3-7 お友達の家
~サブレside~
「ここが、ボクの……家」
「うわぁ、こんな家に住んでいたなんて、素敵だわ!」
「……本気で言ってる?」
私とショコラちゃんは川のほとりへとやって来た。
そこには小さな小屋があった。地面から少し傾いており、木製の外壁には黴や苔がこびりついている。建付けの悪いドアが微かに開いていた。
私はそれを見て目をキラキラさせていた。
だって、強いハンターや魔女が住んでいそうでカッコイイんだもの!
しばらく立ち話していた私達だったけど、ショコラちゃんが何かに気づいたように固まった。
その顔色がみるみる真っ青になっていく。
「どうして戸が開いてるんだよ!」
ショコラちゃんは大慌てで小屋の中に入っていく。その姿を見るに、ただ事ではなさそう。私も後を追った。
「ボクの家が……お宝がぁ……」
ショコラちゃんはへなへなとその場に座り込んでしまった。
ショコラちゃんの背中越しに、小屋の中を見渡す。
ひ、ひどい……。
部屋の端に置かれている壺は粉々に砕け、木製の小さな棚は真っ二つにへし折られていた。
そして、ショコラちゃんの前には床下収納の蓋が大きく開いており、中身が丸見えになっていた。
その中身は、空っぽだった。




