでしょうね…。シャーロットも今までの行動が信じられない程とても慈愛溢れる令嬢になったけとれど…ローランドも随分変わったわね。少し前までは親の私ですら少し心配になる程感情が乏しかったから。でも今のローランドは誰かを好きになる喜びや苦しみを知った様でホッとしているわ。きっとシャーロットのお陰ね。」


ルチアは優しい表情を浮かべながら応えた。


「そうだな…。ローランドは随分と人間らしくなった様だ。まぁ…まさか本当はローランドとシャーロットの婚約を破棄していないとは思ってもないだろうな…。」


キーランドは少しフッと口元を緩めながら言った。


「そうね…出来る事ならこのまま解消しないままローランドの思いがシャーロットに伝わるといいわね。」


ルチアもフッと口元を緩めて言った。


「そうだな…。」


キーランドは空を見上げながら言った。




ローランドはキーランド達との話を終えて執務室へ向かっていた。


(父上の条件をのんだが…これからどうシャーロットへ自分の気持ちを示していけばよいのやら…。)


ローランドは歩きながら少し不安げにそんな事を考えていた。


(はぁ…。しかし…昨日シャーロットに会ったばかりだというのにもうシャーロットに会いたいな…。まったく誰かを好きになるという事はここまで人を変えるものなのだな…。)


ローランドは口元を少し緩めてシャーロットの事を思い出しながら考えていた。


そしてローランドが執務室へと到着すると中へと入った。


「アミル戻った…。あぁ…そうだった。今日はアミルは休暇をとっていたんだったな。」


ローランドは執務室に入るなりアミルの声をかけようとしてアミルが休みだった事に気づきながら呟いた。


「王室騎士団の入隊試験が近いから恐らく孤児院へ行ってジョナスへ稽古をつけているのだろうな……。」


ローランドは一人呟いた。


「………。よし…執務は今すぐにという書類の目通しはなさそうだから私も…少し孤児院へ顔を出してみるとするか…。」


ローランドは少し考え込んだ後にそんな事を呟いた。


そしてローランドは執務室を出て御者に馬車の準備をさせて孤児院へ出かける支度をしたのだった。



その頃…

孤児院では…


アミルがジョナスに剣の稽古をつけていた。


ガシッ…

ガッガッ…

ガツンッ…


「ジョナス…随分動きが機敏になってるじゃないか。相当打ち込みを練習したんだな。」


アミルがジョナスと木刀で打ち合いをしながらジョナスへ言った。


「はい…。アミル様から教わった通りにランニングも筋トレも素振りに打ち込みも欠かさずやりってるので。」


ジョナスはアミルへ打ち込みを入れながら言った。


「そうか…。さすがだな。ジョナスは本当に教え甲斐があるし私にとってもよい練習になるよ。」


アミルはクスっと笑みを溢しながら言った。


「アミル様のお陰です。」


ジョナスはフッと嬉しそうないきいきとした表情で言った。



二人が打ち合いをしていると…


「さぁ…アミルお兄様もジョナスも一回休憩してちょうだい。飲み物と汗を拭くタオルを持ってきたから。」


シャーロットが飲み物とタオルを持って二人の所へ歩いてきて言った。


「ん?あぁ。ロッティありがとう。ジョナス…少し休憩しよう。」


アミルはシャーロットに言われると打ち合いを止めてシャーロットにお礼を言ってジョナスに休憩しようと伝えた。


「はい。」


ジョナスはアミルに言われて頷きながら応えた。


そして…

シャーロット、アミル、ジョナスは木の下の木陰に座った。


「もうすぐ騎士団入隊試験ね…。」


シャーロットがジョナスへ言った。


「あぁ…。」


ジョナスは頷きながら応えた。


「今のジョナスなら試験の合格希望は見えるのではないかと私は思うよ。」


アミルが笑顔でジョナスへ言った。


「アミルお兄様本当?!」


アミルの言葉を聞いてシャーロットは目を輝かせながら言った。


「あぁ。本当だよ。」


アミルは微笑みながら応えた。


「ジョナス聞いた?あなたこのまま頑張れば合格もありえるって!」


シャーロットは嬉しそうに笑顔でジョナスへ言った。


「あぁ…。でも…試験ギリギリまで鍛錬を頑張らないとな。」


ジョナスはどこかむず痒そうな笑みを浮かべて言った。


「アミル様…俺の様な平民孤児に色々と教えて頂き本当に感謝してます…。」


ジョナスは真剣な表情でアミルへお礼を言った。


「何だよ…改まって…。しかし礼ならロッティに言ってくれ。ロッティが孤児院の子供達の為を思い行動したからこそだと思うからな。」


アミルはジョナスにお礼を言われて少し照れくさそうに言うも笑みを浮かべて今があるのはシャーロットのお陰だとジョナスへ伝えた。


「はい…。」


ジョナスは優しい表情を浮かべて応えた。


「ロッティ…本当に感謝してるよ。俺の…孤児院の子供達の夢を馬鹿にするんじゃなく全力で応援してくれてありがとう。」


ジョナスはシャーロットへ真剣な表情でお礼を言った。


「ちょ…ちょっと!そんな改まって言われると何だかん落ち着かないし…いつもの口の悪いジョナスから真剣にお礼を言われると混乱するわ。」


シャーロットはジョナスに真剣に言われて慌てて言った。


「おい…人が真剣に礼を言ったっていうのにその言い草は何だよ…。」


ジョナスは少しムスっとした表情でシャーロットへ言った。


「うん!やっぱりジョナスはそうでなきゃね!ムスっとしてるぐらいが落ち着くわ!」


シャーロットはムスっとしたジョナスを見てクスクスと笑いながら言った。


「ロッティ…お前…。」


笑うシャーロットを見てジョナスは更にムスっとした表情で言った。


「ハハハハ…確かに…ロッティの言うとおりかもな。」


アミルも二人のやりとりを見て笑いながら言った。


「アミル様まで…。」


ジョナスはそんなアミルを見て困った表情で言った。


そんな困ったジョナスを見てシャーロットはおかしくなって更に笑った。


その時だった…

笑っていたシャーロットの表情が急に驚いた表情に変わった。


「ロッティ?どうした?急にそんな顔をして…。」


シャーロットの表情が急に変わったのを見たアミルが心配そうに言った。

しかし…アミルがシャーロットの視線の先に目を向けるとアミルの表情もシャーロットと同じ表情に変わった。


「二人共…何見てるんだ…?」


そんな二人を見てジョナスが不思議そうな表情をしながら言うとジョナスも二人の視線の先に目を向けた。


「ん…?あれは…ロー様?」


ジョナスは視線の先に見えた人物を見て呟いた。


三人の視線の先に居たのはローランドだったのだ…!


(ちょ…ちょっと!どうして殿下がここに?!)


シャーロットはローランドを見て驚いた表情で考えていた。


《ちょっと!アミルお兄様!どうしてここに殿下がいるの?!》


シャーロットはバッとアミルの方を見て目で訴えた。


《私にも分からない…私も殿下が孤児院へ訪れるなど聞いていないんだよ…。私も驚いてるよ…。》


アミルも驚いた表情でシャーロットへ目で訴えた。


(アミルお兄様も知らなかったの?!殿下は一体何の用なのかしら…。)


シャーロットは考え込む表情で考えていた。


「でん…ロー様!」


ローランドがシャーロット達の所まで来たのを見たアミルが言うと急ぎローランドの元へと駆け寄った。


『殿下…どうしてこちらへ?』


アミルが焦った表情でローランドへ小声で尋ねた。


『……。今日はアミルがジョナスへ剣の稽古をすると言っていたのをふと思い出してな…それで…私もジョナスに剣の稽古でもしてやろうかと思いこちらへ来たのだ。』


ローランドはアミルに尋ねられると少し間をおいてアミルへ応えた。


『殿下がですか?!まぁ…殿下がお相手ならジョナスの良い練習にもなりますが…急に来られては驚くではありませんか。それに執務の方はよろしいのです?!』


アミルが言った。


『急に来たのは申し訳ないと想っている。しかし…思い立ったのだから仕方ないだろう。それに執務に関しては問題ない。』


ローランドが応えた。


『事情は分かりました…。一先ず…急に殿下が来られたのでロッティもジョナスも不思議に思っていますので私からの事情を説明致しますね。』


アミルは少し呆れた表情で言った。


『……。あぁ。分かった。そこは任せるとしよう。』


ローランドが応えた。


(まったく…殿下はここ最近突発的な行動をなさる事が増えた気がするな…今まで孤児院への関心などなかったはずだというのに今はどうだ…。はぁ…まぁいいか…。考えるも疲れるな…。)


アミルは内心ローランドの行動に驚きと呆れを覚えつつそんな事を考えていた。


「ロッティ…ジョナス…ロー様はジョナスへ剣の稽古をつける為に訪れてくれたそうだ。」


アミルが困った表情をしているシャーロットと不思議そうにしているジョナスへ説明した。


「ロー様こんにちは。わざわざお越し頂きありがとうございます。稽古の方よろしくお願いします。」


ジョナスがローランドへ言った。


「あぁ。」


ローランドは頷きながら応えた。


「ロー様…ようこそおいで下さいました。ジョナスの稽古の為に足を運んで頂き感謝致します。」


シャーロットがローランドへ言った。


「あぁ…。」


ローランドが応えた。


「ロー様が来られたばかりで何なのですが…私は少し買い出しに行ってまいりますので…ロー様はジョナスへの稽古をやっていて下さい…。」


シャーロットが少し気まずい表情を浮かべてローランドへ言った。


(よく分からないけどこの場にいるのが気まずいわ…。)


シャーロットはチラリとローランドを見つつそんな事を考えていた。


「………。私も買い出しに付き添うとしよう…。」


ローランドはシャーロットの言葉を聞いて少し悩んだ後に言った。


(シャーロットと二人になれるチャンスだからな…。)


ローランドはシャーロットに言いつつそんな事を考えていた。


「「はい?!」」


ローランドの言葉を聞きシャーロットとアミルが同時に驚いた表情で言った。


「あ…あの…ロー様…買出しは私だけで大丈夫ですのでお気になさらず…。どうぞジョナスへ剣の稽古をしてあげてぐださい。」


シャーロットは苦笑いを浮かべらローランドへ言った。


(殿下は何を言ってるの?!一体どういうつもりなのかしら…。)


シャーロットは困惑しながら考えていた。


「稽古は…つける。だが…シャーロットの買い出しに付き添った後にするとしよう。」


ローランドは戸惑うシャーロットをよそに食いつき気味に言った。


「で…ですが…。」


シャーロットはそんなローランドに戸惑いながら言った。


「それに…まだ…君は体調が万全ではないだろう…?そんな君を一人の買い出しに行かせるのはよくないだろう…。」


ローランドが言った。


「……っ…。」


シャーロットは困った表情で唇を噛んだ。


そしてアミルの方を見た。


(アミルお兄様…この状況は何なのですか?!私はどうすれば?!)


シャーロットはアミルを見て目で訴えた。


(いや…私も困惑している…。だが…一先ずは殿下の言うとおりにする方がこの場はかたがつく。)


アミルもシャーロットへ目で訴えた。


(……。わかり…ました。)


シャーロットはグッと拳を握りしめながらアミルへ訴えた。


「わかりました…。では…ローさん付き添いの方よろしくお願い致します…。」


シャーロットが煮えきらない表情でローランドへ言った。


(はぁ…どうしてこうなるのよ…。昨日の事もあって殿下とはあまり二人きりになりたくないんだけどな…。)


シャーロットはローランドに言いつつ考えていた。


「そうか…。では…早速買い出しに行くとしよう。」


ローランドはどこかホッとした表情でシャーロットへ言った。


(はぁ…良かった…。シャーロットはあまり私とは出かけたくないようだったが粘った甲斐があったな…。シャーロットの体調が心配なのも事実だからな…。)


ローランドはシャーロットに応えつつ考えていた。


「はい…。」


シャーロットが応えた。


「ジョナス…私達が帰ってくるまでは引き続きアミルへ稽古をつけてもらっていてくれ。」


ローランドがジョナスへ言った。


「……分かりました。」


ジョナスは少し間を空けて何か考えている表情で頷きながら応えた。


そして…

シャーロットとローランドは市場へと出かけたのだった。


そんな二人の後ろ姿をジョナスが何かを考える様に無言でジッと見つめていたのだった…




シャーロットとローランドは孤児院を出て市場の方へと向かい歩いていた。


…………………


二人の間に少し気まずい沈黙が続いた。


(何か…話さなくては…。だが…何を話せばいいのだろうか…。)


ローランドは歩きながら沈黙を感じてそんな事を考えていた。


「……殿下…。今日は急に孤児院へ訪れてどうなさったのですか?」


そんな沈黙を破りシャーロットがローランドへ話しかけた。


「先程も言ったが私も…ジョナスへ剣の稽古をしてやろうと思ったのだ…。」


ローランドが少し気まずそうに応えた。


「ジョナスへの件もあるが…シャーロット…君に会いたいと思ったのだ……。」


ローランドは少し照れくさそうな困った表情でぼそりとシャーロットへ言った。


「私に…ですか…?な…なぜですか?!」


シャーロットはローランドの思わぬ言葉に驚き困惑しながら言った。


「昨日…君に言っただろう?君の事が知りたいと…。知るためにはシャーロットに会わなければならないだろう?」


ローランドは緊張した表情でシャーロットへ言った。


(な…何?!殿下は一体何を言ってるの?!私は昨日のその殿下の言葉を聞いてらモヤモヤしてるというのに…。でも…昨日の言葉はでまかせではないということなの…?)


シャーロットはローランドの言葉を聞いてそんな事を考えていた。


「……。これまで…殿下は私に興味などまったくなかったというのに…急にどうしてですか…?」


シャーロットは少し皮肉混じりにローランドへ言った。


「こ…これまでの私のシャーロットに対する態度は…その…本当に申し訳ないと思っている…。だからこそ…今はシャーロットを知りたいと思ってこうして君に会いにきているのだ…。」


ローランドは体をビクッとさせなかながら困惑した表情で応えた。


(本当に…私の今までの行動は後悔しているのだ…。)


ローランドはシャーロットひ応えつつそんな事を考えていた。


ドキッ…


シャーロットはローランドの言葉に思わずドキッとなった。


(シャーロット…ドキッって何よ!何ときめいてるの?!気をしっかり持って!二度と同じ過ちは繰り返さないと決めたでしょ?!)


シャーロットは自分自身が感じた感情に戸惑いつつそんな事を考えて自分に言い聞かせていた。


「………。」


シャーロットはローランドの言葉の返事に困っていた。


そうこうしていると市場に到着した。


シャーロットとローランドはシャーロットがいつも訪れる肉屋へと寄った。


「こんにちは!鶏肉を一キロもらえますか?」


シャーロットは肉屋の店主へと言った。


「いらっしゃいませ!鶏肉ですね!少々お待ちを!」


店主は笑顔で言った。


「あ…そうだ…。この間は息子達がお世話になりました。息子も楽しかった様でとても喜んでいました。あれから時間が合えば孤児院の子供達と仲良くしてるようです!」


店主は嬉しそうにシャーロットへ言うとお礼を言った。


「いえいえ。楽しんで喜んで貰えたのなら良かったです。孤児院の子供達も新しいお友達ができてとても喜んでます。」


シャーロットは笑顔で言った。


「ハハハハ…。あ…それで…あの…息子に聞いたのですが…貴族のご令嬢様だったのですね。いいところのお嬢さんだとは思っていましたがまさか…グランバード公爵家のご令嬢だったとは知らず…気軽に声をかけてしまい申し訳ありませんでした…。」


店主はどこか申し訳なさそうな表情でシャーロットへ言った。


「お気になさらないで下さい…。オマーン元公爵の事もありますし…孤児院の子供達にも私は公爵令嬢だけれど貴族だという事は忘れて接して欲しいと最初に伝えてありますし…私もそうしてくれる方が子供達とも接しやすく仲良くなれましたので…。ですのでご主人も気にせず今まで通りに接して下さい。公爵令嬢である前に皆さんと同じくこの国の国民の一人にすぎないですから。」


シャーロットは満面の笑みを浮かべて店主へ伝えた。


「オマーン元公爵の事があり…貴族に対して正直嫌悪感を大きく感じていましたが…貴方の様な貴族の方もいると身を持って知ることが出来て良かったです。貴方の様な方が王太子殿下の…王太子妃になられたらこの国の国民は安心して生活が出来る事でしょう。」


店主は笑顔を浮かべてシャーロットへ言った。


「そちらの方もそう思いませんか?」


店主はシャーロットの横にいたローランドにも話をふった。


「……。そうだな…。彼女ならばきっと国民が認める王太子妃になるだろうな…。」


ローランドは話をふられ少し驚くも優しい表情で言った。


「ハハハハ…やはりそう思いますか。本当に私もそう思いますよ。」


店主はローランドの言葉を聞き嬉しそうに笑いながら言った。


だが…

そんなローランドと店主のやりとりを聞いていたシャーロットの表情はどんよりとしていた。


「私などが王太子妃なる事はありません…。きっと殿下には…国全体にも愛される私でないどなたかが現れますよ。」


シャーロットはにこりと微笑みながら店主へ言った。


「ハハハハ…そんなご謙遜を!」


店主はシャーロットの言葉を聞き笑いながら言った。


(いいえ…謙遜でも何でもないのよ…。私は…今も…この先も殿下に選ばれる事はないのよ…。殿下には心から愛する方が現れるのだから…。)


シャーロットは店主に応えるも全てを悟った様なとても切なく悲しい表情をしていた。


(シャーロットは何故その様に全てを悟って諦めた様な表情で言い切るのだ?!私は王太子妃…私の隣に立つ者はシャーロットしかいないと思っているというのに…。)


ローランドはシャーロットの表情を見て胸がチクリと痛むのを感じながらそんな事を考えていた。


「さぁ!鶏肉一キロ用意出来ました。どうぞ!」


店主は鶏肉をシャーロットへ渡しながら言った。


「ありがとうございます。」


シャーロットは笑顔でお礼を言いながら受け取った。


「スホ達にもまた孤児院へ遊びに来てとお伝え下さい。」


シャーロットは笑顔で店主へ言った。


「はい!ありがとうございます。息子にも伝えておきます。」


店主は笑顔で応えた。



シャーロットとローランドは肉屋を後にするとその後も数軒店を回り買い物を済ませて孤児院へと戻っていた。


もう少しで孤児院へ着くというところでローランドが口を開いた。


「シャーロット、君は何故、私をそうしめ出そうとするのだ…?!」


ローランドはどこか怒っている様な表情でシャーロットへ言った。


「……何の事でしょう?私は殿下の仰っている意図が分かりません…。」


シャーロットはローランドに問われると一瞬グッと唇を噛むもすぐに平然とローランドへ言った。


「意図だと?!私は…。」


ローランドはシャーロットの言葉を聞き眉間にしわを寄せながら言った。


「殿下!失礼を承知で言わせて頂きますが…先に……先にしめ出されたのは殿下の方ではありませんか?殿下との婚約が決まる前も決まってからも殿下が私をしめ出そうと…いえ…しめ出していらっしゃいました!それなに…今更…今更どうしてその様な事を仰ってるのです?」


シャーロットはローランドが話そうとするのを遮り何ともいえないほどの切ない悲しそうな表情でローランドへ言った。


「シャーロット……。」


そんなシャーロットを見てローランドは胸の奥がえぐられる様な感覚に陥りながら呟いた。


(シャーロット…君はきっと今まで私の行動に幾度となく傷ついたのだろう…。君にそんな表情をさせる程の深い傷を負わせてしまったのだろう…。私は…シャーロットをまた傷つけてしまったのか…。)


ローランドは胸の苦しさを抑えるかの様に強く胸元をグッと押さえてそんな事を考えていた。


「シャーロット…私は……。」


ローランドがシャーロットへ言った。


「殿下…殿下に対してのご無礼な発言申し訳ありませんでした…。もう孤児院へ着きますので…孤児院へ着きましたらジョナスへの稽古よろしくお願い致します。」


シャーロットはローランドの言葉を遮る様に言った。


「………分かった……。」


ローランドはそう応えるしかなく応えたのだった。


そして…

二人が孤児院へと着いた。


「殿下…付き添いありがとうございました。私は…買ってきた物を整理しますので殿下はどうぞアミルお兄様とジョナスの所へ行ってあげて下さい…。」


シャーロットは孤児院へ着くなりローランドへ言った。


「……あぁ。分かった……。」


ローランドは何ともいえない切ない表情で応えるとアミルとジョナスのところへ向かうためにその場をあとにしたのだった。


ローランドが居なくなった瞬間にシャーロットはその場にへたり込んだ。


(分かってる…さっきのは八つ当たりだって分かってる…。でも…でも…どうして今更あんなことを言うの?どうして私に関心を持つの?どうして…どうして…今更…。あんな事を言われても未来は変わらないというのに…。)


シャーロットはそんな事を考えていた。

そして…シャーロットは誰もいないその場所で一人声を押し殺して泣いていたのだった…


シャーロットの荷物の整理を手伝おうと孤児院の中へと来ていたジョナスがそんなシャーロットの微かに聞こえる泣き声を孤児院の裏口の扉越しに黙って聞いていたのだった。


そして…ジョナスはそっとその場を離れて何かを考える様にアミルとローランドの元へと戻ったのだった…。


「ジョナス、ロッティの手伝いはいいのかい?」


戻ってきたジョナスへアミルが尋ねた。


「……はい。どうやら手伝いはいらないようでした。」


ジョナスは少し間を空けて応えた。


そして…

ローランドの方をジッと見た。


「どうしたのだ?」


そんなジョナスへ気づきローランドが言った。


「……いえ…。何でもありません…。」


ジョナスは間を空けて応えた。


「……そうか…。」


ローランドが言った。


(きっと…ロッティが泣いていたのはロー様のせいだろうな…。)


ジョナスはローランドをちらりと見てそんな事を考えていた。


その後…

ジョナスはローランドとアミルにみっちり稽古をつけてもらった。


「あとは…来週の試験を待つのみだな。試験まではしっかり食事を摂ってトレーニングも欠かさないこと。当日は遅刻厳禁だからな!」


アミルが稽古が終わったジョナスへと言った。


「はい。本当に…丁寧に稽古して頂きありがとうございました。」


ジョナスはアミルとローランドへお礼を言った。


「私とロー様が特別に稽古をつけたのだから絶対合格するんだぞ?」


アミルはニヤリとしながらいった。


「もちろんです!絶対に合格してみせます!」


ジョナスは自信満々に応えた。


「ハハハハ…良い返事だね!」


アミルは笑いながら応えた。


「私も…とても良い経験になった。礼を言う…。」


ローランドがジョナスへと言った。


「こちらこそ…とても為になる稽古をつけてもらい感謝しています。」


ジョナスはローランドへ言った。


「ジョナスが合格したら誰よりもロッティが喜ぶだろうね!大袈裟なくらい喜ぶだろうね!」


アミルは笑いながら言った。


「はい…。きっとそう思います。きっとロッティが誰よりも喜んでくれると思います…。」


ジョナスはとても優しい愛おしそうな表情で言った。


そんなジョナスの表情を見てローランドはモヤモヤした気持ちになっていた。


(何故…あの様な表情で話すのだ?だが…きっとシャーロットはジョナスが合格したら誰よりも喜ぶだろうな…。)


ローランドはやりきれないという表情でそんな事を考えていた。


そして…

あっという間にシャーロット達が帰る時間になった。


シャーロット、アミル、ローランドは孤児院の皆へ挨拶をするとそれぞれの家へと帰っていったのだった…


結局、シャーロットとローランドの二人の間には帰る間際まで微妙な空気が流れていたのだった…



その日の夜…

シャーロットもローランドのこの日に起きた事をそれぞれ考えながら眠りについたのだった…


ご覧頂きありがとうございます★

誤字脱字ご指摘ありがとうございます。


他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


↓↓↓↓



悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生したので大好きなハンドメイドをしながら暮らす事にしました!!(※不定期更新)


私が悪役令嬢?!…ならばシナリオ無視して全力で推しを守り愛し共に幸せになる所存です!!

〜じゃじゃ馬令嬢は異世界でも推し活に励む〜(※不定期更新)



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