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私の箱入り紀行録  作者: raira421
第4章 新たな力で
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4-5 魔法禁止令

~サブレside~


 私はふと我に返った。

「あ、あれ?」

 周囲は数時間前と何の変わりもない長閑な風景。私の魔法は成功したのかしら……?


 目の前に額から大粒の汗を流しながら、肩で息をしているシナモン先生が立っていた。

 先生はまだゼーハー言いながらも思いっきり拍手をする。

「素晴らしいです、お嬢様!

 お嬢様には、風の魔法の才能があるんですね」

 魔法は成功のようだ。


 やった。私にもできることがあったんだわ!


 私は大きな達成感を感じながらも安堵して、大きく息を吐いた。


 視界の端に、拍手をしながらこちらに走ってくるショコラちゃんの姿が見えた。

「サブレおめでとう! やっぱりすごいや!」

 その場でぴょんぴょん飛び跳ねるショコラちゃん。私もつられるようにしてはしゃぐ。

 ショコラちゃんが今夜はお祝いだ〜、だとか、魔法の成功をまるで自分のことのように喜んでいた。


「ですがお嬢様」

 そんなお祝いムードを、シナモン先生の一声が遮った。

「あなたの魔法は実に強力。それも危険な域です」

 シナモン先生は額の汗をハンカチで拭いながらも淡々と続ける。

「今回は私の魔封じの術で効果を抑えましたが、毎回そういう訳には行きません」


 そうか、唐突に魔法の効果が切れて、私が我に帰ったのは、先生が魔法を封じ込めたからなのね。

 

 シナモン先生が真面目なあまりにも表情をしていて、私は不安になる。


「魔法の力がコントロールできるようになるまで……魔法は使っては行けません」


 ええっ!?


「おい!」

 ショコラちゃんが先生のことを睨みつけた。


「ショコラさんも見たでしょう。あの魔法を。お嬢様の実力は素晴らしいものですが、そのせいで不必要に他者を傷つけられては困ります」


「……。」

 ショコラちゃんは黙ってしまった。

 私も、何も言い返せない。


 威力が大きいだけではないわ。私は魔法に集中しすぎて、周囲の様子が全く分からなかったのだもの。


 シナモン先生が私の目を見た。

「とにかく。本当に必要な時以外、魔法を使っては行けません」

 先生の確かめるような言葉に、私は頷くしか無かった。


 ショコラちゃんの落胆するような声が耳に届いた。



■■■


 翌朝、私たちは停留所を後にし、ヴァルタティーヌ王国に踏み入った。

 ヴァルタティーヌ王国は国土のほとんどが森。街に着くまでまだ距離がある。

「しばらくは野宿ですね」

 シナモン先生がそう言った。


 目指すは、ヴァルタティーヌ王国、王都よ!

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