10.閑話(ボブ・キーランド)
本日、二回目の更新です✎
孤児院でそんな事が起こっていたその時…
王宮では…
シャーロットの父であるボブが国王であるキーランドの元へと訪れていた。
「グランバード公爵…あぁ…今日は二人だけだからボブでいいな…。ボブ忙しい中足を運んでもらい悪いな。まぁ座ってくれ…。」
キーランドがボブへと言った。
「とんでもありません…陛下…。陛下には娘の事で多大ならご迷惑をおかけしておりますので…むしろお忙しい陛下にお時間を作らせてしまい申し訳なく思います…。」
ボブは心の底からの申し訳なさそうにキーランドへと言った。
「いやいや…大丈夫だ。そこは気にする事はない。」
キーランドは笑みを浮かべながらボブへと言った。
「はい…。では…失礼します。」
ボブは応えると椅子へと腰掛けた。
「ところで…今日呼んだのはローランドとシャーロットの婚約取り消しの話とその後のシャーロットの話を聞きたいと思ってな。」
キーランドが言った。
「はい。承知しております。」
ボブは頷きながら応えた。
「まずは…その後のシャーロットの話を先に聞かせて貰おう。あれから二日経過したがその後のシャーロットの動きはどの様になっているんだ?直接ボブから話を聞こうと思い王宮からは仕いはやっておらんのだ。」
キーランドはボブへと言った。
「はい…。シャーロットは二日経過した現在は両日共に侍女を付けず朝から晩近くまで孤児院へと足を運んでいます。」
ボブがキーランドへと説明した。
「何?シャーロット一人で両日孤児院へ出かけていると?それも丸一日…。」
キーランドはボブの説明に驚いた表情を浮かべながら言った。
「はい…。孤児院の責任者になる以上自分がしっかりと責任を果たしたいと申してまして…。それからこちらはシャーロットが王宮からの助成金の使い道の考案書です。シャーロットから陛下に渡して欲しいと預かってまいりました。」
ボブが更にキーランドへと説明するとシャーロットから預かっていた考案書をキーランドへと渡した。
「考案書だと?シャーロットがわざわざ?」
キーランドはシャーロットの行動に更なる驚きを浮かべながら言った。
(シャーロットに考案書など書けるのか…?)
キーランドはそんな事を思っていた。
「はい。」
ボブが頷きながら応えた。
それからキーランドはシャーロットの考案書へと目を通した。
「これは…。」
キーランドが考案書へ目を通すと驚いた表情を浮かべながら呟いた。
「失礼ながら…何と書いてあったのでしょうか?」
ボブがキーランドの表情を見て焦った表情を浮かべながらキーランドへと尋ねた。
(シャーロット…まさか…とんでもない考案書を書いたのではあるまいな…。あの子の事だから金額が多大なのか?助成金に加えて何かの要求も書いてあるのか…?はぁ…両日共に孤児院へと足を運んでいるシャーロットを見ていつものシャーロットではない気がして驚いていたが…やはり何か裏があっての事だったのか…。)
ボブはキーランドの驚いた表情を見てシャーロットが考案書に余計な事まで書いたのではないかとヒヤヒヤしながらそんな事を思っていた。
「ん?あぁ…。考案書には王宮からの助成金の使い道が事細かく記載してあるのだ…。」
キーランドが驚いた表情のままボブへと言った。
「はい?えっと…それだけでしょうか…?他には…。」
ボブはキーランドの言葉に拍子抜けした様な表情を浮かべながら言った。
「あぁ。助成金の使い道の振り分けとして孤児院の外装、内装共に修復工事を行うのは王宮には一切関係のない王都で働く者達にお願いするにあたってその者達へ支払う賃金…大型家具などの製造も同じく王都で働く者達へお願いするのでその者達へと支払う賃金…小さな家具はシャーロットと孤児院の子供達で造る為、その材料費…食料は今後は王宮からの配給はストップし食料調達は王都にてするのでその人数計算での大まかな食費…野菜などを栽培するにあたっての初期費用…残りの雑費は繰り越し金として記載してあるのだ…。」
キーランドは驚きを隠せないままボブへと説明した。
「あの…それは…シャーロットが記載しているのですよね…?」
ボブは呆気に取られた様な表情を浮かべながらキーランドへと尋ねた。
「あぁ…。その様だが…。これは…何というか…何と言ったらいいのか…。」
キーランドも驚いた表情のまま言った。
「この考案書の内容を見る限り…シャーロットは王宮からは助成金以外は手助けは必要ないとしているな…。恐ろく…王都で働いている者達に頼むことによって王都で働く者達の生活もシャーロットが助成金で支払う賃金によって安定していくと考えたのだろう。そうすれば…生活に困って子供を手放す家庭が減る。それによって孤児も増えることが減っていくからな…。まさか…そんなところまで考えているとは…。」
キーランドが呆気にとられた表情を浮かべながら言った。
「それに加えてシャーロットも家具作りをするときた…。野菜の栽培もだと…?一体シャーロットはどこでそんな知識得たのだ?」
キーランドは驚くあまりボブへと尋ねた。
「いえ…父親の私ですらもシャーロットがその様な知識を持っていたなど知りませんでした…。シャーロットは我が娘ながら我儘なところが多く見られる娘です…。まさか…そのシャーロットがこの様な考案書を作るなど想像もつきません…。」
ボブも驚きと呆気にとられた表情で言った。
「私も少し戸惑っている…。シャーロットがまさかこの様な事を思いつく娘だったとは…。正直なところ私も王妃もシャーロットの我儘な部分はローランドとの婚約を決めた時も不安に思っていた程だからな…。」
キーランドは手を顎に添えながら言った。
(本当に驚いたな…。あのシャーロットがこの様な事を考えた考案書を提出してくるとは…。私はシャーロットを見誤っていたのか…?)
キーランドはそんな事を考えていた。
「私自身も娘の我儘はいつか度が過ぎてしまう事をしでかすのではないかと不安に思った事もありました。実際に…シャーロットの我儘で殿下との婚約…婚約取り消しと…十分に陛下や王妃様、殿下にまでご迷惑がかかっていますので…。」
ボブは申し訳なさそうな困った様な表情を浮かべながらキーランドへと言った。
(これは…本当にシャーロットが書いた考案書なのか…?誰か他の者が…いや…それはないか…。あの字は間違いなくシャーロットの字だ。しかし…まさかあのシャーロットがこの様な考案書を書くなど…。私は娘を見誤っていたということか…?)
ボブはちらりと机に置かれた考案書を見ながら思っていた。
「シャーロットの我儘で婚約取り消しを申し出てきた時はさすがに度肝を抜かれたが国民に祭事として公表もしていないし、正直に我儘なシャーロットには王太子妃として大丈夫なのかと不安も抱いていたのもあり婚約取り消しは簡単なものではないが話を進めるつもりだったしその事についても今日はボブと話をしたかったのもあったのだ…。」
キーランドがボブへと言った。
「しかし…どうだ…。今のシャーロットは。王妃もきっとこの話を聞いて驚くであろう程に王太子妃としての器を持っているではないか…。婚約取り消しの話を進めていくつもりだったが婚約取り消しは一旦保留としておこうかと思っている…。」
キーランドはうんうんと頷きながらボブへと言った。
「婚約取り消しの話を保留にですか?!」
ボブは驚いた表情を浮かべながら言った。
「あぁ。今後のシャーロットの動きを見て婚約取り消しをどうするかを決めても遅くそないのではないかと思ってな…。」
キーランドが応えた。
「しかし…シャーロットは陛下が殿下との婚約取り消しを承諾してくださったと思っております。」
ボブは困った表情を浮かべながらキーランドへと言った。
「そうか…。では…シャーロットにはそのまま私がローランドとシャーロットの婚約取り消しを承諾したものだと思わせておくとしよう。ローランドにもその様に伝えておくとしよう。だが…水面下では私と王妃とボブでシャーロットの今後の動きを見るとしよう。折を見てエマにもその様に話をしておいてくれると助かる。」
キーランドは笑みを浮かべながらボブへと言った。
「しかし…殿下とシャーロット…我が息子たちを騙す様で気が引けますね…。」
ボブは困った表情を浮かべながら言った。
「ははは…。多少の後ろめたさはあるが今後の国の為の事を思う一環としてと思ってくれないか?」
キーランドは笑いながらボブへと言った。
「……。承諾しました。元はと言えば娘のシャーロットの我儘から始まった事ですので親である私も責任を持って陛下の意に沿わせて頂きます。」
ボブは頷きながら応えた。
「あぁ。頼んだぞ。」
キーランドが笑顔で言った。
「はい。承諾しました。」
ボブは頷きながら言った。
その時…
コンコンッ!!
部屋の扉を叩く音がなった。
「陛下…グランバード公爵様…取り急ぎの伝達がございます。」
部屋の外から執事が焦った様子で中の二人へと声をかけたのだった。
慌てた様子の執事の声にキーランドとボブは顔を見合わせた。
「入れ。」
キーランドが執事へと伝えた。
ガチャ!
「失礼致します…。先程、司書官のエイル様にてグランバード公爵様へ急ぎのご伝言がありましたのでお伝え致します。」
執事が慌てた表情を浮かべながら伝えた。
「私にですか?エイルに何かあったのですか?」
ボブが執事の話を聞いて焦った様子で尋ねた。
「あっ…いえ…エイル様ではなくシャーロット様が滞在先の孤児院でお怪我を負われたの事です…。既にエイル様が孤児院までシャーロット様をお迎えに行かれているそうですのでお急ぎ邸の方へお戻り下さいとの事でした。」
執事がボブへと伝えた。
「なんだって?!シャーロットが怪我をしただと?!」
ボブは話を聞いて驚きのあまり立ち上がり言った。
「ボブ…シャーロットの怪我の状況はわからないが急ぎ邸へと戻れ。アミルには私の方から伝えて邸へと戻らせる様にしておく。」
キーランドは驚くとボブにすぐに声をかけて伝えた。
「陛下…。申し訳ありませんが…お願い致します。急ぎ足で申し訳ありませんが…ここで失礼致します…。」
ボブは内心は焦っていたがどうにか冷静を保ちながらキーランドへお礼と挨拶をした。
「あぁ。気をつけて帰れ。また連絡をしてくれ。」
キーランドは頷きながら言った。
「はい。」
ボブは頭を下げて礼をしながら言った。
そして、ボブは急ぎ自邸へと戻ったのだった。
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