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私の箱入り紀行録  作者: raira421
第4章 新たな力で
36/39

4-6 盗賊ギルド

~作者side~



 長テーブルとそれを囲う椅子のみが設置された、簡素で薄暗い部屋。

 そこには沢山の人が集まっていた。

 性別も種族も様々だったが、全員が仮面や布で顔を隠しており、素顔をさらしている人は誰一人としていない。

 その中の一人、ペストマスクを付けた男がテーブルの上に水晶玉をおく。

 すると、その水晶玉からホログラムのように半透明の映像が浮かび上がってきた。

 映像には停留所へと入っていくサブレ、シナモン、ショコラの姿が映し出されている。

 それを見て、ピエロマスクを付けた男が口を開いた。

「ほう、この白髪男がジャーキー達を殺した男か」

 他の男も口を開く。

「全く。よくも我らが盗賊協会(ギルド)の顔に泥を塗ってくれたな……!」


 この魔法界には協会(ギルド)と呼ばれる組織が4つある。

 勇猛果敢な戦士の集う、騎士協会。7人の魔女が牛耳っている、魔女協会。旅人の支援を主に活動する、冒険者協会。そして、本拠地不明の犯罪者集団、盗賊協会だ。


 ここは、盗賊協会の本拠地である屋敷だ。

 といっても、この屋敷が何処にあるのかは協会のメンバーすら知らない。

 ここに入る必要がある時、また、ここに呼び出された時、どこからともなくこの屋敷へと通じる扉が現れ、盗賊協会のメンバーを導くのである。


 ここにいるのは、盗賊協会の数少ない会議のため、集められた仮面の集団。彼らは互いに会話を交わしあっていた。その様子はどこか奇妙で、不気味である。


「こいつを、殺せばいいんだな」

「子供2人を連れているが、どうする?」

 

 その時、集団の中でも一番高級そうな金属製の椅子に座っていた男が、ゆっくりと口を開いた。男は金の下地に赤、青、といったカラフルな宝石を付けた、ヴェネチアンマスクを身に着けていた。

 彼こそがこの盗賊協会(ギルド)の会長である。

「構わん。三人とも殺せ」

 その声に、集団のメンバー数人の肩がびくりと震えた。

 仮面集団の一人が震える声で問いかけた。

「……で、でもどうやって殺すのですか? この者たちは武装しています。三人同時に相手をするのは困難かと」

 会長が答える。

「男が子供達に近づけないようにすればいいだろう。子供二人なら我々にかなうまい」

「でも、どうやって?」


「私共にお任せください」

 突如、天井から声が聞こえた。

 全員が上を見上げる。

 天井から、黒髪の男女が降りてきた、いや、降ってきたというほうが正しいだろうか。

 男のほうは、漆黒の長髪を後頭部でまとめ、口元には布製のマスクをつけている。女のほうは、漆黒の髪を肩のあたりで切りそろえ、同じようなマスクを身に着けていた。2人は右目の下、まったく同じ位置に小さなほくろがついていた。

「盗賊協会会員No・462。スルメ、只今参上!」

「盗賊協会会員No・463。アタリメ、只今見参!」

 男のほうがスルメ、女のほうがアタリメだ。彼らはこの盗賊協会でもなかなかの実力を持つ、双子の忍者である。

 2人は、会長を目の前にしても、全くおびえる様子がない。


 そんな二人を見て、会長があきれたように言った。

「お前たちはもっとまともな登場ができんのか…」

 スルメが答える。

「これは失礼。先程まで仕事をしていたもので」

 続いてアタリメも口を開く。

「遅刻したことも、重ねてお詫び申し上げます」

 そんな2人を見て、会長はため息をついた。

 ため息をつきつつも、マスク越しにスルメ達に向けられた視線にはどこか温かみがある。その温かみは、彼らの実力に対する信頼を示しているようだった。

「あの男を子供から引き離してくれるとは本当か?」

「ええ。これまでに私共2人と戦い、勝てたものはいません。」

「お任せください」

 それを聞き、会長はにんまりと笑った。

「ならば、それは任せよう。

 ……まっておれ、この盗賊協会(ギルド)の恐ろしさ、思い知らさせてやろう!」


 こうして、盗賊協会会議は、静かに幕を閉じた。


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