23.その気持ちの名は…
それから二週間ほど経った…
この日、昼を過ぎた頃に孤児院へある人物が訪ねてきたのだった。
ビーー!!
「ごめんください。」
孤児院の入口のベルが鳴ると外から男性が孤児院内に向けて行った。
「は〜い!」
シャーロットがいち早く声に気づき入口へ向かいながら応答した。
ガチャ…
シャーロットが入口の扉を開けた。
「あらっ…。あなたはあの時の…。」
扉を開けた先に立っていた男性を見たシャーロットは驚いた表情で言った。
「やぁ。こんにちは。」
男性が笑顔でシャーロットへ挨拶をした。
「こんにちは。あなたはあの生肉屋の方ではないですか。」
シャーロットは驚きながらも笑みを浮かべて男性へと挨拶をして言った。
そう…。
孤児院へ訪れて来たのは以前シャーロットがハンバーグを作るために牛肉を購入した店の男性だったのだ。
「覚えていてくれたんだな。」
男性が嬉しそうにシャーロットへ言った。
「えぇ。もちろんですよ。今日は何故こちらへ?」
シャーロットは男性が急に孤児院へ訪れた事を不思議に思い尋ねた。
「あぁ。今日はその頼み事があって来たんだよ。」
「頼み事…ですか?」
「あぁ。」
「頼み事とは何でしょう?」
男性は少し気まずそうにシャーロットへ言うとシャーロットは首を傾げながら言った。
そんなシャーロットに男性は頷きながら言うとシャーロットが男性へ頼み事は何かと尋ねた。
「それがだな…。実は…俺の息子とその友達が孤児院へ遊びに行きたいと言っていてな…。」
「孤児院にですか?!」
男性が少し言いづらそうにシャーロットへと伝えるとシャーロットは男性の予想外の言葉に驚き言った。
「あぁ。何やら息子が友達と遊んでいる時にこの孤児院の前を通ったらしいんだが…孤児院裏の広場でここの子供達がとても楽しそうに遊んでいるのを見て自分達も裏の広場で遊んでみていと言い出してな…。」
男性がシャーロットへと事情を説明した。
「そうだったのですね…。」
シャーロットは男性の説明を聞き軽く頷きながら言った。
「それで…どうだろう?息子や息子の友達をここへ遊びに来させてはだめだろうか…?」
男性は少し困った表情でシャーロットへと聞いた。
「……。遊びに来て頂いても構いませんよ!」
シャーロットは男性に聞かれると少し考えた後に応えた。
(ここの子供達は基本的にはここの子供達同士で遊ぶことばかりだから街の子供達が遊びに来てくれたら輪が広がってここの子供達にもいい刺激になりそうだしね。)
シャーロットは男性に応えながらそんな事を考えていた。
「本当か?!本当にいいのか?」
「ええ。大丈夫ですよ。事前に何歳くらいの子が何人かをお伺いする事になりますけど。」
「それは構わないよ…。本当にありがとう。快く了承してくれて。息子が喜ぶよ。」
「ふふ…。どういたしまして。」
男性はシャーロットの言葉を聞き嬉しそうに言うとシャーロットは笑顔で応えた。
シャーロットが子供達の情報を軽く尋ねる事も了承してくれた男性は嬉しそうに言った。
そんな男性を見てシャーロットはくすくすと笑っていたのだった。
その後シャーロットは男性と相談して街の子供達が遊びに来る日を二日後に決めた。
孤児院へ遊びに来る子供達は男性の息子を合わせたら三人だった。
決まった事をシャーロットは早速孤児院の子供達へ話すと下の子供達は大喜びしていたのだった。
(やっぱり子供は子供と遊ぶのが楽しいのよね。)
シャーロットは喜ぶ子供達を微笑ましく見ながらそんな事を考えていた。
フーパーはその日は本屋に行く予定がありジョナスは体を鍛える為に走りに行ったり筋トレをする予定のようで二日後は下の子供達とミーシャ、シャーロットで街の子供達を出迎える事にしたのだった。
※
あっという間に二日経ち、街の子供達が朝から孤児院へと遊びに来た。
街の子供達も孤児院の子供達も初めは初対面で緊張気味だったが少し時間が経つとすぐに打ち解けて楽しく遊んでいたのだった。
街の子供達はトムとサナと同い年の男の子三人だった。
サナもマーヤも男の子だろうと関係なく楽しく遊んでいた。
三人のうちの一人がとても面倒見が良い子でサボと仲良くサボのペースに合わせて遊んでくれていた。
最初は男の子がやりたいと言った遊び…次に女の子がやりたいと言った遊びというように交互にやりたい遊びで遊んでいた。
そんな子供達を視界に入れながらシャーロットとミーシャは子供達の為に昼食を用意していた。
「ふふ…子供達皆楽しく遊んでいるみたいで良かったですね。」
「本当ですね…。最初は少し皆緊張気味でどうなる事かと思いましたがそんな心配なんていりませんでした。」
「そうですね。子供というのは少し時間を過ごす事ですぐに仲良くなるんですからすごいですよね。」
「本当ですね。」
シャーロットとミーシャは昼食の支度をしながらチラリと子供達の方を微笑ましく見ながら話していた。
「子供達の為にも美味しい昼食を作ってあげないとですね。」
「そうですね。」
シャーロットは笑顔でミーシャへ言うとミーシャも笑顔で応えた。
ガチャ…!
「ただいま〜。」
そこへジョナスがジョギングから帰ってきた。
「あ…ジョナスおかえりなさい。」
「おかえり。」
シャーロットとミーシャが帰宅したジョナスへと言った。
「凄い汗よ。はい!タオル。」
シャーロットがジョナスがすごい汗をかいているのに気づきタオルを持ってジョナスの元へと言ってタオルをジョナスへ渡した。
「……っ!あ…悪いな。着替えてくるよ…。」
ジョナスはシャーロットが近くへ来て来るとドキドキが止まらなくなりそれを誤魔化すかの様にシャーロットからタオルを受け取り言うと足早に二階へとあがって行ったのだった。
(ジョナスどうしたのかしら…。そんな急いで…。)
シャーロットは足早のジョナスを見て首を傾げならそんな事を考えていた。
その時…
「うわぁ〜ん…うわぁ〜ん…。」
急にサナが大きな声で泣き出したのだった。
「ど…どうしたの?サナ…。何かあったの?」
シャーロットは泣いてるサナの元へ急いで駆け寄り尋ねた。
ミーシャも急いでサナの元へ駆け寄った。
「グスッ…。グスッ…。スホが…スホが…。」
サナは泣きながら男性の息子であるスホの名前を言った。
「スホがどうかしたの?」
シャーロットはサナへと聞いた。
「スホがサナにお前に花なんて似合わないって意地悪言ったんだよ。」
サナの代わりにマーヤがシャーロットへ応えた。
「本当なの?」
シャーロットがマーヤの話を聞いてサナに聞くとサナはゆっくり頷いた。
「他の皆はサナが色んな花の話をして花が好きだからお花屋さんになりたいって言ったらサナには花が似合うねって話してたのに急にスホがサナに意地悪言ったの。」
マーヤは更にシャーロットへ話した。
「…。スホ…どうしてそんな事を言ったの?」
シャーロットはミーシャにサナを任せてスホの元へ行きスホへ尋ねた。
「……。皆で花が似合うって言われてヘラヘラしてたから気に食わなくて本当の事言ってやったんだよ!」
スホはシャーロットに聞かれると投げやりに言った。
(もしかして…。)
シャーロットはスホの表情と言葉を聞いてある事が頭へ浮かんだ。
「おい…。さっき誰か泣いてなかったか?」
その時、二階から着替えたジョナスが泣き声を聞いておりてきた。
「スホがサナに意地悪を言って泣かしたんだよ。」
おりてきたジョナスへマーヤが言った。
「あぁ?」
ジョナスはマーヤの話を聞くとシャーロットと一緒にいるスホを見て言った。
そんなジョナスと目が合ったスホはビクッとなった。
「スホ…本当にそんな事を思って言ったの?」
シャーロットは怒らず優しくスホへと聞いた。
「…………。」
スホは下を向き黙っていた。
「スホ…本当はそんな事思ってないけどつい言ってしまったのではない?」
シャーロットは更に聞いた。
「………。」
たが、スホは下を向いたまま黙っていた。
「スホ…、たとえつい言ってしまった事だとしてもその言葉でサナを傷つけてしまったのは事実よ…。でもね、それをきちんと謝る事が大事よ?ね?」
シャーロットは優しくスホへと言った。
「………。」
スホはシャーロットに言われ黙って下を向いたままだったが何かを考えた後に顔を上げてサナの方を見るとサナの元へゆっくり歩いて行った。
「……。さっき…その…酷い事言ってごめん…。本当はサナに花が似合わないなんて思っていないから…。サナは花がきっとよく似合うよ。」
スホはサナの前に立つとバツが悪そうな表情で謝り言った。
「グスッ…。本当?本当に私に花は似合うと思ってるの?」
サナは泣くのをやめてスホへ聞いた。
「あぁ。」
スホは頷きながら言った。
「じゃぁ…今度私に似合う花を私に持ってきて!そうしたら酷い事言ったことを許してあげる!」
サナは少し考えた後に笑顔を浮かべてスホへ言った。
「あ…あぁ。もちろんだよ!」
サナに笑顔でそう言われるとスホは嬉しそうな笑顔を浮かべて応えたのだった。
そんな二人を見てシャーロットとミーシャはホッとした表情を浮かべていた。
その後はまた子供達は仲良く遊び始めたのだった。
「おいっ!何だったんだよあれは…。」
ホッとして子供達が遊び始めたのを見ていたシャーロットへジョナスが言った。
「あぁ。あれは…きっと恋ね!」
シャーロットは頷きながらニヤリとして言った。
「はぁ?恋?何でそうなるんだよ!普通は好きな相手には優しくするもんだろ?何で逆に相手を泣かせる様な事言うんだよ。」
シャーロットの話を聞いたジョナスは意味が分からないという表情で言った。
「あれぐらいの年頃の男の子は好きな子に素直になれなくてつい意地悪してしまうものなのよ。本当に嫌いだと思っていたらサナを傷つけた自分まで傷ついた表情なんてしないわよ。」
シャーロットはクスりと笑いながらジョナスへ言った。
「俺には理解できないね。本当に好きなら傷つけるなって話だろうよ。」
ジョナスはシャーロットの話が納得出来ないという表情で言った。
「ふふ…。まぁまぁいいじゃない。スホが素直にサナへ謝ったんだしサナもスホを許したんだから。それにあのスホ見てよ。さっきまでつんけんしてたのにすっかりサナにくっついて遊んでるじゃないの。」
シャーロットはくすくす笑いながらジョナスへ言った。
(ふふふ…きっとスホは将来サナの尻に敷かれるわね。この出会いがきっかけで二人が結婚するなんて事もあり得るわけだしね。)
シャーロットはジョナスに言いながらもスホとサナの姿を見てそんな事を思っていた。
「まぁ…よく分かんねぇけどサナがいいならそれでいいんじゃねぇの!」
ジョナスは呆れた表情をしながら言った。
「ふふ…。何だかんだでサナが心配だったのね。」
シャーロットはジョナスの言葉を聞い笑いながら自分の方肩でジョナスの腕をツンツンとしながら言った。
「おまっ…!近すぎだろ!」
ジョナスはシャーロットが近づいてきた事に動揺して言った。
「ごめんごめん。ついね…。」
シャーロットは笑いながら言ったのだった。
ジョナスはシャーロットの体が近かった事に動揺が止まらなかった。
「そういえばフーパー遅いわね。お昼までには帰るって言ってたんだけど…。」
そんなジョナスの気持ちなど知らないシャーロットはふと言った。
ガチャ……!
「ただいま……。」
その時、フーパーが帰ってきた。
「あっ!フーパーおかえりなさい。ちょうどフーパーまだかなって思ってたのよ。丁度良かったわ。今から昼食だから。手を洗って食堂へ来てね。」
シャーロットはフーパーへ言った。
「いや…僕は昼食今はいらないから皆で食べててよ…。」
フーパーはそう言うと心ここにあらずという感じで二階へとあがっていった。
「え?フーパー?!」
そんなフーパーにシャーロットが焦りながら言った。
だが、フーパーはシャーロットの声など聞こえていないのかそのまま止まらず二階へあがった。
「ねぇ?ジョナス…フーパーどうしたのかしら…?」
シャーロットは心配げな表情で横のジョナスへ聞いた。
「ん?あ…あぁ。そんな心配することないだろう。今はお腹空いてないんだろう。後で俺がフーパーの部屋に昼食持ってってやるよ。」
ジョナスはシャーロットに声をかけられるとハッとなり言った。
「そう?それだけならいいんだけど…。じゃぁ後でよろしくね。」
シャーロットはまだ心配げな表情で言った。
(いつものフーパーみたいじゃなくて心配だわ。どこか具合でも悪いのかしら…。)
シャーロットは二階を見上げながら考えていた。
そして、その後フーパー抜きでスホ達と一緒に孤児院の子供達もシャーロットやミーシャも昼食を済ませた。
昼食を食べて少し遊んでから…その日のスホ達との時間はお開きとなった。
子供達はお互いにまだ遊び足りない様だったが今度は逆にスホ達の家に遊びに行く約束もしてスホ達は帰って行ったのだった。
スホ達が帰って少し経ちジョナスがフーパーの部屋へ遅めの昼食を運んでくれていた。
ミーシャは部屋の片付けや掃除を下の子たちとやりシャーロットは洗い物をしていた。
バタバタッ…
その時、ジョナスが慌てて二階からおりてきた。
「ロッティ!ちょっと来てくれ!フーパーの様子が何だか変なんだ!」
ジョナスが一階へおりてくるなり慌ててシャーロットへ言った。
「え?!」
シャーロットはジョナスの言葉に驚き言った。
そして、シャーロットとジョナスは急いでフーパーの部屋へと向かった。
「フーパー!どうしたの?!体調でも崩したの?!」
シャーロットがフーパーの部屋へ入るなりフーパーの元へと駆け寄り慌てて言った。
「フーパー大丈夫か?!」
ジョナスも焦った表情でフーパーへ言った。
「大丈夫じゃないかも…しれない…。」
フーパーが心ここにあらずな表情で言った。
「どうして?!どこか痛むの?!苦しいとか?!」
シャーロットはフーパーの言葉を聞きおろおろとなりながら言った。
「あぁ…。胸がとても苦しくて痛いんだ…。胸が締め付けられる様なんだ…。」
フーパーは胸を押さえながら言った。
「どこだ?!見せてみろ!」
ジョナスがフーパーの言葉を聞き慌ててフーパーへ言った。
「ジョナス!安易に動かすのはよくないわ…。」
シャーロットは慌ててフーパーの体を動かすジョナスへ言った。
「あ…あぁ。」
ジョナスはシャーロットに言われてフーパーの体から手を離した。
「フーパー、胸が痛くなり苦しくなった時の事を教えてくれない?原因がわかるかもしれないから…。」
シャーロットが心配げにフーパーへ聞いた。
「うん…。今日街の本屋に行っただろう?そこで本を探してて読んでみたかった本があったから本棚から取ろうと思った時に同じ様にその本を取ろうとしてた子がいたんだ。それで…お互い"あっ…"ってなったんだけど僕はその本を取ってその子に譲ってあげたんだ。そしたらその子も僕に譲ってくれたんだ。お互いに譲ったもんだから二人ともおかしくなっちゃったんだ。それでそこから流れで座ってお互いの好きな本の話をしたんだけどその子と話しているうちに胸が急に締め付けられる感覚になって…その子が笑う度に胸の鼓動が激しく苦しくなったんだよ…。」
フーパーが胸が痛くなった時の状況をシャーロットとジョナスへと話した。
「まさか…そいつに変なものでも飲みされたとかじゃないよな?!」
ジョナスがフーパーの話を聞き表情を歪めながら言った。
「そんなもの飲んでないよ!それにその子はそんな子じゃないよ!」
フーパーはジョナスに言われてムッとした表情を浮かべて少し声を浮か張って言った。
「そ…そうか…。すまん…。」
ジョナスは普段温厚なフーパーが声を張った事に驚き言った。
「じゃぁ…何で急に胸が苦しくなるんだよ…。」
ジョナスは悔しそうな表情で呟いた。
「話を聞く限りそれは…病気でなく恋ね…。」
シャーロットはフーパーの話を聞き黙って考えていたが考えた末に出た結論を二人へと言った。
「え?」
「は?」
シャーロットの言葉にジョナスとフーパーが同時に言った。
「うん!間違いわね…。それはフーパーがその子に恋をしたのよ…。」
シャーロットは頷きながら噛みしめる様に言った。
「僕が…彼女に恋…?」
フーパーはシャーロットの言葉に信じられないという表情で言った。
「えぇ。話を聞く限りそうだと思うけど?胸が苦しくなると同時に胸の奥が熱くなったり胸が苦しい割にはその場の心地が良かったんじゃない?」
シャーロットはそんなフーパーへ言った。
「……確かに…胸が苦しくなった時に胸の奥が熱くなるのを感じたよ…。それにロッティのいう様に彼女と話している時間がとても心地よかったよ…。」
フーパーはその子と過ごした時間を思い出す様に言った。
「でしょ?じゃぁやっぱりそれは恋ね。胸の苦しさも苦しいと感じるだけで本当はドキドキしているだけなのよ。」
シャーロットはケロっとした表情で言った。
「そうか…。僕…彼女に恋…したんだ…。こんな気持ちになるのは生まれて初めてだよ…。」
フーパーは自分が恋をしてしまったという実感が段々と湧いてくるのを感じながら言った。
「その子はフーパーが恋をする程素敵な子だったのね!」
シャーロットは笑顔でフーパーへ言った。
「あぁ。そうなんだ。彼女も本が好きで…しかも僕と本の好みが似ているみていで物語について話をしているととても楽しくてね…。それに…彼女笑顔が素敵なんだ。その…実は…また本の話をしようと会う約束をしたんだよ…。」
フーパーはとても幸せそな優しくい表情を浮かべて少し照れた様にシャーロットとジョナスへと言った。
「ふふ…。本当に彼女が素敵だって伝わるわ。それに会う約束までしたなんて。でも…フーパー素敵な人に出会えて良かったわね。私は応援するわよ。フーパーの恋を。」
シャーロットはフーパーの話を聞くと笑顔で言った。
(きっと…相手の子も約束するくらいだから案外フーパーの事をいい感じに思ってるかもね。)
シャーロットはフーパーに話しつつそんな事を考えていた。
「ありがとう…ロッティ。ロッティがこの孤児院を立て直してくれなかったら彼女と出会うことも出来てなかっただろうから…ロッティのお陰で彼女に出会えたのもあるね。」
フーパーは笑顔で言った。
「私の?!まぁ…でも…それも一理あるわね!」
シャーロットは笑いながら言った。
「調子に乗るなよ!」
ジョナスがそんなシャーロットを見て言った。
「何よ!本当に一理あるんだからいいでしょ?ジョナスもフーパーの様に素敵な人に出会えるといいわね!」
シャーロットはニヤりと笑みを浮かべながらジョナスへ言った。
「はぁ?お…俺は別に…そういうのはいいんだよ!」
ジョナスは少し慌てて言った。
「ふふ…ムキになっちゃって。」
そんなジョナスを見てシャーロットはくすくす笑いながら言った。
(こうして、いつかここの子供達も皆大切な人が出来てそして新しい家族が出来る日が来るのね…。その日を見るのが楽しみだわ…。)
シャーロットはくすくす笑いながらそんな事を考えていた。
シャーロットの言葉に慌てるジョナスを見たフーパーは何かに気づいた表情を浮かべていた。
「さぁ…フーパーの胸の痛みの原因も分かった事だし食事を温め直してくるわね!病気じゃないんだから食事はしっかりとらないとね!」
シャーロットは笑顔でフーパーへ持ってきていた食事を持ち言った。
「ありがとうロッティ…。」
「えぇ。待ってて!」
「うん。」
そんなシャーロットにフーパーがお礼を言うとシャーロットはにこりと笑いながら言った。
そして、シャーロットは食事を温め直しに一階へとおりて行ったのだった。
「……。兄さん…ロッティに恋…してるでしょ?」
二人きりになった瞬間にフーパーがジョナスへ言った。
「なっ……な…何言ってんだ?!」
フーパーに突然言われたジョナスは驚きのあまりとても動揺して言った。
「くくく…やっぱりね…。さっきからの兄さんを見ててそうじゃないのかなって思ってたんだ。」
フーパーはそんなジョナスを見て可笑しくなり笑いながら言った。
「な…そんな…訳あるわけねぇだろ!おかしなこと言うんじゃねぇよ!」
ジョナスは笑うジョナスにムッした表情を浮かべつつも慌てて言った。
「でも…兄さん、ロッティと話す時にドキドキしてるんじゃない?兄さんを見てるとそんな風に感じたんだけど…。」
フーパーはニヤリとしながら言った。
「そ…そ…そんな事あるわけねぇだろ!俺…は別にドキドキなんてしてねーよ!あんな突拍子もないじゃじゃ馬娘!」
ジョナスは明らかに慌てて言った。
「そんな意地悪そうな事言う割にはロッティを大切に思って行動してるよね?もぅ…認めた方がいいんじゃないの?ロッティに恋してるってね。」
フーパーは笑みを浮かべながら言った。
「ば…バカかよ!そんなんじゃねぇって言ってるだろ!」
ジョナスは顔を赤くして言った。
「何がそんなんじゃないの?」
その時、シャーロットが温め直した食事を持って戻ってきた。
「ん?ジョナス顔が赤い様だけど…。」
シャーロットがジョナスの顔が赤くなっているのに気づき言った。
「は?な…なんでもねぇよ!!」
ジョナスはそう言うとフーパーの部屋から出ていったのだった。
「え?急にどしたの?ジョナス…。」
出ていったジョナスの態度に驚いたシャーロットはフーパーへ聞いた。
「くくく…きっと僕に図星な事を言われたから怒ってるんだよ。でも、大丈夫だよ。本気で怒ってるとではないと思うから。」
フーパーはくすくすと笑いながら言った。
「どういう意味なの??」
シャーロットはフーパーの言葉に意味が分からないという表情で言った。
「ははは…ロッティは気にしてなくて大丈夫だよ。あっ…食事ありがとう!いただくよ。」
フーパーは笑いながら言うとシャーロットの持ってきた食事をシャーロットの手から受け取り食事を食べ始めたのだった。
シャーロットはそんなフーパーを見て更に意味が分からないという表情を浮かべながらもフーパーの部屋を後にした。
(一体何なのかしら…)
シャーロットはフーパーの部屋を出るとそんな事を考えながら一階へとおりて行ったのだった。
シャーロットが一階へおりたのを確認したジョナスは自分の部屋で頭を抱えながらフーパーに言われた事を考えていた。
(はぁ…フーパーの言った事を全力で拒否したものの…実際はフーパーの言った通りなんだよな…。はぁ…これは…認めざるをえないな…。俺はロッティに恋をしてしまった様だな…。はぁ…これからどんな顔してロッティに会えってんだよ…。)
ジョナスは頭を抱えてそんな事を考えながら自分のロッティに対する気持ちを自覚したのだった………
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