1.一度目の人生
新連載始まりました★
「これは…一体…どういう事なの…?」
目を開けたグランバード公爵家の令嬢・シャーロットは鏡に映る自分の姿を見て驚きを隠せない表情を浮かべながら呟いた。
シャーロットが驚くのも無理はなかった…。
グランバード公爵令嬢・シャーロットは一度死んでいるからだった……
※
時は…
百数年前のカリブ王国での出来事まで遡った……
カリブ王国にある、グランバード公爵家には当主で国の環境大臣あるグランバード公爵のボブ・ドゥ・グランバード。
公爵夫人のエラ・ドゥ・グランバード。
公爵家次期当主で王太子の秘書兼護衛を務めている長男のアミル・ドゥ・グランバード。
公爵家次男で王宮の司書官として務めているエイル・ドゥ・グランバード。
そして、末の娘で長女のシャーロット・ドゥ・グランバードがいたのだった。
グランバード公爵家の令嬢であるシャーロットは、幼い頃より少しばかり我儘が過ぎる令嬢だった。
グランバード公爵家は代々…息子ばかり生まれる家系でもあり娘が生まれたのは何十年ぶりの事だった為にシャーロットはとても可愛がられ甘やかされがちであった。
それに加えてシャーロットは輝く金髪に青い瞳にスーっと通った鼻に桜色の唇…王国でも一番の美人といってもいい程の美貌とスタイルの持ち主だった。
その為かシャーロットは自分の我儘が通らなければ機嫌が悪くなる事も珍しい事ではなかった。
機嫌が悪くなると物に当たり散らかす事が多かった。
そんなある日、シャーロットが十三歳の時…初めて父に連れられ王宮へと行った際に王太子であるローランドに会いシャーロットはローランドに一目惚れしたのであった。
ローランドは…黒髪に吸い込まれる様な赤い瞳の端正な容姿だった。
その後、シャーロットの我儘を聞き通した父・ボブの口添えもありシャーロットが十五歳になった年にローランドと婚約が決まったのだった。
シャーロットが十六歳を迎えた年に国民の前での結婚披露式も終わり晴れて王太子妃となったシャーロットは幸せの絶頂にいた。
しかし…
ある日、国の創立記念式典が行われた日に男爵令嬢・ミレイが現れた事によりシャーロットの王太子妃の座が危うくなったのだった。
何故なら…ローランドがミレイと恋に落ちたからだった。
元々、シャーロットがローランドに一目惚れをしての我儘で婚約が決まった様なものだった為ローランドはシャーロットの事など好きでも何でもなかったのだ。
そこへ現れたミレイに心奪われたローランドはシャーロットとの結婚を解消し愛するミレイを王太子妃の座につけようとしていたのだった。
その事実を知ったシャーロットは、嫉妬と怒りにかられミレイの存在を邪魔に思い殺害しようと企んだのだった。
しかし…シャーロットの企みは実行する前にミレイの密告により明るみとなったのだった。
シャーロットの悪事を耳にしたローランドは怒り狂った末に…シャーロットに処刑を命じたのだった。
ローランドの父である国王・ムスタと母である王妃・アーリンは処刑まではせずともとローランドをなだめたがローランドは聞く耳を持たなかった。
とにかく怒りがおさまらないローランドは娘であるシャーロットの罪に許しを請う家族までにも処刑を命じたのだった。
結局、ローランドの意思は変わる事なく王太子独断でグランバード公爵家皆の処刑が行われる事となったのだった。
ローランドはより残酷に罰を与える為にシャーロットの目の前で家族を処刑させた。
そして…その後悲しみと絶望に満ちた表情を浮かべるシャーロットを冷たい目で蔑む様に見ながら
「その魂までもが一つ残らず散り去ったとて私は…一生お前を許さない…。」
ローランドはそうシャーロットに言い残すと自らシャーロットの首をはねたのだった。
この日はシャーロットの十七歳の誕生日だった…。
この事件は、歴史上にも残る程の無惨なものだった…。
王太子の行動を称賛する国民もいれば…非難する国民もいた様だがローランドはその様な事などまったく気にする事なくシャーロットの死後、シャーロットの王太子妃の称号を剥奪したのちにミレイを王太子妃の座に座らせたのだった。
グランバード公爵家の爵位を剥奪され処刑されたボブ、エラ、アミル、エイル、シャーロットの墓は作られる事はなかったのだった……。
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他にも連載中の小説がありますのでよろしけれご一緒にご覧下さい★
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普通の幸せを願う伯爵令嬢は、追放後記憶喪失になりました!!
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