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私の箱入り紀行録  作者: raira421
第1章 旅の始まり
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1-2 新しい家庭教師


 「お嬢様、お稽古の時間ですよ」

 部屋の外からそんな声が聞こえた。

 

 げげっ!

 

 私は背筋が凍るのを感じた。

 

 数年前、お父様が家庭教師を雇った。今は週2のペースで御屋敷にやって来て私に勉強を教えてる。

 私はその家庭教師が嫌いだ。

 だってとても怖いんだもの。

 薄紫のひっつめ髪に、シワの寄った顔、鳶色の瞳。なんだか悪い魔女みたいな見た目。

 しかも、ちょっとでも私が話を聞いてなかったりすると金切り声をあげて、鉄の定規を床に打ち付けるの。

 まるで、「次やったらこれで殴るわよ」って脅してるみたい!

 しかもお稽古の内容は、お裁縫、そろばん、テーブルマナー……などなど、退屈なものばかり!

 せめて魔法くらい教えてくれたらいいのに……。

 

 「お嬢様!」

 メイドが部屋に入ってきた!

 「お稽古の時間です!」

 メイドは私のワンピースの裾をがっしり掴んだ。

 「逃げようとしたって無駄ですからね!」

 「いやあああああああ~……」

 メイドに半ば引きずられるように、私はお稽古の部屋まで連れていかれた。

 

 ■

 

 お稽古の部屋に入ると、そこにはいつものこわ~い家庭教師はいなかった。その代わり、見慣れない1人の男性が立っていた。

 「お嬢様、紹介いたします」

 メイドが言う。

 メイドが促すと、その男性は口を開いた。

 「私、本日よりお嬢様の新しい家庭教師となりました。シナモンと申します」

 シナモン、と名乗るその男性は深々とお辞儀をした。

 窓から差し込む光が反射して彼の白銀の髪がキラキラと輝く。手には黒いグローブを付けていて、なんだかかっこいい。

 まるで海の様に青い彼の瞳がまっすぐ私を見つめてきた。

 

 後で聞いた話によると、前の家庭教師の先生は腰を痛めて御屋敷まで来れなくなったとか。

 

 「これから、よろしくお願いします」

 彼の切れ長の目と薄い唇が、ニコリと笑顔を作った。

 なんて、綺麗なお顔……。それにとっても優しそう。

 「こちらこそ、よろしくお願いしますわ」

 私も思わず笑顔で返した。

 


 

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