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17.夢

シャーロットが孤児院に通い始めてあっという間に一ヶ月が経った。


国王であるキーランドから当面の間はシャーロットに孤児院を管理を任せるとの通達も下りた。

シャーロットは通達にホッとしたと同時に本格的に孤児院の修復を始めたのだった。


そんなシャーロットを家族は不安は残るものの見守り何かあれば協力するとシャーロットへと伝えたのだった。


二週間前にはシャーロットが街の人へと予めお願いしていた外壁修理も始まっていた。

二週間経ち修理はほぼ完了していたのだった。

外壁修理を行った街の人達ははしっかりと見合った報酬を貰いシャーロットへとても感謝をしていた。

そんな人達を見てシャーロットも嬉しくなり改めてお願いして良かったと感じていたのだった。


この日は朝から皆で街へ食材の買い物に出たり畑作業をしたりと動いていた。

最初は荒れた地もすっかり畑らしくなり皆も手際よく作業が出来る様になり当番制で畑作業を行う様になっていた。

一番末っ子のサボはいつも楽しそうに草むしりを手伝っていたのだった。


孤児院での食事も皆で協力して作るとより美味しくなるとシャーロットとミーシャで子供達へ料理も教えていたのだった。


この日もキッチンではシャーロットとミーシャ、フーパー、サナが昼食を作っていた。


「ロッティはどうしてこんなに料理が上手なの?」


「本当に…。その…貴族のご令嬢というのは料理などされた事などないと思っていたので驚きました…。」


「僕も最初はとても驚いたよ。」


サナがロッティへと尋ねるとそれに乗っかる様にミーシャとフーパーも驚いた表情で言った。


「ん?そうね…。普通のご令嬢は料理をする事はないかしらね。でも…私は料理に興味を持ったのよ…。それで勉強をして実際に作ってみる様になったのよ…。」


(本当は…二度目の人生で施設に入居してからも施設で働きだしてからも料理を沢山作っていたからいつの間にか料理が好きになって得意になったんだけどね。一度目の人生の私だったら料理なんて一生する事なんてなかったでしょうしね…。)


シャーロットは急に聞かれたので慌てたが違和感なく当たり障りなく応えたのだった。


そして、応えながらもそんな事を考えていたのだった。


「そうなんだね。じゃあ私もロッティみたいに色んな料理を作れる様になれるといいな。」


「ふふ…サナもこれから沢山作っていけばすぐに上手になるわよ。」


「本当に?!」


「えぇ。本当よ。」


「やった〜。」


シャーロットの話を聞いたサナは料理の手伝いをしながら言うとシャーロットは笑顔で応えた。

シャーロットが笑顔で言うとサナは嬉しそうに笑いながら声をあげたのだった。


そんな喜ぶサナを見てシャーロット達三人は微笑ましい目で見ていたのだった。


「サナは大人になったら何になりたいとか決まっていたりするの?」


「う〜ん…私はね…お花屋さんになりたいの。」


「お花屋さん?」


「うん…。私はお花が大好きだから綺麗なお花を色んな人に見てもらいたいなって思うの。」


「とってもいい夢ね。サナは本当にお花に詳しいものね。きっとお花屋さんになれるわ。」


「うん。そうなれると嬉しいな。」


シャーロットは嬉しそうな表情を浮かべているサナへと将来の夢を尋ねた。

すると、サナは少し恥しそうにしながらも自分の夢を話した。

小さいながらもしっかりと夢を持っているサナへシャーロットは笑みを浮かべながら言うとサナも笑顔で言った。


「フーパーは将来の夢とかないの?」


「僕?僕は…本が好きだから本に関わる仕事が出来たらいいなとは思ってるんだ。」


「そう…。フーパーらしい夢ね。フーパーは優しくて賢いからきっと夢に近づけるいい出会いがあると思うわ。」


「そうだといいんだけどね。でも…出会いは大切にしたいな。」


「そうね…。私もフーパーの夢を応援するわね。」


「ありがとう。」


シャーロットは次にフーパーにも将来の夢について尋ねた。

するとフーパーが夢について応えた。

フーパーの夢を聞きシャーロットは納得した様な表情を浮かべながら笑顔で言った。

フーパーはにこりと笑いながら応えるとそんなフーパーにシャーロットは自分は応援すると伝えた。

そんなシャーロットにフーパーは笑顔でお礼を言った。


「ミーシャさんはこれから先は何かやりたい事などはないの?」


「私ですか?私は…このまま孤児院で働き子供達と過ごし皆の成長を見守る事が出来たらそれで幸せかなと思います。」


「……。そう。それはとてもいいですね。共に過ごしてきた子達が成長していく姿を見るのは最高の幸せですもんね。」


「はい。」


シャーロットは次にミーシャへと尋ねた。

するとミーシャは優しい笑みを浮かべながら自分の思いを言った。

ミーシャの思いを聞いてシャーロットは目が熱くなるものを感じながら頷いて言った。

そんなシャーロットにミーシャは笑顔で応えた。


(前世の私もミーシャさんと同じ事を思っていたわ。それは現世でも変わらないけどね。こうして自分と同じ事を思ってる人がいるってだけでこんなに涙が出そうになる程嬉しく思うなんて…。)


シャーロットはミーシャと話しながらも胸と目頭が熱くなるのを感じながらそんな事を思っていたのだった。


話をしながら料理をしているとあっという間に昼食の用意が出来た。


「フーパー、皆を二階から呼んできてくれる?」


「うん、分かったよ。あっ、でも兄さんがは畑の方にいるんだ。」


「そうなの?じゃぁジョナスは私が呼んでくるからフーパーは二階の子供達をお願いね。」


「分かったよ。」


昼食が出来たのでシャーロットがフーパーへ子供達を呼ぶようにお願いをした。

フーパーは頷きながら言うとハッという表情でジョナスが外にいる事をシャーロットへと伝えた。

シャーロットはジョナスは自分に任せて他の子供達の事をフーパーへとお願いしたのだった。



シャーロットはジョナスを呼ぶために畑へ行った。

ジョナスは丁度畑作業が終わりベンチに腰掛け一息ついているところだった。


「ジョナス!昼食が出来たわよ!中に入りましょ。」


シャーロットは空を見上げながら一息ついているジョナスの横へと座りながら言った。


「ん?おぉ。分かったよ。」


ジョナスは急に隣に座ったシャーロットに少し驚きながら言った。


「……。どうしたの?空なんて見上げて。珍しいわね。」


シャーロットは空を見上げていたジョナスへと言った。


「あぁ。今日は天気もよく空が妙にきれいに感じたから何となくな。」


ジョナスは空を見上げたまま応えた。


「確かに今日の空はとても綺麗ね。」


シャーロットも空を見上げながらジョナスへと言った。


「あっ!さっきね料理をしながらフーパー達に将来の夢を聞いてたんだけどジョナスは孤児院を出てからの将来の夢とかあるの?」


シャーロットがハッとなりジョナスへと将来の事について尋ねた。


「…孤児院を出てからの将来の夢か…。」


「やっぱり絵が上手だから絵描きになりたいとか?」


「それはない。絵描きだけじゃ食っていくのは厳しいからな。」


「え?絵描きじゃないなら何になりたいの?」


ジョナスは空を見上げたまま呟いた。

そんなジョナスにシャーロットが尋ねるとジョナスは苦笑いを浮かべながら応えた。

ジョナスの応えが意外だったのでシャーロットは少し驚いた表情を浮かべて言うも再びジョナスへと尋ねた。


「………。俺は…将来…騎士団に入りたいと思ってるんだ…。」


「騎士団ですって?!」


「あぁ…。俺らしくないと思っただろ?笑いたきゃ笑えばいいさ…。」


「そんな!笑う訳ないわ!凄くいい夢じゃないの!!」


「!!そ…そうか?本当にそう思うか?」


「もちろんよ!」


ジョナスは少し話しにくそうな表情を浮かべながらもシャーロットへと自分の夢を話した。

ジョナスから予想外の言葉が出たのでシャーロットは思わず驚いた表情で言った。

ジョナスは少し呆れた表情を浮かべながらどうせシャーロットは自分には似合わないなどと笑われるだろうと思いながら言った。

すると、シャーロットは目を輝かせながらジョナスの夢を褒めてくれたので予想外の反応にジョナスは胸が熱くなる様な感覚に襲われながら言った。

そんなジョナスにシャーロットは笑顔で言った。


「でも…どうして騎士になりたいと?」


「…。昔…両親が生きていてもっと俺が小さい頃に一度だけ騎士団の騎士に助けてもらった事があったんだ…。」


「そうなの?」


「あぁ。俺がガラの悪い大人に絡まれて危うく殺されそうになった事があったんだ。だけどそこへ休暇で街へと出てきていた騎士団の騎士が助けてくれたんだ。」


「そんな出来事があったのね…。というか子供を殺そうなんてする人なんて許せないわね!」


「まぁ…平民の暮らしなんて危険な目に遭うことなんてそう珍しくもない時期があったんだよ。」


「ありえないわね…。」


「あぁ。でも…その時に助けてくれた騎士団の騎士がとても格好良くて輝いてみえたんだ。自分もあんな風に人を助けたり国の為に働く仕事につきたいと思ったんだ。」


「そうなのね。その時の事がきっかけで将来の夢が決まったのね…。」


「まぁな。それに騎士になれば孤児院を出てからも最低限の生活も出来るしフーパー一人くらいなら養っていけるだろうしな。」


「ジョナスはきちんと先の事もしっかりと考えているのね…。それに本当に弟思いで優しいお兄ちゃんね。」


「あ…兄が弟を守るのは当たり前の事だからな。両親が亡くなってからは俺がフーパーを守ってやるって決めたからな。」


「ふふ…。照れちゃって。でも、本当にジョナスは最高のお兄ちゃんだわ。きっとここの下の子達も何だかんだ言ってジョナスがいいお兄ちゃんって知ってくれているものね。」


「べ…別に照れてない!知った様な事言いやがって…。」


「だって知ってるもの!」


「チッ!」


「ふふふ…。」


ジョナスは自分が騎士になりたいと思ったきっかけを昔を思い出す様な表情でシャーロットへと説明した。

シャーロットはそんなジョナスの話をうんうんと頷きながら真剣に聞いていた。

そんなジョナスの話を聞いたシャーロットは嬉しそうに笑顔を浮かべてジョナスを褒めるとジョナスは少し照れた様に慌てて言うとそれを見たシャーロットはクスクスと笑いながら言った。

そんなシャーロットにジョナスは少しムスッとした表情を浮かべて照れ気味に言うもシャーロットは更にクスクスと笑いながら言ったのだった。


「そういうロッティは将来どうしたいんだよ。貴族はある程度の将来なんて決まってんだろうけどよ…。」


「私?私は……この孤児院で働いてジョナスやフーパーを含めたこの孤児院の子供達の成長を見守りながら子供達を送り出せたらそれ以上は望まないわ。」


(一度目の人生の失敗…後悔…二度目の人生への心残り…三度目の今度こそ自分のやりたい事をやりながら長生きするって決めたんだものね…。)


ジョナスはシャーロットへ将来どうしたいかを尋ねるとシャーロットはどこか切ない表情を浮かべながらジョナスに言った。

ジョナスな話しながらもシャーロットは頭の中で前世の事を思い出しながら考えていた。


「何だか…ロッティは俺より年下のくせにたまにかなり歳をとった人みたいな事を言うよな?貴族の令嬢で歳も若いんだからもっと望める事沢山あるだろう…。」


「ははは…貴族は貴族で悩みもあるのよ?私が孤児院で働くまでも周りを説得するの大変だったんだから…。」


「まぁ…貴族の悩みは俺達には分からないからな…。ミーシャさんが言ってたけどロッティは王太子殿下と婚約をしていたんだろ?殿下を好きなんじゃないのか?なのにどうして婚約を解消してまで孤児院に拘ったんだよ。」


「そうね…。確かに…殿下の事は初めてお会いした時からお慕いしていたわ。でもね…気づいたの。殿下は私と婚約し結婚しても幸せにはなれないし私が王太子妃…いずれ王妃になるのは国の為にならないと…。それに孤児院で働きたいとは前から思っていたから。殿下との婚約を取り消ししてもらう事で殿下はこの先幸せになれるし私は孤児院で働いて孤児院を最高の孤児院に生まれ変わらせる。殿下との婚約取り消しはプラスな事しかないのよ…。」


「俺にはなかなか理解出来ない内容だな…。好きなら好きという気持ちを諦めるなよ。」


「ふふ…そうね…。でも、正確に言えば好きだったよ。過去形。今はもう異性としてお慕いしているという事はないのよ。」


「そんなものなのか…?俺には分からない話だな。」


ジョナスはシャーロットの話を聞いて首を傾げながら言うとシャーロットはジョナスに言われて苦笑いを浮かべながら話をした。

ジョナスはシャーロットの話を聞いてあまりしっくりこない様な表情を浮かべて言うとシャーロットはクスクスと笑みを浮かべながらジョナスへと言ったのだった。


「まぁ…ジョナスは夢に向かって頑張ってね!私も応援するし力になれる事は力になるから。」


「ん?あぁ…。まぁできる限りの事はするつもりだよ。ロッティのお陰でオマーン公爵からも解放されたから今年行われる三年に一度十八歳から平民でも受けられる騎士団の試験に参加してみようと思っているからな。平民の採用は二人だけみたいだけどな…。」


「今年に試験があるの?!」


「あぁ…。時間がある時には長めの木の棒を剣代わりに使い素振りをしたり体力や筋肉もつける様に努力はしてるからな。だめ元でも受けてみるだけ受けてみたいからな。」


「凄いわ!本当にジョナスって!私も何か手伝える事ないかな……。ん〜ん〜。」


「別に手伝ってくれなくていいよ…。」


「あっ!!そうだわ!いい事思いついたわ!今度アミルお兄様のお休みの日にここへ来てジョナスに剣を教えてあげてとお願いしてみるわ!」


「はぁ?!そんな事してくれなくていい!」


「アミルお兄様は剣の腕がずば抜けていいみたいだからアミルお兄様に教えて貰ったらジョナスの腕も上がるし騎士団の話も聞けるじゃないの!うん!凄いいい考えだわ!」


「いや…勝手に話進めんなんよ…。」


「遠慮しなくていいわ!お兄様の剣の練習にもなるから!」


「おいおい…。」


「ジョナスの剣の腕が上がると思うと私も嬉しいわ。」


「はぁ…まったく…。でも…俺のために色々と考えてくれてるのは……ありがとう。」


「ふふ…。いいのよ!」


シャーロットが笑顔でジョナスを応援する事を伝えるとジョナスは今年騎士団の試験がある事を説明してくれた。

そんなジョナスの話を聞いたシャーロットは自分も何か協力出来ないかと考えて考えて…思いついたのは兄で剣が得意なアミルがへお願いする事だった。

シャーロットは少し興奮気味に言うとジョナスは少し呆れた表情を浮かべたがあまりも嬉しそうにするシャーロットを見て口元を緩めながらシャーロットへとお礼を言ったのだった。


「あっ!そうだ!昼食が出来たからジョナスを呼びに来たんだったわ!すっかり話し込んでしまったわね。皆がお腹好かせて待ってるから早く戻りましょう。」


「あぁ。そうだな。」


「ジョナスは沢山食べて体力つけてね。」


「あぁ。わかったよ。」


シャーロットはジョナスと話しているとハッとジョナスの元へと来た理由を思い出し言うとジョナスは応えながら腰を上げた。

シャーロットも腰を上げながら笑顔で言うとジョナスは応えた。

そして、二人は孤児院の中へと戻っていったのだった。


この日、シャーロットは孤児院の子達が色々な考えを持っている事を知ることが出来たのだった。

そんな皆をシャーロットは心から応援したいと思ったのだった……。

ご覧頂きありがとうございます★


他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


↓↓↓↓


この度、男装令嬢・キャサリンは探偵助手をする事になりました!!

〜探偵様は王子様?!事件も恋も解決お任せ下さい〜


悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生したので大好きなハンドメイドをしながら暮らす事にしました!!



ブックマーク&評価の方ありがとうございます★

とても励みになってます★

最後までお付き頂けると幸いです★


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