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私の箱入り紀行録  作者: raira421
第4章 新たな力で
34/39

4-4 つむじ風の魔法

~ショコラside~



 ボクは、丘のてっぺんから少し離れた所に座って、サブレとシナモンの姿を眺めていた。

 サブレが魔法の訓練をしている。シナモンがサブレの横に立ち、手を握ったり、何かを話したりしている。

 

 きっと、彼らはボクと出会う前、2人で旅をしていた時……いや、もっと前から、こうやって色々なことを一緒にやってきたのだろう。

 そう思うと何故かモヤッとした。

 でも、今はそんな事よりサブレが魔法を使えるようになることの方が大事だったから、ボクはモヤモヤを押し殺して、サブレを応援していた。

 心の中で、頑張れ、きっとやれる、と唱えながらサブレをじっと見ていた。

 

 すると、サブレの様子が変わった。

 

 さっきまでは闇雲に杖を振ったり、懸命に魔法を唱えてたりしていたのに、今は杖を握りしめて、じっと目を瞑っている。

 

 変わったのは動作だけではない。

 彼女の体から……上手く言葉では説明できないけど、オーラ?みたいなものを感じたんだ。

 サブレの周囲がやけにキラキラして見えた。

 まるで、立派な魔法使いや預言者なんかがすごい術を使っている時みたいな、そんな感じがした。

 別にサブレが特別な衣装を来ている訳でも、物凄いことをやってのけている訳でもないのに。さっきとはまるで別人のように見えたんだよ。

 

 サブレが何かを唱えた。

 

 次の瞬間、サブレの杖の先っちょから風が飛び出してきた。

 本来、目に見えない、透明なはずの風が、今はまるでリボンのようになびいているのが見えた。

 それはゆらゆらと、緩やかに空へと登っていき、螺旋状になった。

 

 ……つむじ風だ。

 

 つむじ風はだんだん大きくなりながら、さらに上空へと昇っていく。激しく渦を巻いている。

 

 それだけでは無い。丘の地面に生えている青々とした草が激しく揺れ始めた。丘に生えている小さな木も大きく身体を振っている。

 風のせいだ。

 凄まじい風が、ボクらの周りに巻き起こった。

 大嵐にも負けないほどの強風がボクらの周りを巻き上がっている。その事が理解出来た。

 サブレの近くに立っていたシナモンが、その場に跪いた。風の勢いに負けて、立っていられなくなったのだ。

 

 ボクも大変だ。

 ボクは、(生憎沢山ご飯を食べる機会もなかったから)身体が軽いんだ。

 座っている、そのお尻が持ち上げられて、飛び上がってしまいそうだ。

 

 このままじゃ飛ばされるっ!

 

 そう思った時だ。

 

 シナモンが口を開いた。

 風がビュウビュウうるさいせいで、なんて言ってるかは分からなかったけど。

 その言葉に反応するように、風が収まった。

 

 そこには数分前と何ら変わりない、長閑な風景が広がっていた。

 

 

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