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私の箱入り紀行録  作者: raira421
第1章 旅の始まり
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1-1 退屈な毎日


 あーあ。御屋敷の生活ってなんでこんなにつまんないのかしら。

 

 私はアフタヌーンティーを飲みながら、溜息をついた。

 

 私の名前はサブレ。フルネームはサブレ・キャメル・グレーパイン。

 この国――、『世界の中心を示す国、ファリスティナ王国』の男爵の娘。

 

 私が住む、グレーパイン邸には色々なものがある。

 使用人が50人、ドレスが100着、アクセサリ150個、ティーセットが200……。

 でも、私が1番欲しいものは無い。

 それは、自由。

 私はこの広いようで狭いグレーパイン邸の中に閉じ込められている。

 

 1人で外も出れやしない。いつも使用人を1人つけるように言われるの。しかも、使用人ったらちょっと大通りから外れることすら許してくれない。

「危ないですよ」

「お嬢様には早いですよ」

「外には危険がいっぱいなんですから……」

 口を揃えてこんなことを言っているけど、私はもう10歳なので子供騙しは効かないわ。

 

 森の中にも入れない。お父様は狩猟が趣味なのに私にはやらせてくれないの。武器も見せてくれない!

 あと魔物も見た事ないし、戦闘訓練もさせてくれないし、旅の許しだって……

 

 そう!私は旅に出たいの。

 旅に出て、世界中を見て回りたい!この目で。

 そう思い始めたのは3年前、御屋敷の書物庫で読んだ本がきっかけ。

 本に書いてあった、極彩色の旅路。それはフィクションなんかじゃなくて、この世界に存在するものなの。

 私は、いつかこの広い世界を見ることを夢見てる。この目で。

 

 でもそう簡単にはいかない。

 もうずっと前から大きくなったら旅に出るんだ、将来は冒険者になるんだって、宣言してるのに、誰一人としてまともに相手にしてくれる人はいなかったわ。

 みんな

「お嬢様は面白いことを言いますね」

「旅に出るなんてできるわけないでしょ」

「まだ子供ですから」

 ……って鼻で笑うの!

 お父様に至っては

 「そんな馬鹿げたこと冗談でも言わないでくれ!」

 って泣き出したのよ!

 誰1人、私が本気で旅に出たいと思ってることを知らない。誰1人、私の夢を応援してなどくれない。

 ただ、毎日「素敵なレディになるのよ」なんて言われながらお稽古ばかりしている。

 

 ああ、なんて退屈な毎日……。

 

 私はライトピンクの長い髪を、くるくると指にからませながら、溜息を着いた。

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