27.抱いてはいけない感情
シャーロットが目を覚ましてから二日が経過した。
シャーロットは目を覚ましてから半日は熱が続いたままだったがそれ以降は熱が上がる事はなかった。
右足首の腫れも引き、左腕の傷の化膿も二日後の間で随分とよくなっていた。
シャーロットは数日意識を失い高熱に魘されている間ほとんど物を口にしていなかったので熱が下がってからは少しづつ消化の良いものを口にする様にしていた。
シャーロットはこの日も自室でゆっくり体を休めていた。
部屋にエラが訪れてシャーロットへ果物を切ってくれていた。
「お母様…お父様とお兄様達は仕事へ行ったの?」
シャーロットがエラへと尋ねた。
「えぇ。先程三人で一緒に出かけて行ったわ。」
エラが果物の皮を剥きながら応えた。
「そう…。良かったわ。昨日も仕事へ行っていない様だったから行かなくても大丈夫なのかと気になっていたのよ。」
シャーロットがエラの話を聞きホッとした表情で言った。
「今日だって休んでシャーロットの元へついていると言い張って大変だったのよ…。何だか今まで以上に娘…妹馬鹿になった様な気がするわ…。」
エラは少し呆れた表情を浮かべて言った。
「あぁ……。それは…大変だったわね…。」
シャーロットはエラの話を聞きエラの表情を見て苦笑いを浮かべて言った。
「まぁ…でも、今回の事はさすがにあの三人があそこまでになるのも無理はないわね…。私も本当に肝が冷えたもの…。本当に目を覚ましてくれて良かったわ…。」
エラは心配げな表情を浮かべて言った。
「本当に…皆には心配をかけてしまったのね。」
シャーロットは申し訳なさそうな表情で言った。
「本当に…殿下が王室専属医を連れてきて下さらなかったら今頃はどうなっていた事やらよ…。」
エラは再び果物の皮を剥きながらシャーロットへ言った。
「え…?殿下が…王室専属医を連れて来たって……。殿下は…ここへ……来られたの……?」
シャーロットはエラの話を聞いて衝撃を受けた様な表情でエラへ尋ねた。
「あ……。殿下にはシャーロットには言わないでおいて欲しいと言われていたのに…話の流れでつい話してしまったわ…。」
エラはシャーロットに尋ねられハッとなり気まずそうな表情になり言った。
「それじゃぁ…本当に殿下がここへ来たのね…?」
シャーロットは再度エラへ尋ねた。
「……。えぇ。来られたわ。シャーロットが目を覚ます二日前から二日続けてね…。殿下は王室専属医を連れて来られてシャーロットの診察をお願いされたのよ。殿下が専属医を連れてきて下さったお陰でシャーロットの目が覚めた様なものよ…。殿下には感謝してもしきれないわ…。」
エラはもう隠しておけないといわんばかりの表情でシャーロットへ説明した。
「殿下が…。そんな事があったなんて…。」
シャーロットはエラの話を聞き驚きを隠せない表情で言った。
(あの時…霧の中の光に殿下が居たのは夢だけど夢ではなかったという事?殿下が私を心配してわざわざここへ訪れて来たなんて…。)
シャーロットは驚きの中でそんな事を考えていた。
「私もだけど…ボブやアミル達も驚いたわ…。シャーロットと殿下は婚約関係は破棄しているし…今まで殿下がシャーロットの事を案じるなどという事なんてなかったでしょう?だから…。」
エラが驚いた表情を浮かべて言った。
「そうね…。私も驚きを隠せないもの…。殿下は何を考えているのかしら…。」
シャーロットが言った。
「殿下が何を考えいるのかは分からないけれど…殿下のお陰でシャーロットが目を覚ました事に変わりはないわ。」
エラがホッとした表情を浮かべて言った。
「そうね…。」
シャーロットが言った。
「シャーロットの体調がよくなったら陛下が一度王宮へ足を運んで欲しいと言っているそうよ。」
エラがシャーロットへ言った。
「陛下が?」
シャーロットが言った。
「えぇ。シャーロットにお礼が言いたいそうよ。」
エラが応えた。
「陛下が私に?」
シャーロットは首を傾げながら言った。
「えぇ。シャーロットが応急処置をしたお陰で殿下の怪我が悪化せずに済んだみたいなのよ。ボブが言っていたわ。」
エラがシャーロットへ説明した。
「そうなの?別にお礼なんていらないのに…。」
シャーロットは困った表情で言った。
「まぁ…そう言わずに体調が良くなったら一度王宮へ訪れてちょうだい。」
エラが言った。
「分かったわ。」
シャーロットがあまり乗り気ではない表情で言った。
「それより…孤児院は大丈夫かしら…。」
シャーロットは心配げな表情を浮かべて言った。
「大丈夫よ。シャーロットの目が覚めた事は孤児院の子たちやミーシャさんにはアミルが伝えてくれているから。皆シャーロットをとても心配していた様だからシャーロットが目を覚ましたと聞いてホッとしているみたいよ…」
エラがシャーロットへ説明した。
「そっか…。それならば良かったわ。そこが一番気がかりだったから…。孤児院の皆にも心配かけてしまったわね…。」
シャーロットは申し訳なさそうな表情で言った。
「あ…私がポート王国で購入した荷物はどうなったかしら…。」
シャーロットが思い出した様に言った。
「あぁ。シャーロットが購入した荷物はボブがちゃんと邸へ持って帰ってくれているから安心しなさい。」
エラが微笑みながら言った。
「そう…。良かったわ。家族や孤児院の皆に沢山お土産買ってきたのよ。」
シャーロットはホッとした表情で言った。
「そうなの?それは楽しみだわ。」
エラは微笑みながら言った。
「えぇ。」
シャーロットも微笑みながら言った。
※
それから二日後…
シャーロットは怪我も回復傾向にありいつも通りの生活が出来るまでに回復した。
この日はグランバード公爵家に孤児院の皆が訪れてた。
孤児院の事を心配するシャーロットをみたエラの提案で孤児院の皆をグランバード公爵家に呼んでいたのだった。
シャーロットを驚かせようとシャーロットには内緒にしていたので急に自室に孤児院の皆が訪れたのを見たシャーロットはとても驚いた。
そしてとても喜んだ。
「シャーロットさん!」
「「ロッティ〜〜!」」
「ロッティ!」
「ったく…心配させやがって…。」
ミーシャはシャーロットの姿を見てホッとした表情で言った。
下の子たちは久々のシャーロットに嬉しくなり言った。
フーパーはシャーロットが回復したの見てホッとしながら言った。
ジョナスは心配気な表情で言った。
「皆!どうしたの?!突然すぎて驚いたわ…。でも…会えて嬉しいわ!」
シャーロットは孤児院の皆を見て驚くも笑顔で嬉しそうに言った。
「エラ様がロッティを驚かせようと僕達をここへ呼んでくれたんだよ。」
フーパーがシャーロットへ説明した。
「そうだったのね…。本当に何も聞いてなかったから驚いたわ…。でも…皆元気そうで良かったわ!孤児院の事が気がかりだったから。長いこと孤児院へ行けなくてごめんね…。」
シャーロットが皆へ言った。
「何言ってんだよ!こんな時まで。ロッティが怪我した上に意識が戻ろないって聞いて肝が冷えたのはこっちだよ!本当に…ロッティはいつもいあも色んな意味で驚かせてくれるな!でも…今後はこういう驚く事はやめてくれよ!」
ジョナスがいつもの口調でシャーロットへ言った。
「ジョナスが一番心配してたくせに〜!」
サナがジョナスへ言った。
「サナ!うっせぇぞ!!」
ジョナスはムッしてサナへ言った。
「はいはい。すいませんね〜。」
サナは笑いながら言った。
それを見た皆は笑った。
「ふふ…。いつもの皆で安心したわ。もう…皆に心配かけない為にも今後はこんな事がない様に気をつけるわね!」
シャーロットは皆を見てクスクス笑いながら言った。
「そうだ!皆にお土産があるの!」
シャーロットはそう言うと部屋の角にまとめてあった荷物の所へ行って皆へ言った。
「これは…サボに。これはマーヤに。これはトムに。これはサナに。これはシーマに。これはミーシャさんに。そして…これはフーパーに。これはジョナスに…。あとこの辺の物は孤児院全体で使う為によ。」
シャーロットは荷物の中からそれぞれに買ったお土産を取り出して各自に渡した。
「ありがとうございます。シャーロットさん。」
「ありがとうロッティ。」
「ありがとう。」
「わぁ〜ありがとう。」
「ロッティありがとう。」
「可愛い!ありがとう。」
「ありがとう!」
ミーシャを始め子供達がシャーロットへ嬉しそうにお礼を言った。
「ったく…本当にいつも人のことばっかだな…。」
ジョナスがシャーロットを見てボソリと呟いた。
「何?ジョナス今何か言った?」
シャーロットがジョナスへ言った。
「ん?いや…何でもないよ…。ありがとな!」
ジョナスがシャーロットへ言った。
「どういたしまして!」
シャーロットは笑顔で応えた。
その後、孤児院の皆はグランバード公爵邸で公爵邸にいたボブとエラと休みのエイルと共に時間を過ごした。
シャーロットはいい事を思いついていた。
体調も回復傾向にあるのでシャーロットはポート王国で購入したスパイスを使ってカレーを作り皆にもてなそうと思ったのだった。
シャーロットはシェフのドルにお願いして厨房を使わせてもらう事にした。
シャーロットが厨房でカレー作りの用意をしているとジョナスがやって来た。
「ロッティ!手伝うよ。」
ジョナスがシャーロットへ言った。
「あら!ジョナス。ありがとう!でも…いいの?みんなと過ごさなくて。」
シャーロットがジョナスへ言った。
「ん?あぁ。」
ジョナスが応えた。
「そうなの?じゃぁ…お願いしようかな!」
シャーロットが笑顔で言った。
「あぁ。任せろよ!」
ジョナスはフッと笑みを浮かべて言った。
「ありがとう!」
シャーロットは笑顔でジョナスへお礼を言った。
シャーロットは手際よく作業を進めた。
ジョナスはシャーロットの言われた通りに作業を進めていった。
(ハンバーグに続く試みね…。上手く完成するといいわね。)
シャーロットはそんな事を考えながら手を動かした。
「……気になってたんだけど…何で殿下の視察に同行したんだ?もう…殿下とは婚約関係じゃないんだろ?」
作業をしているとジョナスがシャーロットへ尋ねた。
「えぇ。殿下との婚約関係は数ヶ月前に解消になったわ。」
シャーロットが手を動かしながら応えた。
「じゃぁ…どうしてロッティが同行したんだ?」
ジョナスは更にシャーロットへ尋ねた。
「……少し前にたまたま殿下とお会いする事があったんだけど…その時に今から作ろうとしているものに必要なこれ…スパイスがポート王国ならば手に入るかもしれないと殿下が教えて下さったの。」
シャーロットがジョナスへ手を動かしながら説明した。
「それで?」
ジョナスが言った。
「それで…ちょうど殿下がポート王国へ視察に行く予定があるからこのスパイスを手に入れたいなら同行しないかと提案されたのよ…。最初は私も驚いたのよ…。婚約者であった時ならば分かるんだけど婚約者でも何でもない状況で視察に同行するのも何だかおかしいというか…。それに殿下は私の事を昔からよく思われないから余計に提案された時は戸惑ったわ…。」
シャーロットが更に説明した。
「それなのに何で同行する事にしたんだ?」
ジョナスは??という表情を浮かべて言った。
「このスパイスはこの国では手に入らないものだから手に入れる事が出来るなら後日ポート王国へ私が改めて行って購入すればいいわって思ったんだけどポート王国はこの国からだと距離がある上にお父様の許可が出るかどうかもわからなかったから…殿下の視察同行という形ならお父様達も首を縦に振らざるをえないから戸惑いはあったけれど殿下に同行する事に決めたのよ!その結果こうして無事にスパイスを手に入れる事が出来たんだけどね。」
シャーロットは困った表情を浮かべて説明するも最後は笑顔でスパイスを入手出来た事を嬉しそうに言った。
「……でも…道中は殿下と二人だったんだろ?」
ジョナスが少し間を空けてシャーロットへ尋ねた。
「えぇ。最初はアミルお兄様も同行するのかと思っていたんだけどアミルお兄様は殿下が留守にしている間の王宮の事を任されていたみたいてで殿下に付き添ったのは護衛の方二人だけだったのよ…。」
シャーロットは少し困った表情でジョナスへ説明した。
「婚約関係にはないとしても…二人きりの状況で…その大丈夫だったのかよ…。ロッティの気持ち的なものは…。」
ジョナスは少し気まずそうな表情でシャーロットへ言った。
「そうね…。正直…複雑というか変な感じだったわ…。私ね…初めて殿下にお会いした時から殿下をお慕いしていたって前に話したことがあったでしょう?でも…その時から婚約を解消するまで私ばかり殿下を好き好きという感じだったの。殿下の方は私にはまったく興味なんてなくてむしろ…私の存在自体を嫌悪していた程なの。二人だけで過ごした時間なんて考えてみたら一度もなかったし私に微笑みかけてくれた事もなければまともに話をした事すらもなかったわ…。」
シャーロットは苦笑いを浮かべてジョナスへ話した。
(まぁ…本当にそんな殿下の態度が辛くて悲しくて極めつけには私ではない他の人を愛したという事が致命的になり私を歪ませていき…最終的にあんな事になっちゃったんだけどね…。)
シャーロットはジョナスに話しながらそんな事を考えていた。
「よく…そんな態度取られてまで殿下好きでいれたな…。」
ジョナスはシャーロットの話を聞いて引きつる様な表情で言った。
「うるさいわね…。恋は盲目…好きになった方が負けだっていうでしょう?あの頃は本当にどれだけ冷たくされても殿下が好きで仕方なかったのよ…。まぁ…でも初めての恋なのもあって色々と歪んだ感情になっていたのかもしれないけどね…。」
シャーロットは前世を思い出すかの様な表情で言った。
「それなのに…何で急に殿下はロッティと二人きりになるのがわかっていて視察同行の提案をしたんだ?」
ジョナスは不思議に思いシャーロットへ尋ねた。
「それは…私もよくわからないわ…。正直…あれだけ私に冷たかったのにどうして急にそんな事を提案してきた…。」
シャーロットは困った表情で応えた。
「………二人きりで過ごして…なくなっていた殿下を好きという気持ちをまた…抱いたとかじゃないのか?」
ジョナスは茶化す様な感じでシャーロットへ言った。
「……殿下がね…あの日…初めて私に微笑みかけてくれたのよ…。今まで何度も願っていた事なの…。それに…私が皆のものばかり買っていて自分の物はまったく買っていなかったのを見て小さな贈り物までしてくださったのよ…。」
シャーロットは急に手の動きを止めて切ない表情を浮かべて言った。
(それって…まさか…殿下は…ロッティの事を…嫌いどころか好きという事じゃないのか…。)
そんなシャーロットの表情を見て茶化し気味だったジョナスが少し表情を曇らせながら思っていた。
「正直…そんな殿下に思わずドキドキしてしまったし嬉しいとも思ってしまったの…。」
シャーロットは気まずそうな表情で言った。
「そ…それって…やっぱり…殿下を好きって気持ちが溢れてきたって事じゃないのか……?」
ジョナスはまるで自分の曇った気持ちを隠す様にまた茶化し気味に言った。
「……。たとえそうだとしても…そんな気持ちは殿下に抱いてはいけないのよ…。」
シャーロットは切ない笑いを浮かべて言った。
(そう…そんな気持ちを二度と殿下に抱いてはいけないの…。)
シャーロットはそんな事を強く思っていた。
「はぁ…?意味わかんねぇよ…。」
ジョナスは少しムッとした表情で言った。
(それて…ロッティもやっぱり殿下を好きって事じゃねぇの?なのにそんな気持ち抱いちゃいけねぇなんて!)
ジョナスはシャーロットに言いながらそんな事を考えていた。
「そうね…。意味が分からないかもしれないわね…。でも…時に抱いてはいけない時があるのよ…。まぁ…恋だの愛だのに無関心なジョナスには分からないでしょうね!」
シャーロットはとても切ない表情を浮かべて呟くもすぐに笑みを浮かべてジョナスへ茶化す様に言った。
(どんなに殿下にドキっとしたとしてもその感情は圧し殺さなきゃなのよ…。それで…殿下は本当に愛する人と幸せになれるし…お父様達も死なずに済むんだから…。)
シャーロットはジョナスを茶化しながらもそんな事を考えていた。
「う…うるせぇな!どうせ…俺は恋だの愛だのに無関心だよ!」
ジョナスは少しムッとした表情でシャーロットへ言い返した。
(ロッティ…お前は知らないよな…。俺がロッティを好きだということを…。)
ジョナスはシャーロットに言い返しながらそんな事を思っていた。
「ふふふ…。そんなに怖い顔しなくてもいいでしょ。」
シャーロットはクスクスと笑いながら言った。
「このままだとロッティは一生独り身じゃないのか?」
ジョナスがシャーロットへ言い返した。
「なんですって?!……でも…確かにそれ…ありえるわね…。数年は更に孤児院をより良くする為に動きたいし…。そんな感じだといつの間にか行き遅れるになるかもしれないわ…。」
シャーロットはムッした表情で言いも少し考えた後に真剣な表情を浮かべ言った。
「でも…まぁ…そうなったらそうなったでいいわ!お父様達にはそんな娘と言われるのは申し訳ないけどね。」
シャーロットは笑いながら言った。
「………そ…その時は…仕方ないから俺がロッティをもらってやってもいいぜ!」
ジョナスはツーンとした表情を浮かべてシャーロットへ言った。
「将来の王室騎士様が落ちこぼれ令嬢なんてもらったら面子がたたないわよ?」
シャーロットはにやりとした表情でジョナスへ言った。
「フンッ!孤児院育ちなめるなよ?!面子なんてクソくらいだよ!」
ジョナスはフンッと息を鳴らしながら言った。
「ふふふ…。まぁまぁ心強いこと。まぁ…本当に誰ももらってくれなかったらジョナスにお願いするわ!」
シャーロットはクスクスと笑いながら言った。
「おう!任せとけよ!」
ジョナスはにやりと微笑みながら言った。
(本当に…その時は俺がロッティを大切にしてやるさ…。ロッティとの身分差なんて気にしなくていいくらい立派な騎士になってやるさ…。)
ジョナスはフッと口角を上げてシャーロットを見てそんな事を考えていた。
二人がそんな会話をしているうちにカレーが完成間近になっていた。
(よし!後もう少し煮込めばカレーのルゥの完成よ!)
シャーロットは鍋のカレーをかき混ぜながらそんな事を考えていた。
それから十分後………
「出来たわ!完成したわ!」
シャーロットが目を輝かせながら言った。
「これで…完成なのか?見た目がなんというか…地味だな。こんな料理初めて見たけどなんていう料理なんだ?」
ジョナスは鍋の中のカレーを見ながらシャーロットへ言った。
「ふふふ…。これはカレーというの!異国の食べ物なんだけどね…。見た目は確かにこの国の料理に比べたら鮮やかさに欠けるけど食べたら驚くわよ!」
シャーロットは笑顔で自信満々にジョナスへ言った。
「そうなのか…?味すら想像できないな…。」
ジョナスは苦笑いを浮かべて言った。
「はいはい!食べてから感想は言ってね!さぁ…お皿に盛って皆の所へ持っていって食べましょう!」
シャーロットは笑顔で言った。
「あぁ。」
ジョナスが応えた。
それからシャーロットとジョナスは人数分の器にカレーを入れた。
シャーロットはお米がないのを残念に思っていたが代わりに小麦を使ってナンを作ったのだった。
シャーロットとジョナスとシェフのドルはカレーが入ったお皿とナンを食堂へと運んだ。
シャーロットが皆を食堂へ呼んだ。
皆は食堂へ集まり席につくと目の前に置かれたカレーを不思議そうに見ていた。
「私が作ったカレーという料理なの。見た目は地味だけど味は絶品だから皆召し上がってみてちょうだい!」
シャーロットが笑みを浮かべて皆へ言った。
シャーロットに言われて皆は初めてみるカレーを恐る恐る口にした。
カレーを口にした皆は目を見開いて驚いた。
「これは…上手いな…。」
「えぇ…。本当に。少しピリっとするけれどとても美味しいわ。」
ボブとエラがカレーを口にしながら言った。
「横にあるナンというものにカレーつけて食べても美味しいのよ!」
シャーロットがボブとエラへ言った。
シャーロットの言葉を聞いた子供達はナンにカレーをつけて食べ始めた。
その後は皆も黙々とカレーとナンを食べていた。
孤児院の子供達とエイルはカレーもナンもおかわりするほどだった。
「ね?食べたら驚くって言ったでしょ?」
シャーロットはにやりとした表情を浮かべてジョナスへ言った。
「あぁ。見た目は地味なのに味は上手いよ!いくらでも食べれそうだよ!」
ジョナスはカレーを口にしながら言った。
「ふふふ。ジョナスが手伝ってくれたお陰で沢山作れたから沢山食べてね!もう少しで騎士団の試験なんだし沢山食べて体力つけないとね!」
シャーロットがクスクスと笑いながらジョナスへ言った。
「ん?あぁ。そうだな。」
ジョナスは頷きながら応えた。
結局…作ったカレーとナンは綺麗に皆が完食したのだった。
作りたかったカレーを作れて美味しそうに食べてくれる皆の姿を見れて嬉しくなったシャーロットはにこにこと笑みを浮かべて満足そうにしていたのだった。
孤児院の皆が訪れてくれたおかげもありシャーロットは更に元気になったのだった。
それから数日後…
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