2.二度目の人生
前世で罪深い行いをしてしまい処刑された公爵令嬢・シャーロットは前世の記憶を微かに残したままカリブ王国とはまったく別の世界である日本という国の日本人・さくらとして生まれ変わっていた。
シャーロットとしての記憶を残したままて転生したさくらは現世では罪など犯さず真っ当に人生を生きようと思い生活していた。
そんなさくらが十歳の年に両親を同時に交通事故で亡くしてしまったのだった。
一人っ子だったさくらは引き取ってくれる身寄りが見つからず、結局施設に預けられる事となった。
突然、一人になったさくらは前世シャーロットの記憶で目の前で家族が処刑された事が頭を過ぎり余計に悲しさにくれていたのだった。
さくらはなかなか施設に馴染めなかったが徐々に施設の子たちとも仲良く生活し始めたのだった。
さくらが他の施設や施設の子供達と良好にやっていけたのも施設長の由恵さんのお陰であった。
由恵さんは施設に来て不安を抱えて馴染めない子供達に優しく根気強く寄り添ってくれる施設長だった。
さくらはそんな由恵さんを見て育ちいつしか自分も由恵さんの様に困っている子供達や身寄りがない子供達を助ける仕事がしたいと思うようになった。
施設は基本的には十八歳になる年には施設を出て暮らさなければならいと決まっていた。
その為、高校生になるとほとんどの子供が学校に通いながらアルバイトをしていた。
さくらも例外ではなく高校生になった年にアルバイトを始めた。
その傍ら、高校を出たら児童福祉施設で働きたいと思っていたさくらは児童福祉施設で働く為に必要な資格を取る勉強も寝る間を惜しんでやっていた。
さくらは小さい頃から頭が良く勉強は出来る方だった為に自分の将来を思うと勉強も苦にはならなかった。
さくらは、【児童指導員】【個別対応職員】【保育士】【栄養士】【調理師】の資格を取ろうと考えていた。
さくらは高校三年間、アルバイトと勉強を必死に続けて十八歳になった年に由恵さんの紹介で児童福祉施設での仕事が決まった。
資格を取るまでの間は【用務員】という形で働く事となった。
さくらは、施設で掃除洗濯はもちろん料理も当番制だった為にある程度の雑務はこなせる上に裁縫や歌を歌うことなども得意としていたのだ。
さくらにとって用務員として働く事は苦でもなんでもなかった。
さくらは用務員として働きながらも勉強をしながら現場の様子を自分の目で見て学んでいた。
そして、数年の月日が流れてさくらは取りたいと思っていた資格を全て取得しさくらが二十四歳の年には晴れて【児童指導員】兼【個別対応職員】として働く事になったのだった。
さくらは自分にはこの仕事が天職だと思っていた。
自分も由恵さんの様な優しく立派で芯の強い人になりたいと思っていた。
前世では、人の事より自分の我儘ばかり聞いてもらおうとばかりしていた。
あげく人を助けるどころか家族をも不幸にしてしまった。
前世での事を償う意味も込めてさくらはさくらとして人生を真っ当していたのだった。
それから月日は流れさくらは気づけば結婚もする事なく四十五歳になっていた。
前世での出来事があったので結婚していないという事でもなく、自分が見守ってきた子供達が立派に巣立っていく姿を見れる事が幸せだったのであえて結婚を意識するでもなかったのだ。
変わらず子供達の成長を見守り助け…巣立っていく姿を見て…と過ごしていたある日の事だった……。
その頃、連続殺人犯が逃亡中だというニュースで持ちきりだった。
もちろん、さくら達も厳重に警戒していた。
だが、ある日…
連続殺人犯がさくらのいる施設へと逃げ込んできたのだった。
犯人は一人の子供を人質に取ったのだった。
既に警察への通報は済んでおり警察が施設を取り囲んでいる状況だったが犯人は何人も人を殺めてきた人物だ…
子供が人質に取られている以上下手には動けなかった。
ただ、時間だけがすぎていった。
犯人が人質をとり二時間が経過した時だった。
恐怖の中ずっと我慢していたがとうとう人質になっていた六歳の男の子が泣き出したのだった。
あまりに泣くので犯人はイライラしていた。
男の子は泣き止むどころかたがが外れたかの様に泣いていた。
そんな男の子を見て犯人のイライラがピークに達した時…
犯人の男がナイフを持っている手を振り上げ男の子に向かって振り下ろそうとしていた…
その瞬間…
さくらは無我夢中で犯人へと突進していったのだった。
さくらが犯人へ突進した勢いでさくらも犯人もその場に倒れ込んだ。
その隙にさくらは人質の男の子を逃したのだった。
その男の子が別の職員の元へと走っていく姿を見たさくらは安心した。
だが…次の瞬間……
ズサリ!!
犯人が突進してきたさくらに腹を立てて思い切りさくらをナイフで刺したのだった。
さくらは一瞬何が起こったのか分からなかったが段々と刺された箇所に痛みを感じふと見れば大量に出血していた。
そして、さくらはその場に倒れ込んでしまった。
そんなさくらめがけて犯人はさらにさくらを刺そうとしたがその瞬間に警察が乗り込んできて犯人を取り押さえたのだった。
さくらはすぐにやってきた救急隊員に運ばれ救急車に乗った。
救急隊員がさくらに声をかけているがさくらにその声はほとんど聞こえていなかったのだった。
『私…また…死ぬのかな…。前世で罪を犯して処刑されて…今度の人生は真っ当に生きていこうと思って…生きていたのに…。こんなところで…死んでしまうの…かな…。まだ…これから沢山子供達の巣立っていく姿を見たかったのにな…。死ぬの嫌だな…。』
さくらは意識が薄れていく中でそんな事を思っていたのだった…。
そして…
さくらはその数分後に…救急隊員に見守られながら息を引き取ったのだった……。
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