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私の箱入り紀行録  作者: raira421
第3章 初めての事件!?
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3-6 新しいお友達

~サブレside~



 シナモン先生に対する苛立ちを感じながら、私は歩いていた。


 なによ、お嬢様、だなんて大声出して。旅に出てからずっと、私のこと子ども扱いしてたの?

 

 歩いているショコラちゃんの背中が見えて、私の苛立ちは消えた。

「ショコラちゃ~ん!」

 明るく、声をかける。

 すると、ぎょっとした様子でショコラちゃんが振り返った。

「えっと、サブレ……だっけ。どうかした?」

「まだ体調が万全じゃないのに、1人で出歩くのはよくないわ」

 私が万円の笑みで続けると、ショコラちゃんは手をひらひらさせて

「その心配は無用さ」

 ですって。


 また歩き出そうとしたので、私は再び声をかける。

「一緒に行ってもいいかしら?」

 ショコラちゃんにぴったりとくっ付いて、横を歩く。

「え、まあ、いいけど……」

 ショコラちゃんは私の目をじっと見てから答えた。

「じゃあ、決まりね!」


 こうして、私とショコラちゃんは更に色々な事を話した。今度は私が自分の事を教える番だった。私がお屋敷にいた時のこと、ここまで旅をしてきたこと、私の夢のこと、シナモン先生のこと。

「幸せ者の中にも、いい奴っているんだな……」

 ショコラちゃんがぽつりと呟いた。

「え? そういうこと?」

「あっ! 何でもないよ」

 ショコラちゃんは慌てて返す。

 聞こえないように言ったつもりだったみたい。

 詮索するのはよくないと思い、これ以上聞くのは辞めておいた。


 同じくらいの背丈で横に並ぶ。ショコラちゃんの気配をすぐ隣に感じる。シナモン先生が隣にいる時の気持ちとは違うけど、幸せを感じた。この感じは何て言うのかしら。

 胸をソワソワさせながら、私は口を開いた。

「ねえ、ショコラちゃん。私、貴方のお友達になっても、いいかしら?」

 ショコラちゃんは、目を今までにないほど大きく見開いて、私を見た。

「と、ともだち?」

 なんだかくすぐったい。でも、続けた。

「……うん。私、同年代のお友達がいないの。だから、ショコラちゃんが初めてのお友達……。だめ?」

 すると、ショコラちゃんの顔がぽっと赤くなった。照れくさいのは、私だけじゃないのね。

「も、勿論。ボクも、年の近い友達いないから……よろしく」

 すっと差し出された手を私は力強く握り返した。

「よろしくね!」

「う、うん……」



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