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12.シャーロットVS少年③

「んっ……。」


シャーロットが目を覚ました。


「シャーロット!シャーロット!目を覚ましたか?」


ボブはシャーロットが目を覚ました事に気づき慌ててシャーロットへと声をかけた。


「えっ…?お父様…?私…えっとここは…?」


シャーロットは目の前に慌てた表情のボブがいる事に驚きながら尋ねた。


「ここは家だ…。シャーロット…お前は孤児院で倒れて意識を失っていていたんだぞ?」


ボブが心配そうな表情を浮かべながらシャーロットへと説明した。


「あっ…。」


シャーロットはボブの話を聞いて声を出した。


(あぁ…。そうだったわ。私…孤児院で種を取りに行こうとして滑って転げたんだったわ。あのまま気絶してしまったのね。きっと私をミーシャさんが発見して公爵邸まで連絡をくれたんだわ…。にしても…滑ったあの床…。)


シャーロットはボブの話を聞きいて孤児院での出来事を思い出す様に考えていた。


「どこか痛むところはないか?」


ボブの後にいたアミルが心配そうな表情でシャーロットへと声をかけた。


「アミル…お兄様…。えぇ。もう大丈夫よ。」


シャーロットはアミルを心配させない様に微笑みながら言った。


「どこか痛かったりおかしな所があればすぐに言うんだぞ?」


エイルも心配そうな表情を浮かべながら言った。


「えぇ。ありがとう…エイルお兄様。」


シャーロットはエイルにも笑みを浮かべながら言った。


「エイルがシャーロットを孤児院まで迎えに行った際に話を聞こうと孤児院から三人ほど一緒に連れ帰って来たのだけれどシャーロットが目を覚ました事を伝えて今日は帰ってもらいましょうか…。」


エラがシャーロットへと伝えた。


「えっ?孤児院の子がここへ来てるの?」


シャーロットはエラの話に驚き言った。


「ええ…。孤児院で働いている方とアミルと同い年くらいの少年二人よ。」


エラが応えた。


(ミーシャさんとジョナスとフーパーね…。)


シャーロットはエラの話を聞き思った。


「ねぇ…お父様、三人を部屋に呼んで貰ってもいい?」


シャーロットがボブへと尋ねた。


「なに?!ここへだと?」


ボブは驚いた表情を浮かべながら言った。


「えぇ。ここへよ。」


シャーロットは頷きながら応えた。


「しかし…シャーロットはまだゆっくりせねばならんし…年頃の男を娘の部屋に入れるのはな…。」


ボブはバツが悪い表情を浮かべながら言った。


「問題ないわ。三人ともきっと心配してるはずだから会って私は大丈夫だと見せて安心させてあげたいのよ…。ねぇ?いいでしょう?」


シャーロットは上目遣いでボブへとお願いした。


「しかし…だな…。」


ボブは困った表情で言った。


「はい!私が問題ないって言っているんだから決まりね!アミルお兄様、三人をここへ連れて来て下さい。」


シャーロットは煮えきらないボブの表情を見てもどかしくなり半ば強引に言うとアミルへとお願いした。


「シャ…シャーロットッ!」 


ボブは慌てて言った。


「長い時間は話さないから安心してお父様…。ねぇ?」


シャーロットは慌てたボブへと言った。


「ゔっ…わ…分かった…。本当に少しだけだぞ?アミル連れて来てやりなさい。」


ボブは諦めた表情を浮かべながら言った。


「分かりました。」


アミルは応えると部屋を出てミーシャ達を呼びに言った。


「エイルとマヤはシャーロットの部屋の前で待機しておく様に。何かあればすぐに対処する様に。」


ボブがエイルと侍女のマヤへと言った。


「分かりました父上。」


「畏まりました。」


エイルとマヤが応えた。


「ありがとう。お父様。」


シャーロットはニコリと微笑みながらボブへお礼を言った。


そして、ボブ達が部屋を後にして少ししてからアミルがミーシャ達を連れてきた。


コンコンッ…


「ロッティ?三人を連れてきたぞ。入ってもらってもいいか?」


アミルが部屋の外からシャーロットへと尋ねた。


「えぇ。アミルお兄様ありがとう。入ってもらって。」


シャーロットが部屋の中から応えた。


アミルはシャーロットが応えるとミーシャ達を部屋の中へと入れた。


「「失礼します…。」」


ミーシャ達はそう言って部屋へと入ってきたのだった。


「ロッティ…何かあればすぐに言うんだぞ?」


アミルがシャーロットへと言った。


「えぇ。分かったわ。」


シャーロットは頷きながら応えた。


「ミーシャさん、ジョナス、フーパーこちらへ来てちょうだい。」


シャーロットは手招きしながら三人へ言った。


シャーロットに言われて三人はシャーロットが座るベッドへと歩いた。


「さぁ、椅子に座って下さいね。」


シャーロットはニコリと微笑みながら言った。


三人は少し戸惑いながらも椅子へと座った。


「心配かけてごめんなさいね…。それに…わざわざ邸にまで来て話も聞かせてもらったみたいで…。」


シャーロットは少し困った表情を浮かべながら三人へと言った。


「いえ…。こちらこそ…ご令嬢であるシャーロットさんをこの様な目にあわせてしまい申し訳なく思っています…。意識が戻られて本当に良かったです。意識がないシャーロットさんを見て血の気が引きましたから…。」


ミーシャが申し訳なさそうに言った。


「別にミーシャさんが謝る事じゃないですから。私の不注意ですし…。それに私は大丈夫ですから。ねぇ?この通り。だから気にしないで下さい。」


シャーロットは心配するミーシャに笑顔で言うと自分が元気だと言わんばかりに手を動かしながら言った。


「シャーロットさん…。」


ミーシャはそんなシャーロットに呟いた。


「下の子達も凄く心配してるんだ…。でも…ロッティの意識が戻って元気だって伝えたらあの子達も安心するね。」


フーパーが心配そうな表情を浮かべながらシャーロットへと言った。


「小さい子達にも心配かけてしまったわね…。すぐに元気な姿を見せに孤児院に行かないとね。」


シャーロットは笑顔で言った。


「うん。そうだね。」


フーパーが微笑みながら言った。


そんなフーパーの横でジョナスはずっと俯き気味で黙っていた。


そんなジョナスをシャーロットをじっと見た。


「ミーシャさん…フーパー…少しジョナスと二人だけで話がしたいのだけれどいいかしら…?」


シャーロットはミーシャとフーパーへと尋ねた。


「えっ?ジョナスとですか?」


ミーシャは驚いた表情を浮かべながら言った。


「えぇ。ダメかしら…。」


シャーロットは困った表情で言った。


「あっ…いえ…ですが…その…。」


ミーシャは困った表情を浮かべながら言った。


「ミーシャさん…大丈夫よ。ね?」


シャーロットは頷きながら笑みを浮かべて言った。


「ですが……。」


ミーシャは困った表情のまま言った。


「ミーシャさん、ロッティが言うんだから僕達は外に出てよう…。」


フーパーが察したのかミーシャへと言った。


「でも…。」


ミーシャは心配そうな表情を浮かべてジョナスをチラリと見て言った。


「兄さん…僕達…外に出てるけど…わかってるよね?」


フーパーはジョナスの方を見て言った。


「うるさい!分かってるよ!」


ジョナスは吐き捨てる様に言った。


「…。さぁミーシャさん、兄さんもこう言ってるから出ていよう。」


フーパーはミーシャへと言った。


「わかったわ…。」


ミーシャは渋々頷きながら言った。


そして、二人は部屋の外へと出た。


「ロッティ!何故彼だけ部屋に残るんだ?!」


ミーシャとフーパーだけ出てきたので意味が分からずエイルが血相を変えてシャーロットへと言った。


「ちょっと…彼に話があるのよ。私は大丈夫だからエイルお兄様はミーシャさん達を応接室に案内してお茶でも出しておいてあげて下さい。部屋の外にはマヤがいるから問題ないですから。」


シャーロットはケロッとした表情を浮かべながらエイルへと言った。


「なっ!ロッティ!」


エイルは慌てて言った。


「はいはい…いいですから扉を閉めて下さい。マヤー!お兄様の事は気にせず扉を閉めてちょうだい。」


シャーロットはエイルとマヤに淡々と言った。


「畏まりました。」


マヤはそう言うとエイルに構わず扉を閉めた。


「はぁ…まったく…お兄様ったら心配性なんだから…。」


シャーロットはため息をつきながら言った。


「さぁ…ジョナス。二人きりになったわね…。私に何か言いたい事があるんでしょ?」


シャーロットは気を取り直してジョナスへと尋ねた。


「はっ…はぁ?そっ…そんなもんあるわけないだろうが!」


ジョナスはシャーロットの言葉に一瞬ビクリと肩を揺らしながらも慌てて言い放った。


「私の口から言ったほうがいいのかしら?」


シャーロットはジョナスを見て言った。


「なっ…何がだよ!」


ジョナスはシャーロットの顔を見ることが出来ないまま言った。


「はぁ…。まったく…。イタズラにしては度が過ぎたんじゃないの…?」


シャーロットは少し呆れた表情を浮かべながら言った。


「なっ…何の事だよ!」


ジョナスは目を泳がせながら言った。


「食卓にわざと種を置いて孤児院の裏口の床にオイルを撒いたのはジョナスあなたよね…?」


シャーロットは真剣な表情を浮かべながらジョナスへと言った。


「なっ…!」


ジョナスはシャーロットの言葉に驚き思わずシャーロットを見ながら言った。


「ジョナスが食卓で種を見たと言っていたし…外に出る際に最後に出てきたのはジョナスだった。それに…ジョナスから微かだけどオイルの臭いがしていたわ…。これでもオイルを撒いたのはあなたじゃないと?」


シャーロットはジョナスの目を見て言った。


「…………。」


ジョナスは黙り込んだ。


「ジョナス…イタズラにもね限度というものがあるの。もし…私が打ち所が悪くて死んでいたらイタズラがイタズラではなくなるの。殺人になってしまうのよ?ほんの出来心でやったのかもしれない…でもね…殺人になってしまえばミーシャさんや他の子供達もだけど…弟のフーパーはどうなると思う?人殺しの弟として一生日陰を歩いて暮らす事になるのよ?」


シャーロットは少し厳しい口調でジョナスへと言った。


(前世でさくらとして施設で働いている時も何人かが犯罪に手を染めた子もいたわ…。その子達は一生背負わなければならない十字架を背負い生きていくしかなかったわ…。ジョナスにはそんな生き方をしてほしくないわ…。現世では絶対に犯罪に手を染める様な子は出したくないのよ…。)


シャーロットはジョナスに話しながらそんな事を考えていた。


「思わなかった…。」


ジョナスが俯きボソリと呟いた。


「え?」


シャーロットはジョナスが呟いたが何を言っているか分からず言った。


「こんな大事に…なるなんて思わなかったんだ。あんたが何をしても孤児院から出ていこうとしない事に苛立って…ちょっと怪我させてやろうと思っただけだったんだよ…。怪我をしたらもう孤児院には来ないだろうと思ったんだ…。でも…まさか…頭を打って意識を失うなんて…思わなかったんだ…。」


ジョナスは苦しそうな声で俯いたまま言った。


「あんたが…その辺の貴族とは違うってフーパーに言われなくても分かってた…。でも…それを認めるのが嫌だったんだ。だから…だから…。でも…意識がないあんたを見てあんたが死ぬんじゃないかと思ったら急に怖くなったんだ…。取り返しのつかない事をしたと…。」


ジョナスは更に思い詰めた様に言った。


「……すまなかった…。怪我させてしまって…。謝って許されるとは思ってないが…すまなかった…。」


ジョナスは途切れる様な声でシャーロットへと謝罪したのだった。


「ふぅ~…自分がした事を悪いとは思っているみたいで安心したわ。」


シャーロットはジョナスの話を聞いて息を吐きながらジョナスへと言った。


「まぁ…でもさすがにやりすぎたけどね…。」


シャーロットが言った。


「俺は…処罰を受ける事になるのか…?貴族の令嬢を怪我させたんだからな…。」


ジョナスは声を震わせながらシャーロットへと尋ねた。


「そうね…。ジョナスにはそれ相応の対応をして貰わないといけないわね…。」


シャーロットはニヤリと笑みを浮かべながら言った。


「覚悟は…出来てるよ…。」


ジョナスは声を震わせたまま言った。


「そう?なら…ここでジョナスにあなたが許される方法を言うわね!」


シャーロットが自信満々に言った。


「あぁ…。」


ジョナスはグッと唇を噛み締めながら言った。


「ジョナス!私と友達になってくれるなら今回の事はきれいさっぱり許すわ!!」


シャーロットは胸を張って笑顔でジョナスへと言った。


「は?」


シャーロットの予想外すぎる言葉に思わず顔を上げて驚いた表情を浮かべながら言った。


「ん?だから…私と友達になってくれたら許すって言ったんだけど?」 


シャーロットはきょとんとした表情で言った。


「いやいや…それじゃぁ罰にならないだろ…。」


ジョナスは呆気にとられながら言った。


「そう?ほら…私我儘令嬢で有名だったから友達が居ないのよ…。だからね…元・我儘令嬢の友達第一号になってちょうだい!」


シャーロットは自信満々に胸を張りながらジョナスへと言った。


「自分で…元ってつけるのかよ…。」


ジョナスは呆れた表情を浮かべながら言った。


「だって…元だからね。今は我儘令嬢の汚名を返上したのよ!!だから…友達第一号になってくれる?」


シャーロットは笑みを浮かべながら言った。


「はは…確かにあんたみたいなのは予想外な事ばっかするから友達も出来ないだろうな…。」


ジョナスは思わず笑いを溢しながら言った。


「ちょっと!言いすぎよ!で、友達第一号になってくれるの?それともお父様達にあなたのイタズラで怪我したって言おうかしら?」


シャーロットはニヤリと笑みを浮かべながらジョナスへと言った。


「それ選択肢おかしいだろ!まぁ…仕方ないから俺が友達になってやるよ…。」


ジョナスは呆れ笑いを浮かべながらシャーロットへと言った。


「言ったわね!男に二言はないわね?!」


シャーロットは目を細めながら言った。


「あぁ。二言はねぇよ!」


ジョナスが頷きながら言った。


「よし!じゃぁ今日から私達は友達ね!」


シャーロットは笑顔で言った。


「あぁ。仕方なくだけどな!」


ジョナスはフッと笑みを浮かべながら嫌味っぽく言った。


「こらっ!」


シャーロットはムッとした表情で言った。


「ははは…。」


ジョナスはシャーロットのムッとした表情が面白くて思わず笑った。


「ふふふふ…。これからもよろしくね!ジョナス!」


シャーロットも笑みを浮かべながらジョナスへと言った。


「あぁ。」


ジョナスも言った。


「あっ…それと私はあんたじゃなくてシャーロットだからね!ロッティって呼んでね!」


シャーロットは思い出した様にジョナスへ言った。


「あん?あぁ…分かったよ…ロ…ロッ…ロッティ…。」


ジョナスは慣れないバツが悪そうな表情を浮かべながらシャーロットへと言った。


「よしよし!それでいいわ!」


シャーロットは嬉しそうに笑いながら言ったのだった。



こうして…

孤児院で妙な闘いを続けてきたシャーロットとジョナスはこの日友達になったのだった……


ご覧頂きありがとうございます★


他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


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この度、男装令嬢・キャサリンは探偵助手をする事になりました!!

〜探偵様は王子様?!事件も恋も解決お任せ下さい〜


普通の幸せを願う伯爵令嬢は、追放後記憶喪失になりました!!

〜あなたは何者ですか?!〜


ブックマーク&評価の方ありがとうございます★

とても励みになってます★

最後までお付き頂けると幸いです★

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